冥界人アルマの楽しい冥界人生   作:レイサン

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描写する事が少なすぎてだいぶ話の展開が早くなってしまった。


冥界伝説編
アルマの冒険がはじまる


《冥界》

それは死後の世界。

冥界の神《ハーデウス》が管理する世界であり、命を落とした者が行き着く先であり、死者の魂を導く《死神》が住む場所でもある。

 

しかし、死神や冥界神とは別に死後の世界である冥界で生まれ育った種族、《冥界人》がいることは世間ではあまり知られていない。

 

この物語は、そんな冥界の少女の冒険の物語である。

 

─────────────────────

 

「……なんだこのクッサいナレーションは。もっとほかに面白いアニメやってないのか?」

 

たった今、冥界人が主役のアニメの冒頭シーンを見てテレビの電源を切った少女の名はアルマ。

彼女が正真正銘この物語の主人公だ。

 

「はぁぁぁぁぁぁクッソ退屈だなぁ冥界は。冥界人は死なないからって人口が無限に増えるけど、その代わり数年に一度だけ2〜3人しか生まれない。そのタイミングを逃したせいで今年もぼっち生活だよちきしょー。てか何で私の家がこんなクソ田舎なんだよ。出会いが無いんだよ出会いが。」

 

冥界人は数年に一度だけ、初めから成熟した姿で生まれ、基本的に歳はとらず髪型等も変わらない。

アルマはピンクの髪にお団子ヘアとハート型のアホ毛が特徴的な少女だ。

基本的に黒いフリフリした服を来ており、冥界ではまれに見かける美人顔だが、生者の世界の基準で見ればその顔立ちはとてもじゃないが人間とは思えない絶世の美少女である。

 

「あー退屈するわぁ。何か刺激欲しい!」

 

『では私のお願いを聞いてもらえるかな?』

 

「ファッ!?誰!?」

 

『おやおや、忘れてしまったのかい?私だよ私、ハーデウスだよ!』

 

「あー冥界神ハーデウスだっけ?」

 

『反応薄いね君。まぁそんな事は今はどうでも良くて、私のお願いを聞いてもらえないかなぁ〜って事なんだけどいいかな?』

 

「まぁ暇してたからいいけど、何?」

 

『この冥界を救ってほしい。』

 

「急にシリアス展開始まるやん。どしたん?話聞こうか?」

 

『これはつい最近の出来事なのだが、現世と冥界を繋ぐヘブンズタワーの頂上に、何者かがおぞましい魔物を誕生させたのだ。』

 

「恐ろしい魔物?てかヘブンズタワーって中央都市ハーデウスの観光名所だよね?」

 

『その通り。そしてその頂上に生み出された強大な力を持つ魔物を、私は邪神ガイアークと名付けた。』

 

「ガイアーク…害悪って事?安直だなぁ〜。で、私にその邪神を倒せと?」

 

『まぁ可能であればそうしてほしい所だね。』

 

「無茶言うなぁ〜。ほら私のこの真っ赤で光のない瞳を見てみなよ?とても邪神に勝てるような存在じゃないよ?か弱い乙女にそんな仕事させるとか神として恥ずかしくないんか?」

 

『うむ、確かに可能であれば私がガイアークを止めるべきだろうね。しかし、私はガイアークがヘブンズタワーを通過して現世に出る事を防がなくてはいけない。そのバリアーの維持のために神殿を出る訳には行かないのさ。』

 

「サボりじゃないんだね。」

 

『そういうわけだからさ、この件君に任せても構わないかな?キラッ!』

 

「顔見えない状態でキラッとか言っても分からんのだが。てか危険じゃないの?」

 

『心配しなくても大丈夫さ。君には魂に干渉する能力がある。普通の生き物に対しては精々魂の状態を観察する程度だが、魔物に対しては魂を直接攻撃できる強力な能力だ。』

 

「わたしの能力そんなヤバい能力だったのか。」

 

『それに、道中には何人かの協力者がいるはずだ。彼らの力を借りれば、直接的な撃破は難しくても撃破の手がかりは見つけられるかもしれない。そもそも君たち冥界人は死の概念がないから実質不死身、恐れることは無いだろう?』

 

