素人童貞無職が転生したら   作:うがー

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6.罪悪感

1.

 そろそろ限界が近い。

 

「この間みたいに母さんって呼んでもいいのよ……?」

 

 何かというと、罪悪感が。

 

 シャマルは僕のことを息子と信じているせいで、世話焼きっぷりが凄い。何かにつけて構おうとするし、この間なんかはお風呂に一緒に入ってこようとした。

 

 完全に善意からきているものなので、尚更質が悪い。

 

 少しでも断ると、涙目になって「やっぱり私なんか母親に相応しくないわよね……」とか言っていじけてしまう。

 

 シャマルは湖の騎士としての役割上そう言う風に設定されているのか、元になった人物がそうだったのか分からないけれど、非常に愛情深い。離れていた時間を埋めようと、何とか僕と仲良くなろうとしてくれている。

 

 そして、天然な性格が純朴さのように感じ取れ、純粋な少女を騙しているようで胸が苦しくなってくる。

 

 それに四六時中一緒にいたがるので、エッチなお店にもいけない。外人の家族は距離感が近く、ボディータッチが多いのだ。実は、シャマルはシグナムと同じぐらいスタイルがいいので、非常にチンチンがイライラしてしまう。

 

 こんな金髪美人のお姉さんとか、AVではアビゲイル・ジョンソンぐらいしか見たことない。

 

 このままでは、おチンチンが破裂してしまう!!!!!!!!(石橋強 感)

 

 ちなみに、はやての前ではその事実を伏せているため少しマシになっているが、シャマルの僕への距離感の詰め方と、それに対する僕の困った様子を見て、シャマルが僕のことを好きなのではないかと、はやては勘違いしている。

 

 

 そういうわけで、はやてがザフィーラと病院に診察へ向かうのを見計らい、残りの三人を呼んで話をすることにした。 

 

「誠に申し訳ございませんでした……」

 

 人生で初の土下座は上手だったと思う。

 

 

2.

 

 嘘というものは、一度つくとそれを補うために更に嘘をつかないといけない。

 

 嘘を重ねると、ハリボテがどんどんと大きくなり、いつか身動きがとれなくなってしまう。

 

 嘘をつき続けられる人は才能がある人か、よっぽどの馬鹿のどちらかだ。そして、僕はそのどちらでもなかった。

 

 

「ひどい、ひどい」

 

 嘘を白状した僕に、涙目でポカポカと胸を叩いてくるが、その力は弱い。

 

「だって、ああでもしないとシグナムに殺されてたから……」

 

 見上げてくるシャマルに申し訳ない気持ちになり、口からでまかせが飛び出す。

 

「僕に両親はいないけど、シャマルのおかげで本当のお母さんが出来たみたいで嬉しかったよ」

 

 嘘です、こんなエッチなお母さんは、義母がいいです。

 

 どうでも良い情報だけど、今生は赤ん坊の頃に母親に捨てられた。ハイハイと同時に大人と同じような行動を取って、下手な愛想笑いを始める子供なんて残当である。自分が親でもそうする。

 

「グラスくん……」

 

 シャマルは感動している、チョロい。

 

「おいおい、チョロすぎるだろ……」

 

 おいヴィータ、余計な事言うな!

 

「え、また嘘だったの……!? うぅ、グラスくんひどい」

 

「嘘じゃないよ、本当だよ!」

 

 優しくシャマルを抱きしめた。、おっぱいが当たる感触がするけど気にせず、精一杯優しい顔でシャマルを見つめる。イケメンは何でも様になるのだ。

 

「グラスくん……」

 

 シャマルはやっぱりチョロい。

 

「おまえ、本当最低だな……」

 

 ヴィータは呆れた顔で呟いたので、その声をきこえなくするようにシャマルを掻き抱いた。

 

「きゃっ」

 

 シャマルの声がちょっとエッチだ。あー、良い匂いがするくんかくんか。

 

 寸劇を繰り広げていると、さっきまで横で難しい顔をしていたシグナムが口を開いた。

 

「そこまでにしておけ。グラス、お前は……何だ」

 

 やっぱりきかれるよね。

 

「もう一度問おう。何故我々のことを知っていた」

 

 シグナムは真っすぐに、僕のことを見詰めていた。

 

 

3.

 

 僕は転生する前に、アニメであなた達のことを知っていました。ただの基地外やん。

 

 当然信じてもらえないので、もう一つの理由を話す。

 

「僕の父親は11年前の闇の書事件で死んだ」

 

 隣にいたシャマルが息を呑むのを感じた。ヴィータも居住まいを正した。

 

 シグナムが何かを言おうとしたが、被せてそのまま言葉をつづけた。

 

「名前しか知らない、顔も見たことがない父親だよ。自分のルーツが気になって、調べていくうちに闇の書事件で亡くなったことがわかった。君たちのことはその時に知っただけなんだ。ただそれだけで他意はないよ」

 

 嘘は言っていない。ほぼ本当のことだ。

 

 授乳手コキが好きな父親(ソースは母親)は、闇の書事件で宇宙の藻屑となった。

 

 

 余談だが、五感の一つである視覚を封じてしまう授乳手コキを僕は認めない。視覚でも興奮できる乳首舐め手コキこそ至宝。

 

 昔、京都に行ったときにタクシーの運ちゃんも言ってた。

 

『京都は海の幸も山の幸もあまり豊富やないさかい、味だけではなかなかお客さんを満足させられまへん。だから別の部分でも楽しんでもらいまひょかって、舌で楽しみ、目でも楽しむ京料理になったんどすえ』

 

 そういうことだよ。あのおっちゃんの説得力半端なかったから、京料理が滅茶苦茶おいしく感じたよ。

 

