瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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ハマチお待ち(は?)


第159レース~ライバルとして仲間として~

【夜】

 

1人、力無くトレーニングコースを眺めるウマ娘が居た。

 

 

 

 

テン「……………。」

 

───走れない。

─────上手く脚が進まない。

 

 

テン「………」

それどころか、脚に重りがついたかのように私を縛りつける。

 

 

 

テン(クラシック三冠を獲るなんて言ってたのに…こんな体たらく…私は何のために…。)

手摺に顔を伏せて、自分の不甲斐なさに顔を歪ませる。

 

 

テン「………私…なんか…。」

その時だった。

 

ホクト「───やぁああぁああぁっ!!!

テン「……っ。」

 

聞き慣れた声と共に、目の前を疾走するウマ娘が居た。

練習終わりのウマ娘A「わっ、ホクトベガさん、まだ練習してる…。」

練習終わりのウマ娘B「確か、明日のエリザベス女王杯に出るんだよね?

凄く鬼気迫る顔でトレーニングしてるような…。」

 

 

テン「……………。(ホクト…ベガ…。)」

ホクト「……明日は、絶対─────」

 

 

 

ホクト「──勝つ!!!!

月が照らす夜のコースにホクトベガの声が響くのであった。

 

 

 

 

……………………………………………

 

 

【翌日 京都レース場】

 

エース「…大丈夫か、テン?」

アルダン「お足元お気をつけください。」

テン「…………はい……。」

 

シュヴァル(テンさん…レース場に向かうまで、ずっと顔を俯かせたままだったな…。)

デュラ「…して、我が君は?」

エース「あぁ、トレーナーなら────」

 

 

 

 

【控え室】

 

ホクト「ごめんね、トレくん、ワガママ言って」

「いいや、気持ちは分かるし、それがホクトの意思なら尚更な。」

 

ホクト「…私は、このレース…絶対に勝つよ。」

「…あぁ。人気なんか関係無い…お前のパワー、見せつけてやれ。」

ホクト「…うん……それとね、テンポイント(あの子)に伝えて欲しいの。」

「……うん?」

ホクト「…えっとね────────」

 

 

【パドック】

 

実況「晴れ渡る空の下、18人のウマ娘が姿を見せました!

中でも注目は、三冠目の秋華賞を蹴って、エリザベス女王杯へ名乗りを上げた───」

 

「お待たせ、みんな。」

エース「ホクトベガ(アイツ)は大丈夫だったか?」

 

「うん、リラックスしつつも気合い入ってて良い表情だったよ。」

テン「…………………。」

 

「…テン。」

テン「……っ………は、はい…。」

「目を背けたくなるかもしれない、けどね、ホクトからの伝言。

────────あのね。」

 

テン「…………………っ。」

ホクト【…えっとね─────

1番近くで、ゴール前で…見ていて欲しい。今、伝えたい事を私の走りに乗せるから。

 

 

「…って。」

テン「…ホクト…。」

 

 

 

実況「さぁ、各ウマ娘が次々とゲート入りを済ませていきます。

クラシック級の新時代か、シニア級の意地か。数多く押しかけたファンもその瞬間に立ち会おうと熱気が渦巻いております!」

ホクト(…テン…。)

 

 

 

─────ガッコン!

 

 

実況「スタートしました!非常に揃った綺麗なスタートから18人のウマ娘が横にズラっと広がりました!

早くもスタンドが大歓声に包まれております!果たして何が行くのか!」

 

ホクト(私は1番ゲート…内に包まれるのは想定内…むしろ、インコースからロスなく回って…パワーで押し切る…!)

 

 

エース「行けぇ、ホクトぉ!!」

アルダン「…テンさん、どうか顔を上げてください…そして見てあげてください、ホクトさんの勇姿を。」

 

テン「………は、い…。」

シュヴァル「…頑張れ…ホクトさん…っ。」

デュラ「ご武運を…!」

 

実況「ハナを進むのは5番ウマ娘、リードを大きく広げて逃げの戦法に出た模様。

そして一番人気にピッタリマークするようにホクトベガがこの位置に付けたか!」

 

ホクト(大丈夫…大丈夫…!)

実況「先頭が早くも3コーナーの坂越えを目指します!

平均ペースの中、残り800mを切りました!」

 

 

ホクト(手応え良し…ちょっと早いけど…問題無い!)

実況「1分36秒、逃げの戦法が影響したのか少し早いペースか!?

