過負荷廻戦   作:ヨぴぴ

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おお、サマーオイルよ。負けてしまうとは情けない。
夏油と甚爾のバトルはオールスキップです。


グッドルーザー

 夏油は崩れた薨星宮の建物の上で気を失っていた。

 

「術師なら死なねぇ程度に切った。式神使いなら殺したが、呪霊操術となるとな」

「お前の死後、取り込んでた呪霊がどうなるかはわからん。ここで面倒事は避けたい」

「親に恵まれたな。だがその恵まれたお前等が、呪術も使えない俺に負けたことを長生きしたけりゃ忘れるな」

 

『恵まれた、か。果たしてそれはどうかな?』

「⁉」

 

 死んだはずの球磨川が襲撃者の後ろから現れた。

 

「まじか」

 

『「大嘘憑き(オールフィクション)」!』

『僕の絶命をなかったことにした!』

 

「反転術式か?」

 

『おいおい、適当な事を言わないでくれよ』

『それじゃあまるで僕に才能でもあるみたいじゃないか』

『反転術式なんてプラスな才能、最低で最悪(マイナス)な僕にあるわけないだろ』

 

『僕はただ君のがんばりを、君が僕の頭を銃で撃ったという現実を』

『「なかったことにした」だけだ』

 

現実(すべて)虚構(なかったこと)にする。それが僕の術式だ』

 

(術式の開示による効果の底上げか、なら)

「そこで倒れてる呪霊操術のガキには言ったが、俺は天与呪縛で呪力も術式も無い‼」

 

 男は球磨川に向かって走り、脳天を二股に割けた両刃の剣で滅多刺しにし、球磨川は抗う暇もなしにまた死んだ。

 

「まあ変わりに透明人間みたいになったがな」

「お前の敗因は術式の開示をしたことと、俺の持ってる呪具に警戒してなかったk」

 

 ブスッ‼

 男の腹から大きなマイナス螺子が突き出てきた。

 

「なっ⁉」

 

『へえ、透明人間か、僕の天与呪縛と変わってほしいくらいだね』

『それに敗因だなんて、ダメじゃないか。そんなフラグ立てちゃ』

『勝負はまだ、これからでしょ?』

 

「ありえない。天逆鉾の効果は術式の強制解除だぞ。お前の術式がいくらインチキでも確実に殺したハズ」

 

『だから言っただろう?「大嘘憑き(オールフィクション)」僕の絶命をなかったことにした』

『あとごめんね。勝負はもう終わってる』

『「却本作り(ブックメーカー)」これで君は不完全(ぼく)完全(かんぜん)に同じになる』

 

「ああ、なんかもうどうでもいい」

「なんで俺はこんなくだらないプライドを...それはもう捨てたろ」

 

(いつもなら星奬体を殺した時点でとんずらこいた)

(だが、否定したくなった。捻じ伏せてみたくなった)

(俺を否定した禅院家、呪術界、その頂点である五条のガキを倒して調子ずいちまった)

(自分を肯定したが故に、いつもの自分を曲げちまった)

 

()()れることだよ。透明人間(とうめいにんげん)ちゃん』

 

不条理(ふじょうり)を、理不尽(りふじん)を』

噓泣(うそな)きを、()(わけ)を』

『いかがわしさを、インチキを』

堕落(だらく)を、混雑(こんざつ)を』

偽善(ぎぜん)を、偽悪(ぎあく)を』

不幸(ふしあわ)せを、不都合(ふつごう)を』

冤罪(えんざい)を、(なが)(だま)を』

見苦(みぐる)しさを、みっともなさを』

風評(ふうひょう)を、密告(みっこく)を』

嫉妬(しっと)を、格差(かくさ)を』

裏切(うらぎ)りを、虐待(ぎゃくたい)を』

()()えを、二次被害(にじひがい)を』

 

(いと)しい恋人(こいびと)のように()()れることだ』

『そうすればきっと、(ぼく)みたいになれるよ』

 

家族(あいつら)のとこに帰るか」

 

『そうだ、それでいい』

 

 2人は互いに背を向け、それぞれの帰り道についた。

 

 

『なっ‼君、家族いたの⁉』

『はぁ』

『また、勝てなかった』

 




 天逆鉾を使って球磨川を殺したのに大嘘憑きで生き返れた理由は、甚爾が殺したあとに天逆鉾を頭から抜いたからです。抜かずにそのまま放置で殺せたかもしれなかったですね。まあその場合天逆鉾はもう使えなくなってしまうんですが。
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