【トレーナー寮】
──カツラギエースの担当になってからしばらくが経ったオフの日。
コンコン。
「はい、どうぞ?」
ノックと同時に入ってきたのは……。
エース「悪ぃなアルダン、シュヴァルも」
アルダン「いえ、お易い御用ですよ。」
シュヴァル「し、失礼します……。」
扉を開けて、先導するアルと大きな荷物を抱えてるエース…そしてその2人について行くシュヴァルの姿だった。
「どうしたの、3人とも?」
エース「よっ……と……トレーナーさん、昼飯まだだろ~?」
目を細めながらこちらを訝しむエース。
実際、図星で昼はまだ済ませてなかった…なんなら、もう昼かと驚くくらいだった。
エース「全く、アルダンの言う通りだったな」
アルダン「えぇ、トレーナーさんは''いつも''昼食を抜いてお仕事に勤しんでますので♪」
……なるほど、アルから聞いたってことか。
「それで、この荷物は…?」
エース「ん?これか?……これはな~」
上に覆いかぶさっていた布を取るエース…そこには…。
「……野菜?」
エース「生徒会に許可を取ってよ、小さいけど自分の農園があるんだよ。そこで採れた野菜だぜ!」
シュヴァル「ぼ、僕達はその付き添いで…。」
「農園…マジか」
集中出来る作業や細かい作業が好きなのだろうか、また1つエースの事を知れた気がした。
エース「味は折り紙付きだぜ。
ってことで、キッチン借りっからよ。」
「えっ、今から作るの!?」
エース「その為に来たんだろ~?
アルダン、サポートよろしく頼むな」
アルダン「ええ、お任せを。」
エース「シュヴァルも手伝ってくれるか?」
シュヴァル「は、はい……っ!」
「……ぁ……え~っと………怪我しないようにな~……?」
こちらの驚きを尻目に、どんどん支度を進めていく3人。
その中心にエースが居る光景にホッとしつつ…とりあえず仕事を進めることにした。
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【キッチン】
エース「……しっかし、話の流れとは言え…こんなことになるなんてな」
お互いの事を知るために、普段何をやっているかの話になった時に
エースは畑いじりと答えた。
興味深いと思ったのか、アルダンが是非見たいと畑に行って…今に至るというわけだ。
エース「でもよ、トレーナーさんに料理を作ってあげたいなんてアルダンはトレーナー想いなんだな」
アルダン「えぇ……ふふっ、シュヴァルさんも、ですよね?」
シュヴァル「えぇっ!?……あ、い、いや……僕は…///」
帽子を深く被れないシュヴァルは、手に持っていたお皿で顔を隠そうとしていた。
シュヴァル「そ、その……トレーナーさん今頃何してるのかなって……じ、時間も時間でしたし…ぼ、僕たちの事ばっかで自分の事を蔑ろにしてるんじゃないかなって……。」
その様子を見ていたカツラギエースが、素朴な疑問をぶつけてきた。
エース「なんだなんだ2人とも…あのトレーナーの事好いてるのか?」
アルダン「あっ……///」
シュヴァル「そ、そんなこと……っ!!///」
分かりやすく慌てる2人を見て、思わず吹き出すカツラギエース。
エース「ぷっ……ははっ!そうかそうか、いい事なんじゃないか?」
アルダン「……やっぱり隠す事は出来ませんでしたね…///」
シュヴァル「…………うぅ……あぅ…///」
エース「その好きって感情は、アタシにはよく分からないけどよ
2人がそう思えるって事は、きっと良いトレーナーさんなんだろうな」
シュヴァル「……はい、とっても…。」
アルダン「そうですね…それしか思いつきませんね。」
エース「……なんか、良いな。こんな居心地。」
ふう、と息を吐くエース。
今までの事もあったのだろう、その表情には少し安堵の様子が垣間見えた。
しかし、気持ちを切り替えて、ニカッと笑うエース。
エース「さて!腹空かせてるトレーナーさん待たせる訳にはいかないもんな!」
アルダン「えぇ、有意義な昼食にしましょうね。」
エース「っと、その前に…ほら、シュヴァル味見してくれねぇか?」
シュヴァル「えっ……ぼ、僕ですか…?」
エース「さっきから食い入るように見てたからよ……。」
シュヴァル「……うぅ…すいません…///」
諦めたのか、小皿を受け取り口へと運ぶシュヴァル。
シュヴァル「……ぁ……美味しい…です…。」
余程美味しかったのか、何度も口へと運ぼうとするシュヴァル。
エース「っはは!トレーナーさんより食べそうな勢いだな!」
シュヴァル「す、すいません!そんなつもりは……っ!」
エース「いいっていいって、その方が作った方も嬉しいってもんだしさ」
アルダン「そうですね、シュヴァルさんのお墨付きも貰えたことですし」
エース「だな、トレーナーさーん!待たせたな~!」
シュヴァル「…………お、美味しい…。」
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「随分楽しそうだったね」
エース「あぁ、誰かと料理なんて久方ぶりだったから、ついな」
アルダン「エースさんのお料理の腕、とても学びの多い物でしたよ。」
シュヴァル「……ぼ、僕も……今度教えて欲しい……です。」
エース「おう、任せとけ!」
(なんだかんだ言って…馴染んでくれてるみたいだな)
エース「ほらトレーナーさん、大盛にしといてやったぜ!」
「おぉ……凄いな…。」
手渡されたのは、野菜カレー…なのだが、3~4人前あるんでは無かろうかというくらいの寮だった。
エース「腹が減ってはなんとやら、だぜ」
アルダン「ふふっ、午後眠くならないように気をつけてなければいけませんね♪」
シュヴァル「……美味しそう……。」
「じゃあ、ご好意に感謝して……いただきます。」
こちらが一口食べるのを待つ3人。
…………その味は…。
「……んまっ!!!」
エース「へへっ、だろ?」
野菜も一から作ってるからか、味が全然違った。
エース「トレーナーさんの好み聞いてよ、カレーの方もちょっと隠し味とかを……な、アルダン?」
アルダン「……ええ、トレーナーさんの好みならお任せを♪」
シュヴァル「…………あむ……んっ……あむ……あむ……。」
エース「……いや、話には聞いてたけどよ…ホントによく食うな。」
シュヴァル「……す、すいません……でも、本当に美味しくて…。」
その時、トレーナーがエースを筆頭に3人の事を見ているのに気づいた。
エース「……どうした、トレーナーさん?」
「いや…純粋に思ったことなんだけど……エプロン姿、なんかいいなって」
エース「そうかぁ?料理する時は必需品だと思うけどよ?」
「まぁ、そうなんだけど…見慣れてないから新鮮でさ
似合ってるし……可愛いよ、3人とも」
エース「…………お、おうっ……そう、か。」
アルダン「ふふっ、お世辞でも嬉しいですね♪///」
シュヴァル「ご、ごほっ……ごほっ……!!//////」
「シュヴァル!?」
シュヴァル「…だ、大丈夫です……です、けど……ト、トレーナーさんって、本当にずるいって……僕、思います……///」
エース「同感だな……。」
アルダン「ええ、本当に…///」
「えぇ……なんでさ……。」
3人に囲まれた普段と違うオフの日は……。
とても賑やかな昼食の時間となった。
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