素人童貞無職が転生したら   作:うがー

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7.クロノとエイミィ

1.

 僕は退屈だった。士官学校に入学しても、誰も僕に敵う者はいない。本気を出すと教官ですら一分と持たない。

 

 僕は古のゲーマーなので、チートを使わない主義で自分の力でゲームをやりこんでクリアしたいのに、今生は何でも簡単すぎる。人生はクソゲーってはっきりわかんだね。

 

 敗北を知りたい(キリッ

 

 そんな時にクロノに出会った。

 

 

 その日は、戦闘訓練の授業だった。

 

 いつも通り、指先一つでダウンさせて手持無沙汰になった時、一人の男子生徒が目の前に現れた。

 

 ミッドチルダでは比較的珍しい黒い髪の毛をしており、顔を見ると何となく既視感があった。このイケメンはどこかで見たことがあるぞ。

 

 少し考えてすぐに思い出した。毎日見ている僕の顔にどことなく似ているのだ。

 

 目つきが悪いのと、髪の毛が黒いため分かり難いが、確かに似ている。 教官から弟はいるかと聞かれたことがあったけど、こういうことだったのか。

 

 まぁ、僕の方がイケメンだ。金髪だし、おめめぱっちりだからね。

 

「クロノ・ハラオウンだ、よろしく」

 

「そうか……、君がクロノか」

 

 原作の登場人物がきました、ハイハイワロスワロス。

 

 

 向き合い、教官の合図で訓練が始まった。

 

 お互いに魔力光を煌めかせ、魔法の撃ち合いが始まった。なんの偶然か、魔力光もよく似ていてクロノが水色、僕が濁った水色をしていた。何となく僕の心の汚さを表しているようで嫌な気持ちになる。

 

 数回撃ち合ったけれど、さすがといった所か、中学入学前ぐらいの年齢に見えるのにかなり練度が高い。

 

 それでも僕の敵ではない。

 

「ディバインバスター」

 

「クッ」

 

 同時に攻撃していたテンポをずらしクロノの砲撃が来るより速くディバインバスターを放つと、クロノに直撃した。

 

 クロノはそのまま訓練場の石畳の上を転がっていった。

 

「勝利はいつも虚しいものだ」

 

 自分の天才さが憎らしい。

 

 教官が手を挙げ終わりの合図を放とうとした瞬間、バインドが僕に絡みついた。

 

「えっ」

 

 あっけに取られた僕の前に、クロノが立ち上がってデバイスを構えていた。

 

「ブレイズカノン!!」

 

 今までのやり取りより、明らかに上乗せされた魔力を込めた砲撃魔法が、身動きの取れない僕に突き刺さった。

 

 バインドが消し飛ばされたことにより、今度は僕が床の上に転がることになった。

 

 教官が手を下ろすまでの一瞬の出来事だった。

 

「それまでっ!! ん?」

 

 終わったと思っていたのに、僕とクロノの立ち位置が逆になっていたために、教官も戸惑っている。 

 

 僕はダメージがほとんどないのですぐに立ち上がって続行しようとしたが、満身創痍のクロノはデバイスを構えている手を下ろし武装を解いていた。

 

 というか、クロノはやり口が汚い。魔力ダメージで気絶した振りをして、事前に設置したバインドを発動させ、全魔力を乗せた砲撃魔法で僕のことを奇襲したのだ。

 

「おまえ、それは卑怯だぞ!」

 

「一勝は一勝だ」

 

 敗北を知りたいとかカッコつけていたけど、いざ負けるとめちゃくちゃ悔しい。

 

 いや、そもそも負けてないし!

 

「このチビ!」

 

「なっ! 身長は関係ないだろう!!」

 

「やーい、チビ! 悔しかったらもう一回勝負しろー」

 

「くっ! いや、今日は僕の勝ちだ!」

 

 そう言ってクロノは勝ち逃げしていったのだ。

 

 

 そこで目が覚めた。

 

 士官学校の頃を夢で見ていた。

 

 在学中は、クロノは様々な戦略を駆使して泥臭く立ち向かってきた。

 

 結局、士官学校時代でのクロノとの戦績は、33勝4敗だった。何とこの僕に4回も勝利したのだ。なんでや! 阪神関係ないやろ!

 

 クロノがいたからこそ、僕は士官学校を続けることができた。もし彼がいなかったら、士官学校を辞めた後、楽に稼げる手段でも求めて次元犯罪者にでもなっていたかもしれない。

 

 

 でも、急にクロノの夢をみるなんて、虫の知らせかもしれない。魔力的に優れた人間の第六感は馬鹿にできない。クロノ死んでしまうん?

 

「よっこらセックス」

 

 昨日は夜更かしをしたので全身に眠気が纏わりついているけど、伸びをしてベットから抜け出した。

 

 

2.

 八神家は和食派と洋食派に分かれており、それぞれ作らないといけないので結構忙しい。僕が作るようになって、ヴォルケンズが遠慮なくリクエストするようになってしまった。

 

 はやてとシグナムが和食派、シャマルとヴィータが洋食派、僕はその日の気分で変える。

 

 ザフィーラはマッチョだからか知らないが、ササミとブロッコリーを食べる。なかやまきんに君みたいだ。

 

 朝食の準備をしながら、返して貰ったデバイスを確認していた所、クロノからのメッセージが入っていた。どうやら先ほどの夢は、この前触れだったようだ。

 

 クロノは結構マメで、折に触れて便りを送ってくる。

 

 P.T事件が終わった際にも連絡が来ていて、僕がいなかったことで大変だったという愚痴と簡単な事件の報告があった。その中には、『将来有望な現地協力者を見つけた』とあり、彼女に僕のことを話した所、是非会いたいと言っているとも書いてあった。

