瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

40 / 183
お陰様で40話目です。


第40レース~僕は~

菊花賞の翌日────────

 

 

アルダン「…すいません、トレーナーさん。」

「仕方ないさ、それだけ全力だったんだから。」

 

会心の走りを見せたメジロアルダンだったが

無理が祟ったのか、体調を崩してしまった。

 

「本格的な復帰戦は年明けだな。」

アルダン「…はい、チヨノオーさんを待つ身として…さらに邁進して参ります。」

シュヴァル「……あ、の…。」

 

2人の会話を聞き終えたシュヴァルグランがこちらを見ながら声を上げた。

「ん、次はキミの番だよ…シュヴァル」

そう、次は選抜レースを控えたシュヴァルグランの番だった。

シュヴァル「…はい、僕…。」

アルダン「応援してますよ、シュヴァルさん。」

 

シュヴァル「………が、頑張ります。」

シュヴァル(…大丈夫、僕だって…。)

 

グッと、帽子をツバを掴む手にも力が入った。

 

 

 

 

………………………。

 

 

【選抜レース当日】

 

 

アルダン「今日も多くのトレーナーが来ていますね。」

「もうジュニア級も始まってるしな…。」

 

アルダン「シュヴァルさん、どうでしょう…。」

「顔付きはいい…とりあえず、不安そうに走るのさえなければ…。」

 

 

シュヴァル(…あの場所…僕は、こんな所で立ち止まってなんか…!)

実況【本日も、好勝負好レースが繰り広げられてます

選抜レースもいよいよ大詰めです。

果たして、未来のスターウマ娘達はどんなレースをしてくれるのか期待しましょう!】

 

 

 

シュヴァル「…………よし……。」

 

 

 

 

 

 

気合一閃、シュヴァルグランは力強くスタートを切った。

 

新人トレーナー「あのシュヴァルグランって子、前回の選抜レースで2着だった子だよな」

中堅トレーナー「道中でスタミナを無駄に消費する癖が無くなってるかが焦点ね」

 

「………シュヴァル…。」

アルダン「…大丈夫です、彼女なら、きっと…。」

 

 

実況【先頭集団を見てみましょう。

シュヴァルグランは2番手で周囲を警戒してる様子。

どこで仕掛けてくるのか!】

シュヴァル(後ろから迫ってきてる……でも、前の僕だったら…ここで合わせてペースを上げていた…まだ……まだ、ここじゃない…!)

 

 

実況【各ウマ娘の隊列がグッと詰まってきて直線へと差し込んでいく!】

シュヴァル「…見えた……スタンド前……ここだ…っ!!」

 

実況【おぉっと!シュヴァルグラン!!

ここで一気にスパートをかけた!!後続を振り切れるか!!】

シュヴァル「僕だって……僕だって…!!」

 

 

シュヴァル「…大きな舞台に示すんだ…僕が、シュヴァルグランだって…!!」

実況【後続は届かない!!シュヴァルグラン、抜け出してリードをキープしたまま、今ゴールインッ!!!

1着は、シュヴァルグランです!!!】

 

シュヴァル「はぁ…はぁっ…!!」

「…よしっ!」

アルダン「とても素晴らしいレースでしたね。」

「あぁ、シュヴァルならこれくらい出来ると思ってたさ。」

シュヴァル「僕が…1着………。

………やった………これが、1着の景色…!」

 

 

小さくガッツポーズを作るシュヴァルグラン。

しかし、その反響は本人が思うより大きく…。

 

 

新人トレーナー「シュヴァルグラン!とても良いレースだった!

