寒さが一段と厳しくなる12月のある日。
テンポイントの朝日杯FSが間近に迫る中…今日は休みを使って…。
──4人で海まで釣りに来ていた。
本来なら、俺とシュヴァルの2人で次の年の目標を決めるために連れ出すつもりだったのだが…。
テン「トレーナー様が行くならば、何処へでも。」
ホクト「行く~っ!♪」
…と、2人もついてくることになった。
(まあ、2人の事も話したいしな…)
シュヴァルグランのシニア級は、同期でもあり…倒したい目標でもある
''キタサンブラック''との対戦もおおくなるであろう。
その事を話そうか、機を伺っていたが…。
シュヴァル「………♪」
今は釣りが楽しいのか、機嫌が良かった。
テン「トレーナー様、寒さは大丈夫ですか。」
「ありがとう、テン。大丈夫だよ。」
水筒に紅茶やら手袋など至れり尽くせりのテンポイント。
ホクト「はーっはっはっはっ!!
この海の主を釣ったるぜ~!!♪」
テン「主なんて居ません。」
ホクト「えっ、居ないの!?大チヌとかオレンジエイとか!?」
シュヴァル「…どちらかと言えばその魚は真夏がシーズン…ですから。」
ホクト「じゃあ、ジョーズでも…。」
テン「居るわけないじゃないですか。」
賑やかな釣りにシュヴァルも、思わず笑みを零した。
シュヴァル「でも、嬉しいです───
トレーナーさんは元々釣りが好きだったのは知ってたんですけど…。
お2人も興味を持ってくれて…。」
テン「静かな雰囲気、海面から見える魚…釣れた時の達成感…なかなか学びが多いです。」
ホクト「…今から鍛えれば、シャーマンになれるかも?」
「バカ言ってるけどよ、引いてるぞ、ホクト。」
ホクト「ぬぉおおおおおっ!?何やつ~っ!!」
何と戦ってるのかは不明だが、ホクトベガが気合いとともに竿を引く。
ホクト「…こっから、どうすればっ!?!?!?!?」
「分からないで戦ってたのかよ!」
シュヴァル「た、タモです…っ!」
ホクト「一旦、CMで~す。」
「それは、タ○リ!…って、あ…っ!!」
寸劇を繰り広げていたら…魚が逃げてしまった。
シュヴァル「…す、すいません…上手くフォロー出来なくて…。」
「いや、ホクトの自爆だし…シュヴァルのせいでは…。」
ホクト「そりゃ、急に来られたらびっくりするって!!」
何故か水面に向かって怒るホクトベガ。
テン「…やはり経験の差は素晴らしいですね。」
その言葉と共にテンポイントが視線を落とす。
そこには何匹もの魚を釣り上げたシュヴァルの魚入れがあった。
シュヴァル「その…残念、でしたね…で、でも…面白かったですよ…ははっ。」
ホクト「傷口にアルコールっ!!」
「あはは、シュヴァルには敵わないね。」
シュヴァル「そ、そんなっ、僕なんて…。
きっと、体質…?みたいなやつですよ…。」
シュヴァル「僕、存在感無いので…魚も油断するんじゃないかなって…。」
テン「…気配を消せる…達人のようですね。」
シュヴァル「そ、そそそ、そんな…っ!!
僕なんか、地味で目立たないだけですって…!」
ホクト「…つまり、存在感増し増しのホクベーちゃんは…。」
テン「───凡人ですね。」
「アホの子だな。」
ホクト「うわ~んっ!!海に突き落としたろか~っ!!」
テン「シュヴァルさんを見習ってみてはいかがでしょう。
貴方と違ってじっとしてるじゃありませんか。」
ホクト「ぐぬぬ……私の前世はマグロでありまして…。」
「止まったら死ぬってか、なんだそりゃ。」
テン「やはり、釣り上げるのには気合いと決断力…これが必要ということですね。
トレーナー様。」
「ん?…まぁ、あながち間違ってないかな。」
自分の竿を引きながら答える。
「シュヴァルは、仕掛けるタイミングが秀逸だからなぁ。」
シュヴァル「あ、ありがとうございます…っ。」
ホクト「つまり…それがレースにも生かされる…ってコト…?!」
テン「そうですね、有り得ると思います。」
ホクト「よーし…私も!」
………………。
釣りも一通り終わり、俺たちは海沿いを散歩していた。
その散歩の途中で、テンとシュヴァルが何人かに話しかけられていた。
シュヴァル「……ぁ…そ、その…頑張ります…っ!」
テン「はい、必ずや勝利を…。」
「…シュヴァルも成長したなぁ。」
ホクト「そなの?」
「出会った頃は、あんな風に話しかけられても、答える事も出来なかったからな。」
ホクト「うーん…レースでの結果やトレくんとの日々が自信に変えてるんじゃない?」
「そうなのかな、そうだといいけど…。」
ホクト「ところで、何か忘れてない?」
「何か?……あ''っ。」
シュヴァル「…トレーナーさん?」
テン「如何なさいましたか、トレーナー様。」
「今後の話をしなくちゃな。」
シュヴァル「ぁ…そうでした…。」
「まず、シュヴァル…君はシニア級に上がったら…まずは''阪神大賞典''を目指そう。」
シュヴァル「''阪神大賞典''…ですか。」
「あぁ、君のスタミナと今後のローテーションを考えると…まずは、ここからが妥当と判断した。
そして、このレースをステップアップに…''天皇賞・春''を目指そう。」
シュヴァル「…''天皇賞・春''…それって、もしかして…。」
「あぁ、キタサンブラックも出走するはずだから。」
シュヴァル「…っ…キタさんが…。」
「その他には、まず阪神大賞典を─────」
シュヴァル「…はい、必ず…勝ちます。」
以前なら聞けなかった、必ずという力強い言葉。
その眼差しは…成長の印を物語っていた。
ホクト「頑張ろうねっ、シュヴァヴァ!♪」
シュヴァル「う、うん…でも…ホクトさんやテンさんも…。」
テン「はい、シュヴァルさんに勇気を与えられるような走りを…必ず。」
ホクト「勝ったらトレくんがパーティーしてくれるって~♪」
「おい、ちょっと待て。」
シュヴァル「…と、トレーナーさんとなら…パーティーも楽しいはず…です。
普段は…あんまり参加したいって思わないんですけど…。」
「…テンは、もう朝日杯FSが直前に控えてる訳だが…その後は────」
テン「───クラシック三冠」
「…目指すか、やっぱり。」
テン「はい、私自身が…と言うよりも…させたいのです。
トレーナー様を三冠トレーナーに。」
「…テン。」
ホクト「なーらー…ホクベーちゃんも、目指そっかな~?」
テン「…貴方も、ですか?」
ホクト「あ、ライバルに名乗りを!って訳じゃないよ?
…三冠は三冠でも、もう1つあるでしょ?♪」
「…それって…。」
ホクト「まぁ、選抜レースも走り終わってないのに何言ってんだって話だけどね~。
…でも…私も、目指すよ…トリプルティアラ。」
本気の時に見せる表情と共に、どこか不敵な笑みを浮かべるホクトベガ。
テン「…なら…私たちでクラシック級を席巻しましょう。」
ホクト「私らチーム星々が本気出したらどうなるか思い知らしてやろ~っ♪」
ホクト「よーしっ、そうと決まれば………ランチだ~!!♪」
テン「練習ではないのですね、貴方らしいです。」
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