 

 クロノのことだから、僕が戻るきっかけの一つとして色々と書いてくれているんだと思う。でも、何となくそれで戻るのも癪なので、『働いたら負けかなと思っている』と返信しておいた。

 

 というか休職からの職場復帰って難しいよね。面の皮が結構分厚いか、悪いのは私じゃないんです! みたいな被害者意識がないと中々出来ないよ。 

 

「えーと、なになに……」

 

 朝食のスクランブルエッグを作りながら、今回のメッセージを確認する。 

 

 

 当たり障りのない近況報告が書かれていた。最後には、エイミィも心配しているので、早く復帰して欲しいとある。

 

 あー、エイミィ……orz

 

 エイミィと顔を合わせることを考えると、気分が沈んでしまう。情けないことに、未だに僕はエイミィに未練たらたらだった。

 

 士官学校時代は、休日はクロノが猫先生の元で僕を倒すための修行をしていたため、必然的にエイミィと二人で過ごすことが多かった。

 

 二人で色々な店を回った。エイミィは底抜けに明るく、コロコロと表情が変わるところが魅力的だった。同い年だけど姉御肌な部分があり、自分を持っていない僕を引っ張ってくれた。

 

 別の一面では、手が触れあっただけで顔を赤らめるような、少女らしい可愛い部分も持っていた。

 

 本当に惜しいことをしたように思う。

 

 どんどんテンションが下がってきたので、そこで考えを打ち切った。

 

 とりあえずクロノに返信しよう。

 

 やらないといけないことができたので、しばらくは戻れない。いずれお互いの道が交わることになると思う、クロノも頑張ってほしいといった内容を送ることにした。

 

 アンニュイな気分になっていたので、珍しく真面目な内容を送ってしまった。少しポエミーなのが恥ずかしい。

 

 

「おはよーさん」

 

 丁度料理が完成した頃に、はやてが階段から降りてきた。

 

「おはよう、はやて」

 

 はやての明るい声を聞くと、少し沈んでいた気持ちが晴れた。

 

 

3.

 僕は僕に出来ることをやってみよう。

 

 つい先日、そう心に誓った。

 

 僕に出来ること、それは、気持ちよくなることだ。

 

 今日のお目付け役は待望のザフィーラです。ザフィーラなのです。大事なことなので二回言いました。

 

 

 エッチなお店にいけるんだよう!

 

  

 はやてからは、阪神タイガースの日本シリーズ 第三戦を見るそうで一緒にテレビで観戦しようと誘われたが、結果を知っている身としてはあまりに惨すぎて見ることができない。

 

 33-4やで。Vやねんとか言えへんわ。

 

 一戦目と二戦目の阪神の不甲斐なさに憤慨したので、ザフィーラとやけ酒をしに行くと言って家を出た。

 

 

 というわけで『偶然同じ個室にいた男女が自由恋愛によってセックス出来る場所』に来ました。

 

 あくまで偶然である。それ以上突っ込んではいけない。

 

 ザフィーラも誘ったんだけど、呆れた目で「終わったら連絡しろ」と言われた。口止め料を渡したので、どこかで上手い飯を食ってくるらしい。

 

「いらっしゃいませ」

 

 スーツを来た店員が出迎えてくれる。

 

「ご予約はされてますか?」

 

「いえ、してません」

 

 初めての店は予約をせず、店に入って写真で指名。これが僕のジャスティス。

 

 それと一つ、良い子の皆に教えてあげたいことがある。指名するときには、ウエストが58以上は要注意だ。マジでデブしかいない。57以下、できれば56以下が好ましい。

 

 僕は、茶髪で短めの、ちょっとエイミィに似ている子を指名した。

 

 入浴料を払って番号札を貰い、待機室で呼ばれるのを待つ。このドキドキがたまらない。信託を待つ神官の気持ちは、このようなものだろうか(失礼)

 

 店員から呼ばれ、お店のルールを説明されながら階段の踊り場に向かった。後ろ姿が見えてくる。

 

 スリザリンは嫌だスリザリンは嫌だ……。

 

 踊り場にいた子は

 

 グリフィンドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!

 

 大当たりだった。いや、この世界は美男美女が多いので、外れはまずないんだけどね。

 

「キャー、イケメンの外人さんだー!! やったー」

 

 鼻にかかるような甘ったるい声で腕を組んできた。いいにほひがする。

 

 そのまま階段を上がり、プレイルームへと向かう。入るとすぐに濃厚なキスをされてしまった。

 

「嬉しいからシャワーなしでしちゃおうよ♡」

 

 耳元でささやかれてグラスのグラスが臨戦態勢になる。

 

「凄いおっきい……。イケメンでこっちも凄いなんて好きになっちゃいそう♡」

 

 僕は風俗嬢にガチ恋はしない。

 

 知ってるんだぜ。こんなに馴れ馴れしく好きとか言っていても、裏では客のことキモイって言ってるんだ。

 

 

 やれやれ、僕は射精した。

 

 

 天国で何度も昇天し賢者へと転職した僕は、念話で連絡した集合場所でザフィーラと合流した。

 

「ザフィーラさん、お待たせしました。今日もいい筋肉をしていますね」

 

 変なものを見る目をされたが、今の僕には全てが些細なことのように思われる。

 

「それでは帰りましょうか」

 

 エロは偉大なのである。

 

 

「兄ちゃん、阪神は死んだ」

 

 家に帰ると、半分泣きながら絶望的な表情でニーチェのようなことを言い出したはやてが抱きついてきた。

 

 はやての背中をとんとんと叩きながら優しく諭した。

 

「来年に期待だね」

 

 来年は二位なのだ。プレーオフもまだないから無理やねん。

 

 阪神は死んだままだ。

 

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