瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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第103レース~アタシの走り~

【ジャパンカップを数日後に控えたある日】

 

ホクト「ぅううぅ~…、やっほ~~~~!♪」

エース「ははっ、山じゃねぇってば。」

ホクト「でも、響くねぇ~♪」

エース「マジで何にもないからな~。

でも、都会の喧騒とかとは無縁だからよ。

ま、夜はカエルの鳴き声とかうるさいけどよ。」

 

シュヴァル「で、でも…空気が澄んでて…僕、好きです。」

アルダン「はい、こういった雰囲気…とても落ち着きます。」

 

話に花を咲かせながら歩く4人、その後ろにトレーナーとテンポイントが居た。

テン「…正直、驚きの提案でした。」

「そうか?…まぁ、急ではあったよな。」

こうなった発端は、少し前に遡る────

 

 

【トレーナー室】

 

エース「トレーニングを一旦やめて、休む…!?

そりゃどういうことだよ…!」

「言わないつもりだったけど…エース、お前…''焦ってる''な?」

エース「そんな、訳…アタシはいつも通りだ!」

「脚、震えてるの…見逃さないからな。」

エース「…!」

 

「頑張りたくなる気持ちは分かる…が、怪我をしてしまっては元も子もない。

それに、今のエースは昔よりも何倍も強くなっている。

…騙されたと思って、気分転換してみないか?」

エース「…分かった、トレーナーがそう言うなら従うぜ。」

 

腕を組みながら、自虐的にエースが言葉を続ける。

エース「…よく分かったな、アタシの気持ちの変化に。

正直…どん詰まって…''これヤバいな''って思ってた…からよ。」

「エースの事、どんだけ見てきたと思ってるの?」

エース「ははっ、それもそうか!」

 

その会話が一区切りついた頃だった。

ホクト「……あ、のー…。」

「ん?」

ホクト「あ、いえ…何かこう…厳か過ぎて会話に入るタイミングが無いなって思ってまして…。」

おずおずとアルダンの後ろに隠れてたホクトが顔を覗かせてきた。

 

エース「何らしくも無いこと言ってんだよ。」

ホクト「だ、だって~っ!こういうムード苦手なんだも~んっ!!」

テン「貴方はもう少し社交性を覚えた方がいいかと。」

ホクト「えぇ…だって楽しければOK…じゃん?」

テン「…全く。」

 

エース「って言っても、気分転換って何するんだ?」

シュヴァル「…やっぱり、お出かけ…ですか?」

「あぁ、そうだ…''行先はもう決まっているぞ''」

チームメンバー「「「「…え???」」」」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

エース「──にしても、母ちゃんがトレーナーにいつの間にか連絡してたのはビビったな~!

''なんでそっちなんだよ!?''って!」

エースの母親「だってアンタに''たまには帰省しな''って言っても、ぜーったい断るじゃない!それでダメ元よ!」

 

「ははっ、こちらとしてもありがたかったですよ。」

エースの近況を聞きたくて電話をしてきたらしいが、こちらとしても渡りに船といった結果になった。

 

エースの父親「しかし、''ジャパンカップ''かぁ~。

とんでもねぇところにまで行っちまったな!」

エースの母親「みんなであんたの活躍をテレビで見てるとさ

な~んか不思議に思っちゃうのよ。

''テレビの向こうって現実なんだ~''って!」

 

嬉しそうに思いの丈を話すエースの母親。

エースの母親「それに、こんなにも素敵なお仲間が居るなんて、母ちゃん一安心したよ。」

ホクト「はいっ、安心と信頼のチームメンバーですよ、肝っ玉お母様!!」

テン「───失礼な態度を…申し訳ありません。」

ホクトベガの頭を強引に掴み、謝らせるテンポイント。

 

ホクト「いだだだだだ…っ!!」

エースの母親「賑やかで羨ましいわね~。」

…その頃、アルダンとシュヴァルは…と言うと…。

 

近所の幼いウマ娘A「待って~!」

近所の幼いウマ娘B「お姉ちゃん、早い~っ!」

アルダン「ふふっ、元気いっぱいですね。」

シュヴァル「…何か…良いな…。」

家の前で、近所のウマ娘達と遊んでいた。

 

エースの父親「お前に憧れてる娘も多くなったんだぞ?

''自分もいつかレースを走るんだ''って。」

エース「─────。」

「はい、エースの走りは何時でも夢を与えてくれますから。」

エースの父親「か~っ!嬉しいこと言ってくれるね!酒でも飲むかい!」

「あ、いえ、まだ昼下がりなので…。」

エース「…そりゃ、何だか嬉しいな─────」

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………。

 

 

 

エース「──ん~っ!

