瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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第18レース~より深く、輝いて~

暮れの中山レース場に、アルダンと俺は居た。

 

 

アルダン「…ついに立てたのですね…GIの舞台に…」

「…ああ」

 

今から走るレース……最も格式が高い…GIレース。

ジュニア級のトップを決める…ホープフルステークス。

 

「アルダンの能力を遺憾無く発揮出来る舞台だ…今まで通り頑張れば…きっと…」

落ち着かない自分の様子に、アルダンはクスクスと笑っていた。

 

アルダン「トレーナーさん、そんなにソワソワして…おもちゃを買ってもらう前の男の子みたいですね♪」

「そ、そうかな?…ごめん」

 

アルダン「焦る気持ちも痛いほど分かります。

…私も、この舞台に立てていることに…胸が踊りそう、ですから」

「…アルダン…」

 

アルダン「ふふっ、これ以上考えてたらもっと緊張してしまいますね。

…ところで、トレーナーさん…私の勝負服は…どうでしょうか?」

スカートの裾を持って、ポーズを取るアルダン。

…正直なところ、可愛すぎると言いたいが…流石に担当相手にそれはまずいだろう。

 

「似合ってるよ」

アルダン「…むぅ…」

「…え?」

 

アルダン「なんでもありません。

それより…トレーナーさん、胸のブローチが少し曇ってるので…拭いていただけませんか?///」

ずいっと体をこちらに寄せてくるアルダン。

目のやり場に困るが…やらないともっと詰め寄ってきそうだ。

 

「…わ、分かった分かったから…!」

直視しないように、ブローチを拭く。

アルダンも満足なのか、嬉しそうに微笑んだ。

 

アルダン「ありがとうございます♪

…思えば、この勝負服を着るまで…ずいぶんと時間がかかってしまいました」

「…アルダン…」

 

アルダン「昔…ばあやに連れられてGIの舞台を見に行ったことがありまして…。

その時に見た、とても綺麗な姿は今でも鮮明に覚えています。」

 

アルダン「そして…1人胸の内に…あの誇りを、光を、纏うのは一体いつになるのだろう。と、考えていました。」

アルダン「必ず袖を通す。そう誓ってはいたのですが…羨ましくなかった、と言えば嘘になりますが…。」

 

「でも、今こうやって着られてるよ…それに…」

アルダン「…?」

「これから、もっともっとアルダンの輝くその姿を見れるって俺は信じてるから」

アルダン「…トレーナーさん…///」

 

アルダン(…着れるきっかけをくれたのは…貴方だった。

この服は…ただの勝負服じゃなくて…貴方が私を信じて送り出してくれた証でもある…)

アルダン「…トレーナーさん。」

 

突然、手を取るアルダン。

不思議そうに彼女を見つめていると、決意に溢れた目でこちらを見返してきた。

 

アルダン「貴方の為に…この誇りと、光を纏うに相応しい私でありたいと考えております。」

「…ああ、アルダンの想いは…伝わったよ」

アルダン「…では、行って参ります…っ!!」

 

 

メジロアルダンによる

初のGIレースの舞台の幕が上がる…!

 

 

 

 

 

…………………………………………。

 

 

 

アルダン「はぁ…はぁっ…はぁっ…!!」

 

アルダンは一生懸命走った。

勝ちを求めて、輝きを求めて。

しかし、結果は7着…壁は厚く…高かった。

 

 

アルダン(まだ…こんな…体たらくでは…っ…)

悔しさを滲ませるアルダン。

結果は残念だったが、レースに対する想い、走りたいという想いの強さに自分は胸を打たれた。

 

 

 

その時だった。

 

出走ウマ娘A「メジロアルダンさん、ラモーヌさんの妹って思ってたけど…今日はイマイチだったね」

出走ウマ娘B「うーん、アルダンさんがって言うよりも…トレーナーの方に原因あるんじゃない?ちょっと優しすぎるし」

 

アルダン「………っ…!!」

心無い言葉に、アルダンの心臓はドクンと跳ねた気がした。

 

アルダン(そんな…っ…違う、トレーナーさんは…私の事をどんな事よりも先に考えてくれて…トレーナーさんが居なければ、私は…

…違う、私が…まだまだ弱いから…っ…)

何も言い返せずに、俯き…拳を握るメジロアルダン。

 

 

 

───────────────────

 

 

「お疲れ様!」

アルダン「…ぁ…トレーナーさん…」

 

「…やっぱりGIレースは凄いね…でも、走れただけでも凄い進歩だよ!」

アルダン「………………。」

 

「クラシック級も始まるし

今後に向けたミーティングをしないと───」

アルダン「…ごめんなさい。」

「…え?」

 

突然、頭を下げるメジロアルダン。

目の前で起こった出来事に、トレーナーは何も言い返すことが出来なかった。

 

アルダン「…私、もっと頑張ります、から…もっと…もっと…」

何かを急いでるような目をしていたアルダン。

自分に言葉を言い聞かせるうちに、目の奥が黒く濁った目になっている気がした。

 

アルダン「…すいません、失礼しま─────」

「待って」

横を通り過ぎようとするアルダンの手を掴む。

顔は合わせようとしなかったが、構わず話を続けた。

 

「…何か、あったのか?」

アルダン「……。」

「話してくれ、俺とアルダンの間に隠し事なんて…悲しいよ」

 

アルダン「…レースの後に…聞いてしまったんです。」

「…………」

アルダン「メジロアルダンが負けたのは…トレーナーに原因がある…と…。」

「………!」

 

アルダン「私のことは、いくらでも卑下されても気にとめません…

ですが…トレーナーさんの事を悪く言われるのは…心が苦しくて…

自分の不甲斐なさに腹が立ち…

弱い自分が情けな─────」

 

 

 

 

 

 

それ以上の言葉を、トレーナーが遮った。

 

 

 

 

 

 

 

「…もう、なにも言うな」

アルダン「…ぁ…トレーナー…さん…?」

いつもよりも、少し強く抱きしめる。

1人で背負わせてしまったこと、アルダンの辛さを知ったから。

 

 

 

「…外野の声なんか、気にするな」

アルダン「ですが…トレーナーさんが…っ…」

「周りからどう思われてても構わない

俺も同じ立場ならきっと言ってる人の事を許さないと思う

…それに、アルダンのそんな姿を見たくない」

 

アルダン「…トレーナー…さん…」

「それに、言ったろ?…一緒に強くなろうって

アルダンの魅力や頑張り、想い…1番理解してるのは、俺だからさ」

 

アルダン(…ぁ…そう、でした…。

これが…甘える…頼る、ということ…でしょう…か。)

「……落ち着いたか?」

 

アルダン「…取り乱して、すいませんでした。

…ふふっ、トレーナーさんには弱い所を見せてばかりですね。」

「いいんだよ、全部ひっくるめてアルダンの事が…」

 

アルダン「…えっ…?///」

「あ…いや、その…」

 

流れで言いそうになってしまったが、急いで言葉を飲み込んだ。

アルダン「…ふふっ、戻りましょうか♪」

「…あ、あぁ…」

 

何も無かったように、振る舞うメジロアルダン。

でも…少しだけ…距離が近くなった…気が、する…。




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