かな建クエストっ!   作:たかしクランベリー   

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3話・てるてる坊主つくろー!

 

沙花叉たちかな建を乗せた

馬車は街を駆ける。

 

「うわぁ〜、

綺麗だねAZKi ちゃん。」

「社長、

あまり顔は出さない方が……」

 

「フッ、興味津々ってヤツだな。」

 

「よくもまぁーそんな喜べるっスね。

感動すんの、降りてからでも

良くないっすか。」

 

holoXの連中があちこち

現実離れした場所へ

連れてく所為で、

逆に安心感すら覚える。

 

キャリッジの窓から見えるのは、

ビクトリア朝を想起させる

煉瓦造りのお洒落な街並みだ。

 

何も考えず見る分には、

時代トリップや異世界トリップの

気分を満喫できる……が。

 

しかし、それよりも

気になることがあった。

 

車道……というべきだろうか。

 

数多のストラテジーゲームに

手を出したからこそ理解できる

違和感が、そこにはあった。

 

(交通の整備レベルが、

あまりにも高い……!!)

 

地面にペイントされた

異国独自の交通標識。

歩行者と馬車の道を隔てる

石膏製のガードレール。

 

……にしても不思議だな。

通常の石膏は、こんこよ曰く

〝耐水性が弱い物質〟らしい。

 

故に。

普通に設計するのなら、

金属類を用いた方が

強度も耐水性も遥かに優れている。

 

耐水性や強度を向上させる

異世界由来の素材を

混合し活用したとて。

その分の加工や人件費が

金属加工より

効率的とは思えない。

 

となると、 

当国に関する幾つかの

可能性が浮かび上がる。

 

鉱山の採掘事業に

なんらかの妨害が起き、

公共施設の整備に割く金属が

不足している……等か。

 

各国の領有権問題、

もしくは対処困難な魔物の居座り。

どちらの問題にせよ、

これを皮切りにして

事業展開していくのも悪くないな。

 

『ヒーンッ!』

 

タタッ。

 

(え、馬車が止まった?)

 

「ちょっ、何々なにっ……!」

 

思わず顔をキャリッジから出して

周囲を見渡す。

 

「嘘っ……これって……!!」

 

久々に、心がワクワクした。

 

「おい沙花叉ァア!

AZKiちゃんの話

聞いて無かったのかァ!」

 

急に真面目ぶる勘違い天使に

従うつもりは無いが、

外に出た身体を座席に戻す。

 

「そうだ沙花叉、それでいい。」

「うっす。」

 

とりま外面だけ良くしとこ。

 

にしても、オモロいなぁ……。

 

交差点はあるだろうと予想は

していたが、あったとしても

典型的なラウンドアバウト式。

 

或いは、

ロータリー交差点のような

設計が成されてると考えていた。

 

マジで、この〝発想〟は無かった。

 

(まさか……『櫓』に

人を数人立てて

手信号するなんてね。)

 

即席なんちゃって

『信号機』ってワケか。  

 

イイよイイよ。

こういうのを

待ってたんだよ沙花叉は。

 

「すげぇ、あの沙花叉が

柄にもなく反省しまくってるよ……

明日雨でも降んのかな。

AZKiちゃんはどう思う?」

 

「んー、多分勘違いじゃないかな。

クロヱちゃんって

意外と分かりづらい子だし。」

 

「そーかなー。

僕にはめっちゃ素直で、

懐いた飼い犬のように

甘えまくるけど。」

 

「あはは……

他のholoXの面々みたく、

分かり易かったら

イイんだけどね。」

 

ヤバい。

ウチの社長の勘違いが

とどまることを知らない。

 

あの大ベテランAZKi先輩が

慣れない愛想笑いで

無難な返事返すレベルだぞ。

 

ってそうじゃ無い。

 

注目すべきは『櫓』の用途だ。

 

ことストラテジーゲームに

於いては、

遠方から迫る敵襲の観測。報告。

友軍への迅速な指示伝達として

用いられる。

 

謂わば、防護柵や倉庫と

同レベルの重要施設だ。

下手したら、倉庫よりも優先的に

建設した方がいいまである。

 

それをこうも

平和な用途に回せるとなると、

国自体の経済的豊かさや余裕。

 

治安の良さも窺えるというモノだ。

 

(うん。かな建の

スタートアップの土台としては、

申し分ないくらい恵まれてる。

後は…………)

 

パカラッ……タッ。

 

蹄の足音も止まり、

マルフォイ公爵が襟を整えた。

 

「着いたぞ貴様ら、

一先ず降りてくれ。」

 

色々と考えを巡らせてたからか、

あっという間に

目的地へ着いたらしい。

 

指示通りみんなで地上へ降りると、

公立学校の学舎くらいの

大きさをした謎施設が眼前にある。

 

「凄いよAZKiちゃん!

これなんだろう!?」

「うーん。

私の予想でしかないけど……」

 

その答え合わせは、

公爵によって

回答よりも先に行われた。

 

「――『マルチギルド』だ。

貴様らの世界では、

市役所だの区役所だの

呼ばれているそうだな。」

 

まぁ、いきなり転生者なんていう

身元不明の輩が現れたら……

案内されて当然の場所よな。

 

「マルチギルド? 

