素人童貞無職が転生したら   作:うがー

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大変お待たせしました。


14.ヤマ場

1.

 

 病院の帰りに図書館に寄ったところ、またまたすずかちゃんと遭遇した。

 

「あ、すずかちゃんや!」

 

 はやては笑顔で話しかけた。

 

「はやてちゃん!」

 

 すずかちゃんも嬉しそうだ。二人は会わない間もメールでやり取りをして仲を深めていた。

 

 二人とも偶然会えたことに笑顔が溢れている。 

 

「すずかちゃん、こんにちは。今日も可愛いね」

 

 キラッ☆と擬音が出るくらい爽やかに、真っ白な歯を見せて挨拶をする。

 

 どうやらはやてから聞いたところ、すずかちゃんは僕のことを本に出てくる王子様にそっくりで、憧れているようだった。

 

 誠に罪作りな僕は、いたいけな少女の夢を壊さないように振る舞うのだ。子供の頃の初恋ほど美しいものはない。

 

「ええっ! こ、こんにちは、その、ありがとうございます……」

 

 顔を真っ赤にしたすずかちゃん。消え入りそうな声でお礼を言った。

 

 横にいるはやてはニヤニヤしている。この子は意外といい性格をしている。

 

「無駄にキリッとするな、気持ち悪い」

 

 今日は珍しく病院へと同行したシグナムが、僕の横腹を肘でつついて小さく言った。せっかくのキメ顔が気持ち悪いとはひどいなぁ。

 

 

 その後、僕とシグナムは壁に寄りかかり二人の様子を見守っていた。

 

 この間読んでいる本から昨今の政治にまで話が及んでいる。最近の小学生頭良スギィ!

 

 二人はやいのやいの言いながら盛り上がっていたが、今日はお泊り会をすることに急遽決まっていた。この突拍子のなさとフットワークの軽さは小学生らしい。何だか自分の子供のころを思い出して懐かしくなった。

 

 

2.

 

「冬やろ。大人数やろ。せやったら鍋パや!」

 

 テンションMAXになったはやては家へ帰るとすぐに、僕とシャマルを従えスーパーへ向かった。

 

「今日はわたしが鍋奉行やで!」

 

 人数の多い鍋は、出汁が減りやすい。出汁の継ぎ足しが簡単な水炊きがいいだろう。売ってある昆布つゆを流用すれば、味も安定しやすい。

 

 九州風ではなく関西風にすれば、はやても馴染みがある。

 

「お奉行様、人数が多そうなので水炊きを提案しやす」  

 

 僕は胸の前で揉み手をして陳情する。

 

「うむ、苦しゅうない。良きに計らえ」

 

 はやてもノッてくれる。僕は深く頭を下げた。

 

「へへー」

 

「何なのこの寸劇……」

 

 これがわからないのかよシャマル。これだから外人は……(人種差別)

 

 あらゆる肉をかごに入れていく。関西風では鶏、豚、牛肉、どれも入れるのである。

 

「おっとこれも忘れず」

 

 昆布ぽんずを三本入れる。ポン酢をひたひたにした肉をご飯にバウンドさせるのがうまいんだな、こ れ が。

 

 僕が必死に買い物をしている後ろから、はやてとシャマルの声がきこえてきた。

 

「最近、みんな家に寄り付かんくなったなぁ」

 

「はやてちゃん、すみません……」

 

「ええんよ、わたしは元々ひとりやったし。今は兄ちゃんが一緒にいてくれるから」

 

 小耳にはさんだその言葉に少し切なくなった。

 

 恐らく開催されない鍋パの事を考えると更に気が重くなった。

 

 

3.

 

「みんな帰ってこんなぁ。電話もつながらんし」

 

 僕とはやてはすずかちゃんを家に迎え、もてなしていた。

 

 だが、ヴォルケンズが帰ってくる気配は一向にない。

 

 はやては少し心配そうだ。

 

「ちょっと心当たりがある所を探してくるよ」

 

 もちろん帰ってこないことは知ってる。適当に時間を潰して家に戻ってくるつもりだ。

 

「はやてちゃん、今日は家に泊まる?」

 

 席を外していたすずかちゃんが戻ってきた。この事態を見て家に連絡してくれたようで、泊まるように手筈を整えてくれた。小学生なのに手際が良スギィ!

 

 はやては月村家の猫に興味津々だったので、そのままお世話になることになった。

 

「お兄さんも、一緒に来ませんか?」

 

 上目遣いですずかちゃんが見つめてくる。何となくチワワと見つめあうCMを思い出した。どうする? アイフル!

 

 しかし僕はNOといえる日本人、もといミッドチルダ人だ。

 

「僕はここで待つよ。女性しかいない家に、男が一晩やっかいになるわけにはいかないよ」

 

 僕は紳士だからね、さわやかな笑みを浮かべながら付け加える。

 

 変態という名の紳士です。

 

「それに、あいつらを迎えて説教してあげる人が必要だよ」

 

 はやてに向かって、腕まくりをして手を振り上げる。怒ってますのポーズだ。

 

 それに、恐らく今日やらなければいけないことがある。

 

「うん、わかった……」

 

 少し寂しそうにするはやて。

 

「友達とのお泊り、楽しまなきゃね」

 

「そう……やね」

 

 頭を撫でて僕がそう言うと、すずかちゃんの方をチラッと見て表情を緩めた。

 

「すずかちゃん、よろしくね」

 

「はいっ!」

 

 すずかちゃんも笑顔で答えてくれた。

 

 

4.

