【京成杯 当日】
テン「……………………。」
エース「…いつにも増して、集中してるな。」
アルダン「はい、何か鬼気迫る物を感じます。」
ホクト「…………。」
シュヴァル(あのホクトさんも何も言わないでじっと見てる…一体、どうしたんだろう…。)
「……テン、そろそろ。」
テン「……はい、トレーナー様。」
エース(アイツ…あんな雰囲気だったか?…それに、目も…。)
アルダン「本日の出走ウマ娘は6人、バ場状態は良です。」
ホクト「……テンポイントが出走を表明して何人か辞退したって感じだね。」
シュヴァル「(テン…ポイント…?)そ、そう…ですね。」
テン「……トレーナー様。」
何も言わずに、トレーナーの胸にトンっと頭を預けるテンポイント。
トレーナーも何も言わずにただそれをじっと見守る。
テン「……行ってきます。」
「あぁ、無事に帰ってこい。」
その言葉を受け取り…テンポイントは控え室を後にした。
エース「……アイツ、何かあったのか?」
アルダン「どこか雰囲気が変わったと言うか…目や纏うオーラが変わったと言いますか……。」
「……テンの中での潜在能力が開花し始めてる。」
ホクト「…………。」
「ライバルの存在か……はたまた、自身の想いの増長か……。
どちらにせよ、アイツはまだまだ強くなる。」
シュヴァル「……あれが…想いの力……。(僕にはまだ……そんな力……無いな…。)」
【スタンド】
トウショウボーイ「お前も見に来たか。」
グリーングラス「…………。」
トウショウボーイ「ふん、少しは噛みつきごたえのある顔になったじゃぁねぇか。」
テン「…………。」
実況「さぁ、芝コース2000mで繰り広げられるクラシックへの登竜門…''京成杯''
間もなく出走の時間となります。
注目はやはり、3戦3勝三冠へ向けて弾みをつける走りができるか圧倒的な1番人気2番テンポイントです。」
テン「……。」
解説「いつも以上に集中した表情ですね、好勝負に期待しましょう。」
実況「少数でのレース、ゲート入りもスムーズです。
6人、スタートの瞬間を今か今かと待ちます。」
────ガッコン!
実況「今スタートしました!
テンポイント、今日も好スタートだ!これはハナを一気に奪い取るか!」
エース「スタートはやっぱり武器だな。」
アルダン「えぇ、これなら前走の様な事には─────」
テン「……………………すぅ……。」
実況「おぉっと!?テンポイント、好スタートから位置を下げ始めました!
これは一体どういう作戦なのか!?」
ホクト「テン……っ!?」
シュヴァル「と、トレーナーさん……!」
「……アイツ……。」
トウショウボーイ「……ほぅ……そう来たか。」
グリーングラス「………………。」
テン「………………。」
実況「テンポイントは現在2番手、横目で各ウマ娘を見ながら残り800mへと差し掛かります!」
出走ウマ娘A「……舐める、なぁっ!」
テン「………………しゅっ……!!」
出走ウマ娘A「……っ!?」
実況「後方から上がる4番を遮るようにテンポイントが上がってきた!」
出走ウマ娘A「……それが……どうしたぁっ!!」
テン「…………。」
実況「しかし、負けじと4番も上がってくる!激しい鍔迫り合いで、2人のウマ娘が後ろを離していく!」
出走ウマ娘A「があぁあああっ!!」
テン「………はぁああああぁあぁっ!!」
(……2番手のウマ娘を見ながらペースを調整してる…?)
出走ウマ娘A「……ぐっ……!」
実況「最後は僅かに前へ出たテンポイントが今1着でゴーーーーールインッ!!!
圧勝劇とはいかなかったが、粘り強い走りで4戦4勝!!」
テン「はぁっ……はぁっ……。」
出走ウマ娘A「……ち、くしょう……っ!!」
トウショウボーイ「……逃げ一手…じゃないって示したいわけだな。」
トウショウボーイ(手の内を晒す…って事は、それだけ勝てると踏んでるって事か……ふん、おもしれぇな……ますますその首を……狙いたくなる。)
グリーングラス「……………………。」
─────────────────────────
【控え室】
テン「……申し訳ありません。」
深々と頭を下げるテンポイント。
俺の後ろでは、エースとホクトが腕を組みながら見ていた。
「……まず、理由を聞かせてもらえるかな?」
テン「……逃げの作戦だけでは…このまま勝ち切るのは難しい…そう判断しました。」
「……それは……''あの選抜レース''も影響してるのかな?」
テン「……………………はい。」
「……マーク策…確かに、逃げウマ娘だと逆に目標にされやすい欠点があるのも否めない。
テンの能力なら好位先行やマーク策も出来ないわけじゃない…が、簡単でも無いのは今日のレースでも分かっただろ?」
テン「……少し、落ち着かなかったのは、事実です。」
(でも……勝つためなら敢えて難しい道を選ぶのも厭わない……と)
「……それが分かったなら、それもまた成長だ。
なら、次走もその作戦で走ろう…異議は無いね?」
テン「……ありがとうございます、全く異論無しでございます。」
「……ってわけだ、2人ともいい加減その顔やめなさい。」
ホクト「……ヒヤヒヤさせる方が悪いんだもん。」
エース「…トレーニングの時からそういうのは言えよな~。」
テン「…す、すいません……。」
シュヴァル「(あれ……目の色が…元に戻ってる…?)…ぼ、僕達も付いてますから……。」
アルダン「はい、勝つために努力する姿…是非ともサポートさせてください。」
テン「皆さん……ありがとうございます。」
「まずは、4勝目おめでとう、テン。」
テン「……ありがとうございます、トレーナー様。」
エース「で、トレーナー…何か話があるって言ってたな?」
「あ、そうそう…来週はホクトのレースがあるからな。」
ホクト「そうそう、ホクトのレースが…………って、ええぇええええっ!?」
エース「また急だな……。」
「前もって言ってたら、ホクトは駄々こねるし。」
ホクト「ホクベーちゃんに対する信頼性薄くない??命中率75%なん???」
アルダン「まぁまぁ……距離はダート1800mになります。」
ホクト「けーっ、またダートかぁ…トレくんセンス無いなぁ……。」
「ほう、そんな事言うのはこの口か。」
ホクト「いひゃい、いひゃい!トレハラだ~っ!!」
シュヴァル「……ト、トレハラ……。」
ホクト「ぐすん……っ……まぁ、テンテンが頑張ってるんだし…ホクベーちゃんも頑張りますか。」
エース「偉く素直だな。」
ホクト(そりゃ……あんな姿を見ちゃったら……ね。
何かに対してあんなに気持ちぶつけて走る姿見たら……感化されないわけないっしょ。)
テン「貴方はまず小テストをどうにかしなければいけませんね。」
ホクト「……げっ。」
エース「お前……。」
アルダン「帰ったらお勉強のお時間ですね。」
ホクト「ひえ~んっ!」
評価・感想・お気に入り登録
よろしくお願いします。