ジュニア級を走り抜け、迎えた新年。
クラシック級の幕開けとなる今年…
メジロアルダンはというと──────
アナウンサーA「───トゥインクル・シリーズトレンド速報!
続いて紹介するのはこちらの方!」
アナウンサーA「新進気鋭のメジロ家の令嬢
メジロアルダンさ~ん!!」
アナウンサーA「昨年デビューされたメジロアルダンさん
メジロ家のウマ娘というだけではなく
なんとあのメジロラモーヌさんの妹なのです!」
アナウンサーB「いや~、生ける伝説と化した姉がいると
走る際のプレッシャーもなかなかでしょうね。
姉に続く活躍を夢見るファンも多いのでは?」
アナウンサーA「そうなんです。
SNS上でもメジロラモーヌさんの成績にどれほど
近づけるかと注目が集まっており────」
(…''近づける''…か…)
アルダン「トレーナーさんっ♪」
テレビを見ていたが、後ろから何か衝撃を受けた。
ふわりと心地の良い匂いと共に、青い髪が目の前で靡いた。
「アルダン…新年早々嬉しそうだな」
後ろから抱きしめられた腕に触れるとアルダンも笑った。
アルダン「トレーナーさん。
あけましておめでとうございます。」
「あぁ、あけましておめでとう」
アルダン「本年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
…テレビをご覧になられていたのですね。
これは───────」
テレビの音声「──まぁ、厳しいでしょうね。
なにせ史上初のトリプルティアラですから。
それに並ぶとなると、並大抵では─────」
「ごめん、今消すね」
アルダン「ふふっ、お気遣いなく。
姉様と比較されるのは慣れていますので。
ああいったお言葉も想定内です。」
アルダン「……私の光跡が姉様に遠く
及んでないことも、事実ですしね。
とはいえ……その事実に甘んじるつもりはございません。」
「そうだな…でも、俺はアルダンの光跡はしっかり見えてるよ
その……そこに惹かれた…し…」
アルダン「…トレーナーさん…///」
アルダン「…はいっ、私自身の光跡をみなさまに刻めるよう
まい進する所存です。」
「……アルダン…」
アルダン「…ジュニア級はトレーナーさんのおかげで
着実に''今''を積み上げることができました。」
アルダン「誰になんと言われようと…
私は今日までの道行きに誇りを思っています。
ですので─────」
アルダン「トレーナーさんも
あまり気になさならいでください♪」
鼻をツンっと触るアルダン。
ここ最近、アルダンの機嫌が良いことに自分も嬉しかった。
アルダン「……あの、それでと言ってはなんですが
私から少しよいでしょうか?」
「どうかしたか?」
アルダン「私の───いえ、私たちの
クラシック級での道行きについて
お伝えしておきたいことがあります。」
「…あ…っ…」
アルダン「……クラシック級で
挑戦したいことがあります。」
アルダン「ただそれは…少し、先の話です。
口にするのは、まだ、少々おこがましいかと。」
アルダン「なので春のクラシック路線が間近に迫る頃……
私がGIで戦うための体作りと経験を積む
武者修行を完遂し、なお健在であれば─────」
アルダン「そこでご相談させていただけないでしょうか。」
「…なるほど…''今''では無いんだな」
アルダン「…はい。」
隣に座って、少し困った顔で笑うアルダン。
アルダン「やはり…変でしたか?
いつも''今''…''今''と言っていたのに
急に少し先のことを話すだなんて─────」
「まさか、新しいアルダンを見れて嬉しいよ
未来に目を向けて、言葉にして…俺に伝えてくれって点も、ね」
アルダン「…………。」
参ったと観念するように、アルダンが少し俯いた。
アルダン「トレーナーさんは、本当に優しいのですね。
怒ったりすること…ないのでしょうか?」
「…怒って欲しいのか?」
アルダン「…少し…///」
返答に困る答えに、トレーナーも釣られて笑ってしまった。
…………。
その後、メジロアルダンと今後の
トレーニング内容について確認し終えて
ひと息ついたところで────
アルダン「トレーナーさん。
この後、お時間は空いていますか?
…良ければ少し、お願いしたいことがありまして…。」
「空いてるけど…お願いしたいこと?」
アルダン「その…トレーナーさんと一緒に、何か年始らしいことをしたいな……と。」
少々意外な提案だったが、アルダンの息抜きにも良いのかもしれない。
年始らしいことといえば…。
「福笑いとかどうだ?」
アルダン「まぁ……!福笑い!
