ソードアートオンライン 白い流星   作:八葉と黒神の剣聖

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光焔の剣

 今日は休日。

 なので朝から姉貴とALOで会う約束していたのだが、朝から香蓮が遊びに来ていた。

 それは構わないのだが、俺の部屋に来てからじーと顔を見続けている。

 一体何があったのだろうか。

 

 

「あの…香蓮さん?何かありました?」

「……これ」

 

 

 香蓮は携帯を取り出して一枚の写真を見せる。

 その写真には赤い長髪のサラマンダーの女性(姉貴)と、どこか見覚えのある白いケットシーが映っていた。

 

 

「……何でそれを?」

「昨日木綿季が送ってきた。ちょっといろいろとおかしいよね?赤髪の女性は雪葉さんそっくりだけど、白髪は全然似てないよね?」

「そうだね。似てないね」

「というか可愛すぎない?服装も可愛いし」

「それは姉貴の趣味」

「いい趣味してるよお姉さん」

 

 

 今のアバターの服は姉貴の趣味全開になっている。

 やや分厚いコート(フード付き)に加えて膝下まであるブーツなどでかわいい服で統一されている。

 俺としては色々言いたいが、まぁゲームだし、あんな可愛いアバターだし、姉貴に逆らえないし、結構便利なのでされるがままだ。

 

 

「俺だって好きでこんな服装にしてないよ。でも結構便利なんだよ。色んな奴に喧嘩売られるから」

「まぁ可愛いし、知らない人が見たら弱そうだし」

「その通り。おかげでいろんなプレイヤーに絡まれるから、大量の経験値を手に入れて両手剣の熟練度があっという間にカンストしたよ」

「それは美優から聞いたよ。色々あったって」

 

 

 その辺はアイツから聞いているのか。

 それなら詳しい事情を話さなくてもよさそうだ。

 しかし…俺のアバターは香蓮のドストライクか。

 小さくて可愛い子が好きなのは知っていたが、それはあくまでも女の子限定だと思っていた。

 もしかしてそっちもいけるのか?

 

 

「でも本当に可愛いなぁ…。一日中抱き締めていたい」

「はは……」

 

 

 それは勘弁して欲しいところだ。

 現に木綿季に半日捕まって大変な目になっているし、仮に香蓮に捕まれば、耳やら尻尾を愛でられるのが確定だ。

 

 

「さてと。姉貴は呼ばれてるからそろそろ行ってくる」

「ん。早めに戻ってきてね」

「分かってる。それじゃ」

 

 

 アミュスフィアを装着したALOへログイン。

 前回は中央都市アルンの宿でログアウトしたのでその場所からスタート。

 この都市で一番の見物は世界樹だろうか。

 その頂上に妖精王がいるとか噂されているが正直興味が無い。

 なのでグランドクエストも攻略することは無いだろう。

 

 

「えっと姉貴は…あの宿か」

 

 

 姉貴がいる宿に移動し、部屋に入ると、いきなり紫髪のインプの女の子が抱き着いてくる。

 慌てて受け止めると、女の子は嬉しそうに腕の力を強めて来た。

 

 

「こらユウキ。いきなり抱き着かない」

「だって嬉しいもん」

 

 

 可愛らしく言ったユウキ。

 そう、この子は俺たちの可愛い妹分である木綿季のアバターである。

 ちなみに俺より大きい。

 

 

「そんなに抱き着いていると香蓮に怒られるぞ」

「それはどっちに言ってる?」

「両方。それと時間無いから程々にしときなユウキ」

「はーい」

 

 

 元気よく返事をしてから解放するユウキ。

 よかった、今回は尻尾やらを触られずに済みそうだ。

 

 

「さて。合流して早速だが場所移動するぞ」

「え?また移動?」

「そうだ。なんせ時間が少ないからな」

「えぇ…」

 

 

 

 再び場所を移動することになり、俺とユウキは姉貴についていく。

 その道中でユウキと近況の話をし、その中で年が明ければ外に出れそうと言っていた。

 今はほとんど車いす無しでも無菌室の中を動き回り、食事も普通に取っているとか。

 

 

「順調そうでよかった。焦ったらだめだよ。姉貴と倉橋先生の言うこと聞くように」

「うん。ちゃんと聞くよ。焦ったらダメなのは分かってる」

「それでいい」

 

 