いつ来ても変わらないな、ここは!」

「ここは?」

 

エース「幼い頃、アタシがぶっ倒れるくらいまで走り続けたところだ。

いつ走っても気持ちがいいんだよ。

なんつーか、没頭できるっていうか…。

他の事が全部遠ざかるっつーか─────」

 

ホクト「おぉ~~~~~りゃ~~~~!!♪」

その言葉に感化されたのか、突然ホクトベガが走り出した。

 

エース「あっ、おい…!」

ホクト「エーちゃ~ん!こっちこっち~!!」

少し離れた所から手を振るホクトベガ。

 

テン「きっと、一緒に走ろうって意味だと思います。」

エース「…ホクトの奴、アタシがうずうずしてたの…気づいてたのか。」

アルダン「不器用ですが…それが彼女らしさですから。」

シュヴァル「ぼ、僕も…走りたいです…。」

エース「……しゃっ!走るか!

─────フッ!」

 

その声と共に、エースを先頭に4人が走り出した。

ホクト「うぉおぉ~っ!?みんな、追い込みに転向か~っ!?」

迫り来る4人に背を向け、再び走り出すホクトベガ。

 

エース「──あ~~~~~~っ!!

やっぱさいこーーーーーーっ!!!!

楽しげに叫びながら走るカツラギエース。

とにかく前へ遠くへと駆ける彼女は

止まることなく加速し続けているようで───

 

(……いや、ようで…じゃなくて…)

本当に加速し続けてる…!?

 

エース「おぉおおおおおおおっ!!!

まだまだまだまだーーーーーーーーーーっ!!!!!」

ホクト「厳しいって~~~~~~~っ!!」

とうとう逃げてた(?)ホクトベガを捕まえ、先頭に立つカツラギエース。

頭を空にして、純粋に走る事を楽しんでいるのか…その走りは今まで見た走りよりも輝いていた。

 

「…これが、エースの…。」

しばらくして、エースを筆頭にメンバー全員が帰ってきた。

 

エース「───ごめん、トレーナー!

久々で、ちょっとテンション上がっちまった!」

シュヴァル「…良い走り…でした。」

アルダン「えぇ、練習とはまた違った良さがありましたね。」

ホクト「ぜぇ…はぁ…っ…うげ~…。」

テン「余裕の最下位、流石ですね。」

ホクト「そ、そもそも、シニア級に勝てるわけがあるかいなっ!!」

エース「ははっ、いやホントぶっ倒れるくらいまで走るところだったな!

うっかり戻ってくるの忘れるところだったぜ!」

 

「…エース、話がある。」

エース「げっ、説教か!?」

「違う違う!…''ジャパンカップ''についてだ。」

エース「…その顔は何か一計案じたって顔してるな?」

「あぁ…レースでは、前だけを見て走ろう。

エース「…前、だけ?」

「ルドルフもシービーも気にせず走るんだ。」

エース「そ、そんなんで良いのかよ!?

後ろ気にして走らなきゃ…。」

 

「それじゃあ、エースらしくないんだ!!」

必死の訴えにチームメンバーも驚きを隠せないようだ。

エース「アタシ…らしく。」

両親の前でも言ったが、エースの走りは夢を与えてくれる。

どんな壁も逆境も乗り越えて…その走りに活力を貰える。

戦い続ける姿に…いつしか、自分も重ね合わせていた。

…そう、つまり…彼女の戦い方は…。

 

「前だけを見てるエースが1番エースらしいよ。」

エース「──前だけ…見てるアタシ…。」

ホクト「そ、そうそう…後ろ気にして…逃げるんじゃなくて…前だけ見て逃げるのがエーちゃんらしさって…事…ごほっ、ごほっ!!」

テン「無理に喋らないで下さい、はい、深呼吸。」

ホクト「はぁああぁあぁあ~~~~…。」

テン「息を吐いてどうするんですか。」

 

アルダン「ゴールだけを見て、ただ前へ突き進む…

それが、エースさんだけにしか出来ない走りです。」

エース「─────」

 

エース「………''アタシだけの走り''…か。」

青空が吹き抜ける中、顔を見上げるカツラギエース。

 

エース「…元より、何もねぇ所から走ってきたんだ。

賭けるなら、何よりも信頼できるチームメイトやトレーナーの言葉が良いに決まってる…!」

エース「…やってみるよ、トレーナー!

アタシは、もう振り返らない…前だけを見る!

そして…、誰よりも早くゴールして…勝つ!

─────''エース''の走りで!」

 

 

 

 




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