ありがとうございマックイーン。
マックイーン「は?」
アルダンと共に、過去の練習メニューの振り返りやレース映像の見直し
他愛もない話をしていると…………。
「……もう夕方か」
アルダン「トレーナーさんとお話していると、時間という物があっという間に過ぎていきますね……♪」
「だな、でも…俺は''今''の時間が楽しいよ」
アルダン「ふふっ……私も同感です♪」
その時だった。
グゥゥウウゥゥゥ·····。
アルダン「…………あっ……!///」
「………………」
いつの日か聞いた…お腹の音が聞こえた。
アルダン「あ、あのっ…トレーナーさん……これは……っ///」
「……ぷっ……あははっ!お腹空いたよね、ごめんごめん」
アルダン「も、もうっ…笑わないでください…!///」
こういう姿を見ると、アルダンもお嬢様とか家のこととか関係なく年頃の女の子なんだなと感じる。
「じゃ、何か作るよ。
幸い小さいけどキッチンはあるし」
アルダン「……トレーナーさんが、ですか…?」
「あっ、腕は期待しないでくれよ?」
アルダン「あっ、いえ…そうではなく…
トレーナーさんに作ってもらえるのが…嬉しくて…///」
「…………そ、そうか」
不意打ちで本心を伝えられたからか、何とも気の抜けた返事しか出来なかった俺は急いでキッチンへ向かった。
「(まともにアルダンの顔見れないな…今は)……買いだめしといて良かったな~…何作ろ?」
アルダン「……………………。」
材料を何点か手にした後、後ろを振り返るとアルダンが様子を見ていた。
「……アルダン?」
アルダン「あっ、いえ…お気になさらず」
……とはいえ、料理してる姿を何も言わずに見られるのもむず痒い。
「……ど、どうかした?」
アルダン「その…お料理をしているトレーナーさんの姿が新鮮で…
ふふっ、今日は色々なトレーナーさんが見れて……とても…♪」
余程嬉しいのか、その場を離れようとしないアルダン。
アルダン「……えいっ♪」
そして、何を思ったのか…後ろから抱きついてきた。
突然の出来事に、包丁の動きが一瞬止まるが…何とか手を再び動かすことに成功した。
「……な、何してんの……っ」
アルダン「すいません……つい……♪」
「(こういうのは、普通俺の方がやるもんで……って、違う違う!)
……あのね、アルダン────────」
アルダン「…………………………」
聞く耳を持たず、更に力を強めるアルダン。
「……アル、そんな事平気でやっちゃダメだよ?」
アルダン「……トレーナーさん相手だからやってるんです…///」
「ほら、危ないから、な?」
アルダン「……むぅ…分かりました。」
渋々ではあったが、アルダンは離れてくれた。
……背中にしばらく感触は残っていたが。
─────────────────────
夕食後、アルダンはシャワーを浴びていた。
(いや、浴びていた……じゃなくて!!!)
もうこれ以上やらかさないように……と、布団にくるまっていた。
(アルダンが…部屋にあるシャワールームに……い、居る)
考えないように……と、思えば思うほど…脳内にもやもやと考えが浮かんでくる。
(心臓に悪すぎる……)
アルダン「トレーナーさん?」
「は、はいっ!?」
アルダン「その……これはどういった状態で…?」
「あ、いや……なんとなく?」
アルダン「ふふっ、お次どうぞ♪」
「ドウゾトイワレマシテモ…」
アルダン「……?」
「あ、い、いえ……ではお言葉に甘えて」
自分の部屋だし甘える必要も無いのに……と、思いつつ
くるまっていた布団を剥いだ。
「……っ……」
アルダン「トレーナーさんのTシャツはさすがに大きいですね……///」
白のロングTシャツを着るアルダン。
しかし、袖は長さが足りすぎて手が出ない状態で。
全体的にぶかぶかな状態だった。
「……シャ……シャワー浴びてくる…!!」
アルダン「あっ…!」
さすがに刺激が強すぎるため、直ぐにシャワールームに飛び込んだ。
アルダン(トレーナーさんの匂い……///)
(落ち着け、落ち着け……おれ~…
えぇっと、フェブラリーステークス・高松宮記念・産経大阪杯・桜花賞・皐月賞────────)
