シュヴァル「…………。」
エース「また真剣そうな表情で雑誌見てるな。」
シュヴァル「あっ……エ、エース……さん…。」
エース「今度は何を見てるんだ?……なになに。」
表紙を見たエースがびっくりした表情でシュヴァルの方を見た。
シュヴァル「ヴィブロスから……妹から渡されて目を通してるだけで…その…僕の意志で読んでる訳ではなく…。」
エース「でも、その気持ちは嘘じゃないんだろ?」
シュヴァル「………………それは……。」
アルダン「あら、お取り込み中でしたでしょうか?」
エース「おっ、アルダン。まぁ、ちょっとな?」
アルダン「……あら、こちらは……。」
エース「知ってるのか?」
アルダン「ええ、ライアンが見ているのを見かけまして。」
エース「やっぱり皆、見るもんなんだな。」
アルダン「……となると、シュヴァルさんも?」
シュヴァル「…………その、どうしたら良いのか…分からなくて…」
アルダン「──では、私がトレーナーさんにこの想いをぶつけたら……どう思いますか?」
エース「!」
シュヴァル「……えっ…そ、その……っ。」
エース「マジか?」
アルダン「はい、本心です。」
シュヴァル「…その、応援する気持ちと…その……。」
グッと胸元を押えるシュヴァル。
シュヴァル「…胸がモヤモヤ……します…。」
アルダン「でしたら、するべき事は1つです。」
シュヴァル「…………………………。」
………………………………………………
そんな会話の後、1人で校内を歩くシュヴァル。
シュヴァル(……トレーナーさんの顔…まともに見れない…な…)
思えば、ずっと不思議な人だった。
いつも何かに一生懸命だし、僕が思う事を理解してくれて。
後ろ向きな姿をずっと否定して支えてくれて……。
シュヴァル(……でも……)
それでも、この人となら……って思えた自分がいた。
偉大なウマ娘になるには、この人が一緒じゃなきゃダメだって思えた。
シュヴァル(これからの道のりはまだ長いはず…でも、トレーナーさんなら何食わぬ顔で言うんだろうな……)
─────大丈夫だ。って。
シュヴァル「……何だか、会いたくなってきちゃったな……。」
ヴィブロス「あっ!シュヴァちのトレーナーさんだ~!」
シュヴァル「……!」
特徴的な声が道の曲がった先から聞こえてきた。
「こんにちは、ヴィブロス。」
ヴィルシーナ「ご機嫌よう、トレーナーさん。」
「あぁ、ヴィルシーナもね。」
シュヴァル「………………。」
やましい事は無い……無い、がシュヴァルは壁に張り付いて聞き耳を立てていた。
ヴィブロス「ねね、シュヴァち見なかった?」
「今日はまだ見てないね、多分もうトレーナー室に向かってるんじゃないかな?」
ヴィブロス「ん~残念~♪」
何か意味ありげな笑い方をするヴィブロスを見て、ヴィルシーナがやれやれと困り顔を見せていた。
ヴィルシーナ「もう……この子ったら…すいません、いつもの事ですので…。」
ヴィブロス「多分シュヴァち見たら顔真っ赤にするんだろうな~。」
シュヴァル(また、余計な事言ってる……。)
「でも、そういう表情を見せてくれるようになって俺は嬉しいかな」
ヴィブロス「へっ?」
「彼女に見合うトレーナーに少しでもなれてるなら良かったなって」
ヴィルシーナ「トレーナーさん……。」
シュヴァル(……そんな、それを言うなら僕の方が……。)
ヴィルシーナ「…シュヴァルの事、慕っているのですね。」
「あぁ、かけがえのない担当ウマ娘だからな。」
シュヴァル「…………!」
ヴィブロス「えぇっ!…それってそれって~っ♪」
「なんか変だったかな?」
ヴィルシーナ「いえ、とても素敵な事だと思いますわ。
…シュヴァルも、よく同じような事を喜々として仰っております。」
「あはは、それは良かった。」
シュヴァル「……………………。」
逃げるように、シュヴァルはその場を後にした。
ヴィブロス「で、お姉ちゃん…本心は?」
ヴィルシーナ「くっ…トレーナーさん……妹を…妹をどうか…っ……!」
ヴィブロス「あ、やっぱり無理してたのね。」
「……なんかごめんよ。」
シュヴァル(……トレーナーさん……トレーナーさん……っ!///)
……………………………………………………
【トレーナー室】
「ごめんごめん、ちょっと道草食っちゃって」
シュヴァル「……っ………こ、こんにち……は…///」
中に入ると、シュヴァルが既に座っていた。
「やっぱりトレーナー室に居たんだね…っと、あの2人は、まだだね。」
シュヴァル「(すいません、会話を聞いてました……。)は、はい……もうすぐ来ると……思い、ます……///」
「そっか、じゃあ資料の用意をしないとな。」
シュヴァルに目を配らせながらもパソコンを開き、資料を束ねるトレーナー。
その様子を見ていたシュヴァルが、帽子に手をかけた。
シュヴァル(……今、しか……ない……)
もう自分の気持ちを抑えることが出来なくなっていたシュヴァルは
おもむろに立ち上がり…そのまま、トレーナーの後ろに回った。
「?」
シュヴァル「……トレーナーさん…っ!!///」
「うわっ……!!……シュ、シュヴァル……?」
思い切り背中に抱きついてきたシュヴァル。
色々と当たっているが、本人は離れる気が一切無いようだった。
「……ど、どうした?」
シュヴァル「……そ、その……僕は……僕は……っ!///」
何かを察したのか、トレーナーはシュヴァルの方を向いた。
「ん、ほら。」
シュヴァル「……トレーナーさん……っ……///」
今度は背中ではなく、しっかり胸に収まるシュヴァル。
「……ん、よしよし…いい子だ。」
シュヴァル「…………///」
「でも、そろそろ2人とも来るから……な?」
シュヴァル「……もっと……して欲しい、です…///」
「今日はここまで、ね?」
シュヴァル「……わ、分かり…ました、じゃあ───」
ゆっくりと、トレーナーの元を離れるシュヴァル。
─────その時だった。
「……っ……!」
首筋に柔らかく冷たい感覚がした。
目線を下に下げると…そこには、目を閉じ耳を動かしながらトレーナーの首に口を付けてるシュヴァルの姿があった。
「……シュ……ヴァル……っ……?」
シュヴァル「……っ……トレーナー……さ、ん……///」
「やめ……っ……ろ……」
流石にマズいと思い、手でシュヴァルを離そうとしたが……逆にその手すらも握られてしまった。
シュヴァル「……トレーナーさん……僕…トレーナーさんの事が……っ……///」
「……シュ……ヴァル…。」
お互いに限界が来そうな時だった。
パサっとシュヴァルの帽子が落ち……2人は我に返った。
シュヴァル「……っ……!!///
ご、ごごごご、ごめんなさいっ!…ぼ、僕……っ!///」
「……あ、あぁ……大丈夫だよ。」
シュヴァル「……その……ごめんなさい…本当に…///」
「……甘えたかったんだよな?」
シュヴァル「そ、それもありました……けど……。」
「……けど……?」
シュヴァル「……いえ、伝えたい事は伝えられたので…良かった、です…。」
「う、うん……。」
落ち着きを取り戻して、自分の座ってた場所に戻ろうとするシュヴァル。
シュヴァル「…………///」
しかし、握っていた手を離す事が中々出来ず、しばらくそのままで居る2人だった。
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