「死ななくても痛いもんは痛いんだよなぁ。まぁ暇してたから引き受けてあげるけどさ。」

 

 

『素晴らしい!!まずは転移ゲート広場を目指してくれ。あの場所なら各地に転移したり店で道具を揃えられるだろうからね。』

 

「私金持ってないんだけど。」

 

『道中にいる魔物を倒せばキラキラと輝く魔力結晶が手に入るはずだ。それを売ってお金にするといい。』

 

「RPGゲームみたいな都合のいい世界観〜。ちょっと楽しみになってきたかもしれん。いっぱい稼いでスマホ買うぞ〜。」

 

そんなこんなでアルマは部屋着から外着に着替えて家を出た。

家と言っても独特の色合いの岩が地面から盛り上がってできた空洞にドアがついただけの外見である。

内装はテレビに本棚にベッドにタンスにソファーにぬいぐるみに……とにかく色々ある。

 

家を出ると道端にはなんなのかよく分からない結晶が生えていたり、なんなのかよく分からない触手がうねっている。

昔からこんな様子なので特に変だとは思わない。

 

しばらく歩くとコウモリが飛んできた。

見た目は普通のコウモリでは無いが、本人が『コウモリィィィィィィ!!』と叫びながら飛んでいるのでおそらくコウモリなのだろう。

 

「あれって多分魔物だよね。ちょっと試してみるか。」

 

他人の魂に干渉するアルマの能力。

それを利用して魂を直接破壊しようとするが、あまり効いていない様子。

 

「ちょっと弱らせてからのほうが良いかな?とう!」

 

拳で抵抗した結果、コウモリはアルマの能力に関係なく物理的に死んだ。

 

「え、弱。てか断末魔のコウモリィィィィィィ!がクッソうるさいんだか?」

 

その後もやたらヌチョヌチョゴポゴポと音を立てながらよってくるスライムを足で踏み潰したりしたが、しばらく歩くと何やら人の声が聞こえてきた。

 

「くっそ!なんだコイツ固すぎんだろ!俺の爪で何回も切られてるのにまだ立ち上がるか!」

 

様子を見てみると、どうやら冥界人が魔物と戦っているようだ。

魔物は既にボロボロだが、何度もしぶとく立ち上がってきているらしい。

 

「よし!私の出番だな!くらえソウルクラッシュ!」

 

筋肉質で大柄な魔物が黒いモヤに包まれると、少ししてモヤが晴れた頃には既に心臓が止まっていた。

 

「な、なんだ!?毒攻撃か!?」

 

「私だよ私、アルマだよ!」

 

「アルマ…あーそういえば俺と同時期に生まれた女の子にそんな名前のがいた気がするぞ!」

 

「やっぱりギリルだったか。あんたが冥界神が言ってた協力者?」

 

「冥界神?冥界神様に会ったのか?」

 

「いや、テレパシーで声かけられただけ。てかその反応だと知らない感じだね。まぁあんたの事だから人助けしたいとかそんな理由でしょ?」

 

「すご!特に仲良い訳でも無いのによくわかったな。」

 

「そりゃ噂は耳にしてたから……公園の掃除のボランティア活動で有名だって。」

 

冥界人ギリル。

彼はアルマと同世代の冥界人であり、とても優しい男だ。

鋭い爪と四つある目が不気味なうえににやけ顔が邪悪なため誤解されやすいという欠点はあるが、爪を使った強力な攻撃と持ち前の人柄の良さで皆から頼りにされている。

 

「で、アルマは何しに来たんだ?」

 

「冥界神に頼まれて邪神ガイアークについて調べろって。手伝ってくれない?」

 

「これまた急だな。まぁ今助けられた恩もあるからな。分かった、ついて行くよ。」

 

ギリルが仲間になった!

