1.
今日はシャマルと、しこしことカートリッジを作っている。
一人で大変そうだったので、僕が手伝いを申し出たのだ。
ヴィータとはやてはさっき覗いてみたら、リビングでゲームをしていた。ザフィーラは、はやてのクッション代わりだ。
ゲーム機はゲームキューブとPS2にXBOXと、有名どころのハードとソフトは全て買って上げたので、暇はしないはずだ。
穀潰しであることに耐えられなくなったシグナムは、剣道場でバイトを始めた。
何人の少年の性を目覚めさせるのだろうか……。シグナムにぞっこんになったお父さんも家庭崩壊を迎えるだろう。
シグナム……、恐ろしい子……。
「兄ちゃん、ゲームしようやー」
せっせと内職をしていると、はやてが後ろから僕の背中に覆いかぶさってきた。
「はやてと一緒にゲームをしたいけど、僕たちみたいに真っ当な仕事に就けない人たちは、日々の糊口をしのぐためにこういう内職をするしかないんだ……」
ヨヨヨ、と泣きまねをしながら言う。
「そうなんや……。小泉さんに言って外国人の対応を改善してもらわなあかんな」
「でも、あんまり移民を甘やかすと国が乗っ取られかねないから注意しないといけないよ」
僕は、はやてを背中から降ろして車椅子に戻した。
はやては、難しい顔をして腕を組み「自民党がー」とか言いながらリビングに戻っていった。
彼女が将来こじらせて、Twitterで跋扈する『安部〇ねおばさん』にならないことを切に願う。
まぁゲームで遊ぶのもよかったけど、身体のスペックが高すぎて異常に簡単に感じてしまうんだよね。
FPSなどの対戦ゲームでは、人間の反応の限界を超えているためチート扱いされるのでやらなくなってしまった。
憧れのプロゲーマーへの夢は絶たれたのであった。
「また適当なこと言ってる……」
はやてが部屋を出ていくと、後ろから声が聞こえてきた。
シャマルがジト目で見てくる。この前のことを根に持ってるみたいだ。
「世の中には良い嘘と悪い嘘があって、今の嘘は、はやてを悲しませない良い嘘だよ」
「はやてちゃんが日本では嘘ついたら針千本飲ますって言ってたわよ」
「あれは約束しないと無効だからセーフだよ」
シャマルは、はぁーっとため息をついた。
「グラスくんってやけに日本の事を詳しいのよね」
「僕は日本人だからね」
兵庫県生まれ、兵庫県育ちの巨人ファンです。
「また嘘ばっかり……」
嘘じゃないんだけどなぁ。
2.
二人とも口を動かしながらも、淀みなくカートリッジへ魔力を充填していく。
「グラスくん、凄く、早い……!」
下ネタ的な意味ではありません。
「そうかな……?」
少し照れてしまう。美人にストレートに褒められると嬉しい。
いい所を見せようとスピードアップさせる。
「グラスくん、凄い、凄い!」
字面だけ見るとエロい。
またオレ何かやっちゃいました?
気をよくした僕は、どんどんカートリッジが量産されていく。こういう単純作業は嫌いじゃない。意外とライン工とかに向いているかもしれない。
目標をセンターに入れてスイッチ、目標をセンターに入れてスイッチ、目標をセンターに入れてスイッチ目標をセンターに入れて……
僕が自己に埋没してトランス状態になりかけていると、ふと、シャマルは思い出したように告げた。
「そういえばさっきの続きだけど、グラスくんって本当に日本出身なの?」
どうやら僕のことが知りたいようだ。やれやれモテる男は困っちゃうね。
「ミッドチルダ出身だよ。生まれてちょっとして、孤児院の玄関に捨てられてね」
「えっ……」
シャマルは驚いて、すぐ後に少し悲しい顔をしたが、僕はそれに笑いながら手を左右に振った。
「僕の天才っぷりに恐怖した母親に捨てられたんだ。やっぱり、お釈迦様みたいに『天上天下唯我独尊!』 ってやったのがよくなかったみたい」
天才は孤高の存在なのだ。
シャマルはふざけながら言う僕にクスリと笑った。
「そこの孤児院が聖王教会由来の所でね、魔法の才能が凄いあるって分かったら騎士コースが確定されそうになったから飛び出したんだ」
騎士なんてものは一見華やかに見えるものの、聖王教会のその実は旧態依然とした老害のはびこる窮屈な場所だと、僕は勝手に偏見を持っていた。
孤児院への奉仕活動という名の元に休日出勤していた騎士は、半分死んだ目をしていた。ブラック企業を思い出して絶対に騎士になりたくないと思ったものだ。
でも、美人の奥さんを聖王教会の紹介で貰っていた。リア充爆発しろ!
「うんうん、それでそれで」
シャマルは興味深そうに先を促してきた。
「その後は魔法学校に入学したんだ。学校側へ何か成果を提供していれば、衣食住は保証されたからね」
親を持たない僕には有り難かった。
「成績優秀だったから飛び級してすぐに卒業できたんだけど、折角だから色々と勉強することにしたんだ」
実は、卒業して働きたくなかっただけだ。
だから、全ての学科を網羅し、数年かけて卒業することにした。攻撃魔法や補助魔法、ミッドから近代ベルカ、古代ベルカの研究、果てにはデバイスマイスターの資格も手に入れて、僕は完璧に近づいた。
「その後は士官学校に入学して、管理局に就職したんだよ」
魔法学校をしゃぶり尽くしてやることがなくなった後は、魔法学校に就職するという選択肢もあったけど、やはり働きたくなかったので、学費のかからない士官学校へ入学することにした。
飛び級をしていればもっと早くに士官学校に入れたけれど、結果的にクロノやエイミィと出会えたのでタイミングが良かったと思う。
「人に歴史ありって言うけれど、何だか面白いわねー」
シャマルを満足させられたようで何よりだ。
そんなことより、二人して小一時間話しながら手を動かしていたから、大変なことになった。
「うわ、カートリッジ作りすぎた」
「ああっ!」
この山盛りのカートリッジをどうしよう……。
24時間、戦えますね。
結局、いらない分をミッドチルダのネットオークションで販売することにした。
どうみても内職です、本当にありがとうございます。