キミの伸び代は大きい、是非うちで!」

中堅トレーナー「貴方の長所を伸ばしたらもっと大きなレースで活躍できるわ、私と契約しましょう。」

 

シュヴァル「…えっ……ぁああっ……えっと…。」

将来性のあるシュヴァルグランに声をかけるトレーナーは大勢居た。

 

「…まぁ、ああなるよな。」

アルダン「よろしいのですか?」

「どう決めるかは、シュヴァル次第だからな

俺は仮契約の立場だったし。」

 

目をグルグルさせたシュヴァルは、颯爽とトレーナーの合間を駆け抜けた。

 

「…ん?」

シュヴァル「…!」

 

そして、こちらに走り寄ってきて…腕に抱きついた。

 

「シュヴァル?」

シュヴァル「…ぼ、僕のトレーナー…。」

アルダン「…あら…まぁまぁ…♪」

 

その様子を見たトレーナー達は、一様に顔を見合せた。

新人トレーナー「…そ、そうか、もう契約していたのか。」

中堅トレーナー「寄ってたかって、申し訳ないことしたわね…。」

 

そのままトレーナー達の輪は散らばっていった。

 

「…良いのか?」

シュヴァル「…ぼ、僕の方こそ……きっと、トレーナーを残念な気持ちにさせちゃうはず…だし…。」

 

「そんなこと…。」

シュヴァル「だって、僕…トレーナーに迷惑かけちゃうだろうし…。」

「─────構わないよ。」

シュヴァル「……ぅえっ…?」

 

「迷惑なんて思わないし、たくさん頼ってくれていいんだよ。

それが、俺のやりがいだし…共に歩む担当のためならなんとも思わないさ。」

アルダン「…シュヴァルさんの、''今''という時間を輝かせてくれる人ですよ、トレーナーさんは。」

 

シュヴァル「……僕…。」

「─────キミはキミだよ、シュヴァルグラン。」

シュヴァル「…!!」

シュヴァル(…トレーナー…こんなにも、僕のことを、信頼して…考えてくれてる…僕のことを、必要としてくれてる…)

 

シュヴァル(…どうしよう…僕、嬉しくなってる…心が、暖かくなってる…)

 

 

シュヴァル「トレーナー…僕のトレーナーになってくれる…?」

「もちろん!」

アルダン「歓迎しますよ、シュヴァルさん。」

シュヴァル「…ぁ……あり、がとう…。」

 

恥ずかしいのか、深く帽子を被るシュヴァルグラン。

怖がって深く被るより…一歩前進した気がした。

 

 

 

 

 

 

ヴィルシーナ「レースお疲れ様…と、言いに来たのだけれど…

凄いタイミングにでくわしちゃったわね。」

シュヴァル「…姉さん…と…。」

 

ヴィブロス「やっはろー♪」

シュヴァル「…ヴィブロス…。」

 

ヴィルシーナ「正式に担当ウマ娘になったのね、シュヴァル。」

シュヴァル「…うん。」

ヴィルシーナ「…そう。」

 

少しの間、シュヴァルグランを眺めていたヴィルシーナが

トレーナーと視線を合わせる。

 

ヴィルシーナ「…妹を、シュヴァルグランをよろしくお願いしますね。」

「あぁ、もちろん」

お互い、クスッと笑い合う…が、横槍が入った。

 

 

ヴィブロス「…で、本音は?♪」

ヴィルシーナ「お、お姉ちゃんの、傍を、離れるシュヴァルを見るのは…………悲しいわ〜〜〜〜〜〜っ…!」

 

 

「…へ?」

普段の姿とは似つかわしくないほど、地団駄を踏むヴィルシーナ。

横で見ていたシュヴァルグランが俺に説明してくれた。

 

シュヴァル「…ご、ごめんなさい、トレーナー…その…

姉さんは…なんと言うか…妹バカと言うか…。」

ヴィルシーナ「ひ、ひどい!…よよよ〜……」

ヴィブロス「あ、あはは~…まったね~!」

 

結局、ヴィブロスに介抱されながら

ヴィルシーナはその場を後にした。

 

「…結構ガッツリ言うんだな、シュヴァル…。」

シュヴァル「普段からかわれてる仕返し…。」

アルダン「妹バカ…なるほど、姉様の事ですね。」

「本人目の前にして言えるのか、それ…。」

 

 

…案外、2人とも度胸があるのかもしれないと感じるトレーナーだった。




評価・感想・お気に入り登録
よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。