瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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新イベントはメジロ祭り!!

……アルダン?パクパクさん?
マックイーン「は???」


第31レース~譲れない覚悟~

「…………………………。」

アルダン「……………………。」

 

ダービー後の検査で、アルダンの脚は大事には至らなかった。

しかし、無理はさせられないと練習メニューは少し軽めに変更された。

 

 

「……なぁ、アルダン…やっぱり、''菊花賞''は…」

アルダン「──────トレーナーさん。」

 

こちらの言うことが予測できたのだろう、アルダンは縋り寄ってきた。

 

アルダン「……お願いします、その言葉だけは…言わないで、ください。」

「……でも…。」

 

アルダン「この身が如何様に大事にしてるかは十分わかっています。

……ですが、これだけは…譲れないんです。

例え、この先の道が閉ざされたとしても…絶対に……。」

「……。」

 

アルダン「……私の覚悟を…トレーナーさんは、汲み取ってくれると信じてます。」

「……アルダン…。」

 

それ以上の言葉は、自分の口からは出なかった。

アルダンのレースに対する気持ち。

そして、練習をずっと見守ってきて一緒に歩いてきたトレーナーへ報いたいという願い。

……勝ちたいという想いに。

 

 

 

アルダン「……………………。」

「……お前が歩こうとしてるのは…茨よりも遥かに険しい道だ。

そして、絶対に大丈夫という保証は無い…それでも、進むんだね」

 

あえて厳しい言葉でアルダンに問いただす。

しかし、アルダンの目に迷いは無かった。

 

アルダン「……貴方と…トレーナーさんと契約した日から…

その覚悟は、1回も揺らいだことはありません。

────走りたいんです、トレーナーさんのために。

そして……勝ちたいんです、貴方のために。」

「……分かった、夏のトレーニングはスタミナを中心に考える。

……でも、本当に無理な時は──────」

 

アルダン「……お気遣い、感謝致します。

トレーナーさんはいつも、私の事を第一に考えてくれる事は…痛いほど伝わってます。

…もし、砕けそうな時は…正直に申し上げます。

約束を違えることは致しませんことを、今ここに誓います。」

 

「……分かった。」

アルダン「ありがとうございます、トレーナーさん。」

 

優しく手を取るメジロアルダン。

……せめて、彼女が不安にならないように、しっかりと握り返すことしか出来なかった。

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

 

それから数日後の夜…。

 

 

 

アルダン「……はぁ……はぁ……っ。」

陽が落ち、照明に照らされたコースを走るメジロアルダン。

脚部の不安が無くなった今、彼女は走ることに意味を見出していた。

 

アルダン(……少しでも、少しでも上に……。)

息を整え、再び走り始めようとした時だった。

 

ラモーヌ「────待ちなさい。」

「……っ……!……姉、様…?」

 

呆れた顔で歩み寄るメジロラモーヌ。

それを見て、アルダンも表情を強ばらせる。

 

ラモーヌ「…情けないわね。」

アルダン「……!」

 

開口一番、告げられたのは卑下された言葉だった。

ラモーヌ「…そんな乱れたペースじゃ長距離どころか

貴方が得意とする中距離…いいえ、マイルですら走りきれないわ。」

 

アルダン「……私が、焦ってると言うのですか。」

ラモーヌ「気づいてない時点で、貴方の視野は極端に狭くなってるわ。

……愛しき人…願わくば勝ちたいという想い…無駄にする気?」

アルダン「…………!」

 

的を得た発言に、アルダンはみるみるうちに元気を無くしていく。

 

アルダン「……私…は……。」

ラモーヌ「…はぁ…仕方の無い子ね。」

 

俯くアルダンの顔にそっと手を添えるメジロラモーヌ。

アルダン「……姉、様……?」

ラモーヌ「走る準備はよろしくて?」

アルダン「えっ……あっ、は、はい……。」

ラモーヌ「では行きましょう…''私たちだけのターフへ''」

アルダン「……!」

 

そういえば、様子を見に来た時から、メジロラモーヌは体操服姿だった。

そのまま、返事を返さないアルダンを他所にメジロラモーヌはスタート地点に向かう。

 

アルダン「……あ、あの…っ!!」

ラモーヌ「私は何も語らないわ…貴方が''今''この時間を経て…自分の中で感じ取りなさい。」

 

その目は、いつもの姉・メジロラモーヌではなく…。

1人のウマ娘…トリプル・ティアラの功績を持つメジロラモーヌとして立っていた。

 

 

ラモーヌ「……貴方と走るのは、いつぶりかしらね。」

アルダン「……姉様…。」

ラモーヌ「負けたくない、勝ちたい、共に勝利を喜びたい…。

その想いを、ぶつけてみなさい。」

アルダン「……はいっ!!」

 

 

 

 

こうして、メジロラモーヌとメジロアルダンによる

併走が始まった。

 

 

序盤こそ、ついていくのに精一杯だったが、ラストスパートで並びかける。

 

 

 

 

アルダン(姉様…さすがです…油断してたら、すぐに引き離されてしまうと感じてしまうほどに……)

アルダン「……ですが……っ。」

 

 

 

ラモーヌ「さあ、貴方の答えを聞かせてちょうだい…!」

更にギアを上げて、引き離そうとするメジロラモーヌ。

その姿を見て、メジロアルダンの目付きが変わった。

 

アルダン「─────越えたい、私自身の限界を!!!」

ラモーヌ「………………。」

 

 

 

結果は、ラモーヌの僅差での勝利。

アルダン「はぁっ……はぁ…!」

ラモーヌ「……。」

 

 

アルダン(姉様に…届かなかった、まだまだ私では力不足───)

ラモーヌ「アルダン。」

アルダン「……ぇ……あっ、は、はい!」

ラモーヌ「感動したわ、とっても。」

アルダン「……えっ……。」

 

 

クスッと笑い、踵を返すメジロラモーヌ。

ラモーヌ「貴方の想いは伝わったわ。

これからもその気持ちを強く持ちなさい。」

 

 

アルダン「……姉様……。」

去っていくメジロラモーヌを見て

静かに頭を下げるメジロアルダンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ラモーヌ…。」

ラモーヌ「あら、見てたのね。」

 

「お前、どうして……」

ラモーヌ「……さぁ、気まぐれとでも言っておくわ。」

 

「………………」

ラモーヌ「昔のアルダンを見てるからよ。

成長した姿に、私自身も感じることがあった…それだけよ。」

 

「……ラモーヌも不器用だな。」

ラモーヌ「愛しの子に伝える手立てがそれしかなかっただけよ。

……後は当事者と貴方が決めることよ。」

 

「……ありがとう、ラモーヌ。俺は勝たせたい、アルダンを」

ラモーヌ「えぇ、期待しているわ。」

 

 

 

 

─────────────────────

 

 

【次の日】

 

 

アルダン「……夏合宿…ですか?」

「毎年夏の1ヶ月を使って行う恒例行事みたい。」

 

アルダン「……ふふっ♪」

「嬉しそうだね。」

アルダン「えぇ、初めて参加できると思うと…つい。」

「そう思うと、俺も初参加だな」

 

アルダン「実りのある夏合宿に致しましょうね、トレーナーさん。」

「あぁ、更に強くなるために一緒に頑張ろうな。」

アルダン「はいっ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルダン(…………一緒に………です、か。)




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