過負荷廻戦   作:ヨぴぴ

7 / 8
 この一話で過去編は終わりです。


玉折

 五条は目を覚ましてすぐ自分が最強へと成ったことに気づいた。

 

「ごめん天内、傑、球磨川。俺はお前らのことは気にしてない。今は唯々この世界が心地いい」

「天上天下唯我独尊」

 

「ああ、あいつは今どこにいる?」

 

 五条はすさまじい速度で薨星宮まで突っ走り状況を確認した。

 

「天内、そうか。」

 

 五条は斃れた天内の死体を抱え、崩れた薨星宮の地下へと向かった。

 

「あいつはもういないのか?」

「さ、とる?」

 

 そこには倒れた夏油が目を覚ましていた。

 

「起きたか?傑。早かったな」

 

「あ、あまないは?」

 

「救えなかった」

 

「球磨川はどうなった?」

 

「りこちゃんと一緒に、あたまを撃たれたはずだが、」

 

「天内の周りには居なかった。あいつも反転を使えたのか?」

 

 それだけ聞くと夏油は再び倒れ、気を失った。

 

「帰ろう」

 

 五条は倒れた夏油と天内の遺体を担ぎ、高専まで戻った。

 

 

 

 長い時が経った。暑い夏の日に夏油は五条と家入のいつもの三人で話していた。

 

「術式対象の自動化か」

 

「ああ、これなら最小限のリソースで無下限をほぼ出しっぱにできる」

 

「出しっぱなんて脳が焼き切れるよ」

 

「自己保管の範疇で反転術式を回し続ける。後の課題は~

 

(あの日、悟は最強に成り、球磨川は消えた。上層部は死んだと考えてるそうだが、

 

「傑?ちょっと休もう?大丈夫か?」

 

(悟は任務もすべて一人でこなす。硝子はもともと危険な任務には就いてこなかった。必然的に一人で過ごすことが増えた)

 

「大丈夫。ただの夏バテさ」

 

「そうめん食い過ぎたぁ?」

 

 

 

 また時が過ぎた。夏油はシャワー室で一人考えていた。

 

(その夏は忙しかった。昨年頻発した災害の影響もあったのだろう。蛆のように呪霊が沸いた。)

 

(払う、取り込む、その繰り返し)

(払う、取り込む)

 

(皆は知らない呪霊の味。吐瀉物を処理した雑巾を丸呑みしているような)

(なんのために。)

 

(払う、取り込む)

 

(あの日から自分を騙している。理子ちゃんの死は仕方のなかったことだと)

(あんなことは術師界隈ではありふれたことだと。分かったうえで、私は術師として人々を救う選択をしてきたハズだと)

 

(ブレるな、術師としての責任を果たせ)

 

 

「猿め。」

 

 夏油がそうつぶやくと扉の向かうから声が聞こえてきた。

 

「あっ夏油さん!」

 

「灰原?」

 

 2年の夏油を慕っている後輩である1年の灰原が顔をだした。2人は話しながら自販機の前にあるベンチに座った。

 

「なにか飲むかい?」

 

「えぇ悪いですよぉ~」

「コーラで」

 

「ふふ」

 

「明日の任務、結構遠出なんですよ」

 

「お土産、頼んだよ」

 

「了解です!甘いのと辛いのどっちがいいですか?」

 

「悟も食べるかもしれないから甘いので」

 

 

「灰原、呪術師やっていけそうかい?」

 

「そうですね。自分はあまり物事を深く考えないので」

「自分にできることを精一杯頑張るのは気持ちがいいです!」

 

「そうか」

(そうだな)

 

 2人が談笑していると、奥から長身の女性が歩いてきた。

 

「君が、夏油くん?どんな女がタイプかな?ん?」

 

「どちらさまですか?」

 

「自分はたくさん食べる子がタイプ好きです!」

 

「ほう」

 

 話していると灰原は席を外し、夏油は謎の女性を2人になった。

 

