【2月中旬】
ホクト「…………よしっ。」
エース「気合、相当入ってんな。」
ホクト「……まぁ、ね。
─────今日は……勝つよ、絶対。」
アルダン(あの目…どうやらその言葉は本気の表れのよう…ですね。)
シュヴァル「……テンさん、どうしたんですか?」
テン「……っ……いえ、すいません……。」
ホクト(………………。)
エース(おい、アルダン。)
アルダン(どうかなさいましたか、エースさん。)
エース(アレ…結局どうするんだ?)
アルダン(ホクトさんは…レース後に……と、仰っていましたが…。)
エース(ならいいけどよ……。)
テン「…………。」
シュヴァル(やっぱり、さっきからシュヴァルさん…ずっとキョロキョロしている……一体どうしたんだろ……。)
………………………………。
観客A「前走惜敗だったホクトベガは今日も圧倒的1番人気か。」
観客B「負けて強しの内容だったからなぁ、今日は大丈夫だと思うけど。」
ホクト「…………。」
「……集中してるな。」
アルダン「はい、何か通ずるものを感じます。」
ホクト「─────…………よし。」
実況「晴れやかな天気の中、良バ場で行われるダート1600m競走。
16人立ての中、圧倒的1番人気に推されたのは12番ホクトベガです。」
解説「気合いの入ったいい表情をしていますね、期待できそうです。」
ホクト(ここを勝って……私は─────)
実況「さあ、16人ゲート入りが終わりました。」
─────ガッコン!
実況「今スタートしました!各ウマ娘、揃って良い飛び出しを見せました!」
ホクト「……………………。」
実況「ホクトベガは、スタート抑えて前団にとりつきます。」
ホクト「…………3番手………作戦内…。」
シュヴァル(目つきが……変わった…?)
エース(1人…オーラが違うな…変わったな、ホクト)
実況「1000m通過タイムは60秒2!平均ペースの中レースが進められます!
ホクトベガは3番手のままレースは終盤を迎えます!」
ホクト「─────ここだっ!!!」
アルダン「……!」
テン「これは……っ!」
実況「ホクトベガ、一気に上がって行った!後続も上がってきて
いよいよ最後の直線コースに差し掛かる!!」
ホクト「踏み込め…もっと……もっとっ!!!!!」
─────グッ……。
────ズバァアアアアァァンッ!!!
実況「ホクトベガ、伸びる伸びる!!これは後続は抜かせそうにないか!」
ホクト「─────抜かせ……ない……!!」
実況「3バ身のリードをつけて、ホクトベガ、今1着でゴールインッ!!!」
観客【ワアァアアアアアーーーッ!!!】
ホクト「………………良しっ!」
実況「右腕を高々と掲げ歓声に応えます!」
アルダン「……良いレースでしたね。」
「ああ、これなら……」
エース「これなら……なんだよ?」
ホクト「────見ててくれた、トレーナー?」
「あぁ、良いレースだった。」
ホクト「……どうやら、考えてる事は同じ…みたいだね。」
「……あぁ、次は殴り込むよ……ティアラ路線に!」
ホクト「……っ……もちろん!!」
シュヴァル「トリプルティアラ…!」
テン「私と同じように…彼女もまた…高みを目指すのですね。」
ホクト「…………よーーーーーーしっ!!!行くぞ~~~!!」
「はは、いつものホクトに戻ったな。」
テン「………………!」
「テン…どうした?」
テン「この気配……来ます……彼女が……。」
「彼女って……まさか……。」
トウショウボーイ「……いい匂いだ、闘いの場に相応しい…血に飢えた匂い。」
観客A【おぉ、トウショウボーイだ!】
観客B【まだ1戦しかしてないんだろ?あの貫禄は一体……。】
トウショウボーイ「………………。」
テン「……っ。」
「……テン。」
テン「と、トレーナー様……。」
「無理に目を合わせようとしなくていい、萎縮する必要も無い。」
テン「……はい、ありがとうございます。」
トウショウボーイ(あの体格…ふん、少しはマシになってきたようだな。)
実況「今日一番の歓声を浴びながら、パドックに姿を現したのはこのウマ娘!