 

「なんか今ファンファーレ流れなかったか?」

 

『お気になさらず〜。』

 

「仲間が増える度に演奏する気か?おのれ冥界神め!」

 

とりあえず仲間も増えて度は盛り上がりそうな雰囲気。

でも周りの景色は青いような緑のような変な色の岩の洞窟が続いている。

おそらくアルマの家から転移ゲート広場まではずっとこんな調子だろう。

 

それでも奥へと進んでいくと、こんどはゴーストが道をさまよい始めた。

幸いアルマのソウルクラッシュがあれば驚異では無いので何とか先へ進むことができた。

 

すると今度ははらぺこゾンビが三体も現れた。

 

「ゾンビか、珍しいな。なんたって冥界は死者の世界だから、中途半端に死んでるゾンビはめったにいないはずだ。」

 

「てかどうすんの?2対3じゃ数的不利だよ。」

 

何とか応戦していたが、やはり三体を一気に攻撃しないと邪魔が入って上手く戦えそうにない。

 

「やっぱ俺のエアカッターだけじゃ範囲攻撃としては弱いか?でもどうすれば……」

 

「皆さん大丈夫ですか!?下がっていてください!」

 

「えっ誰?」

 

「私は冥界神様からお二人に協力してあげてほしいと依頼を受けたソローと言うものです!あ、泣いてるのは体質なのでお気になさらず!」

 

そう言うとソローは手に持っていた杖から大量の水を放出してゾンビを攻撃した。

ゾンビが勢いよく吹き出した水で体制を崩したので、その隙をついてギリルとアルマがゾンビにトドメを指した。

 

「いや〜助かったわ〜。ソローだっけ?なんで泣いてんの?」

 

「ですからこれは体質でして、いやまぁ安心したからいつもより多めに出てますけど。」

 

彼女はソロー。

生まれつき涙が出続ける体質らしい。

青い髪の毛とメガネが特徴的な女性だ。

ちなみに来ている服はセクシーなセーターっぽいデザインだが露出は控えめである。

 

「涙目の魔女ソローか。確かに集団相手なら心強い見方だな。さすが冥界神様は気が利くな。」

 

ソローが仲間になった!

 

「だからそのファンファーレやめろや。」

 

そこの後は宝箱に擬態したミミックに噛み付かれたり、ミノタウロスに襲われて膝を擦りむいたりもした。

そしてようやく転移ゲート広場が見えてきた。

 

「ふぃ〜やっと見えてきたぜ。アルマは疲れてないのか?」

 

「は?全然疲れてないが?むしろ走れるが?」

 

「それは強がりなのか本気なのか、どっちにしても精神的には問題なさそうだな。」

 

「おや?入口前に誰かいらっしゃいますよ?」

 

「やっと来たか。私の名前はペイニー。よろしく。」

 

「え、あぁ、どうもこちらこそ。」

 

「えっとねぇ、私は君たちと一緒に行動して怪我を治してあげるように神様から頼まれたんだよね。一応医者だからね。」

 

「随分とまぁ可愛らしい医者だねぇ。ギリルはハーレム状態でウハウハだな。」

 

「ん?そうか?」

 

「リアクション薄いなぁ。」

 

彼女はペイニー。

ハート模様の瞳と可愛いリボンが特徴の桃色ヘアーのお医者様。

彼女の注射からは特別な薬が出ていて、傷が素早く治るらしいが注射嫌いにはあまり好かれない。

 

「ピンク髪が被ってんだよなぁ。まぁ私の方が濃いピンクだから良いけどさ。」

 

ペイニーが仲間になった!

 

「もう突っ込まんぞ。」

 

『それは残念。』

 

そんなこんなで転移ゲート広場が見えてきた。

白くて綺麗なレンガ造りの建物に、いくつもの通路が繋がっている。

その通路の先には転移ゲートと呼ばれる魔法陣が設置されており、冥界の各地へと一瞬で移動できる。

中央には冥界神の神殿が存在し、冥界神ハーデウスに認められた一部の人間だけが、その中へ入ることができる。

神殿やゲートに用がある人々がついでに買い物を済ませるために、様々な店が立ち並んでいる事もこの広場の特徴と言えるだろう。

 

「さーてと、まずは冥界神に会うところからだね。」

 




本編未公開設定

冥界について詳しく
この小説における冥界とはあらゆる世界の死者が集まる場所であり、死者が別の世界で転生する準備をする場所でもある。

また、私がこれまで書いてきた小説は全て、この小説における冥界と繋がっており、過去に書いた小説の中での死者は全員この冥界を訪れている。
現世と冥界を自由に行き来することが出来る人物なら、実質的にあらゆる世界を行き来できるということです。
もっともそんな事が可能な人物は英雄レベルの人物だけですけどね。
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