朝日杯FSの翌日…テンポイントはチームメンバーに頼み込んで模擬レースを行っていた。
テン「……すいません、無理を言ってしまい。」
エース「まぁ、勝てても次に残る課題は何とか早めに解決させなきゃな。」
シュヴァル「えっ、と…エースさんが逃げて…僕とホクトさんがテンさんを内に塞ぐように走れば…良いんですか?」
テン「はい、それが一番の課題です…。」
ホクト「んじゃ、そういうことなら…遠慮なくするぜ~。」
そうして、4人がスタート位置に着いた。
テン「……よし…。」
当初の打ち合わせ通り…エースが強引にハナを奪った。
そして、外にシュヴァル…すぐ後ろにホクト…テンの進路を塞ぐように蓋をしながら走っていた。
テン(……やっぱり、この走り方じゃ…っ)
エース(…さぁ、どうする……?)
ちらっと後ろに目をやるエース。
すると、テンがスピードを落とし、後方に下がり…外へとコースを移そうとしていた。
エース「───甘いぜっ!!」
テン「……!」
それと同時に、エースが加速し、逃げのリードを広げていった。
ホクト(……もしや、この展開……チャンスなのではでは?)
ホクト「とっつげきーーーー!!」
テン「─────なっ。」
すると、テンが外にコースを移す前に、ホクトがまくり気味に上がっていった。
テン(大丈夫……あのペースなら…2人で互いを消耗しあって……チャンスが……
私は……''シュヴァルさん''の動きだけを注意して……!)
シュヴァル(並ばれた……でも…っ!)
テン「……っ!?(競り合いのはずなのに……シュヴァルさんの方が加速している……!?)」
結局、仕掛けどころを見失ったテンは4着に終わった。
ホクトもまくったまでは良かったがその後の脚が無く……3着になった。
ホクト「うーん、まだまだ改良の余地あ~り!!」
テン「はぁ……はぁ……くっ……!」
エース「いいか、テン。
逃げる為にまず必要なのは''スタート''だ、コツは────」
……………………というやり取りを遠巻きに見ていた俺とアルダン。
「気合い入ってるな。」
アルダン「ふふっ、そうですね……互いが互いを刺激し合う…素晴らしい光景です。」
ストップウォッチとタブレットを片手に、アルダンがそう呟いた。
「……良い風景だよな、ホント。」
アルダン「……そうですね、昔の私たちに言ったら…絶対に信じてもらえないくらいに。」
「……アルダンとエースが共にGI3勝…テンが1勝…シュヴァルもGIレースに出始めた…凄いよ、ホントに。」
アルダン「……そこまで導いてくれたトレーナーさんのおかげ、ですよ♪」
「あはは、俺は何も…。」
アルダン「いいえ、私は断言します…トレーナーさんのおかげです。」
「……そっか、ありがとうね、アル。」
にこやかに笑うと、アルダンが顔を赤くし…言葉を飲んだ。
アルダン(なんでしょう…この感覚…胸がザワつきます…)
……その後も、どこか落ち着かないアルダンだった。
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【その後 トレーナー室】
アルダン「トレーナーさん、資料まとめておきました。」
「ありがとう、アル……やっぱり2人だとスピードも早いね。」
アルダン「えぇ、お役に立てているのなら…良かったです。」
「もうバリバリ助かってるよ、本当にありがとうね。」
アルダン「─────っ。」
またしても、胸が高鳴るアルダン。
もうトレーナーの顔から目が離せなかった。
「……アル?」
視線に気づいたトレーナーが、アルダンに声をかけた。
アルダン「……あっ……は、はいっ。」
「……どうかしたの?」
アルダン「……いえ、何も…。」
「疲れちゃったなら、言ってね。」
アルダン「……あの……トレーナーさん。」
「ん?」
ゆっくりと立ち上がるアルダン。
トレーナーの目の前に立ち……とある物を渡してきた。
アルダン「……こちらを。」
「……絆創膏…?しかも、大判の…。」
受け取ったトレーナーは、直ぐに意図に気付いた。
「お、俺どこか怪我してた!?」
アルダン「……いえ、そうではありません…が。
……じっとしていてください。」
細い指で両頬を掴み、身動きを取れないようにするアルダン。
…視線が合った瞳は……どこか、潤んでいた。
「……アル……っ?」
アルダン「…ごめんなさい、トレーナーさん……失礼します…///」
視線を落としたアルダンが取った行動は─────
「……っ……!!」
首元を襲う冷たい感覚。
水音がトレーナー室に響き……トレーナーは声にならない声を口から漏らす。
「……ア、ル…っ……。」
アルダンが、一心不乱に首筋に口をつけていた。
離そうにも、力で勝てる訳もなく……トレーナーは為す術なくされるがままだった。
しばらくの間……アルダンからの口付けが続いた後……静かにその距離が離れた。
アルダン「んっ……はぁ…っ……トレーナーさん…申し訳、ありません……///」
顔を紅潮させ…自分の唇に指をあてがうアルダン。
その唇は、プルプルに潤っていて…その感覚が自分の首筋にもあった。
「……これ、は……。」
触ろうとしたが、その手をアルダンが止めた。
アルダン「……すいません…マーク…付けちゃいました……♪///」
マーク…それが、どういう意味なのかトレーナーにはすぐ分かった。
「……なん、で…こんな事を…?」
アルダン「……すいません、トレーナーさん…貴方の事が愛おしすぎて…つい…///」
「……つい、って……」
アルダン「そのための……絆創膏…ですから……♪///」
「……仕方ない娘だな…アルは。」
アルダン「……もう一度…してもいいですか…?///」
どうやら、完全にスイッチが入ってしまったアルダン……。
せめて、門限に間に合うかだけ…気にしておこう。
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