磁奇界廻   作:H-13

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長編告知風味


磁奇界廻

「ふぁぁぁ〜、良い子は寝る時間だぞ全く。呼び出しておいて待機だと?」

 

「ゲエエエッ、そう焦るな直己、ほれ、酒でも飲まんか。」

 

「お断りだ。平日も平日明日も講義があるんだぞ」

 

「ブハハハハ!大学の助教も大変よな!!」

 

 

10月31日水曜日20時14分頃

 

渋谷マークシティレストランアベニュー入り口。一升瓶片手にラッパ飲みをし、飲んだくれにしか見えぬジジイとカッチリスーツを纏い小脇に物々しいヘルメットを抱えた偉丈夫。釘崎と真希が遠目に見る中周囲を気にせず話し込んでいる男が二人。

 

第二十六代禪院家当主特別一級術師「禪院直毘人」

 

禪院家次期当主筆頭特級術師「禪院直己」

 

 

都内の某大学にて物理学の助教授でもあり、国家転覆を為せると判断されたが故に総監部から特級指定を受けた禪院家最高戦力と七十を過ぎたにも関わらず衰えぬ肉体と淀まぬ呪力の冴えを見せる現禪院家当主の組み合わせ。

 

直己が東京に出て来てから正月にしか合わなかった二人がこんな場所に来ているのは紛れも無く金の為である。

 

五条悟単騎での渋谷平定の手伝い。直毘人と講義終わりの直己には多額の報酬が積まれており二人合わせれば指九本分程度の桁が積まれるだろう。

 

「真希先輩、あの人は…」

 

「禪院直己。そこで飲んだくれてるジジイの長男でバカ目隠しと同じ特級術師。今は  大で色々やってるみたいだな」

 

「へ〜」

 

補助監督の新田明も加えた5人は帳の外で待機となっている。

 

特級の突拍子の無さ、突出した強さを知っている直毘人、自身も5人しか居ない特級呪術師の一人である直人は五条悟一人で平定は可能だろうと分かりきったことだと緊張感の欠けらも無い。

 

その万が一もあれば────、面白いことになる。

 

 

 

 

 

 

10月31日水曜日21時22分

 

改造人間が人間を襲い始める。4人は帳の中へ。新田明は他の補助監督と連携を取るために帳外に残る。

 

「今更コイツらは何をしている?」

 

「あのツギハギが命令したんだろ」

 

「だから、何故今だ。意味が無いものならば最初から命令していれば良いことだ。」

 

鉄球一発で容易に死ぬ4級と3級レベルの改造人間。5.6体を瞬時に殺し、掌の上に2つの鉄球をくるくると浮かせてはいるもののヘルメットも付けず、なんの色も顔には浮かんでいない。

 

「興味も無いが、煩いのは事実か」

 

大学の助教授の椅子も自らの術式理解を深める為に座っているに過ぎない。非術師に何ら興味は無いがこうも改造人間の声と襲われている者の悲鳴が耳に響いてはゆっくりと探索も出来ない。

 

何処からともなく黒い砂が集まり、鉄球と成る。計3つ、内二つは若干血の滴るモノ。

 

指をパチンと鳴らすだけで三方に散りながら改造人間の頭だけを的確に居抜き、10秒足らずで周囲に静寂を取り戻す。

 

『磁界操術』

 

その力は文字通りの効果を表す。『磁鉄操術』と最初名付けられた術式は術者の成長と共に成長し、彼の許嫁と腹の子が死んだ時に膨張して華が開いた。

 

とある事件を元に総監部から下された特別一級術者への特級指定。世界を壊しうる力を示した直己に与えられたのは当然であり一部では秘匿死刑すら厭わない意見も出た。

 

直己が禪院家次期当主であること、また文字通り地球自体を壊されては堪らないとこの意見は黙殺され、提案した者は闇に葬られることとなる。

 

 

10月31日水曜日─時─分

 

「五条さんが封印されました。」

 

七海建人が、禪院班と合流した。

 

「フフ、狐に掴まされた様な。五条悟が封印とは」

 

「夏油?去年死んだって話だっただろうに」

 

「此の儘ソレを肴に一杯…」

 

「やる気ねェなら帰れジジイ」

 

「カカッ、ソレを言うならお前の方だろう。なぁ七海一級術師?」

 

「…ええ、釘崎さんにも言いましたが私の実力でも危うい。真希さんには荷が重い。」

 

 

 

 

 

 

 

「ぶ─────...!ぶーー!!」

 

 

 

 

 

 

予測終息時間不明。重傷者死亡者─────未定。本来此処で死ぬはずであった者も、死なないはずであった者も。どう転ぶかはだれにも分からない。

 

 

『磁界王』禪院直己の介入は因果を壊し、五条悟の居ない地球の均衡を崩す。

 

混沌が巻き起こるのは必然。それが世界の分岐に繋がるか、はたまた世界軸が収束するか。

 

呪いの世界。救いは一欠片。後悔のある死を目指し渦の中へ身を投じよ。


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