瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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幻覚ウマ娘好き


第153レース~神と呼ばれし者~

「…はぁ、こんだけ歩いて収穫無しか…まぁ、何となくは分かっていたが…。」

あれからかなりの時間、山の中を歩いてみたが…特に人やらウマ娘の姿なんか無く鳥の鳴き声が聞こえる位だった。

 

「…帰るか、こうなりゃ人海戦術しかないな…根気よく粘ってれば…なんてな。」

諦めて来た道を帰ろうとした時だった─────

 

「…あれっ。」

…来た道…こっちだったっけ…?

 

「…ヤバい…もしかして…。」

─────迷った!?

い、いや、携帯があれば…っ!

 

「…圏外っ!?」

や、やばい本格的に手詰まりになった…!

「闇雲に…は、さらに迷うよな…しまった、目印でもつけておくんだった…!」

一旦冷静に…一旦冷静に─────

 

 

???「そこの人の者。」

「─────っ!」

 

後ろから聞こえた声に、振り返ることが出来なかった。

背中に氷を入れられたような寒気に襲われたからだ。

 

(ひ、人…だよな、どうしよう…声出せない…っ。)

汗が顔を伝い…鼓動が速まる。

 

???「───緊張するでない。

何も、わては取って食おうとしてる訳では無い。」

「…んな、事…分かってるけど…よ…。」

この圧は何だ…只者じゃない…。

 

???「珍しい来客だと思うてな。様子を見に来たら迷子と来たもんだ。

放っておけんくてな、声を掛けさせてもらうた。」

「……すぅ…はぁっ…。」

深呼吸と共に、振り向く。

そこに居たのは──────────

 

???「どれ、帰り道を教えようか。」

「……う…。」

???「う?」

うわぁあああぁっ!?!!?!?!?

尻もちをつきながら、後ずさりをする。

キョトンとしたまま、その人物はこちらを見ていた。

 

???「突然大きな声を出してどうしたんだい、大丈夫かえ?」

「あ、ああっ…!!!」

金魚のように口をパクパクと開けて指を差す。

その指は震えていた。

風来坊のように気ままに姿を見せては去っていく姿は神かはたまたま風か。

そんな風に言われたウマ娘がそこには立っていた。

 

 

…し、シン……ザン………っ!!!!

シンザン「如何にも。わての名はシンザン…一目で見抜くとは、お主…トレセン学園のトレーナーとお見受けする。」

三度笠に懐手…口には枝を咥えたウマ娘。

神のウマ娘とまで言われた…あのシンザンが目の前にいる。

それだけで思考回路が焼き切れそうになったが、自分の本来の目的を思い出した。

 

「…ぁ……し、シンザン!!!頼みが…っ!!」

シンザン「…聞こうか。」

プレッシャー()は相変わらずだが、その顔は笑っていた。

 

「…鍛えて欲しいウマ娘が居るんだ…俺は、それを頼むためにここに来た。」

シンザン「…居るのかどうかも分からない相手に、か?」

「…あぁ、正直…何日でも来るつもりだった。」

シンザン「…くくっ……はっはっはっはっは!!!!

そうは意気込んだが、自分が迷子になるとはの、お主もなかなか面白い奴よの。」

「…それは…言い返せない。」

 

シンザン「…ふむ…だが…はい、そうですか。分かりました…とは、言えんのう。」

「…何が、欲しい。」

シンザン「慌てるでない、逆であることをゆめゆめ忘れるでない。

…お主は、何を差し出せる?」

「……………………。」

シンザン「真剣なのだろう?その証を─────」

「─────命。」

シンザン「…ほう。」

「そいつらのためなら、この身を差し出してもいい。

煮るなり焼くなり好きにしろ。」

 

シンザン「………ふっ。酔狂な奴よの。」

「……………。」

シンザン「しかし、この姿をあまり見られとうない。こちらも雲のように気ままに生きているのでな。

…そうだな…数日後にもう一度ここに来ると良い。」

「…お、OKなのか!?」

シンザン「久々に楽しませてもらった礼よ。他言するでない。」

「…あ、あぁ…!!」

まさかのOKに自分の心臓が口から出そうだった。

 

シンザン「この道を真っ直ぐ進めば下山出来る。進むが良い。」

「わ、分かった……シンザン…!」

シンザン「…む?」

「…貴方の有馬記念(グランプリレース)…外ラチの1番目の前で見てました。

俺の…トレーナーを目指すきっかけになった大事な…レースです。」

シンザン「…ふむ。」

顎に手を当てて、こちらを見るシンザン。

 

シンザン「…どこか懐かしいと思えば…その様な事、あったやも知れんな。

巡り巡ってまた再会出来る…それもまた一興よ。」

そう言うと、シンザンは山の中を歩いていってしまった。

 

 

「──────────はぁっ、はぁっ…!!」

姿が見えなくなると、俺は倒れ込んだ。

 

「す、凄い……っ…。(話してるだけで…倒れそうになる…。)」

何だかどんどん話が大きくなると感じつつ、空を見上げる。

さっきまで吹いていた風が嘘のように止まり…辺りは自然の音が響くのみとなった。

 

「…あれが…神のウマ娘…か。」




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