10番、トウショウボーイ!」
トウショウボーイ「我はトウショウボーイ…ただ制圧し前進するこのレース場を布武する者なり!」
実況「何と勝気な発言でしょうか!!やはりクラシック級に殴り込み、三冠を全て取ると言ったコメントは本物なのでしょうか!!」
テン「………………。」
シュヴァル(テンさん……ずっと、あの人から目を離してない…。
でも……手…震えてる…。)
実況「まだスタンドがザワつく中、ダート1400mのレースが始まろうとしています。
最後の枠入りに、10番トウショウボーイがゆっくりと歩みを進めます。」
トウショウボーイ「……いざ、疾く行かん!」
───ガッコン!
実況「スタートしました!おおっと!
好ダッシュを見せたのはトウショウボーイ!
あっという間に先頭に立ちました!」
観客A「すげぇ、なんてスタートだよ!」
観客B「こりゃ、勝ったも同然か?」
トウショウボーイ「先手必勝……参るっ!!!!」
実況「先頭を走るトウショウボーイ!逃げのペースを全く弛めません!」
エース「……前走と全然違うな。」
アルダン「えぇ……まるで…''何かを意識''しているようです。」
テン「………………。」
実況「11人を引き連れ、トウショウボーイが第4コーナーへと差し掛かる!」
トウショウボーイ「……勝機っ!!!!」
出走ウマ娘A「くっ……何、このウマ娘……!」
出走ウマ娘B「後ろを見て……笑った……っ!?」
実況「先頭をひた走るトウショウボーイ!2番手3番手、そして4番手と
かなり縦長になった!!これは先頭の背中が遠いぞ、捕まえられそうにない!
まんまと逃げ切ったトウショウボーイ、今先頭でゴールインッ!!!」
観客【ワアァアアアアアーーーッ!!!】
トウショウボーイ「…貫き通すは……我が信念…!!」
観客A「おいおいおい、クラシックレースどうなっちまうんだよ!?」
観客B「トウショウボーイとテンポイント…2人が激突するレース…。
くぅ~!早く見てぇ!」
「………………。」
ホクト「……帰ろっか!」
テン「……ホクトさん。」
ホクト「それに、私達にはお楽しみがあるもんねっ。」
「……お楽しみ?」
────────────────────
【トレーナー室】
ホクト「ではでは!!ホクベーちゃんの2勝目とバレンタインを祝って~…
かんぱ~~~~~~~~~─────」
「待て待て待て!!」
ホクト「おぉう、なぜ止めるん、トレくん。」
「いや、2勝目はいいよ…バレンタインって???」
ホクト「いやぁ、私らで色々考えたんだけどね???」
アルダン「去年は私達3人からトレーナーさんにお送り物をしましたが…。」
エース「今年はパーッとパーティにしようって話になってさ。」
シュヴァル「……ホクトさんの進行…全然決まりませんでしたね。」
ホクト「んだとぉ!!計画性がないって言いたいのかぁ!!!」
シュヴァル「い、痛いです~……!」
テン「……………………。」
「大丈夫か、テン。」
テン「トレーナー様……申し訳ありません、楽しい場に似つかわしくない表情をしてしまい……。」
「思う事が色々あるのは分かる…けど、テンにはテンの良さがあり強さがある。
それは俺が1番よく知っている、大丈夫…お前は強いよ、テン。」
テン「…はい…ありがとうございま─────」
テン「─────っ!!!!!!」
「あぁ、ちょっ、テン!?」
ホクト「トレくん?」
シュヴァル「ど、どうしたんですか…?」
「いや、テンが急にグラスを置いて外に出ちゃって…。」
アルダン「………………。」
エース「……アルダン?」
──────────────
テン「……うっ……くっ……ぁ……っ!」
テン(無理しすぎたのでしょうか…少し嘔気がしますね……。
ですが、トレーナー様に心配をおかけする訳には……。)
テン「……脚に……力が……。」
???「……ぁ……だ、大丈夫っすか!?」
テン「……すいません、お手数をお掛けして……。」
???「……あっ……貴方は…テンポイントさん…!?」
テン「……すいません…少し休めば…大丈夫です…。
失礼ですが……貴方のお名前は……。」
???「ウインバリアシオンっす、シオンで良いっす。(顔色…少し悪い…)」
テン「シオン……さん…すいません、お水があれば助かります…。」
シオン「は、はいっ!どうぞっす!(こんな…顔……初めて見たっす…)」
テン「……このお返しは…必ず……。」
シオン「い、いえ……お気にならさず……!!」
テン「…トレーナー様の元に戻らなくては……。」
シオン(トレーナー……シュヴァルさんが言ってたトレーナーさんの事…っすね。
そこまで想うトレーナー……一体どんな方なんすかね……。)
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