【宝塚記念 前日】
シュヴァル「はぁ、はぁっ……ふぅ……。」
シュヴァル(うん……調子…良さそう。)
1人河川敷を走り込みんで、芝生に座り込むシュヴァルグラン。
シュヴァル(…今度の宝塚記念…キタさんやクラウンさんも出る…エースさんも勝った…宝塚記念……僕も勝ちたい…こんな僕でも応援してるくれるファンの人や…何よりトレーナーさんの気持ちに応えたい……っ。)
シュヴァル「……そのためには……。」
────強く、なりたい。
そう願い、スっと立ち上がりトレーニングを再開するシュヴァルグランだった。
…………………………………………………………
【宝塚記念 当日】
実況「曇天の下での開催となりました。
今年の''宝塚記念''。前日の雨を受け、コースは稍重との情報が入っております。」
実況「時計のかかるバ場に、各ウマ娘たちはどのように対処してくるか。
それでは、パドックを見ていきましょう───」
観客A「うおおぉーーっ!
キタサンブラック、今日もでっかいお祭りを見せてくれー!」
観客B「サトノクラウンさ~~~んっ!
クレバーでかっこいい走り、期待していま~す!!」
シュヴァル(キタさんやクラウンさんへの声援……凄いな…。
2人もちゃんとその声援に応えられる…。)
シュヴァル(───あ、あれ……僕………僕は……。)
観客C「シュヴァルく~~んっ!!頑張って~!!!」
シュヴァル「…………っ!!
は、はいっ、頑張ります……っ!!」
「……………………。」
テン「トレーナー様、如何しましたか。」
「……いや、ちょっと控え室に向かうよ。」
エース「なんかあったのか?」
「ちょっと……な、杞憂ならば良いんだが。」
デュラ「お供致します、トレーナー殿」
ホクト「やれやれ、仕方ないな~。」
アルダン「では、皆様で参りましょうか。」
【控え室】
シュヴァル「…………………………。」
─────コンコン。
シュヴァル「えっ……あ、は、はいっ……。」
「シュヴァル、入るよ。」
シュヴァル「……トレーナーさん…それに、皆さんも…。」
「……シュヴァル~。」
ポムっ。
シュヴァル「……ふ、ふぇっ……とりぇーなーひゃん……?」
ほっぺを摘まれたシュヴァルグランはオロオロしながらトレーナーの方を見た。
「……なんか気負ってるだろ?」
シュヴァル「……んぐっ……そ、そんな……大丈夫です……。」
「……ホントに?」
シュヴァル「……はい。」
「…………………………、そうか。」
間はあったものの、トレーナーは理解して頷いてくれた。
「相手は強いが、全力を尽くしてこい。」
シュヴァル「……は、はいっ……。」
ホクト「も~、トレくん…いきなりそういう事するのはセクハラだぞ~?」
「……うぐ、そうか…。」
テン「シュヴァルさん、そろそろ準備の方を。」
シュヴァル「は、はいっ!」
エース「思いっきしかましてこい!」
アルダン「スタンドで応援してますね。」
デュラ「ご武運を。」
シュヴァル「……はい、ありがとうございます。」
シュヴァル(─────ごめんなさい、トレーナーさん……嘘、ついちゃいました。
僕はもう……ガッカリさせたくないんです……これ以上は、もう……。)
シュヴァル「─────だから、そのためには……!」
実況「生憎の空模様の中、多く詰めかけた観客がレース発走の瞬間を心待ちにしていむす。
グランプリレースの宝塚記念、今年は11人での出走となります。
注目はやはり、お祭りウマ娘のキタサンブラックか。
逆襲を狙うサトノクラウン、上昇気配目立つシュヴァルグランにも期待が集まります。」
キタサン「……よし…っ!」
クラウン「…开始!」
シュヴァル「……僕が……僕が……っ!!」
─────ガッコン!
実況「今スタートしました!