「で、夏油くんは答えてくれないのかい?」

 

「まずはあなたが答えてくださいよ。どちらさま?」

 

「特級術師九十九由紀って言えば分かるかな?」

 

「あなたがあの、特級の癖にろくに任務も受けずに海外をプラプラしてるろくでなしの九十九由紀さん?」

 

 

「わたし、高専きらーい」

「冗談、でも高専と方針が合ってないのはほんと。ここの人たちがやってるのは対症療法。私は原因療法がしたい。」

 

「原因療法?」

 

「呪霊を狩るんじゃなくて、呪霊の生まれない世界を作ろうよってこと」

 

「⁉」

 

「少し授業しようか」

「そもそも、呪霊がどこから生まれるか、知ってるか?」

 

「人間から漏出した呪力が織りのように積み重なっt

 

「そこまで分かっていたらいい。それじゃあひとつヒントだ。術師からは呪霊は生まれない、もちろん死後呪いに転ずるのを除いてね」

「さあ呪霊の生まれない世界をどう作ると思う?」

 

「っなら!」

 

「ああ、やり方は二つだ。全人類から呪力をなくすか、全人類が術師になるか、だ」

 

「いy『もう一つ、非術師を皆殺しにすればいい』

『なんてね?』

 

 いつの間にか夏油の隣に球磨川が座っていた。

 

『あっゴメン。あの時に"気配"を"なかったこと"にしたのを忘れていたよ』

 

「球磨川くん!生きてたのかい⁉今までどこに?」

 

『僕はクラスメイトや後輩からは"風"と呼ばれて慕われていてね』

『風は囚われないから風だ。』

 

「球磨川くん、言いにくいけど君はあの任務で殉職した思われ、高専を除名されているよ」

 

『なっ‼』

『まあ僕はもともと九十九ちゃんに誘われて高専に来ただしいいけど』

 

『はあ、除名かあ。いやどうしようかなぁ。代わりの高校とか僕ないしなぁ』

『とりあえずまたオジサンのとこ戻ろうかな』

 

「って帰るのかい!何しに来たんだか?あの子」

「まあ夏油くん、あの子の言っていたコト。あれはアリだ」

 

「⁉」

 

「というか、たぶんそれが一番イージーだ。非術師を間引き、生存戦略として術師に適応してもらう。要は進化を促す。恐怖や危機感でね」

「夏油くんはどう思う?キミ、非術師嫌いだろ?」

 

「分からないんです。非術師を見下す自分、それを否定する自分。どちらが本音か分からない」

 

「どちらも本音じゃない?まだその段階じゃない。非術師を見下すキミ、それを否定するキミ。これらはただの思考された可能性だ。どちらを本音にするのかは、キミがこれから選択するんだよ」

 

 そう言って九十九は高専から去っていった。

「あっタイプ聞いてねぇ」

 

 その次の日のことだった。灰原が任務で死んだのは。

 




 はい。天内と灰原には死んでもらいました。別に作者はハッピーエンドを目指してるってわけではないので。
 ちなみに天内を蘇らせないのには理由がありまして、ルートを考えるが面倒だっていうのもそうなんですが、因果についてですね。
 星漿体と六眼、天元を巡る因果は伏黒パパが破壊しました。その結果天内は死んでしまいました。それで作者の中で因果の破壊=天内の死と考えていて、天内を蘇らせるには壊された因果を元に戻さないといけないと考えています。
 それなら別に大嘘憑きで戻せばいいと思うかもしれないんですが、作者的には球磨川くんは敗北するという因果に囚われています。伏黒パパとは違いイレギュラーですらない球磨川くんが伏黒パパと同じようにできるわけないと思ってます。
 決して天内生きてるルートを書くのがめんどくさいとかではないですよ。もちろん。

 あと自分は基本的に今までアンケートとった時も基本的なルートを考えていました。同じように今回のアンケートもルートを考えてはいます。割とバッドエンドもあるので慎重とは言いませんが、考えて投票しましょうね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。