【旅館前】
ホクト「着いた~!」
エース「まさか本当に準備させて向かうとは…」
シュヴァル「わ、わざわざ準備進んでるのかチェックしに来る徹底ぶりにちょっと引きま──」
ホクト「なんだとぅ!善は急げと言うではないかぁ!」
テン「そのフットワークの軽さをレースに活かして欲しいんですが…」
ホクト「…いいのかい、テンテン?
この旅館はテンテンの意向も汲んで──」
テン「は、早く行きますよっ!///」
「…やれやれ、元気だな。」
アル「ですが、夏合宿とは違った趣きに期待してしまいますね。」
デュラ「我が君、お足元お気を付けください。」
「あぁ、ありがとう。」
ホクト「部屋ついたらどうする!?まずは観光!?」
シュヴァル「た、食べ歩きしたい…です。」
テン「…如何いたしましょう、トレーナー様。」
「俺は仕事があるから…みんな羽を伸ばしてきていいよ。」
デュラ「わ、我が君が一緒では無いのですか…っ!?」
エース「まぁ、しょうがねぇよな。
ホクト「…ア、アルル~!先導して~!」
アル「ふふっ、仕方ありませんね。では、トレーナーさんこちらはお任せを。
1時間ほどで帰ってきますので。」
「あぁ、何かあったら連絡してくれ。」
ホクト「──ぶーぶー、エーちゃんひどいよぉ。」
エース「いや、事実そうだろ…」
アル「シュヴァルさん、ここの名物は──」
「……さて。」
皆を見送ってから、パソコンを立ち上げる。
調べる内容は────
「去年の選抜レース…選抜レース…。」
そう、昨日会った………昨日…会った…。
「…あれ…?」
────名前が思い出せない。
昨日会ったばかりなのに…ララ…じゃ、なくて…。
「えっ、と……。」
微かに残る面影と選抜レースの結果を頼りに昨日会ったウマ娘を探し求める。
────────来て
「────っ。」
導かれるように辿り着いた選抜レースの結果が画面に表示された。
「──スティルインラブ……17着…?」
大きく離されての最下位。
「…でも、これって…。」
────────見つけに、来て
「………っ!!!」
背筋に冷たい物を入れられた感覚に飛び上がり、そのまま洗面所に向かった。
「はぁっ、はぁっ……!」
大量の汗…息苦しさ……そして胸がえずく。
(…少し…横になろう…)
疲れからか四肢に力が入らない状態で部屋に戻り横になった。
──────────────────────
???「───ナー……様…。」
「ぅ…ん…」
テン「トレーナー様、大丈夫ですか?」
「…ぁ……テン…?」
テン「大丈夫ですか?」
心配そうに顔を見つめるテンポイント。
後頭部からはテンの太ももの感覚が伝わる。
ホクト「おっ、起きた?」
「…あれ……俺…。」
何か悪い夢でも見ていたのだろうか…ひどく汗をかいている。
アル「長時間の移動でお疲れだったのでしょう。」
エース「中々起きないから心配したぞ?」
「あ…ごめん…。」
シュヴァル「温泉入って…ゆっくりしましょう…。」
「だな…。」
ホクト「はいはーい!ではでは、お待ちかねの温泉、なん、です、がーーーー!」
デュラ「…すみません、我が君…ホクトの声が大きく…。」
「あぁ、大丈夫よ…慣れてるから…。」
ホクト「ほいっ、これ引いて!」
差し出してきたのは、6本のヒモ。
ホクト「あ、トレくんは引かなくていいからね?」
「…一応聞いておくけど…これは?」
ホクト「千本くじ!…ならぬ、六本くじ!
「…は、はぁっ???」
ホクト「いやね、テンテンがどうしても混浴じゃなきゃ嫌だーって駄々こね─────」
テン「ま、間違ってはいませんが誇張しすぎです。」
「はあ…そういうことか…。」
部屋は別々ね!という言葉にまんまとしてやられた。
「…拒否権は…。」
テン「……。」
ホクト「あーぁ、テンテンのお耳がぺたーんとなっちゃったよ?」
「…はい、無いんですね…知ってたけど…。」
ホクト「じゃっ、張り切って引いてみよー!まずはテンテンからね。」
テン「では…こちらから…。」
真ん中のヒモを取ると────────
エース「先端が赤色だな。」
シュヴァル「という事は…。」
ホクト「テンテン一抜け~!(まぁ、真ん中に当たりがあるよって予め言ってあるんだけどね。)」
テン「トレーナー様、よろしくお願いいたします。」
「…う、うん…?」
──────よろしくという表現が正しいのか分からないが、ひとまず返事はしておいた。
ホクト「残り1枠!どんどん行くよ─────」
…………………………………………………………
テン「トレーナー様、しっかり肩まで浸かってますか?」
「…う、うん…。」
シュヴァル「…ぶくぶくぶく…///」
テン「シュヴァルさんはずっとあの調子ですね…。」
「俺も…だけどな…。」
テン「…私はトレーナー様とご一緒出来て嬉しいのですが…。」
「…テンって昔に比べたら胆力が増したというか…逞しくなったというか…。」
テン「それもこれも、トレーナー様のおかげですよ。」
シュヴァル「テ、テテテ、テンさんっ!くっつきすぎですよ!?///」
テン「なら、シュヴァルさんもくっつきましょう。」
シュヴァル「へぇぇぇぇぇ~っ!?」
ホクト「いや~、賑やかなようだねぇ」
アル「大丈夫でしょうか?」
エース「大丈夫だろ…多分。」
デュラ「多分なんですか!?」
…………………………………………………………
ホクト「じゃっ、トレくんおやすみ~。」
「お、おやすみ…。」
エース「テン、向こうの部屋忍び込むなよ?」
テン「し、しませんから…!」
アル「ふふっ、夏合宿を思い出しますね。」
デュラ「何かありましたらすぐにお守り致します。」
シュヴァル「…何も起こらないと思いますが…。」
「…やれやれ。」
騒がしくもゆったりと湯船に浸かった体の熱とともに眠りに落ちる。
─────まず…トレセン学園に…戻ったら…。
………………………………………
「……んぐ…むむむ…」
何か鼻の周りがもぞもぞする…目を開けずとも何となく見当がつく。
「…テン、やっぱり来たのね…。」
テン「…も、申し訳ありません…トレーナー様の様子が気になり…。」
「…はいはい、朝までには…戻るんだよ~…。」
テン(…と、言いつつ…がっちり抱きしめて離す気は無さそうですね…。
…まぁ、温かいから…このままで…良い、です…よね…トレーナー様…///)
トレーナーの胸の中で、小さく寝息を立てるテンポイントであった。
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