シュヴァル「……うぅーん…」
トレーナー室で、1人難しい顔をしながら首を傾げるシュヴァルグラン。
シュヴァル「……やっぱり、こういうのって…僕には似合わないの、かなぁ……。」
ため息と共に、目を通していた本を閉じようとした時……。
エース「えー……なになに?
……バレンタインデーのイチオシチョコ────」
シュヴァル「うわぁああああっ!!??///」
後ろから声をかけられ、慌てて本をお手玉するシュヴァル。
何とかキャッチし、大きく息を吐いて気持ちを落ち着かせた。
シュヴァル「……え、エースさん…びっくりさせないでください…。」
エース「悪い悪い、なんか熱心に見てたからよ、声かけるのも悪いと思っちまってよ。
……それで、どうするんだ、バレンタインデー。」
シュヴァル「……うっ……。」
はぐらかそうとしたが、ここまではっきりバレてる以上隠す事は出来ないと思ったシュヴァルは…目線を逸らしながら答えた。
シュヴァル「……ぼ、僕には無縁のイベント…です、から…。」
エース「トレーナーさんに渡すつもりだったんじゃなかったのか?」
シュヴァル「…………っ……!?///」
図星を突かれたシュヴァルは、口元を両方の腕でガードするように隠した。
一方、カツラギエースの方はさも当然かのように平然とした顔で居た。
シュヴァル「……え、エースさんは……渡すんです、か…?」
エース「アタシか?……アタシは~…正直よくわかんねぇからな。」
シュヴァル「……そ、そう……です……か。」
エース「アルダンは作るって張り切ってたぞ、なぁアルダン?」
アルダン「えぇ、年に一度の大切な日ですから♪」
シュヴァル「うわわわっ!!い、いつの間に……!」
アルダン「シュヴァルさんが、慌てた様子で本を放るところ辺りから…でしょうか?」
シュヴァル「……ほぼ最初から居たんじゃないですか…もう…。」
エース「それで、どうするんだ?」
シュヴァル「……わ…渡し……。」
アルダン「……渡し…?」
シュヴァル「…わ…渡したい、です……けど……こ、こんな僕から貰っても……トレーナーさんは、きっと……よ、喜んでなんか……。」
エース「そりゃぁ、ねぇな」
腕を組みながら、食い気味に返答するエース。
その意見に、深く頷いて賛同するアルダン。
アルダン「えぇ、私たちのトレーナーさん…ですから♪」
シュヴァル「……う、うぅ…。」
どうするか迷ってるシュヴァルに対して、エースはパンっと自分の手を叩いた。
エース「よっしゃ!後輩のために一肌脱いでやるぜ!」
アルダン「えぇ、私もお供しますね。」
シュヴァル「そ、そんな!…ご迷惑をお掛けする訳には…!」
エース「トレーナーさんに渡したいんだろ?なら渡すべきだとアタシは思うぜ。」
アルダン「ふふっ、エースさんもお渡しになられては?♪」
エース「アタシもかぁ?!……うぅーん…よっしゃ!ならアタシも作るか!」
シュヴァル(な、なんだか……話が大きくなってきちゃった……)
………………………………………………。
【次の日】
ヴィブロス「えぇ~!?シュヴァち、トレーナーにチョコ渡すの~っ!?」
シュヴァル「……ヴィブロス…声が大きい…。」
ヴィルシーナ「…………………………。」
ヴィブロス「お姉ちゃんが固まっちゃったぁ!!」
ヴィルシーナ「ほ、本命……なの……っ!?
特別な……チョコ……なのね……っ!?」
シュヴァル「そ、そんなんじゃ……ない……から。」
ヴィブロス「じゃあ何で作ることにしたの~?」
シュヴァル「……そ、それは…。
そ、その…日頃からお世話になってる…し……。」
ヴィルシーナ「まだ何か含みのある言い方ね!もうはっきり言っちゃいなさい!!お姉ちゃん全部受け止めるから!」
ヴィブロス「おーい、お姉ちゃん、戻ってこ~い…。」
シュヴァル「………………//////」
顔を塞ぐシュヴァル。
言い難いことである事は確定したが、2人が完全に逃げ道を塞いでいた。
シュヴァル「……ぼ……僕の…気持ちが…す、少しでも……トレーナーさんに……伝わって欲しいな……って……うぅ~……っ!///」
ヴィブロス「きゃ~~っ♪」
ヴィルシーナ「おめでとう、シュヴァル……お幸せにね…。」
感慨深くゆっくりと拍手するヴィルシーナに対して、すかさずシュヴァルがツッコミを入れる。
シュヴァル「ち、違うから!!///
……それに、トレーナーさんには……アルダンさんが///」
ヴィブロス「本人がそう言ってたの?」
シュヴァル「……言っては、いないけど……。」
ヴィブロス「じゃあまだ可能性ありって事じゃ~ん♪
アオハルしてるな~、このこの~♪」
シュヴァル「……ヴィ、ヴィブロス……あんまりからかうと……僕、怒るよ……っ。」
ヴィブロス「えへへ、ごめんね~っ?♪」
ヴィルシーナ「……でも、ちゃんと伝わるといいわね、シュヴァル。」
シュヴァル「……うん。」
ヴィブロス「どんなの作るの?」
シュヴァル「……え、っと……これ。」
携帯の画面を2人に見せるシュヴァル。
……しかし、ヴィブロスの反応は薄いようで……。
ヴィブロス「……何だか、バレンタインっぽくないね?」
ヴィルシーナ「シュヴァルらしくて良いじゃない。」
シュヴァル「そ、その……あぅ……その……っ……。」
これにした理由があるようで、言おうか言うまいか迷ってるシュヴァル。
ヴィブロス「トレーナーさんの好みとか?」
ヴィルシーナ「まだ寒い日が続くからって言うのも、ありそうね。」
シュヴァル「そ、そうじゃなくて……っ!」
シュヴァル「……ぼ、僕…その……担当ウマ娘になって間もない頃…トレーナーさんと…練習終わりに…2人で…に、肉まんを半分こして食べたんだ……。
その時の…美味しさと……トレーナーさんが…''2人で食べたらもっと美味しいな''って言ってくれた暖かさが忘れられなくて…トレーナーさんとの大切な思い出……だから……//////」
言い終わったシュヴァルは、目を合わせないように帽子を深く被った。
シュヴァル「……重い、よね……こんなの────」
ヴィブロス「……す、素敵~っ!!!
なになになに、その少女漫画みたいなお話~!♪
お姉ちゃんもそう思うよねっ?♪」
ヴィルシーナ「えっ!?……あっ、そ、そうね……!!」
ヴィブロス「……何してるの、お姉ちゃん。」
ヴィルシーナ「お祝い金の準備よ!」
シュヴァル「姉さん……全く……。」
ヴィルシーナ「こ、こほん!……冗談はさて置いて……。」
ヴィブロス(絶対冗談じゃなかったよね、お姉ちゃん。)
ヴィルシーナ「先輩お2人がサポートしてくれるなら安心なのだけれど……何かあったら、お姉ちゃんに相談しなさい?」
シュヴァル「……うん、ありがとう……姉さん。」
ヴィルシーナ「そ・れ・と…トレーナーさんの方にばっか気を取られてお父さん用のチョコ作り忘れたとかしちゃダメよ?」
シュヴァル「……あ、それはもう決めてある、から…。」
ヴィブロス「わっ、随分早いね?」
シュヴァル「……い、良いチョコ見つけたから…今度の週末に材料と一緒に買いに行く……。」
ヴィブロス(あ、市販だ)
ヴィルシーナ(お父さん……強く生きてね……)
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