 

「授にゅ、じゃなかった。地球には人を探しに来てたんだ。結局いなかったんだけどね……」

 

「そうですか……と簡単に信じるとでも思うのか」

 

「いや、信じてもらうしかないんだけど……」

 

「お前の実力であれば、すぐに逃げることも出来たはずだ。留まっている理由は復讐か」

 

 蒐集したページ数から僕の実力は判断できたのだろう。シグナムの言う通り、デバイスがない今の状態でも簡単に逃げることはできた。

 

 それでも逃げなかった理由は―― 

 

「君たちと同じだよ」

 

「何だと?」

 

「はやてが不幸になるのは間違っている。あんなに良い子が親からの愛を受けられずに、一人寂しく不自由な生活を送っている。それが僕は許せない。だから僕はあの子の家族になった」

 

 僕は正面からシグナムを見つめ返し、言い切った。

 

 前世では不幸な自分だったけど、何も知らない子供時代は輝いていた。親からも愛され、友達もいた。何も考えずに毎日楽しく生きていたんだ。

 

 子供というのは幸せにならないといけない。僕は強くそう思う。

 

「……」

 

 僕の言葉を受けて、シグナムは虚を付かれたように黙り込んだ。

 

 居心地の悪い沈黙が流れていた所に、意外な所から助け舟が出された。

 

「おい、シグナム。お前が手を下せなかった時点で、こいつを抱き込むしかないって決まってんだよ。それに、復讐するつもりの奴が今このタイミングで自分の正体を明かすわけねーだろ。なんのメリットもねーんだ、こいつはただの馬鹿だよ」

 

 そうです、僕は馬鹿です。いや、馬鹿って言った奴が馬鹿なんだぞ(小並感)

 

 それに、と一息あけて、ゆっくりとヴィータは言った。

 

「はやてに絆されちまったあたし達に、もうこいつは殺れねーよ」

 

 そうだな、と小さくシグナムは呟いた。

 

「もしもの時は私が始末を付ける。グラス、まだお前を信じた訳ではない。常に監視は付けさせて貰う」

 

 エッチな店行けへんやん。でも監視がいた方が猫先生達が襲ってこないだろうから都合がいいかもしれない。

 

 シグナムは待機状態でカード型になったデバイスをこちらへ投げ渡した。

 

「主の信頼を、裏切るなよ」

 

 そのままこちらを見ずに、部屋を出て行った。

 

 

 デバイスを返して貰えた所を見ると、どうやら僕は受け入れて貰えたようだ。

 

 

4.

 

 今夜は、はやてから同衾を誘われた。

 

 ザフィーラ(人間形態)であれば厳しいけれど、あそこまでガチムチじゃない僕であれば、シングルベッドでも、はやてと丁度よいサイズ感で寝ることができる。

 

 僕とはやては布団の中で顔を突き合わせていた。

 

「シグナムやヴィータとはよく一緒に寝るんやでー」

 

 シグナムの乳はわしが育てたと豪語するはやてだが、一緒に寝るときは揉みまくってるんだろう。非常に羨ましい。

 

 しかし、ヴィータのものが一向に育たないので、シグナムのおっぱいは生まれつきのものだと証明されたのであった。

 

「たまにはシャマルとも寝てあげないと寂しそうだよ」

 

「シャマルは兄ちゃんと一緒に寝たそうやけどね」

 

「いや、勘弁してよ」

 

 一緒に寝たが最後、朝までヤリまくる自信がある。

 

 ふーんと、はやてはあまり興味なさそうな様子をした。

 

「それより、皆と仲良くなれたみたいで良かったわ。なんや、シャマルとも自然な感じになれたみたいやし、シグナムも兄ちゃんへの態度が柔らかなったしなぁ」

 

 はやては本当に聡い子である。

 

「わたしは夢やったんや。家族で仲良くご飯を食べたり、一緒にどこかへ出かけたり…。普通の当たり前のことがしたかったんや」

 

「これから、たくさん出来るよ」

 

「でも不安なんや……。急に現れた皆が幻やったみたいに、いつかふっといなくなってしまって、この幸せが消えてしまうんやないかって……」

 

 はやては僕の胸に顔を埋めて先ほどとは違う力のない声で語りだした。

 

「僕はプログラムじゃなくて生身の人間だから急には消えないよ」

 

 言った後、しまったと思った。まるで彼らがいつか消えてしまうかのようじゃないか。

 

 こういう時に人生経験のない僕は、碌なことが言えない。

 

「じゃあ、兄ちゃんはずっと一緒にいてくれるん?」

 

 はやては顔を上げて問いかけてきた。

 

 僕の発言は悪く取られなかったようで、ホッとした。

 

「大丈夫、ずっと一緒にいるよ」

 

 不安そうなはやてを安心させるために頭を撫でた。

 

 本当に妹が出来たみたいで、この子にはできる限りの事をしてあげたいと心から思った。

 

「そっか、良かったわぁ」

 

 目を細めたはやてはそのまま目を瞑り、すぅすぅと可愛い寝息を立てて静かになった。

 

 はやては賢いが、やはりまだ子供だった。

 

 

 僕は僕にできることをやってみよう。 

 

 そう決意した。

 

 

 

 

おまけ

 

「よしグラス、もう一度蒐集して回復したらまた蒐集させろ。そうすればすぐに頁が埋まる」

 

 永久機関やめろ、死ぬわそれ。 

 

「シグナムそれはちょっと……」

 

「お前、発想がヤベーな」

 

 皆もドン引きだ。

 

「じょ、冗談だ!」

 

 いやいや、目がマジだったよ……。古代ベルカ人は野蛮すぎる。

 

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