つまりボクらは、

ここで身分証を

発行しないといけないって事?」

 

「あぁ。貴様らには、

それに準ずる必要な

手続きを踏んでもらう。

一度『ギルド手帳』が発行されれば、

貴様らも晴れて

この世界の住人として認められる。

長時間の手続きではあるが、

どうか受け入れてくれ。」

 

んな大事なモノ。

頼まれなくても、作らな損っしょ。

 

「ほーい。了解でーす。」

「おい沙花叉。

そのノリで事務員困惑させんなよ。

変に長引いて夜でも明けたら、

承知しないからな。」

 

「あーはいはい。

分かってますってかなた先輩。

ささ。行きましょ行きましょ。」

 

「ほんとに分かってんだろうな

沙花叉……。」

「もー、クロヱちゃんったら。」

 

謎に親御ムーブする2人を

置いて、沙花叉は一足先に

建物内へと入り。手続きを始めた。

 

トンっ。

 

スラスラと記入を進めていると、

誰かが沙花叉の肩に手を置いた。

 

この野生味ある掴み方……

かなた先輩だ。

 

「ねぇ沙花叉。そんな字でさぁ、

本気で〝通る〟と思ってんの?」

「え? 普通に読めるくない。」

 

「残念ながら読めんのは

オメーとこよりだけなんだわ。

未遂ではあるけど、

油断も隙もあったモンじゃないね。」

 

やれやれといった風に

横へ移動し、書類記入を代わりに

やってくれた。

 

「控えを何枚か貰っといて

良かったな。

……よし、こんな感じでいくか。」

 

すご。

あまり認めたくはないが、

やれば出来んじゃんこの天使――

 

って待てよ。

 

「何当然のように沙花叉の

書類済ませて提出してんの!?

個人情報バラした

覚えないんだけどぉ!?」

 

ここぞとばかりの

ドヤ顔をお披露目し、

かなた先輩は自慢した。

 

「いいかい沙花叉。

社長っていうのはね。

社員のことを

深く知ってなきゃいけないんだ。

……ま、詳しくはラプラスに

聴いてごらんよ。」

 

訊きたかねーよ。

 

あぁもう、マジこの天使こえーわ。

 

油断も隙も無いのは

どっちだっつーの。

 

それに比べてAZKi先輩は……

 

「お疲れ様クロヱちゃん。

丁度そこの

待機ソファーが空いたし、

審査や発行が済むまでの間、

みんなで休もう。」

 

っぱ完璧ですわ。

羽とか輪っかとな無いけど、

本物の天使より断然天使適正高い。

 

「ナイスっすAZKi先輩!!」

「僕も労えよッ!」

 

そんなかんやで

かな建全員分の提出も済み。

 

ソファーで座っての

長い長い待機タイムとなった。

 

といっても、暇だ。

 

真面目ぶるつもりはないが、

これから発行される

『ギルド手帳』についての

マニュアル本らしきものを

発見したので、

暇つぶしがてら読んでみよう。

 

閲覧自由と貼られた

本棚に陳列してるし、

手に取っても大丈夫そうだ。

 

「どうした沙花叉!?

頭でも打ったか?」

「ちょっと黙ってもらえます?」

 

「ヤバいよAZKiちゃん。

今日マジで雨なんじゃないか。」

「そっか。じゃあ一緒に

てるてる坊主でも作る?」

「いいねそれ!!」

 

読み終わるまでに

20個くらい出来てそうだな。

 

こちらとしては

そんなくだらない事で

大人しくなってくれる分、

正直助かる。

 

頼むぞAZKi先輩。

 

(さて、

沙花叉もちゃんと読んでみっか。)

 

ペラ……

 

【9ステップで覚える! ギルド手帳!!】

 

①ギルド手帳!

それは市民たちの身分を示す

必須アイテムだ。

肌身離さず持っていよう!

 

②人工精霊

『ケンティー』が宿ってるぞ!

 

『heyケンティー』と呼ぶと

マスターである貴方と対話する!

社会人1●目のケ●ティーは、

プレミア特典が付くぞ★

 

指示を出せば、

登録した〝手帳フレンド〟と

通話をすることもできる!

 

(それ。ほぼケータイじゃね?)

 

③インベントリ機能

 

インベントリの指示を

ケンティーにすると、

指定対象を手帳内に格納できる!

 

不思議な力で、重さは増えない★

 

但し、気をつけて!

存命中の生物は格納できない。

限度総重量は10Kg。

この2点には注意しよう。

 

パタッ。

 

(んー。

この3つだけ知ってりゃ、

今は充分じゃないかな。)

 

あと6つの機能は、

また暇になったら確認しよ。

 

「お、沙花叉。

本を閉じたって事は、

もう読むのに飽きたのか。

よし、じゃあてるてる坊主作り

手伝ってくれ。」

 

「え、ダル。

1人でやってくんない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





どうも、たかしクランベリーです。

ここ最近、マイナス値だった
執筆やる気ゲージが
ほんのちょっとプラス値にきました。

とはいえ
まだ本調子じゃないので、
不定期な更新になりそうです。

本日20:00〜と21:00から
配信されるホロライブの大型企画、
楽しんでいきましょう。
よろしくお願いします。

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