【ジャパンカップ 当日】
ホクト「…ふえぇ~、何このメンツ…。」
今日行われるジャパンカップの出走ウマ娘が記載されたメンバー表を見ながらホクトベガが震えていた。
テン「これが秋シニア三冠の2つ目のレベルの高さということです。」
「あぁ、だけどエースなら必ず成し遂げてくれるはずだ。」
【パドック】
観客「ワァアアアアアァーーーーッ!」
ルドルフ「──
シービー「そういうキミは、珍しいね。
ギラつきがあんまり隠せてないよ。」
ルドルフ「ここにいるウマ娘が、君含めそれほどの相手だということだよ。
それに…このレースは海外からもウマ娘が来る大事なレースだ。
否応にも、滾ってしまうものだよ。」
シービー「…ふふっ、光栄だね、そんな事言ってもらえるなん───」
────ザッ!!!
その時、えも言えぬ気配にルドルフの顔つきが変わった。
ルドルフ「…何だ、この気配は…!?」
シービー「──ははっ、来た来た!」
ルドルフ「…なるほど、まだ過小評価しているようだな…私は。
これが…これが、君の真の姿か…っ!!」
エース「─────」
腕を組み、瞳を閉じて…ただ、精神を統一するエースの姿があった。
ただ…話さなくても分かるくらいエースの気迫にルドルフの口角も上がった。
エース(…アタシを応援してくれる、全ての人たち。
その想いを全て力にしてみせる─────)
エース「みんな…一緒に戦ってくれ。
道は、アタシが切り開く…!」
エース「アタシは、カツラギエース!
今日、誰よりも速く''前''に''進む''───」
エース「─────''エース''だっ!!!!」
────────────────────
実況「今年もまた、熾烈な戦いが繰り広げられる東京レース場。
豪華なメンバーによる頂上決戦、今スタートが切られます。」
──ガッコン!
実況「スタートしました!」
「よしっ…!」
アルダン「良いスタートです。」
実況「さぁ、スタンド前のポジション争いですが。
やはり行きました、カツラギエース、カツラギエースが先手を取りました。」
エース(速く……前に…!!)
実況「カツラギエースが2バ身ほど離して先頭。
カツラギエースが飛ばして向こう正面に出ました。」
テン「…これは…。」
シュヴァル「と、トレーナーさん…っ。」
「…''あれでこそエースの走りだ''」
実況「さぁ、カツラギエース、どんどんリードを広げていって10バ身ほど取って3コーナーへと向かいます!」
(ルドルフは…6番手…シービーは…最後方か)
実況「さぁ、カツラギエースが更にリードを広げます、1人ぽつんと前を走るカツラギエース!」
ホクト「も、持たないって~!!」
アルダン「いえ…これは…っ。」
エース(後ろから気配がどんどん迫ってきてる…でも…アタシは、前だけを見る…っ!!)
実況「第4コーナーを回って、正念場の直線へと向かう!
カツラギエース、堂々先頭で3バ身のリード!しかし後続も迫ってくる!」
ルドルフ「─────貰ったぞ!」
シービー「勝負は楽しくなくちゃ…ねっ!!」
実況「来たぞ来たぞ、シンボリルドルフが外から先頭を捉えにかかる!
さらに外からミスターシービーも豪脚で襲いかかる!」
エース「…アタシが…アタシがぁっ…。」
「─────エース!!!」
エース「─────勝つッ!!!!!」
ルドルフ「…っ!?」
シービー「───これは…っ。」
実況「しかし、差が縮まらない!!カツラギエースが必死に耐え凌ぐ!!
再び1バ身、2バ身とリードを広げる!!」
エース「…トレーナー…アンタ…ほんっとうに最高だよ…。」
ルドルフ(─────笑ってる…。)
シービー(…凄いな…エース…まるで…飛ぶように走ってる。)
実況「カツラギエース、逃げ切ったッ!!!!!
今ゴーーールインッ!!!!カツラギエース、堂々と逃げ切りましたッ!!!」
観客「ワァアアアアアァーーーーッ!」
実況「カツラギエース!あっと驚かせる堂々たる逃げっぷりです!!」
白熱する実況の声を聞いたエースが、その場に立ち尽くした。
エース「─────」
エース「………………勝った…のか?」
「………エース…。」
テン「トレーナー様。」
「…ぁ……カツラギエース、おめでとーっ!!!!」
観客「……おぉ…………」
観客「おぉおおおぉおおおーーーっ!!!!」
ホクト「やったやった~!!エーちゃん、勝った~!!」
シュヴァル「ホクト、さん…苦しっ…!」
アルダン「''日本ウマ娘初のジャパンカップ優勝''…ですね。
おめでとうございます、エースさん。」
テン(…まるで、1人だけ重力を感じないような軽やかな走り…とても勉強になります。)
観客「ワァアアアアアァーーーーッ!」
エース「…マジで…勝ったんだな、アタシ…。
そうか…勝ったんだ…!!」
エース「っしゃぁああああああっーーー!!!!!」
声の限り叫ぶカツラギエース。
その勇姿を見たシービーとルドルフが近寄る。
シービー「───今日はアタシの完敗だね。」
エース「っ、シービー!」
シービー「最高のレースだった、ありがとうエース。」
ルドルフ「大きなリードを取るほどの逃げ…そして詰め寄られてからの粘り…。
どれを取っても、今日の君には敵わなかった。
───本当に、素晴らしい走りだった。」
エース「ルドルフ……───」
ルドルフ「今日、君が私の眼に焼き付けた姿。
その
ウマ娘の持つ可能性…その極致の1つを垣間見たように思える。
──そして今、頂点を志す者として、君に願い出たい。」
ルドルフ「カツラギエース。どうかもう一度、私と競ってはくれないだろうか。」
その提案に対するエースの答えは決まっていた。
エース「どんな敵だろうと…アタシはアタシの走りをするだけだ。
トレーナーが教えてくれた、最強の逃げ…でな!」
ルドルフ「ふっ…それでこそ…君だ。」
…………………………。
【勝利インタビュー】
記者「今日の勝利で、日本のエースと言う声が上がってますが
その点はどう思いますか?」
エース「日本のエース…いい響きっすね!
…でも、アタシは何もしてないっす。」
その回答に記者達が首を傾げる。
エース「─────なんたって。」
「へ?」
横に立ってた俺をグイッと引き寄せるエース。
エース「アタシのトレーナーは、世界のトレーナーっすから!」
「エース─────」
エース「本当に出会えて良かったと、今日改めて…心の底から思った。
だから、日本のエースと世界のトレーナーでまだまだ勝ち続けます
アタシたちの走り、期待してください!!!」
しっかりと抱き寄せた腕からは信頼の証が伝わってくる。
エースもそれに応えるかのように、眩しく笑った。
ホクト(うーん、告白とも取れる!!)
テン(また、余計な事言ってますね。)
シュヴァル(…す、凄いな…あんなこと言えるなんて…)
アルダン(トレーナーさんはなんの事かみたいな顔してますが…)
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