瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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第72レース~僕だって~

クラシック三冠、2戦目''日本ダービー''の開幕が間近に迫ったある日

とあるニュースが飛び込んできた──

 

エース「なぁ、見たか…シュヴァル。」

シュヴァル「……?」

エース「同期のドゥラメンテが言った発表だよ。」

 

 

それは、日本ダービーに向けたインタビューでの出来事だった。

インタビュアー「ドゥラメンテさん!

''凱旋門賞''に出走登録とのことですが!!

クラシック級での''凱旋門賞''出走!

大きな挑戦となるわけですが、そこに至るまでの心境をぜひ!」

 

ドゥラ「─現段階では、あくまで登録を行ったにすぎない。」

続けざまにドゥラメンテは、こう述べた。

 

ドゥラ「私には、''世代最強''を示す義務がある。

仮に''日本ダービー''でそれを果たせた時には────」

ドゥラ「''世界最強''……つまり、''凱旋門賞''が視野に入ってくるだろう。

そのための布石だ。」

 

アルダン「クラシック級で、''凱旋門賞''…。

余程自信があるようですね。」

エース「あぁ……だが、簡単な話じゃねぇのは確かだがな。」

テン「……はい、並大抵の事ではありません。」

シュヴァル(……そっか。ドゥラメンテさん、''最強''になるってやっぱり本気なんだ……。)

 

シュヴァル(応援される理由、わかるな……。

''皐月賞''……あの走りなら、僕でも……ううん、僕は応援する側じゃない……)

シュヴァル「……あの、トレーナーさん……お願いがあります。」

「うん、何かな。」

シュヴァル「─────僕……。」

 

 

 

 

 

…………………………………………。

 

 

 

 

【日本ダービー当日】

 

 

観客「ワァアアアァアア!!」

シュヴァルからの申し出で日本ダービーを観戦する事になった。

 

出走前のドゥラメンテやキタサンブラックを見ながら…シュヴァルグランは呟いた。

シュヴァル「……凄いですね、''日本ダービー''……クラシックって」

 

エース「……あぁ、これまでの自信が杞憂に思えちまうくらい…」

アルダン「一生に一度のクラシックレース…勝ちたいと思う気持ちが大きくなるのは、全員同じということです。」

 

テン「……油断をすると…飲み込まれてしまうほどに……。」

シュヴァル「……これが……勝ちたいと思う気持ち…これが夢、なんですね…。」

 

エース「……懐かしいな、この感覚。」

アルダン「……えぇ、そうですね。」

シュヴァル「…アルダンさんも、エースさんも……確か…。」

 

エース「6着だ……''アイツ''に抜かされてな。」

アルダン「……接戦を落としてしまい、2着…トレーナーさんにダービートレーナーの称号をもたらす事はできませんでした。」

シュヴァル「………………。」

テン「……御二方……。」

 

エース「……でも、それが全てじゃねぇもんな、トレーナー。」

「あぁ……その気持ちを糧に…次に繋げよう。」

シュヴァル「……僕だって……僕だって、あの場所に立ちたいです。」

 

その目は、力強く…鋭い眼差しだった。

 

 

 

 

 

………………………………。

 

 

 

日本ダービーは、ドゥラメンテの圧勝だった。

 

 

実況【ドゥラメンテ先頭!ドゥラメンテ先頭!!

これぞ血の結晶、驚異の走り!強い、強いぞドゥラメンテ!!

新時代の幕開けだッ!!】

 

観客「うぉおおおおおぉ!!ドゥラメンテ!!!」

シュヴァル「……これが、歓声…地面が揺れるほどの……。」

シュヴァル(なんだろう…別の世界みたいだ…。)

 

シュヴァル(……クラウンさんも、キタさんも……ドゥラメンテさんも……全力を尽くしたんだ。)

 

出走したウマ娘A「……終わ…ちゃった……ダービー…

絶対勝つって……約束……っ、うぅっ…!」

出走したウマ娘B「今日のために、ずっと……っ!

くそっ……くそぉっ……!!何やってんだよ、アタシ……っ!!」

 

シュヴァル(……みんな、悔しがってる……当たり前、だよね……なのに……)

シュヴァル「……何で、僕は……それを見て何も思わないんだ……。」

 

 

俯き、口を固く閉じるシュヴァルを見て声をかけようとした。

……が、エースがそれを制し…首を横に振った。

 

シュヴァル「……なに中途半端な気持ちになっているんだ……僕……!

情けない…………こんな、こんなのじゃ……!!」

 

アルダン「……シュヴァルさん。」

テン「……落ち込んでいます……ね。」

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

失意の中、シュヴァルを連れて帰っているときだった。

 

突然シュヴァルの足が止まった。

 

エース「どうした、シュヴァル?」

アルダン「何かございましたか?」

 

シュヴァル「……その……僕は……っ……。」

目を閉じて、身を震わせるシュヴァル。

 

 

 

 

──────────そして、思いのままに……。

 

 

 

 

 

シュヴァル「─────ッ、わぁあああああああぁーー!!!!」

エース「……!」

アルダン「……っ。」

テン「……。」

───叫んだ。ただただ、心の思うがままに。

 

 

シュヴァル「あーーーー、っ……!!」

息を切らすシュヴァルの背中をさするアルダン。

 

シュヴァル「ぼ、僕は……っ!!

僕は……もう……中途半端で、自分のことが嫌いで……っ!

姉さんみたいにも、妹みたいにも、なれない。

誇りも何も無い……明るくもない……けど……っ!」

シュヴァル「僕だって……変わりたい……っ!!!

もう下なんか……向きたくないんです…っ!」

 

「……シュヴァル、もう一度聞く、君の夢は。」

シュヴァル「……僕は……っ!!

強く、なって!もっともっと、強くなって!!

世界で、一番っ……''偉大なウマ娘''に!!」

 

 

シュヴァル「─────なって、みせます……っ!!!!」

エース「……ふっ……よく言ったぞ、シュヴァル!」

アルダン「その夢、どこまでもお供致しますわ。」

テン「……私たちは、相生……。」

「ああ、君ならできる……シュヴァル!」

 

 

 

 

シュヴァル「……ありがとうございます、皆さん……っ。」

弱い自分からの脱却、それを胸に…シュヴァルは前へと進み続ける。




※アルダンは1年前、エースは2年前にダービーを走った設定です。

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