─────テンポイントの京成杯から翌週。
ホクト「…んおおおぉおお~~レーースだあぁああああ~!」
エース「相変わらずだな。」
ホクト「ふふん、もうレース慣れはバッチリだもんに。」
シュヴァル「…え、っと…油断しちゃダメ…ですよ。」
アルダン「そうですね、圧倒的1番人気ですが…油断は禁物ですよ。」
ホクト「もちろんっ!♪
それに、''どっかん逃げ''と''どっかんまくり''があるからね~♪」
テン「………。」
「気負いしてないなら言うことは1つだ…頑張ってこい、ホクトベガ。」
ホクト「あいっあいさーーーっ!!♪」
ビシッと敬礼を決めて、ホクトベガは控え室を後にした。
テン「…すいません、ホクトさんに伝えたい事があったので…地下バ道に行ってもよろしいでしょうか。」
「…伝えたい事…うん、いいよ?」
テン「ありがとうございます、トレーナー様。」
ペコッと頭を下げて、ホクトベガの後を追うようにテンポイントが控え室を出た。
エース「伝えたい事…って、なんだろな。」
シュヴァル「後を追うって事は…それだけ大事な件…って事、ですよね。」
アルダン「テンさんの事です、きっと本人のためになることを言うはずです。」
「………だな。」
【地下バ道】
ホクト「……………ふぅぅぅ~っ…。」
テン「ホクトさん。」
ホクト「うわぁっ!?…って、テンテンじゃん…どったの?」
テン「いえ、少しお伝えしたい事が。」
ホクト「………………。」
テン「そんなに身構えないでください、ここに来てまで説教をするつもりはありません。」
ホクト「…んー、じゃあ何の御用件で~?」
テン「……まだ、隠したままで居るつもりですか?」
ホクト「…何のことか、分からないな~。」
テン「貴方のレースに対する意識です、本当はもっと奥深くに眠ってるはずです。
─────貴方の真剣な眼差しと…想いが。」
ホクト「……ま、今じゃないかな…ご忠告ありがとうね、テンテン。」
テン「………………………。」
ホクト(…そんな事言って…まだ怖いってのは…あるんだけどね。
見透かされてるなぁ、私…らしくないなぁ。)
────────────────────────
実況「降りしきる雨の中…不良バ場のダートコースで行われる
1800mのレース。
9人のウマ娘の中で、1番人気に推されたのは選抜レースの9バ身差の圧勝だったホクトベガが大外9番枠に向かいます。」
ホクト(……足元、結構泥濘む…。)
実況「ゲートイン、完了しました。」
─────ガッコン!
実況「今スタートしました!
好スタートを切ったのは、4番、そのままハナを進みます。」
ホクト「2番手……それなら…!」
エース「今日は前走と打って変わって先行策か。」
アルダン「元々パワーのある方です、仕掛け所さえちゃんとすれば…。」
テン「…………。」
シュヴァル「…テン、さん?」
テン(─────いけません、このままでは…。)
実況「さあ、快調に逃げる4番。
その後、すぐ後ろに9番ホクトベガが追走します。
1000m通過タイムは60秒1!ほぼ平均ペースでレースが進んでいく!」
ホクト「………………すぅ…。」
出走ウマ娘A「………っ…!!!!!」
─────ユラァ…。
出走ウマ娘A(…何か……………来る…っ!!!)
実況「おぉっと、ここで先頭を走る4番がスパートをかけた!!」
ホクト「…っ……!!……させ、ないっ…!!」
実況「それを見るようにホクトベガも上がっていく!!」
出走ウマ娘B「なっ…!!…かまされた…!!」
出走ウマ娘C「先頭と2番手のダッシュに…追いつけない…!!」
出走ウマ娘A「ぐぅぅっ…!!!」
実況「逃げる4番に対して、ホクトベガが猛追する!!!その差が縮まるか!!」
ホクト「………簡単にっ…負けるかあぁああああっ!!!!」
「…!」
テン「……………。」
実況「しかし、届かない!!伸びないホクトベガ!!!
そのまま逃げ切って、今ゴーーールインッ!!!!!!!
ホクトベガは惜しくも2着に敗れました!!!!」
ホクト「…うぐぅっ…だぁっ…っ!!!!」
走り終えたホクトベガは、不良バ場に倒れ込んだ。
体操服が汚れようが関係なく…大きく肩で息をしていた。
「…ホクト…。」
テン「…彼女の溢れ出る闘志が相手にも伝わったのでしょう。
まだまだ…彼女は強くなります…底知れぬ闘気を感じ取れました。」
「…じゃあ、さっきはそれを伝えに?」
テン「…はい。」
ホクト「…くそっ……っくしょおおぉおおおぉっ!!!!!」
余程悔しかったのか、ホクトベガは声が枯れるまで叫び続けた。
エース「…声、かけないのか。」
「…
どうするのか、自分で考えた答えを…俺は聞くだけだ。」
アルダン「…そうですね、それも彼女のため…ですね。」
シュヴァル「…きっと乗り越えられるはずです…僕は、そう感じます。」
テン「………はい、懸命な判断かと。」
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