シュヴァル「…て、テンポイントさんの趣味って…なんですか…?」
ミーティングの後、シュヴァルが疑問を投げかけた。
俺は資料を片付けながら、その会話を見守っていた。
テン「………………そうですね…。」
少し考えた後、テンポイントは静かに話し始めた。
テン「…休日は…楽器をよく弾いております。」
アルダン「あら、それは興味深いですね。」
テン「…はい、いつか披露させていただければ…と。」
その話の終わり際、今度はテンポイントが皆に質問した。
テン「時に…皆さんのご趣味は何でしょうか。」
シュヴァル「…ぼ、僕は…野球かな…一緒やる人が…居ないけど。」
エース「アタシは…農作業だな、うん。」
アルダン「私…ですか、そうですね…料理や観劇…でしょうか。」
テン「…なるほど、とても素敵なご趣味をお持ちなのですね…。」
すると、テンポイントがこちらを見てきた。
テン「…トレーナー様は、何か趣味はございますでしょうか…。」
「俺?……俺かぁ…。」
みんなが見る中…うーんと考え込む…が。
「………な、無いな…。」
その解答に、アルダンとシュヴァルは苦笑いを浮かべた。
エース「無いことは無いだろ?」
「…って言われてもなぁ…休日にすること…。
俺は、みんなのレース映像やトレーニング風景を見るのが趣味みたいなもんだしな。」
その言葉に、アルダンはクスッと笑い…シュヴァルは安堵の表情を浮かべた。
テン「…トレーナー様…。」
「あれ、変だった…?」
テン「いえ、大変…素晴らしい事かと思います。」
エース「どこまでも真面目だな、ウチのトレーナーは。」
シュヴァル「真面目すぎるところが玉に瑕ですが…」
アルダン「ええ、全くです。」
「…お前ら…。」
こんなやり取りに、テンポイントがある提案をした。
テン「でしたら…トレーナー様、今度のお休みの日…良ければ私達にお付き合い願います。」
「…ん?」
テン「この機会に…どうでしょう、チームの輪を深める…というのは。」
「俺は…いいけど…みんなはいいのか?」
シュヴァル「と、トレーナーさんが一緒なら…。」
エース「たまにはいいかもしんねぇな。」
アルダン(これは…俗に言うデート…ということでしょうか?)
こうして、なし崩し的ではあるが…お出かけの予定ができた。
…全てテンポイントに仕組まれているような気はしなくもないが。
【その後】
「…テンってさ。」
テン「…はい。」
他の3人が席を外した後…俺はテンポイントに質問をした。
「笑ったりしないのか?」
テン「………………。」
素朴な質問だったはずなのだが…テンポイントは沈黙を貫いた。
テン「…見たいのですか?」
「そりゃ、見たいさ。」
中性的で、整った顔立ち…スタイルも良く、モデルのような出で立ちのテンポイントの笑顔を見たいかと言われれば、みたいに決まっている。
テン「…私に、笑顔など似合いません。」
「トレーナーのお願い…でも、か?」
テン「…見たいのです、か?」
「あぁ、もちろん。」
その一言に、テンポイントは静かに息を吐き……立ち上がった。
てっきり見せてくれるのかと…思いきや。
テン「…いけません、トレーナー様。」
静かに包み込むように抱き寄せるテンポイント。
「…えっ、あ…。」
テン「…その…私は、感情表現が苦手な故…簡単に見せられないのが…本音でございます。
……………それに…………。」
「…それに?」
テン「…いえ、なんでもごさいません。」
「…まぁ、慣れてからでいいよ…それに、笑ってくれた方が居心地よくて安心できるんだろうなって思いたいからさ。」
テン「……今も…安心できますよ、とても。」
「それなら良かった。」
テン(……トレーナー様は、いつも笑ってくれるのですね…。
その笑顔は…眩しくて…優しくて…甘い…毒のような…私を蝕んでいく…)
「テン?」
テン「…いえ、お出かけ…楽しみですね。」
「あぁ、テンも良い息抜きしてくれな。」
テン「はい…ありがとうございます。」
静かにお礼を言うテンポイント。
恥ずかしいのか…手を重ね合わせてきた。
テン「…温かい。」
「あはは、そりゃ良かった。」
テン「…しばらく、このままでよろしいでしょうか…。」
「もちろん、テンが満足するまでいいよ。」
テン「…ありがとうございます…。」
目を閉じ…トレーナーの手の温かさを味わうテンポイントだった。
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