素敵ですね、ぜひやりましょう!……もしかして、これが一式でしょうか……っ!?」
「ず、随分と嬉しそうだな」
アルダン「恥ずかしながら、私……何かと独りで過ごしてばかりだったので……
人と遊ぶということが、嬉しく……それに、相手がトレーナーさんだから……///」
「ありがとうな、アルダン……めいっぱい楽しも!」
その後、トレーナー室にあった
レクリエーション用の福笑いセットを用意し
アルダン「これは…鼻でしょうか?
となると……ここにきて……えっと、目の位置は……」
アルダン「……よし。出来ました!」
メジロアルダンが目を開けると、元の顔とはかなり懸け離れた
独創的なものが完成していた。
アルダン「…っ、く、ふふっ……!
全然違っていますね……っ!」
子供のようにケラケラと笑うアルダンを、ついずっと眺めていた。
アルダン「さぁ、次はトレーナーさんの番ですよ。
……トレーナーさん?」
「……えっ?……あ、わ、悪い!!」
アルダン「もしかして……退屈、でしたか?」
「そうじゃなくて……その、笑うアルダンが可愛いなって…」
アルダン「……は、早く目隠ししてくださいっ///」
アルダン(こんな赤い顔……とても見せられません……っ///)
─────────────────────
新年も明けて、しばらく経ったある日。
トレセン学園内に設立してある……謎のテントの中にメジロアルダンは居た。
???「よもやよもや……珍しいお客さんですねぇ」
アルダン「こちらの占いは評判だと……風の噂で聞いたもので
……よろしくお願いしますね、フクキタルさん」
フクキタル「ふっふっふ……おまかせあれ…っ!
して、どういった相談でしょう?」
訪れていたのは、マチカネフクキタルがやっている占い小屋。
アシスタント……?のメイショウドトウも恐る恐る占いの模様を眺めていた。
アルダン「その……想い人が居るのですが……
その方との相性と言いますか…どうすればいいのかアドバイスが欲しくて……///」
想い人の顔を想像したのか、メジロアルダンの顔が赤くなる。
それを聞いたマチカネフクキタルが、うんうんと何度も頷いた。
フクキタル「なるほどなるほど……すなわちっ、恋占いということですね!
恋占いは得意中の得意ですからっ!では早速……っ」
目を瞑り、水晶玉に向かって両手をかざすフクキタル。
フクキタル「ハンニャカ~フンニャカ~フラフラルンルン~……っ」
アルダン「……っ」
ドトウ「救いはあるのですか~……?」
短い時間なのに、とてつもなく長い時のような錯覚に陥りそうな時だった。
フクキタル「…………へっ?」
明らかに、水晶玉が眩しく光った。
占っていたはずのフクキタルも、口角をピクピクと怯ませていた。
フクキタル「こ、これは……っ……!」
アルダン「……良い、ということなのでしょうか?」
ドトウ「むしろ、良すぎると言いますか~……」
フクキタル「今すぐにでもお付き合いすべきです!
運勢で言うのなら……大大大大吉といった具合に!」
アルダン「……は、はぁ……///」
フクキタル「ラッキーアイテムはハンカチです!
……しかし、想い人…もしや……?」
アルダン「あ……こ、これで失礼いたします……っ///
フクキタルさん、ドトウさん、ありがとうございました……っ///」
詮索されないように、急ぎ足で去るメジロアルダン。
フクキタル「なんと神々しい……
これは想いの力が導く光りなので────────」
固唾を呑んで水晶玉を見ていたフクキタル…しかし、次の瞬間。
────────ピキっ。
フクキタル「……へ?」
ドトウ「あわわわ……っ」
水晶玉にヒビが入った。
その一部始終を見ていたフクキタルが断末魔を叫ぶ。
フクキタル「にょわぁぁああああぁっ!!?!?!?!?」
ドトウ「こ、これって悪い兆候なのでは~……」
叫んだ姿を見たドトウも焦って目をグルグル回して狼狽えていた。
フクキタル「い、いえ……これはきっと…想いの力に水晶玉が耐えきれなかっただけだと思います……多分!!!!」
ドトウ「占い師がそんなアバウトで良いんでしょうか~……!」
フクキタル「今すぐ予備の水晶玉をっ!!!」
ドトウ「用意周到ですぅ~…………」
アルダン(……想い人……ハンカチ……
まさか、こんな風に誰かに相談したりする日がくるなんて……///
でも、そんな風にしないといけないくらい……私の心にはいつも……いつも、あの人が……///)
早く会いたい、と…いつもより少し早足になるメジロアルダンだった。
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