何故か自分を落ち着かせようとGIレースを頭の中で延々と読み上げていく。
……もちろん、シャワーなんてゆったりなんか浴びれるわけもなかった。
──────────────────────
アルダン「……そろそろ、寝ましょうか?」
「……そうだな」
夕方から今にかけて…すごく疲れた気がする。
こんな出来事は墓場まで持っていこう……バレたらヤバい。
アルダン「その、トレーナーさん─────」
「じゃあ、俺はソファーで寝るから……何かあったら言ってね?」
アルダン「……えっ?」
「大丈夫大丈夫、ソファーで寝るのは慣れてるから」
アルダン「で、ですが……。
部屋の持ち主にそんなことをさせるわけには……っ。」
「アルもちゃんと疲れを取らないとだし……大丈夫だから、な?」
アルダンなりの気遣いなんだろうけど、さすがに担当ウマ娘を横目に
自分がゆったり寝るのは気が引ける。
それに、ソファーがあるだけまだマシだし────────
アルダン「……トレーナーさん……///」
片方の袖で口を隠しながら、アルダンがこちらの服を引っ張った。
アルダン「……その、ご一緒に…///」
「ダメだよ」
さすがに何を言い出すのか予想がついた俺は即座に却下をした。
アルダン「……///」
「アルは担当ウマ娘…俺はトレーナー…それなのにこんな事したら…な?
別にアルとが嫌だって訳じゃないからな?
でも、倫理とか色々────────」
アルダン「……私は…トレーナーさんとご一緒が……
ダメ……ですか……?///」
「………………………………」
泣きそうな顔をされると、さすがにダメだと強く言えない。
長く自分の中で押し問答する中…答えを口にした。
「……ホントに今回だけだからな」
アルダン「……ぁ……ありがとうございます…っ!///」
つくづく自分は担当に甘いのかもしれないと、自分で自分を責め立てた。
……………………………………。
横になり、眠りにつこうする。
その時、アルダンは…。
アルダン「……温かいですね…///」
後ろで俺の背中をなぞっていた。
アルダン「……ごめんなさい。」
「え?」
アルダン「その…以前トレーナーさんが…頼ったり甘えたりしていいと仰っていたの…覚えてらっしゃいますか?」
「あ、あぁ…言ったけど」
アルダン「私なりに考えて…その、こういう考えに至りまして…
人肌に触れることが…長らくなかったので…
ですが、これではワガママ過ぎて、トレーナーさんを困らせてしまいますね……
すいません、やっぱり私には頼ったりすることは────────」
ポツリと呟くアルダンの方を向く。
そしてそのまま自分の胸の中に収めてしまう。
アルダン「……ぁ…ぅ……と、トレーナーさん…?///」
「ほら、寝るよ?」
アルダン「……で、ですが…///」
「温かいだろ?」
アルダン「……はい、とても///」
「俺も落ち着くし……それに、何より…アルに頼られたり甘えられたら……どんな事にも答えたいから」
アルダン「……トレーナーさん……。」
「……でも、泊まるのはそう何度もはダメだからな?」
アルダン「ふふっ、分かっております……
それに、こうしてもらえただけで…私は果報者です。」
お互いに言葉を交わし……眠るかと思われた時だった。
アルダン「トレーナーさん……最後にお顔を見せてください……///」
「ん?」
目線を下に下げると……。
アルダン「……♪」
「あ、アル……っ?」
アルダンが何度も頬を擦り付けてきた。
「……全く、仕方ない子だね」
アルダン「そうは言いつつも、安心させるように背中をさすってくれるトレーナーさん……とてもお優しいですよ♪」
「……ほら、寝るよ?」
アルダン「ふふっ、はい……おやすみなさい♪」
突然の出来事で驚いた事だらけだったが……。
一つだけ、分かったことがある。
(この子は心から信頼してくれてる……それに応えたい)
より深く理解し、分かり合い……手を取り合っていきたい。
そう強く感じ……再びメジロアルダンの方に目線を送る。
「……おやすみ、アルダン」
誓うように、頭を優しく撫でながら……。
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