【トレーニングコース】
ホクト「─────はあぁああああっ!!」
テン「流石です……ですが…っ!
─────ふっ!!!!」
シュヴァル「…………。(凄いな…2人とも…まだまだ速くなっちゃいそう…)」
エース「おう、どうしたんだ、シュヴァル?」
シュヴァル「……エースさん。」
エース「隣、座るぜ。」
シュヴァル「あ、は、はい……。」
エース「……気になるのか?あの2人の事が。」
シュヴァル「………………。」
その質問に、シュヴァルは頷くことも首を横にする事もなかった。
シュヴァル「……その…僕も強くなれてるのかな……って。」
エース「不安か?」
シュヴァル「……正直に言うと…不安、です。」
エース「……よっ、と。」
立ち上がり、腕を組んでコースを見つめるエース。
エース「不安になる気持ち、分かるぜ。
トレーナーにも言い難いしよ。
それに…チームメンバーやライバルの影響が大きく関わってくるのも…分かる。」
シュヴァル「……エースさん。」
エース「まっ、そう言われても難しいよな!
……でも、みんな強くなってるはずだ、少なくとも私はそう思ってる。」
シュヴァル「……ぼ、僕…頑張ります…っ!」
エース「ははっ、おう!」
シュヴァル(でも…足取り軽いし…ちょ、調子は…良いと思うし…
エースさんの言う通り…僕も…ちょっとは成長できてるの…かな……。)
「高い持久力、そして…強靭な粘り腰。
それはシュヴァルにしかない絶対的な武器だよ。」
シュヴァル「と、トレーナーさん……っ!」
「ごめんね、エースとの会話が聞こえちゃってね。」
シュヴァル「…最初の頃は…そんな事ない…そんな事あるわけないって…思ってたんです。
でも…少しずつ…信じろ…信じろって自分に言い聞かせて…。」
「走り出したら…変化に気付いた…そうだね?」
シュヴァル「……はい。
息が、前よりもっとあがりにくくなって……。
最後、もう1歩…もう1m…粘れるようになってて……。」
「あぁ、それだけシュヴァルは強くなってるってことだよ……でも。」
シュヴァル「……でも?」
「まだまだ強くなる、俺はそう思ってる。」
シュヴァル「……っ……!
は、はいっ…!
ですので……どうか、本番までもっと…鍛えてください、トレーナーさん…!」
………………………………………………
【阪神大賞典 当日】
実況「さあ、いよいよ始まります''阪神大賞典''
まずはパドックをご覧ください。」
シュヴァル「…すーぅ……ふーーー。
……………………よし。」
実況「─さぁ、続いてパドックに姿を現したのはシュヴァルグランです。」
ホクト「何か顔つき良いねぇ~。」
アルダン「ええ、とてもリラックスした表情かと。」
エース「……大丈夫だ、シュヴァル。」
シュヴァル「…っ、今日は…!
その、よ、よろしく────」
テン「……失礼します、トレーナー様。」
「───え?」
テン「──頑張ってください、シュヴァルさん!!」
チームメンバー「「「「……!」」」」
テンポイントらしからぬ大声に、横にいた皆は目を丸くしていた。
シュヴァル「……!!」
テン「貴方なら大丈夫です!自信を持ってください!」
シュヴァル「……っ…………は、はいっ!!」
テン「…お見苦し姿を失礼しました、トレーナー様。」
「はは、俺の見せ場無くなっちゃったな。」
テン「思わず、声をかけずには…居られずに…。」
「…だな、それだけ…アイツも成長できてるって事だ。」
シュヴァル「…………。(周りの歓声が…テンさんの声が…今はしっかり聞こえてる……こんな事、初めてだ……。)」
「───それにな。」
シュヴァル「……っ……ふーーーーっ…。」
シュヴァル「今日は……勝ちます、絶対に…っ!!」
「今のアイツは…偉大だよ、とっても。」
テン「はい、そうですね。」
エース「歓声が多くなったな。」
ホクト「ひたむきに頑張る姿は皆見てるからね~。」
アルダン「……ホクトさんが珍しくいい事を仰ってますね…。」
ホクト「ぬ~~~んっ!?」
シュヴァル「……ここで…ううん、ここから僕はなるんだ…。
偉大なウマ娘に…!」
────────────────────
【レース終盤】
実況「抜け出したのはシュヴァルグランだ!シュヴァルグランがリードを広げた!
シュヴァルグランだ!先頭はシュヴァルグラン!!
今1着で、ゴーーーーーーールインっ!!!」
観客「わぁあああああぁーーーーーっ!!」
実況「天皇賞・春に向けて視界良好!
シュヴァルグラン、見事な勝利です!!
今年のシニア級ステイヤーに名乗り出るのか!!」
シュヴァル「はっ……はっ…はっ─────
……ぁ…勝、った……?
僕……僕が、本当に────」
「おめ─────」
テン「おめでとうごさいます、シュヴァルさん!」
「……ぬぅ…。」
シュヴァル「……テンさん、トレーナーさん…みんな……。」
勝利を噛み締めるように…シュヴァルは深く、ゆっくりと、頭を下げた。
控え室に戻ったシュヴァル。
レースのほとぼりが冷めないまま、次走について話そうとした時────
???「シュヴァち~~~~~~っ!!!♪」
勢いよく扉が開かれて''何か'が目の前を横切った。
シュヴァル「ヴィ、ヴィブロス……っ!?」
勢いよく抱き着いたのは、シュヴァルの妹であるヴィブロスだった。
ヴィブロス「シュヴァち、すっごく強かったよ~っ!♪」
ヴィルシーナ「えぇ、本当に…素晴らしい走りだったわよ、シュヴァル。」
シュヴァル「……姉さんまで…。」
こちらに向かい、頭を下げるヴィルシーナ。
どうやら、2人もレースを見に来ていたようだ。
ヴィブロス「えへへ~、パパとママ用に写真もいっぱい撮っちゃった~♪」
「……大袈裟だって…まだ…GIIレースだし…。」
ヴィルシーナ「大袈裟なんかじゃないわよ、シュヴァル。
……ここにいる全員、心の底からそう思ってるわ。」
エース「あぁ……だなっ。」
アルダン「はい、間違いありません。」
テン「心震えました。」
ホクト「やっぱチームメンバーが勝つのは気持ちがいいからねぇ~。」
ヴィルシーナ「……良いチームメンバーに出会えたわね、シュヴァル。」
シュヴァル「……うん……僕も、そう思う……。」
ヴィルシーナ「トレーナーさん。」
「……俺か?」
ヴィルシーナ「シュヴァルを、妹を立派にしてくれてありがとうございます。
……願わくば…更に上の世界を…見せてあげてください。」
「……あぁ、約束するよ。」
シュヴァル(まだ見た事の無い世界…見た事の無い景色…トレーナーさんとなら……目指していける……ううん、、目指すんだ……絶対に……!)
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