瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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あけましておめでとうございます。
年末から年越しにかけてインフルとかいう最悪の流れでしたが
本年もよろしくお願いします。


第154レース~神による施し~

【翌日】

 

エース「…………な~、どこに行くんだよ~?」

アルダン「随分と山の中を進んだようですが…。」

 

俺はチームメンバーを全員連れて昨日訪れた山に訪れた。

もちろん、今から会うウマ娘の事は何も伝えてない。

 

テン「ふむ…私たちの最後の追い込みトレーニングの可能性はありそうですね。」

ホクト「今のところ険しいって感じはしないけど…。」

シュヴァル「…あ、あの…何か変じゃないですか?」

デュラ「…変、とは…どういうことでしょうか、シュヴァルさん。」

 

シュヴァル「…い、いえ…僕の勘違いなら良いんですが…

その…山に入る時は鳴いてたセミの声とか…鳥の鳴き声とか…あったんですけど

いつの間にか聞こえなくなって…その代わりに、風が吹いてきてるような…。」

エース「…言われてみりゃ、そうだな。」

 

シュヴァルの感じた違和感に、チームメンバー一同も足を止めて辺りを見渡す。

確かに、生き物がいる雰囲気もない。

しかも、風が鳴いてるような感覚だった。

 

アルダン「…トレーナーさん、ここは?」

ホクト「まさかトレくん…迷ったとか言わないよねぇ…?!」

テン「…これは。」

─────居る。

 

 

チームメンバー「「「「「………え?」」」」」

トレーナーが目にしたのは…1本の大木だった。

その表面には、謎の切り傷があった。

 

 

デュラ「これは……のような物で切られた痕ですね。」

エース「分かるのか?」

デュラ「えぇ、刀剣の類はある程度は。

………しかし、ここまでの切れ味…一体…。」

 

???「─────来たか。」

デュラ「っ、何奴!?」

腰に据えた剣に手をかけるデュランダル。

他のメンバーは、声のする方を探して辺りを見渡した。

 

デュラ「─────上かっ!」

???「──惜しい。''上だった''じゃな。」

デュラ「何っ…!?」

既に、声のする方向は─────

 

アルダン「……。」

エース「な、なにモンだ!」

アルダン達の後ろに居た。

 

デュラ「くっ……!!!(気配に全く気付けなかった…!)」

あの日と同じように、三度笠に懐手…口には枝を咥えたウマ娘…いや

シンザンは立っていた。

 

テン(何ですか…この絶対なるオーラは…っ…。)

ホクト「…………ウマ…娘…?」

シュヴァル「………と、トレーナー…さん。」

 

「……やっぱり慣れないな…この気迫は…。」

???「わても好かれない物よのぉ…のう、人の者?」

「…特別にトレーニングを見て貰う事になった…名前は─────」

???「────良い。」

「えっ?」

 

 

 

???「───わての名は、シンザン。」

三度笠を、クイッと上げて目を見せるシンザン。

 

 

 

エース「……シンザン…って……。」

アルダン「名前はお聞きした事がありますが…。」

シンザン「…ふむ、そこの人の者、どうやら信憑性が無いと思われてるやもしれん。」

「そりゃそうだろ…俺も未だに信じきれないくらいだし…。」

 

 

ホクト「こ、このウマ娘…授業で聞いた事あるウマ娘だ…!」

テン「…そのような方が、私たちのトレーニングを?」

シンザン「酔狂な人の者に懇願されての。」

シュヴァル「…それって…。」

 

 

 

デュラ(先程からまるで隙がない…それどころか、こちらの動きから何から全て見抜かれてる気がする…。)

シンザン「さて、人の者よ。少々聞いておきたい。

目下レースを間近に控えてる者はおるか?」

 

「…その端にいる子が京都大賞典。真ん中の子がローズS。

帽子を被ってる子がジャパンC。剣を持ってる子がまだデビュー前。」

 

シンザン「…ふむ。」

言われた4人に目配せをするシンザン。

 

シンザン「─────2日だ。」

「え?」

シンザン「1日2名、正味2日目で4名それだけあれば十分よの。」

エース「……アンタの実力は言われなくてもヒシヒシと伝わってくるけどよ…どこでトレーニングすんだ?」

 

シンザン「ふっ、ついてくるが良い。」

サッと踵を返し、山の奥へと進むシンザン。

アルダン「行きましょう、皆さん。」

ホクト「…う、うん。」

 

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

【しばらくして】

 

 

シンザン「この程度の広さがあれば十分勤しめるじゃろう」

森を抜けると、そこには広い平地が広がっていた。

 

シンザン「ここは学園みたいな整った場所では無い分、脚を鍛えるには持ってこいでの。

わても、時々走りに来ているんじゃよ。」

「…ここで。」

 

シンザン「──む、走ってみせろという顔をしておるぞ、人の者よ。

…いや、そこの者達も同じような考えのようじゃの。」

エース「──っし、アタシが相手になる!」

シンザン「その心意気や気に入った……が。」

 

次の瞬間、シンザンが自分の三度笠に手をかけ…遠くへと投げた。

シンザン「───既に機先は制しておるぞ?」

エース「─────なっ…。」

俺とエースの隙間をシンザンは正しく風のように通り過ぎた。

 

エース(な、なんつーデタラメな速さだよ…っ!?)

