瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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エフ揉め


第143レース~夏を越えて~

【トレーナー室】

 

 

テン「……………。」

チーム一同「「「「……………。」」」」

 

東京優駿(日本ダービー)でテンポイントはレース直後にその場に蹲った。

すぐさま病院に連れていった結果、診断は────。

 

テン「……トレーナー様…申し訳ありません。」

軽度の骨折と判明した。

本人に聞いたところ、踏み込んだ際に痛めた感じはあったという。

 

テン「……皆さん、そんな顔しないでください…昔の自分に戻っただけですから。」

沈痛な面持ちをするチームメンバーに対して、テンポイントは優しく微笑みかけた。

 

エース「…でもよぉ。」

デュラ(…昔…テンポイントさん、過去にも同じような事が…。)

 

テン「…申し訳ありません、トレーナー様…ダービー7着…加えて怪我…この体たらく…何とお詫びしたらいいのか…」

自分の足を見て、項垂れるテンポイント。

しかし、トレーナーは─────。

 

「何言ってんだよ。」

テン「……え?」

 

「初めて会った時も、怪我を乗り越えてテンは強くなってきたじゃないか。

今回の怪我だって、治して強くなってくれるって俺は信じてるから。」

アルダン「ふふっ、そうですね、何時だってテンさんは前を向いて頑張ってこられましたから。」

エース「あぁ、バッチリ治して秋のレースに備えようぜ!」

 

テン「……皆さん……。」

ホクト「……ん、まぁ……なんか困ったことあったら……何時でも手を貸すから。

だから……早く治してよね。」

 

テン「……ホクト……えぇ、必ず。」

「よしっ、いい返事だ!」

デュラ(……共に寄り添い、何処までも気にかけるその器の大きさ…やはり、私の目に狂いはなかった……そう感じます。)

 

「……だが、足を使わないトレーニングをやり過ぎないようにな?」

頭を撫でると、テンはくすぐったいのか目を瞑りながら甘い声を漏らした。

テン「……んっ……トレーナー様……///」

「OK?」

テン「……はい、かしこまりました……///」

デュラ(……う、羨ましい……!!)

 

 

エース(アイツ……何で尻尾あんなに振り回してるんだ?)

「さて……アル、ここからの進行は任せた。」

アルダン「承知しました、トレーナーさん。

まずは…夏合宿前の最後のレースとして…シュヴァルさんが''宝塚記念''に出走いたします。」

 

シュヴァル「……頑張ります。」

「あぁ、上半期を締めくくるグランプリレースだ……悔いの残らないようにしような。」

 

…………そう……グランプリレース…………な。

テン「……………………。」

デュラ「トレーナー殿?」

「んいや、何でもない。

……後はデュラ、キミのトレーニングメニューを本格的に決めていこうと思っている。」

 

アル「既にトレーナーさんとの契約が済んでいますが、デビュー前にレース慣れするという観点からも選抜レースに出走するのが得策と考えています。」

デュラ「トレーナー殿のご指示ならば、このデュランダル、何処でも何でも走ってみせます。」

 

「あぁ、キミは短距離レースを中心に考えているんだよね?」

デュラ「はい、至高のスピード…聖剣の切れ味を発揮出来るのは短距離レース……そう考えております。」

 

後ろに手を組んで、淡々と答えるデュランダル。

 

ホクト「レーススタイルとか考えてあるの?なければトレくんから─────」

デュラ「─────追込。」

ホクト「……え?」

デュラ「脚質は追込で勝負したいです。」

ホクト「…………え、えぇっと……。」

 

明らかに難しい要求に、チームメンバーは狼狽えてしまった。

無理もない、スピードレースとなる短距離レースでは出遅れですら圧倒的に振りになってしまう展開。

ましてや、過去に活躍した短距離ウマ娘の多くは''逃げ''や''先行''の作戦でレースするウマ娘が多い。

 

デュラ「……皆さんも、奇策だと思いますか。」

狼狽えた様子を見たデュランダルが静かに問いただす。

 

ホクト「……え、と……トレくんは……どう思う?」

言葉が出なかったチームメンバーはトレーナーへ返答を投げた。

そんな中、トレーナーから出た言葉は─────。

 

「いんじゃない?」

……何とも呆気ない返事だった。

「むしろ浪漫って感じだろ!」

しかも、目を輝かせながら笑って見せた。

 

ホクト「え、えぇっ……でも……!!」

「言いたいことは分かるよ。

展開がスローだったりしたらみんなスタミナを残して追い込みなんか不発に終わるって。」

デュラ「…………………………。」

 

「─────でもさ。」

デュランダルの目を見るトレーナー。

 

「キミは自分の切れ味に賭けるんだろう?」

デュラ「……はい。」

迷いなく答えるデュランダル。

その答えを聞いて、トレーナーも静かに頷いた。

 

 

「本人がそうやってレースがしたい、そういうのならばそれをサポートするのが俺の仕事だ。

……それにな。」

ホクト「……それに?」

 

「切れ味の悪い刃物があったとしよう。

刃こぼれもして、完全に切れるまで何度もギコギコと刃を当てなければならない。」

ホクト「……拷問的な話?」

エース「どうしてこの展開でそんな話になるんだよ……。」

 

「……でもそれが、一瞬で全てを切れる鋭利な刃物になったとしよう。

……どう思う?」

テン「……とても、強力な武器になる、かと。」

「あぁ、その通りだ。

王道戦法も不利も展開も全てを切り伏せる切れ味……そんなのを、目指してみないか?」

 

一通り話し終え、再びデュランダルを見る。

デュラ「……流石です、我が主。

そこまで考えてくださる……やはり、貴方が主で本当に良かった。」

 

胸に手を置いて、再び誓うデュランダル。

「さて、そうなると短距離レースを想定したトレーニング……かぁ。」

 

アルダン「走ったことがある方は……。」

テン「……すいません。」

「テン、謝るのは禁止な。

次謝ったら頭撫でるの当分無しね。」

テン「……うっ……分かり……ました。」

 

デュラ(……私も、レース頑張ったら頭を撫でてもらえるのかしら……。

それとも自分からお願い……で、出来るわけないわ……っ!!)

エース(また尻尾振ってる……。)

 

ホクト「……しょーがないなー、ホクベーちゃん一肌ぬいであげますか。」

デュラ「感謝します、ホクトベガさん。」

「あぁ、そうだな……それと、アルも協力してあげてくれないか?」

アルダン「……私も…ですか?」

「……?……キミもデビュー戦は1000mだっただろ?」

アルダン「……!

……覚えてて、くださったのですね…///」

「忘れるわけないだろ?」

アルダン「……ふふっ……はいっ、かしこまりました♪」

エース「……たらしめ。」

シュヴァル(……たらし?)




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