 

 お泊りの準備が終わると、まるで見計らったかのようにインターホンが押された。

 

「ノエルと申します。お迎えに上がりました」

 

 あ、忍さんとレズセックスしてたノエルさんじゃないか! おら(下半身が)ワクワク(意味深)してきたぞ!

 

 どう見ても人間にしか見えないけど、自動人形なんだよなぁ。

 

「何か……?」

 

 無遠慮に見つめてしまっていたせいか、不思議そうに問いかけられた。ノエルさんなのに表情がある。

 

 この世界はなのは時空なのに月村家に両親がいなかったりと、少し違っている。まぁ僕という存在がいる時点でよくわからない世界なのは間違いないので。ノエルさんも人間かもしれない。

 

「いえ、済みません。すぐに二人を呼んできます」

 

 ヤリチンの陽キャはここで「あまりに綺麗だったので」とか言えるのだろうけど、生憎と陰キャな僕はそんなことは言えない。

 

 逃げるように二人を呼びに家の中へ逃げた。

 

 

 

「それでは失礼いたします」

 

「よろしくお願いします」

 

 ノエルさんに挨拶をして車を見送った。子供たち二人はこちらの事を気にするそぶりもなく、車でキャッキャッウフフと盛り上がっていた。

 

 これなら大丈夫そうだな。安心した僕は家の中に戻った。

 

 

 家に入り片づけをしていると、玄関のドア越しに気配が現れた。

 

 ようやく来たか。

 

 僕にとっては、これからが本番のようだ。

 

 玄関に向かいドアを開けると、僕は笑顔で相手を出迎えた。

 

「やぁ、待っていたよ」

 

 全ヴォルケンリッターが泣いたあの時以来だ。僕のショーが始まる。

 

 

5.

 

 そこには仮面をつけた男がいた。背丈は僕より少し小さいぐらいで、黒い髪をしている。

 

 もちろん仮面を付けているため、顔は見えない。

 

 ご存じの通り猫先生です。

 

「グラス・ゴー、お前は「久しぶりだね」」

 

 相手の発言を遮って僕が言葉を被せる。

 

「君はリーゼアリアか、それともリーゼロッテかな?」

 

「な、何を……」

 

 目に見えて相手は動揺した。正体を見抜かれたためだ。僕が実際に彼女たちに会ったことは一度もなく、ましてや姿を変えているのに、だ。

 

「首尾は上々だよ。もうしばらくすると闇の書は完成する。このまま行けば計画通りだ」

 

 そのまま話を続ける。

 

「お前は何を知っている……」

 

 仮面の男は警戒した様子で、身構えた。

 

 僕は意に介さず、不思議そうな顔をしながら問いかける。

 

「まさか、グレアム提督からきいていないのかい?」

 

 グレアム提督の名前を出すと、更に混乱したのだろうか動きが止まった。

 

「少し待て」

 

 後ろを向き、無言の時間が流れる。おそらくグレアム提督にコンタクトをとっているのだろう。

 

『背中がお留守ですよ』と襲撃したいが、ややこしくなりそうなので我慢する。まだその時じゃない。

 

 交信が終わったのだろう、こちらを向いてゆっくりと言った。

 

「お前のことは、知らない」

 

 その言葉には少し戸惑いが混じっているように感じた。

 

 ここから、そうここからが演技力が試される。

 

「はははは!」

 

 僕は狂ったように笑い、手で自分の顔を隠す。少し俯き、指の隙間から目だけを出して相手を見つめた。

 

 こうしたほうが狂気ポイントが高く見えるよね。

 

「傑作だ! 彼は自分のしたことに耐えられず、自らの記憶を消したのか! しかし、よりにもよってその姿で僕の前に現れるとは、皮肉もすぎる!」

 

 本当にその姿は僕にとって、いや “グラス・ゴーにとって“ 嫌味以外の何者でもない。

 

 そして急に笑うことを止め、悲しそうな顔を作り、弱々しい声で訴えかけた。 

 

「本当に、僕のことがわからないのか? ロッテ、アリア、あんなに一緒にいたのに……」

 

 彼女はまじまじと僕の顔を見つめる。そうだ、僕の顔を見ろ、クロノによく似ている僕の顔を。

 

 数秒後だった。

 

 彼女は何かに気づいたように息をのみ、小さく声を絞り出した。

 

「まさか……!」

 

 そうです、僕がアカデミー賞 主演男優賞のグラスです。

 

 僕は表情を消し、呆然としている彼女の横に立った。そして肩に優しく手を置く。

 

 彼女の体は少し震えていた。

 

「もうじき彼女たちが帰ってくる。行ったほうがいい」

 

「あ、ああ」

 

 玄関のドアを開け、帰るように促す。

 

 大人しく従い、背をむけた彼女に声をかけた。

 

「グレアム提督に伝えてくれ。あなたが手を下せない場合は僕がデュランダルを使ってもいい、と」

 

 返事は返ってこなかった。

 

A'sが終わると数話の個別ルートに入ります。どのルートから見たいでしょうか?

  • 妹ルート
  • しゃま(?)ルート
  • ハラオウンルート
  • 教導隊(?)ルート
  • 正義の味方ルート(ガチシリアス)
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