早くも2番手集団が先頭を捕らえてグッと固まったまま4コーナーへ向かう!」

 

ホクト「(8、9番手…上等…っ!)…勝負だッッッッ!!!!」

実況「さぁ、大歓声だ!!大歓声にスタンドが揺れている!!」

 

テン「…っ………!……来た…!」

ホクト「(内側が空いた…っ…ここきゃ…!!)…突っ込めぇぇぇぇっ!!!!」

 

 

実況「内からスルスルとホクトベガ!!ホクトベガが抜け出した!!」

エース「行けぇ!!」

アルダン「あともう少し…!」

シュヴァル「ホクトさん…!」

デュラ「テンさん…!」

テン「…ホクト…っ。」

 

ホクト「(このまま簡単に勝てるわけない、後ろから迫るプレッシャー…半端ない…っ!

走り方もダサいし、私らしくない………けど…っ……けど…!!!

死ぬ気で、無我夢中で、全身全霊で、走り抜いてやる……ッ!!!!

だって…………私は……!!!)

────勝つって、約束したんだぁぁああぁああぁッ!!!!!

 

実況「あと100m!!ホクトベガだ!!!ホクトベガだ!!!

ホクトベガが1バ身半リードしたまま─────」

 

 

テン「…………………っ!!!!!」

ホクト「─────受け取って…テンポイント……

 

 

実況「今、ゴーーーーールインっ!!!!

勝ったのはホクトベガ!!3度目の挑戦にして、見事GIタイトルを勝ち取りました!!」

観客「わァァァァァァァァっ!!」

 

 

ホクト「はぁっ、はぁっ……はぁっ……!!!

……勝った……の……?……私が……GI……を……。

……あ、はは……っ……勝てたんだ…私……GI……!!!!」

 

ホクト「─っしゃぁあああぁッッッッ!!

実況「今高らかに勝利の喜びを噛み締めるホクトベガ!

場内からも大きな拍手が鳴り響いています!」

 

 

「……勝った…。」

エース「すげぇ…アイツ、すげぇよ!」

シュヴァル「す、凄い…ホントに勝っちゃった…。」

アルダン「それだけ、想いが勝った…という事です。」

デュラ「…テン殿?」

テン「………………っ………私…は…っ…。」

 

「…テン。」

テン「……私は…私…何かに…っ…。」

「…テン…君とホクトは2人で1つ…そうだろう?

テンの悲しみや悔しさ…苦しみ、全部アイツも分かっていた…だからこそ、勝利を届けたかったんだよ。

…それに…想いはきっと…伝わったはず…だろ?」

 

テン「…トレーナー様…ホクト…。」

「下を向いたまま…彼女に顔合わせ…するのか?」

テン「…っ……!!!」

エース「あぁっ、テンっ、どこに─────」

 

「止めないで。」

エース「で、でもよ…!」

「きっとテン自身も自分の脚に絡みついた重い鎖を解き放とうと必死なんだよ。

…アイツはまた前を向ける…最高で最強のライバルが近くに居るからな。」

 

 

 

 

 

…………………………………

 

 

 

 

 

 

テン「…私は…っ………私は…っ!!!!!」

 

テン「…もう、下を向かない…っ…!!

何があっても…っ!!!!」

 

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

【レース後】

 

 

ホクト「GIの優勝レイってなげーーっ!」

 

エース「コイツは…全く…。」

シュヴァル「ら、らしさ前回のインタビューでしたね…。」

 

デュラ「浮つくのは理解できますが…記者の方も終始笑ってましたもんね。」

アルダン「それだけ、初のGIタイトルは格別…という事ですよ。」

 

ホクト「トレくん、見て見て!優勝レイ巻!」

「…自分の体に巻き付けるんじゃないよ…。」

 

 

───コンコン。

 

エース「ん、誰だ?」

テン「…………。」

 

シュヴァル「て、テンさん…!」

デュラ「お戻りになられたのですね」

 

テン「…。」

「…テン?」

 

テン「……。」

ホクト「………?

…お、おぉう???」

 

 

テン「…………。」

ホクト「ど、どったの…急に抱きついてきて…。」

 

テン「ホクト…ベガ…ありがとう…。」

ホクト「…!

……ん、どういたしまして。」

 

 

テン「…トレーナー様…皆さん…大変、申し訳ありませんでした。

…私は、もう…絶対に下を向きません…ここに、お約束致します。

大事な事は…諦めない事…前を向き続ける事…それをホクトから教えてもらいましたから。」

 

エース「…へへっ、いい顔付きになったじゃねぇか。」

アルダン「これから簒奪していきましょう。」

 

デュラ「アナタなら出来ます、きっと。」

シュヴァル「…ぼ、僕も…勇気を与えられるような走りを…必ず…!」

 

テン「…皆さん…本当にありがとうございます。」

ホクト「で、で???どうどう、優勝レイ巻!」

テン「…もう少しキツく縛りましょうか。」

ホクト「なしてぇーーっ!?」




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