 よしよしとユウキの頭を撫でる。

 仮想世界だが、こうやってユウキに触れられるのはとても嬉しい。

 これから仮想世界が発展していけば、色んな事が出来るようになっていくのだろう。

 それこそ現実世界では出来ないことのようなことをたくさん。

 

 

「っと。着いたな。降りるぞ」

 

 

 目的の場所に到着したので降りると、目の前には大きな遺跡があった。

 なんとも古い遺跡で、何かが眠ってそうな気配がある。

 しかし…なんか見覚えのある遺跡なんだけど。

 

 

「入るぞ2人とも」

「扉しまってるけど?」

「それなら大丈夫。鍵なら昨日ユキハと取ってきたから」

「そういうことだ」

 

 

 姉貴は小さな緑色のクリスタルを取り出し、遺跡の扉に嵌めると、扉の文様が淡く光って、大きな音を立てながら開く。

 完全に開いてから中に入ると、薄暗い道がまっすぐ続いていたので進むと、大きな部屋に出る。

 その中央に大きな石板があり、姉貴はその石板に触れながら文字を読む。

 

 

「えっと…伝説の剣を手に入れるには、元となる二つの剣。焔と光の剣を取って来いってか」

「ってことは、奥に道があるのかな?」

「奥にもあるが…左右にもあるな」

 

 

 

 石板の後ろと、部屋の両サイドには扉がある。

 石板の内容から察するに、おそらくは奥に進む前に左右の扉を攻略しないといけないのだろう。

 そしてその先に、焔と光の剣があると思う。

 

 

「左右の扉は開くか?奥は最後だと思う」

「私もそう思う。少し待て」

 

 

 姉貴はクリスタルを取り出して石板にかざすと、大きな音を立てながら左右の扉が開く。

 どちらから攻略するか尋ねると、ユウキが『左が良い!』と言ったので左から攻略することに。  

 周りを警戒しながら道を進んでいると、さっそくアリ型の小型モンスターの群れに遭遇する。

 

 

「っとさっそく来たな。背中任せるぞ2人とも」

「任された姉貴」

「任せて!」

 

 

 それぞれ得物を抜いて戦闘開始。 

 姉貴は薙刀のような槍で切り伏せていき、ユウキは片手直剣で素早く倒していく。

 俺も2人の死角にいるモンスターを倒していく。

 

 

「あと何体だ?」

「あと5つ。すぐ終わらせる」

 

 

 残りの5体を剣を薙ぎ払って仕留める。

 周囲を見渡してモンスターが湧かないのを確認した後に剣をしまう。

 流石に苦戦はしないか。

 姉貴の薙刀術は一流だし、ユウキの速さに対応するのは難しいだろう。

 

 

「流石姉貴。鈍ってないな」

「当たり前だ。こう見えて週一で稽古してるっつの。ほら行くぞ」

「了解」

(うーん。流石姉弟だね)

 

 

 

 再び先に進み、途中で遭遇するモンスターはすべて斬っていく。

 いい感じに体が解れて来た所で広い部屋に到着。

 その部屋の中央には祭壇のようなものがあり、その上には焔で包まれた機械のような片刃の赤い剣が浮いてあった。

 

 

「おぉ…あれが焔の剣かな?」

「だろうな。だけどその前に……」

「アイツを倒すか」

 

 

 祭壇の前にいる鎧巨人。

 鎧の隙間から焔があふれているのを見ると、あの剣を守る守護者か。

 なかなか手ごわそうだが、問題ないだろう。

 

 

「行くぞ2人とも。手ごわそうだが、気を抜かずにな」

「うん!全力で行くよ」

「サクッと終わらせるぞ!」

 

 

 作戦会議もなしでそれぞれ鉄巨人に突っ込む。

 一見無謀に見えるが、それぞれの戦い方を理解しているので、うまく立ち回り、フォローし合って連携し、特に苦戦することなく鉄巨人を撃破する。

 

 

「よっし撃破!」

「ふぅ…ユウキの早い動きに合わせるのは大変だ」

「それを言うならユキト兄の読みに合わせるのも大変だよ」

「そのお守りをする私の身にもなれ」

 

 

 お互い言い合うが結果良ければ全てよし。

 なので祭壇の剣を回収を姉貴に任せようとするが、背中を蹴りながら『お前の仕事だ』と言われたので回収する。

 剣の名前は『焔の剣』とあったので、石板に書かれていたものと同じだろう。

 

