テン「………………。」
「──テ………………。」
テン「……………………。」
「テン!」
テン「っ、は、はいっ!!」
「……また上の空だったな、今日の練習は軽めにしておこう」
テン「い、いえっ、走れます、大丈夫で──」
「ダメだ、上がるように」
テン「………………はい。」
ホクト「……自信なくしちゃってるね、テン。」
エース「無理もねぇよ、あの負け方じゃ…」
アルダン「手が触れかけた勝利が零れ落ちる経験……痛い程分かります。」
シュヴァル「トレーナーさんをガッカリさせてしまったって思ってるんですかね……」
デュラ「……無いとは、言い切れませんね。」
テン「…………………………。」
ホクト「……ねぇ、トレくん。」
「どうした?エリザベス女王杯は近いんだ…。
ホクトもレースに向けて調整を怠らないようにな?」
ホクト「……う、うん……分かった……。(テンテンの事、聞けるわけないよね…)」
エース「……っし、シュヴァルもトレーニングすっぞ!」
シュヴァル「えっ、あっ、は、はい……。」
デュラ「では、僭越ながら私もお供致します。」
テン「…………………………。」
その場に立ち尽くしたまま……動くことが出来ないテンポイント。
「………………。」
アルダン「トレーナーさん。」
「ん、アルか……どうした?」
アルダン「お声、掛けないんですか?」
「……今、俺が声を掛けても逆効果だろう。
自分の中で判断をしている最中だ、結論が出るまで俺は見守る事にするよ。」
アルダン「……信用してるから、ですか?」
「もちろん。」
アルダン「……そうですか、では、私の方からテンさんに少し助言を。」
「あぁ、分かった。」
(……アイツなら乗り越えてくれるって信じてるから…。)
アルダン「テンさん。」
テン「……っ……は、はいっ、すいません、今トレーニングを……っ!」
アルダン「いいえ、無理をせずに……少し芝コースを歩かれてみては如何でしょう。」
テン「……っ……はい……。」
ホクト(……テンテン、大丈夫かな……ううん、私には私のレースがある…頑張らなくちゃ…!)
テン「…………。」
実況【あぁっと!!いつの間にかインからグリーングラスが伸びてきている!!!
2人のせめぎ合いを他所に先頭へと踊り出る!】
テン「……ひっ……!!」
突然、怯えた表情で直線コースに崩れ落ちるテンポイント。
エース「テ、テン!」
シュヴァル「大丈夫ですか……っ?!」
デュラ「我が君!」
「……やっぱりフラッシュバックしてしまったか。」
テン「……ぁ……あっ……私……走れません……。」
力なく答えるテンポイント。
その様子をただじっと見ているホクトベガ。
アルダン「…無理強いをしてしまい申し訳ありません、今日はお休みになられましょう。」
テン「………………は、い……。」
ホクト「……………………………………。」
……………………………………………………
【栗東寮】
ホクト「……ねぇ、テンポイント、今度の───」
テン「……すみません、レースの話は……今は、聞きたくありません……。」
ホクト「……そっか、おやすみ……テン。」
テン「…………………………。」
テン(走れない……勝てない……トレーナー様の期待も裏切ってしまう……。)
テン(……そんな私の……存在意義は……あるのでしょうか……。)
【翌日 トレーナー室】
アルダン「それでは、トレーナーさん。」
エース「……トレーニング行ってくるけどよ。」
シュヴァル「……大丈夫です、か?」
デュラ「見かけた所、朝食もあまり食べてる様子ではありませんでしたが……。」
ホクト「……トレくんが何とかしてくれるって、行こ。」
エース「お、おいっ、ホクト!待てよ!」
シュヴァル「ぁ、し、失礼します!」
「………………。」
2人とも喧嘩でもしたのかと、ため息を漏らしつつ
座ったまま俯くテンポイントに目配せをする。
「……走るの、怖いか。」
テン「………………っ……。」
「脚も……上手く動かない、か?」
テン「……………………。」
目の奥には光はなく、頷く事も首を横にすることもしないテンポイント。
「……次走、俺は
テン「………………っ………………。」
グランプリレースと言う言葉にテンの目は一瞬見開かれる。
テン「……………………です……が……。」
「……俺の夢を一緒に叶えてくれるんじゃなかったか?」
テン「……すみません、少し…………考える時間を下さい。」
そう言うと、力なくトレーナー室を後にするテンポイント。
(……これは……予想以上に重症かもしれないな。)
苦虫を噛み潰したように俯くトレーナーであった。
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