いよいよ次のステップに行った感がありますね……。
【10月後半】
─────菊花賞 当日
観客A「やっぱり注目はトウショウボーイか?」
観客B「あぁ、でも復活の兆しが見えたテンポイントにも頑張ってほしいな。」
【同時刻 控え室】
「大丈夫か、テン?」
テン「……トレーナー様、はい、私は大丈夫です。」
いつも通り答えるテンポイントの手を取る。
テン「トレーナー…様。」
「嘘だね、ちょっと緊張してる。」
テン「……程よい緊張感を持ってレースに臨もうかと思ってたのですが……。
どうやら、全てお見通しのようですね。」
「いい心掛けだ、それでこそいつものテンだよ。」
テン「はい、ありがとうございます。
テンポイント……最後の一冠、必ず獲ってみせます。」
ホクト「……前評判は、どんな感じ?」
アルダン「1番人気は秋のトライアルも勝ったトウショウボーイさん。
2番人気は、そんなトウショウボーイさんを破ってダービーを勝った───」
テン「……そんな人気は、覆すためにあります。」
すっと立ち上がるテンポイント。
テン「…トレーナー様を始め、色々な人がサポートしてくれたんです。
その恩義に報いるために…私は足を動かします。」
「……テン。」
テン「……どうか、3000m先のゴールで待っていてください、トレーナー様。
必ずや、秋の暮れに勝利の凱歌を。」
そう言うと、頭を下げてテンポイントはパドックへと向かった。
アルダン「……思い出しますね、あの時の事を。」
シュヴァル「そう言えば…同じ菊花賞の舞台、でしたね。」
エース「あの時?」
ホクト「確か、アルルも菊花賞を……。」
アルダン「ええ、未知数の距離を乗り越えて……勝利しました。
ただ、あの時は……もう走れなくなってもいい…これが最後でもいい…そんな気持ちで臨みました。
似てるんです、その時と…今のテンさんの目が。」
デュラ「つまり……テンさんは……。」
アルダン「……憶測で物を言うのはこれくらいにしておきましょう。
皆さん、行きましょう。」
「あぁ……そうだな。」
………………………………………………………
【レース本番直前】
実況「さぁ、白熱したクラシック戦線もこれが最後の一冠。
途方もない3000m先の栄冠を手にするのは、果たしてどのウマ娘か。
注目は1番人気の7番トウショウボーイ。
今日も静かに闘志を燃やし、仁王立ちでレース前の集中力を高めています。」
トウショウボーイ「………………………………。」
テン(……気圧されるな、私…大丈夫……。)
実況「さぁ、各ウマ娘続々とゲートに入っ─────
おっと、11番グリーングラスどうしたのでしょうか?立ち止まったままゲートに入ろうとしません。」
グリーングラス「……。」
係員「どこか痛むんですか?」
グリーングラス「……内バ場……。」
係員「?」
グリーングラス「……。」
実況「あぁ、今ゲート入りしました。
菊花賞、間もなくスタートです!」
トウショウボーイ「……。」
テン「……良し…。」
グリーングラス「……ふぅ…。」
─────ガッコン!
実況「今、スタートしました!
押し出されるようにまずはトウショウボーイとテンポイントこの2人が前を奪いました!」
観客達「──わぁああぁっ!」
テン(外から来るウマ娘が…2人か3人…一旦下がるのが懸命そうですね……。)
トウショウボーイ「……ふんっ……。」
実況「展開を見ながら、トウショウボーイとテンポイント。
互いに意識しているのか、ピッタリと張り付いたままレースは澱みなく進んでいきます。」
トウショウボーイ(……………………。)
テン(ついていける……ここで、勝つんだ……私は…!)
実況「さぁ、1周目を周りこれから2周目に差し掛かろうとする中、トウショウボーイがじわりと位置を上げ始めました。」
トウショウボーイ「……来たか。」
テン「逃がしはしません……!」
実況「それに呼応するように、テンポイントも位置を押し上げに掛かる!」
観客A「やっぱりこの2人のバチバチとした対決だよ!」
観客B「負けるな、トウショウボーイ!!」
「……行ける、テン…!!」
ホクト「ぶっかませーーーーー!!!!」
エース「行っけーーーーっ!!」
実況「さぁ、4コーナー手前でトウショウボーイとテンポイントが外から先頭へと襲いかかる!!」
トウショウボーイ「……ふん…笑止!!」
─────ガツンっ!!!
テン「─────っ……!」
実況「トウショウボーイとテンポイント!!
直線に入り、ガリガリと体をぶつけ合う!!」
観客A「お、おいおい……!」
観客B「体当たりに近いじゃねえか……!!
こんなの一歩間違えれば審議対象になっちまうぞ…!」
「テン……!」
実況「外ラチいっぱいまで2人がせめぎ合うせめぎ合う!!」
テン「ぐっ……!負けるか…私は、負けたく、ないんだ…っ!!!
────────────闘将ぉぉぉおおぉっ!!!!!」
トウショウボーイ「───好敵手ぅうううっ!!!!」
トウショウボーイは……見誤った。
テンポイントの、圧倒的に成長したパワーの前に屈してしまったのだ。
トウショウボーイ「…………なっ……!!!!」
テン(競り落とした……この、まま───)
グリーングラス「……!」
実況「あぁっと!!いつの間にかインからグリーングラスが伸びてきている!!!
2人のせめぎ合いを他所に先頭へと踊り出る!」
テン「……なっ……!!」
実況「これはビックリだ!!!大波乱だ!!!
最後の一冠、1着でゴールインしたのはグリーングラス!!グリーングラスです!!」
観客達「─────うぉおおおおっ!!!!」
実況「トウショウボーイとテンポイントの熾烈な競り合いに目を奪われてましたが
展開突いたのはグリーングラス!これは驚きました!
2着にはテンポイント、3着にはトウショウボーイが入りました!」
テン「…………はぁ……はぁっ…………負け……た……?」
テン「……負けた……私……もう少しで……タイトルを…………」
「……テン…………。」
アルダン「……ほんの少し、あと少しは…レースではよくある事ですが…これは……。」
ホクト「……テン…。」
テン「私は……一体……何を…………私は…………。」
トウショウボーイ「……………………ふん。」
テン「私…………は………………。」
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