クラシック三冠、2戦目''日本ダービー''の開幕が間近に迫ったある日
とあるニュースが飛び込んできた──
エース「なぁ、見たか…シュヴァル。」
シュヴァル「……?」
エース「同期のドゥラメンテが言った発表だよ。」
それは、日本ダービーに向けたインタビューでの出来事だった。
インタビュアー「ドゥラメンテさん!
''凱旋門賞''に出走登録とのことですが!!
クラシック級での''凱旋門賞''出走!
大きな挑戦となるわけですが、そこに至るまでの心境をぜひ!」
ドゥラ「─現段階では、あくまで登録を行ったにすぎない。」
続けざまにドゥラメンテは、こう述べた。
ドゥラ「私には、''世代最強''を示す義務がある。
仮に''日本ダービー''でそれを果たせた時には────」
ドゥラ「''世界最強''……つまり、''凱旋門賞''が視野に入ってくるだろう。
そのための布石だ。」
アルダン「クラシック級で、''凱旋門賞''…。
余程自信があるようですね。」
エース「あぁ……だが、簡単な話じゃねぇのは確かだがな。」
テン「……はい、並大抵の事ではありません。」
シュヴァル(……そっか。ドゥラメンテさん、''最強''になるってやっぱり本気なんだ……。)
シュヴァル(応援される理由、わかるな……。
''皐月賞''……あの走りなら、僕でも……ううん、僕は応援する側じゃない……)
シュヴァル「……あの、トレーナーさん……お願いがあります。」
「うん、何かな。」
シュヴァル「─────僕……。」
…………………………………………。
【日本ダービー当日】
観客「ワァアアアァアア!!」
シュヴァルからの申し出で日本ダービーを観戦する事になった。
出走前のドゥラメンテやキタサンブラックを見ながら…シュヴァルグランは呟いた。
シュヴァル「……凄いですね、''日本ダービー''……クラシックって」
エース「……あぁ、これまでの自信が杞憂に思えちまうくらい…」
アルダン「一生に一度のクラシックレース…勝ちたいと思う気持ちが大きくなるのは、全員同じということです。」
テン「……油断をすると…飲み込まれてしまうほどに……。」
シュヴァル「……これが……勝ちたいと思う気持ち…これが夢、なんですね…。」
エース「……懐かしいな、この感覚。」
アルダン「……えぇ、そうですね。」
シュヴァル「…アルダンさんも、エースさんも……確か…。」
エース「6着だ……''アイツ''に抜かされてな。」
アルダン「……接戦を落としてしまい、2着…トレーナーさんにダービートレーナーの称号をもたらす事はできませんでした。」
シュヴァル「………………。」
テン「……御二方……。」
エース「……でも、それが全てじゃねぇもんな、トレーナー。」
「あぁ……その気持ちを糧に…次に繋げよう。」
シュヴァル「……僕だって……僕だって、あの場所に立ちたいです。」
その目は、力強く…鋭い眼差しだった。
………………………………。
日本ダービーは、ドゥラメンテの圧勝だった。
実況【ドゥラメンテ先頭!ドゥラメンテ先頭!!
これぞ血の結晶、驚異の走り!強い、強いぞドゥラメンテ!!
新時代の幕開けだッ!!】
観客「うぉおおおおおぉ!!ドゥラメンテ!!!」
シュヴァル「……これが、歓声…地面が揺れるほどの……。」
シュヴァル(なんだろう…別の世界みたいだ…。)
シュヴァル(……クラウンさんも、キタさんも……ドゥラメンテさんも……全力を尽くしたんだ。)
出走したウマ娘A「……終わ…ちゃった……ダービー…
絶対勝つって……約束……っ、うぅっ…!」
出走したウマ娘B「今日のために、ずっと……っ!
くそっ……くそぉっ……!!何やってんだよ、アタシ……っ!!」
シュヴァル(……みんな、悔しがってる……当たり前、だよね……なのに……)
シュヴァル「……何で、僕は……それを見て何も思わないんだ……。」
俯き、口を固く閉じるシュヴァルを見て声をかけようとした。
……が、エースがそれを制し…首を横に振った。
シュヴァル「……なに中途半端な気持ちになっているんだ……僕……!
情けない…………こんな、こんなのじゃ……!!」
アルダン「……シュヴァルさん。」
テン「……落ち込んでいます……ね。」
────────────────────
失意の中、シュヴァルを連れて帰っているときだった。
突然シュヴァルの足が止まった。
エース「どうした、シュヴァル?」
アルダン「何かございましたか?」
シュヴァル「……その……僕は……っ……。」
目を閉じて、身を震わせるシュヴァル。
──────────そして、思いのままに……。
シュヴァル「─────ッ、わぁあああああああぁーー!!!!」
エース「……!」
アルダン「……っ。」
テン「……。」
───叫んだ。ただただ、心の思うがままに。
シュヴァル「あーーーー、っ……!!」
息を切らすシュヴァルの背中をさするアルダン。
シュヴァル「ぼ、僕は……っ!!
僕は……もう……中途半端で、自分のことが嫌いで……っ!
姉さんみたいにも、妹みたいにも、なれない。
誇りも何も無い……明るくもない……けど……っ!」
シュヴァル「僕だって……変わりたい……っ!!!
もう下なんか……向きたくないんです…っ!」
「……シュヴァル、もう一度聞く、君の夢は。」
シュヴァル「……僕は……っ!!
強く、なって!もっともっと、強くなって!!
世界で、一番っ……''偉大なウマ娘''に!!」
シュヴァル「─────なって、みせます……っ!!!!」
エース「……ふっ……よく言ったぞ、シュヴァル!」
アルダン「その夢、どこまでもお供致しますわ。」
テン「……私たちは、相生……。」
「ああ、君ならできる……シュヴァル!」
シュヴァル「……ありがとうございます、皆さん……っ。」
弱い自分からの脱却、それを胸に…シュヴァルは前へと進み続ける。
※アルダンは1年前、エースは2年前にダービーを走った設定です。
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