当然、追いつけるはずもなく…。

 

シンザン「─────ふっ。」

自分の手放した三度笠をキャッチし、そのまま被り直した。

エース「…くっ…はぁっ…はぁっ…(ハンデもらっても勝てる気が全くしねぇ…。)」

シンザン「…さて、では…そこの2人、ちこうよれ。」

そう言われて呼び出されたのは、デュランダルとホクトベガだった。

 

 

シンザン「まずは走りを見せ給ふ。」

デュラ「…分かりました。」

ホクト「…ん。」

まだ警戒してるのか、ホクトベガも普段の表情ではなく険しい表情だった。

 

アルダン「トレーナーさん、大丈夫なのでしょうか…?」

「…あれでも、俺がトレセン学園を目指すきっかけをくれたウマ娘なんだよ。

だから…俺は信じてる。」

アルダン「…そうだったのですか、であれば…私はトレーナーさんの意向に賛成します。」

「ありがとうな、アル」

 

 

デュラ「─────ハッ!!!

ホクト「────────っラァッ!!!

シンザン「………………。」

 

数本走った後、シンザンが静かに歩み寄る。

シンザン「─────固いな。」

デュラ「…はぁっ、はぁっ…。」

ホクト「…固い…って…。」

 

シンザン「特にまだデビューしてない方の者。

走りを見るに短距離系…追込脚質と言ったところか。」

デュラ「…!(そこまで見抜かれるなんて…!)」

シンザン「萎縮する必要は無い、特にスピードは上昇の余地があると見受ける。」

デュラ「…はい。」

シンザン「…そして、こちらに敵意を剥き出しにしてる者。」

ホクト「………………。」

 

シンザン「ふっ、その感情をもっと戦いの場に向けるべき…じゃの。」

ホクト「本気を出してない…とでも?」

シンザン「そうではない、今は筋力を鍛えることを念頭にしているようじゃが

満遍なく鍛えるのが、そちの為になると言うておる。

 

芝・ダート共に走れそうな走りをしておるからの。」

ホクト「…パワー…だけじゃなく…(二刀流はトレくんと同じこと言ってる…。)」

 

シンザン「どれ、もう少し細かく助言をしようでは無いか。

他の者にも良い刺激にもなるようだしのぅ。」

シュヴァル(…凄い…ちょっと見ただけなのに劇的に変わってる気がする…)

テン(このウマ娘が…グランプリレースを勝った…ウマ娘…。)

 

 

シンザン「走りに迷いを入れるでない。」

デュラ「は、はいっ…!」

ホクト「───…っこなくそぉぉぉっ!!!!!(くそっ…このウマ娘(シンザン)を目の前にすると…勝手にプレッシャーを感じて力が入る…っ!)」

 

 

エース「……ホクトのやつ、かなりピリついてるな。」

テン「次走の事、謎のウマ娘のプレッシャー…色々感じ取る所があるのでしょう…。」

アルダン「テンさんとシュヴァルさんも気負いせずにいてくださいね。」

シュヴァル「…っ…は、はい!」

テン「……分かりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

【しばらくして】

 

シンザン「ふむ、こんな所じゃろう。」

デュラ「くっ……はぁっ…はぁっ…ご指導…ありがとうございました…!」

ホクト「ま、だまだっ…走れる…っ…!」

 

シンザン「気概や良し…が、膝が笑うておるぞ。」

ホクト「……くぅっ…!」

シンザン「そろそろ日も落ちる。人の者、連れて帰るが良い。

続きはまた明日にしようかの。」

「あぁ、分かった…帰るよ、デュラ、ホクト。」

デュラ「……はっ。」

ホクト「…分かった…。」

 

 

 

 

…………………………………………………

 

 

【トレセン学園 寮】

 

ホクト「………………………。」

テン「アイシングはもう大丈夫なのですか。」

 

ホクト「…テン……。うん、大丈夫。」

テン「…帰ってきてからずっとそんな調子ですが…。

やはり、あのウマ娘の事、ですか?」

 

ホクト「…お腹の中まで見られてるような…そんな威圧感だった。

喉元に喰らいついてやるって思ってた…けど、まるで歯が立たなかった。

それでも、自分の脚は確かに鍛えられてる感覚がした。

……まだまだ、世界って広いんだね、テンポイント。」

 

テン「…ええ。ですが、それを知れただけでも成長したと言えるでしょう。」

ホクト「…テンも明日頑張ってね?見た目以上にハードだから…。」

テン「…ふふっ、お気遣いありがとうございます。」

 

ホクト(……とは言ってみたものの…確実に何かヒントを得れた気がする。

只者じゃないんだね、あのウマ娘は……。)

テン(トレーナー様のために、強くなれるのであれば……私は、なんだって……。)




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