基地司令は憂鬱   作:矢矧草子

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2000年 1月 国連横浜基地 2200

「隊章?」

「だけじゃないですわ、准将。名称もね」

「いいじゃねえか。俺ぁそういうの好きだぜ」

「そうは言うがマドゥル。俺にそういうのは」

「と思って、考えてありますわ」

 

 クリスタさんが、准将含め全員を集めたかと思ったら、なんだろ。たいしょう? 名称?

 

「日本人は椿を嫌うそうね、少佐」

「そうだな。日本人が嫌うというのは少し違うな」

「そうなの?」

「おそらくそういうことは島津大尉の方が詳しいだろ。なあ」

「え、は! えっと、日本人と言いますか、武士にとって嫌われてるということですね。椿の花はガクごと落ちるので、その様子が首が落ちるように見えると」

「なるほどね。でも、私からするとあれってむしろ綺麗だと思うのよ。ねえ、美果」

「ええっ!」

 

 いやいや! 私だって日本人だし。早也佳さんの言うことも分かるんだけど。なにが。否定できないんだけど。

 

「えっと、それはどういう」

「なんで? あなたたち思わないの? 咲彩なら分かるかしら」

「言いたいことは分かりますが」

「でしょー。椿の花がさ、ガクごと落ちるって、凄くない? 枯れても尚美しさを保つって感じで」

 

 あー、なるほどー。なるほど?

 日本人的にはあんまり理解しにくいところもあるけど。

 

「で、椿がなんだよ」

「中佐、気が早すぎますわ。せっかく焦らしてますのに」

「俺ぁ焦らされるのも好きだがよ」

「いい加減にしないか。で、大尉はアイディアを持っているというのかね」

「部隊名称。CAMELLIA」

「カメリア?」

「そう、カメリア。日本語で椿よ。それを何とか略称にしてみたわ。気になるでしょ? 中佐」

「そうだな。俺にも分かるように言ってくれよ」

「Committee of Assistant under brigadier general Make Everyone's Life Longer Into Abroad. 准将直轄の秘書官団が、海外の全人類の人生を伸ばす。ってね」

「おいおい日本はどうすんだよ」

「やって当然のことまで書く必要はないと思うのよ。言葉になってることだけが全てだと思っちゃダメよ。文章外のことこそが大事なのよ」

「憲法みたいですね」

「早也佳さん?」

「イギリスの憲法って、日本みたいに文章がないのよ。それまでの慣習が大事だって。でも書いてないからやっていいだろってならないの。今までの慣習を壊すのかって言われちゃうから」

「なるほどー」

「ってなわけで、私たちはこれからCAMELLIA」ってことで。Are you OK?」

 

 クリスタさんの口上に否定する人は居なかった。私たちはカメリアになった。

 椿の様に、死してなお可憐に。誇れるように。

 

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