「隊章?」
「だけじゃないですわ、准将。名称もね」
「いいじゃねえか。俺ぁそういうの好きだぜ」
「そうは言うがマドゥル。俺にそういうのは」
「と思って、考えてありますわ」
クリスタさんが、准将含め全員を集めたかと思ったら、なんだろ。たいしょう? 名称?
「日本人は椿を嫌うそうね、少佐」
「そうだな。日本人が嫌うというのは少し違うな」
「そうなの?」
「おそらくそういうことは島津大尉の方が詳しいだろ。なあ」
「え、は! えっと、日本人と言いますか、武士にとって嫌われてるということですね。椿の花はガクごと落ちるので、その様子が首が落ちるように見えると」
「なるほどね。でも、私からするとあれってむしろ綺麗だと思うのよ。ねえ、美果」
「ええっ!」
いやいや! 私だって日本人だし。早也佳さんの言うことも分かるんだけど。なにが。否定できないんだけど。
「えっと、それはどういう」
「なんで? あなたたち思わないの? 咲彩なら分かるかしら」
「言いたいことは分かりますが」
「でしょー。椿の花がさ、ガクごと落ちるって、凄くない? 枯れても尚美しさを保つって感じで」
あー、なるほどー。なるほど?
日本人的にはあんまり理解しにくいところもあるけど。
「で、椿がなんだよ」
「中佐、気が早すぎますわ。せっかく焦らしてますのに」
「俺ぁ焦らされるのも好きだがよ」
「いい加減にしないか。で、大尉はアイディアを持っているというのかね」
「部隊名称。CAMELLIA」
「カメリア?」
「そう、カメリア。日本語で椿よ。それを何とか略称にしてみたわ。気になるでしょ? 中佐」
「そうだな。俺にも分かるように言ってくれよ」
「Committee of Assistant under brigadier general Make Everyone's Life Longer Into Abroad. 准将直轄の秘書官団が、海外の全人類の人生を伸ばす。ってね」
「おいおい日本はどうすんだよ」
「やって当然のことまで書く必要はないと思うのよ。言葉になってることだけが全てだと思っちゃダメよ。文章外のことこそが大事なのよ」
「憲法みたいですね」
「早也佳さん?」
「イギリスの憲法って、日本みたいに文章がないのよ。それまでの慣習が大事だって。でも書いてないからやっていいだろってならないの。今までの慣習を壊すのかって言われちゃうから」
「なるほどー」
「ってなわけで、私たちはこれからCAMELLIA」ってことで。Are you OK?」
クリスタさんの口上に否定する人は居なかった。私たちはカメリアになった。
椿の様に、死してなお可憐に。誇れるように。