瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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第164レース~ただ、勝ち取りたい~

【12月後半】

 

テン「………………………。」

「調子はどうだ、テン。」

 

テン「はい、シューズ問題無し。勝負服問題無し。

────コンディション問題無し、です。」

「よし、いい顔つきだ。これなら好レースが期待できるな。」

テン「…はい、必ず…獲ります…有マ記念…。」

 

エース「あたしらのチーム(ジュピター)だと取れそうで取れなかった有マ記念のタイトル…今のテンなら絶対に取れるって信じてるぜ!」

テン「エースさん…ありがとうございます。」

 

アルダン「ですが、気負いせず…自分の持てる力を最大限に発揮してくださいまし。」

テン「…はい、分かりました、アルダンさん。」

 

シュヴァル「テ、テンさんのスピードは…ジュピター中では1番って…知ってます、から…。」

テン「えぇ、とても心強いお言葉…ありがとうございます。」

デュラ「どうか、御加護を…。」

テン「デュランダルさんも、ありがとうございます。」

 

ホクト「…………………。」

テン「……ホクト…。」

ホクト「────勝ってきて、必ず。

テン「………はい…!」

 

(みんなの期待にも気負いせずに真っ直ぐ向くその眼差し…成長したな、テン。)

テン「…トレーナー様、行ってまいります。」

「あぁ、頑張ってこい!」

テン「…はい!」

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

実況「さぁ、暮れの総決算…有マ記念!

今年のターフを彩った強豪ウマ娘14人が今パドックに姿を見せました!

注目は何も言っても、1番人気の13番、トウショウボーイ!

クラシック三冠を走り終えても闘将は更なる戦場へと歩を進めます!」

 

トウショウボーイ「……………来たか。」

 

実況「そしてこのウマ娘も忘れてはいけません!

3番人気の12番テンポイント!

クラシック戦線はタイトル戴冠とならなかったが皐月賞と菊花賞2着の実力は伊達じゃない!

今日こそGIタイトルへ流星はターフを駆けます!」

 

テン「………菊花賞ぶりですね、トウショウボーイさん。」

トウショウボーイ「…ふん。」

 

テン「…今までの私とは…もう違うと思ってください。」

実況「おぉっと!早くもトウショウボーイとテンポイント、バチバチと火花を散らしているぞ!」

 

トウショウボーイ「……その目…その意思…全て……全て刈り取ってくれよう…!!」

テン「…負けません、絶対に!!」

トウショウボーイ(…怯む素振りも見せなくなったか…それでこそ好敵手と言えよう…。)

 

 

 

 

 

………………………………………………………

 

 

実況「冬晴れの中、14人のウマ娘がゲートへと向かいます。

今年を締めくくるウマ娘は果たしてどのウマ娘か?

シニア級の意地か、それともクラシック級の台頭か。

目が離せない、2500m!有マ記念。

今────────」

 

 

テン「……………トウショウボーイ…。」

 

 

 

 

 

────ガッコン!

 

 

 

実況「スタートしました!」

エース「…今、テンの奴…隣のトウショウボーイを見ながらスタートしてたな。」

デュラ「えぇ、完全に意識してスタートをしたかと。」

アルダン「ですが、それでも遅れないでゲートを出られたのは天性のスタートセンスでしょう。」

 

ホクト「……トレくん、どう見る?」

「…今のところは何も問題は無い……ただ。」

シュヴァル「………ただ?」

「…………………。」

 

 

実況「良バ場を14人のウマ娘が駆け抜けていく!

中山レース場は大歓声に包まれております!」

テン(スピードに磨きはかかった…パワーも…鍛えられた…だから、今自分に有効な武器を使って…あのウマ娘(トウショウボーイ)に勝つ…!!!)

トウショウボーイ(さて、どう出る……好敵手?)

 

実況「トウショウボーイは前から6番手と言ったところか。

各ウマ娘スタンド前に入りました。テンポイントはここに居ました、5番手内に入ったようです。」

トウショウボーイ(内に入っても怯まなくなったか…少しはマシな顔になったようだな。)

 

実況「さぁ、第1コーナーで外からトウショウボーイがテンポイントに並びかけた。

両クラシックウマ娘がここで並んで5番手でレースを進めています。」

 

エース「…並んだな。」

アルダン「プレッシャーに打ち負けなければいいのですが…。」

ホクト「…そんなヤワじゃないよ、今のテンポイントは。」

 

テン(まだ……ゆったりとしたペースを掴んだまま……一気に仕掛ける…!)