さて、先頭争いはキタサンブラックが─────」
キタサン「……っ!?」
クラウン「……なっ……!!」
シュヴァル「─────やあぁああああっ!!」
ホクト「シュ、シュヴァヴァ!?」
テン「これは……っ。」
アルダン「…トレーナーさん。」
「危惧していたが…やはり…。」
デュラ「……逃げ戦法…しかし。」
エース「あぁ、アイツは本来先行タイプだ…こんなGIレースぶっつけでやるなんてな……。」
シュヴァル(今までじゃ、勝てない……っ!
だから、らしくないことをしろ……虚を突くんだ……!!)
キタサン(……シュヴァルちゃん……!)
クラウン(これは……一筋縄じゃいかなそうね……!)
実況「これは驚いた!ハナを奪ったのはシュヴァルグランだ!
さぁ、残り10人のウマ娘はこの展開をどう対処するのか!」
シュヴァル(キタさんは……3番手…きっと、好位から一気に抜け出してくるつもりだ……。)
クラウン(キタさんの後ろにマークすれば……好機は、ある!)
キタサン(クラウンさんの気迫も…シュヴァルちゃんの熱も感じる……凄い……みんな勝ちたいって想いが…伝わる!)
実況「3コーナー回って、まだシュヴァルグランが先頭だ。
これをピッタリマークするようにキタサンブラックとサトノクラウンが機を伺っているぞ!」
「……リードが縮まってきてる……。」
エース「いくらスタミナを強化したとはいえ……流石にペースまでは握れないか……!」
ホクト「ま、まだまだ!こっからシュヴァヴァの武器はこれから!」
テン「シュヴァルさん……。」
アルダン「……。」
デュラ(これが、レースにかける想い……そして、仲間を想う気持ち……。)
シュヴァル「ぐっ……!!!(嫌だ、嫌だ……っ!!)」
キタサン「(シュヴァルちゃんのペースが落ちた……!)ここならっ!!」
クラウン「游戏!一気に仕掛けるわ!!」
シュヴァル「くぅっ……!(やっぱり……僕は……また……!)」
キタサン「ぐ、ぁっ……!!!(伸びない……なんで……っ!?)」
クラウン「はぁああああぁっーー!!」
実況「大外を突いてサトノクラウンだ!サトノクラウンが抜け出した!
キタサンブラックはどうしたことか、バ群に沈んでしまった!!
先頭は、サトノクラウンだ!!ゴーーーーーールインッ!!!!」
観客「──わぁああぁああああっ!!!」
キタサン「はぁっ、はぁっ……かはっ……!!」
シュヴァル「……ぐっ、はぁっ……はぁっ……っ!!」
「………………。」
エース「シュヴァル……。」
アルダン「勝ちたいという想いが…空回りしてしまったのでしょう。」
ホクト「……うぅ。」
「……俺のせいだ。」
テン「トレーナー様……。」
デュラ「トレーナー殿……。」
「アイツに重荷を課してしまった……俺のせいで……!」
アルダン「……顔を上げてください、トレーナーさん。」
シュヴァル「くそっ……また、僕は……っ!」
アルダン「シュヴァルさんの目は、まだ燃えています。」
「……えっ。」
エース「……あぁ、こんな所で立ち止まるウマ娘じゃねぇよ、シュヴァルは。」
テン「……どうか、自分を責めないでくださいませ。」
デュラ「トレーナー殿は、我々を導く我が君…その選択に間違いは無いと私たちは知っています。」
ホクト「そ・れ・に~、そんな顔はトレくんらしくないよっ。」
「……みんな。」
アルダン「さぁ、シュヴァルさんの所に向かいましょう。」
エース「だなっ、お疲れ様って声掛けてやろうぜ!」
ホクト「はいは~いっ、控え室はこちらでーす!」
テン「恥ずかしいからやめなさい、ホクト。」
デュラ「トレーナー殿、お手を。」
「……ああ。」
シュヴァル「……次こそは……必ず……っ!」
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