シュヴァル「……ふぅ。
ア、アルダンさん、次のメニューは──────」
練習終わりのシュヴァルグランがアルダンの様子を見に行った。
そんな中、アルダンは携帯の画面を見ていた。
アルダン「…………………」
シュヴァル(何か……見ている?)
アルダン「ぁ……すいません、シュヴァルさん。
お次の練習メニューですね。」
シュヴァル「……あ、あの…何かあったんですか…?」
アルダン「……いけませんね、先輩なのに顔に出て心配させてしまうようでは…。」
シュヴァル「い、いえ……!
誰しも、な、悩みとかありますから…!」
アルダン「…………………。」
シュヴァル「…は…話、聞きますよ……?」
隣に腰かけるシュヴァル。
困った顔をしたまま、苦笑いを浮かべてアルダンが話を進めた。
アルダン「……同室の子が…ケガで入院してまして…。」
シュヴァル「……ぁ…ご、ごめんなさい…軽率に聞いたりしちゃって」
アルダン「ふふっ、いいえ…誰かに話したい気分でしたので。」
シュヴァル「……そ、それで…その子は何と…?」
アルダン「復帰までもう少しかかる……と。」
シュヴァル「……そう、です……か。」
ここで、ふと気になった事をシュヴァルはアルダンに尋ねた。
シュヴァル「……え、えっと…アルダンさんって…メジロ家…のウマ娘……です、よね。」
アルダン「はい……そう言えば、詳しくお話しした事は無かったですね。」
同室のウマ娘の事、メジロ家の事をアルダンはゆっくりと話し始めた。
シュヴァル「……そう、だったんですか…(僕と…似てる……)」
アルダンが話してくれたからか…シュヴァルも自分から話し始めた。
姉や妹との違い……そして、そこで生じるコンプレックスや
自分のネガティブさや、自信を無くしてしまう性格のこと……。
それは、話せばキリが無いほどに。
一通り聞き終えたアルダンが、静かにコースを見ながら呟いた。
アルダン「偉大な姉…周りのメジロ家のウマ娘との違い……それに苦悩する日々でした。
そして、走れば同期のウマ娘に前を走られる悔しさ……私の学園での日々は……順風満帆と言えるものではとてもありませんでした。」
シュヴァル「…………………………。」
アルダン「ですが……今は、それで良かったのだと感じております。」
シュヴァル「……それって…。」
アルダン「その挫折があったからこそ…他のウマ娘よりもハンデがあったからこそ……トレーナーさんや、シュヴァルさんと出会えたと感じてますから。」
シュヴァル「……そ、そんな……僕なんてそんな価値に値しないウマ娘で……。」
アルダン「いいえ、胸を張ってください…貴方の存在は眩くて…偉大な存在だ、と。
シュヴァルさんにも、いつか分かる日が来ます。」
シュヴァル「……アルダンさん……。」
アルダン「この3人で過ごす''今''という時間が…私には何よりも大切なのです。」
シュヴァル「……はい、ありがとうございます。」
アルダン「ふふっ、この事はトレーナーさんには内緒ですね。」
シュヴァル「……は、はい……ですが…話を聞いてもらって……嬉しかった、です……妹や姉さんには……中々、言えませんから……。」
体育座りした脚を、グッと自分の方に手繰り寄せるシュヴァル。
シュヴァル「……僕も、負けたくないんです……姉さんやヴィブロス……同期のウマ娘達…みんなに。」
アルダン「ええ、目指すべき先は…同じのようですね。」
シュヴァル「……だから、今は……練習を、お願いします。」
アルダン「えぇ、ちょうど戻ってきたようですし♪」
「?」
アルダン「ウマ娘同士、ナイショの話……ですよ。」
シュヴァル「………う、うん……。」
「うーん、気になるけど…まぁ、2人の顔が晴れやかなら良いか!」
シュヴァル(……この人とアルダンさんと一緒に…大きな舞台へ…僕は…負けない……負けない……っ!)
アルダン(この先の……道……どうか、全員の道が明るく照らされる事を願って……私は、今を走り抜けます)