 

「焔の剣…おや?武器扱い?」

「え?そうなの」

「あぁ。装備してみるよ」

 

 

 今使っている剣と交代で装備する。

 目立ったスキルがない代わりに、抜刀すると、剣の装甲と刀身が展開され、装甲の隙間から淡い焔があふれ出て、刀身からは光の剣が現れた。

 

 

「マジで武器扱いじゃん。ということは……」

「……もう一本も怪しいな。取りに行こう」

「うん。来た道戻ろうっか」

 

 

 来た道を戻り、今度は右の扉の扉を進むと、さっきと同じく広い広間に到着し、中央の祭壇の上には光に包まれた白い剣が浮いてある。 

 形も大きさも焔の剣と全く同じだった。

 加えて焔の剣と同じ鉄巨人もいた。

 

 

「属性違いの剣か。加えて同じ守護者と」

「さっきと同じパターンだろ。行くぞ」

 

 

 再び鉄巨人と戦闘開始。

 攻撃パターンが全く同じだったので苦労無く突破し、光の剣をゲット。

 この剣も焔の剣と同様に装備扱いだった。

 しかし剣を2本装備出来るわけが無いので、一旦焔の剣を仕舞って光の剣を装備することに。

 

 

「おぉ…焔の剣みたいに装甲の隙間から光が漏れてる」

「刀身も光か。しかしもったいねぇな」

「……それは分からない。ひとまず戻ろう」

 

 

 再び石板の前に戻ると、奥に繋がる扉が開いていた。

 成る程ね。

 剣を手に入れたら自動で開く仕様か。

 まぁ石板の内容から大体予想は出来ていたが。

 

 

「奥に行けるね。行こうよユキト兄」

「うん。油断せずにね」

「さてさて。何が出るやら」

 

 

 奥へと進み、しばらく真っ直ぐ進み続けていると、とても大きな部屋が現れる。

 その中央には何かを嵌める様な壁があり、その前には石板があった。

 石板に近づいて内容を読み、壁の窪みと照らし合わせる。

 

 

「成る程。どうやら剣を嵌める必要があるらしい」

「それって窪みに?」

「あぁ。少し待ってて」      

 

 

 装備してきた光の剣を嵌めて、その後に焔の剣を嵌める。

 すると2本の剣が輝き、合体して俺より大きい剣になる。

 その光景を見ていたユウキの目はとても輝いていたが、俺と姉貴は周りを警戒している。

 こういうのは大体ボスとか、剣に引き寄せられてどっからかモンスターが出てくるからだ。

 

 

「モンスターは…出ないか」

「……なぁ弟。もしかして私らが倒したあの2体って、実はめっちゃ強いとか」

「……あり得る。確かにタフだったし」

 

 

 あっけなく撃破した2体の鉄巨人。

 言われてみればかなりタフだったような気がする。

 火力はそこそこだったか、結構固かったし。

 となると、もしかしてあの2体がボス扱いだったのか。

 

 

「ねぇねぇユキト兄。早く取ってよ」

「分かった分かった」

 

 

 とてもはしゃいでいるユウキにせがまれながら剣を手に取ると、焔の剣と光の剣のように装甲と刀身が開いて綺麗な光が放出される。

 それから目の前に、光焔の剣と表示されて、ストレージに自動で入ったので装備しなおすと、体力が表示されている横に数字が現れた。

 

 

「あれぇ?ユキト兄のHPの横に変な数字あるよ」

「その剣を装備してからってことは……」

「ちょっと調べる」

 

 

 光焔の剣の詳細を調べると、EXスキルがついており、その名を『解放の剣』というらしく、時間経過及び攻撃ヒットでチャージされ、100パーセント溜まると、光焔の双剣に変化するらしい。

 

 

「双剣ってことは……」

「あの二つの剣に分離するってこと?」

「何でこんな剣が隠れてんだよ……」

 

 

 モチーフは二刀流か?

 だとしても引っ掛かる点が多いのだが、もしかして須郷さん。

 パクったかSAOを。

 だとすればあの世界のスキルを武器のスキルに転用することだって出来る可能性はあるぞ。

 

 

「引っ掛かる点は多いが、今日はここまでだな」

「うん。アルンに戻ろう。ボクも疲れたし」

「…そうだな。帰るか」

 

 

 

 剣を後ろ腰に携え、遺跡を出るのであった。

 

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