トウショウボーイ(……こやつ……ふん、なるほどな。)

 

実況「一団が第2コーナーに差し掛かります。

トウショウボーイが僅かに外が上がって4番手につけました。」

テン「……それなら……!」

実況「テンポイントも上がっていきました。

やはりマーク策なのか、テンポイントが5番手でびったりとマークしております。」

 

トウショウボーイ「……勝機!!」

実況「しかしそれを見るようにトウショウボーイが一気に上がっていきました!

一気に先頭に迫らんとする!」

テン「……っ……!(遅れを取った……けど、まだ……!)」

 

その時、テンポイントの足の筋肉が隆起する。

 

テン「…………ここしか……無い!」

トウショウボーイ「……!(何だ、何をしようとしている……!?)」

 

 

 

 

 

 

────グッ。

 

 

 

 

 

 

テン「……持ってください……私の……脚……!!」

エース「おいおい、あいつ……!!」

シュヴァル「あ、あのスピードでコーナーを曲がったら……!」

デュラ「膨れてしまう……!」

アルダン「内に包まれて闇雲にコーナーリングをしてしまったのでしょうか……。」

ホクト「…………いや……あれこそが…進化したテンポイントの力、だよ。」

 

実況「トウショウボーイが先頭を捉えて抜け出し────。

おぉっと、高速コーナーリングで外から来た来た!!テンポイントだ!!!

テンポイントがトウショウボーイへと食らいつく!」

 

 

テン「………………トレーナー様……。」

【……俺、どうしても勝ちたいレースがあるんだ。】

テン「……私は……必ず……!」

【────有マ記念。】

 

 

 

 

 

テン「………勝ちます……っ!!!」

トウショウボーイ「……っ……!」

 

 

 

実況「残り200m!トウショウボーイが逃げる!追うテンポイント!!

両クラシックウマ娘が激しい先頭争いだ!!どっちだ!!どっちだ!!!!」

 

 

 

テン「────届、けぇっっ!!!

トウショウボーイ「振りほどいて……みせる……っ!!!」

 

 

 

実況「────僅かに先頭はトウショウボーイだ!!!

トウショウボーイが先頭でゴールインッ!!追い詰めたテンポイントは惜しくも2着!」

 

 

 

トウショウボーイ「ぐぅっ!!……はぁっ、はぁっ……!」

テン「……………負け……ました、か…。」

 

 

 

実況「ゴール板到達後、膝をついてその場に座り込むトウショウボーイ。

大きく肩で息をするテンポイント、両クラシックウマ娘にスタンドからは大きな歓声が沸き起こります!」

 

 

「……2着か。」

エース「これで去年のあたしに続いてこのレースは2年連続2着、か。」

「……いや、健闘したよ!テンの本気の走り、凄かったしね。」

シュヴァル「……そ、そうですね。」

デュラ(……何故でしょう、我が君の顔が少し…。)

アルダン(陰りが見えた気が……。)

 

ホクト「……テンポイント。」

 

テン(……もちろん、悔しい……ですが……何故でしょう…それよりも今は追い詰めた手応えの方が大きい…それに……。)

トウショウボーイ「ぐぅっ……はぁっ……はぁっ……!!(こ、この…闘将が……膝をつく……だと……何だ…何なんだ、このえもいえない緊張感は……!!)」

 

観客A「テンポイント、惜しかったなぁ。」

観客B「終わって見れば1年でGI未勝利か…無冠の帝王だけど、存在感は際立ってたな。」

 

 

 

テン(……無冠の帝王……ですか……。

何も言い返せませんね……ですが、そのままで居るつもりは…ありません。

必ずGIタイトル……そして、トレーナー様の夢である…グランプリレースタイトルを…。)

 

 

 

 

 

………………………………………………

 

 

【地下バ道】

 

 

テン「……!

トレーナー様…!」

「お疲れ様、テ───」

テン「申し訳ありません……!」

 

謝罪と共にテンポイントが胸に飛び込んできた。

「おぶぅっ……!?」

ホクト「……発言と行動が矛盾してないかい?」

やれやれとその一部始終を眺めるホクトベガ。

 

エース「……何はともあれ、ナイスランだったぜ!」

アルダン「えぇ、とても素晴らしかったです。」

 

テン「……ですが、2着…悔しさの方が大きいです、が……。」

デュラ「シニア級ウマ娘を交えての2着…大変立派、かと。」

シュヴァル「う、うん…僕も、そう思った…!」

 

テン「……皆様…ありがとうございます。」

「あぁ、だから勝てるように…来年に向けたトレーニングを始めていこうな。」

テン「トレーナー様……はい、テンポイント、シニア級でも邁進していけるようもっともっと頑張っていきます。」

胸の中で、テンポイントは真っ直ぐ目を見て誓った。




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