テン「~~~………。」
エース「ははっ!まあそんな所もあるって!」
朝食を囲む中……エースが快活に笑った。
アルダンは隣でクスクスと笑い…シュヴァルは何のことか分からないのか首を傾げた。
「……その、テンにも苦手というか…弱い物があったんだな。」
テン「…私にだって、苦手な物くらい、ありますよ。」
ぷくーっと頬を膨らませるテンポイント。
何だろう……凄く可愛いと感じてしまった。
エース「まっ、それだけ熟睡出来て良かった良かった!」
アルダン「えぇ、今年の夏合宿は凄く実りのある物になりますね。」
シュヴァル「き、緊張してたけど……うん…凄く良い夏合宿……です。」
テン「……醜態を晒してしまいましたが…そう思います。」
「だな……まだまだ強くなるよ!」
その掛け声に、返事を返す4人だった。
エース「それで、トレーナー今日もアンクルウェイトを付けてダッシュか?」
「あぁ、まだ目標タイムに届いてないからな。」
アルダン「今日こそは目標達成してみせます。」
シュヴァル(……テンさん、結局昨日トレーニング終わりもずっとアンクル付けたままだったな……)
テン「……はい、トレーナー様のご命令ならば…。」
…………………………………………。
エース「おりゃぁあぁっ!」
「エース!33秒2!」
エース「だぁあ!もう少しか……!!」
アルダン「ですが、やはりタイムは良くなっていますね。」
シュヴァル「僕も……負けない…っ!」
重りを外し、ダッシュしようとしたシュヴァルをテンが呼び止めた。
テン「あの…シュヴァルさん。」
シュヴァル「えっ?……あ、は、はい…?」
テン「こちらのアンクル…少々お借りして良いでしょうか?」
シュヴァル「……えっ……い、良いです…けど……。」
了承を得たテンは、自分が既に付けてるアンクルの上にシュヴァルのアンクルを付けた。
その様子を見たアルダンが目を丸くした。
アルダン「……テンさん、何を…?」
テン「早くなるため……私は、どんな苦境も…受け入れてみせます。」
歩き出すテンポイント…しかし……。
テン「……っ……。」
あまりの重さに少し顔を歪ませる。
アルダン「お気持ちは分かりますが…怪我をされては元も子もありません。
それに…トレーナーさんは凄く悲しむと思います。」
テン「……すいません、気持ちが先走っていました…。」
アルダン「まずは外して一度走ってみましょう。」
テン「……はい。」
「テン~?走れるか~!?」
いつまでもスタートをしないテンポイントを見て、ゴール地点から声をかける。
テン「も、申し訳ありません、ただいま……!」
スタート地点に着くテン……。
テン(……今は、何も考えずに…トレーナー様が待つ…ゴールへ、飛び込むだけ……)
「スタート!」
テン「…………ふっ……!!」
好スタートと共にスピードを乗せて一目散にゴールに飛び込むテンポイント。
「31秒8……走破一番乗りだな。」
テン「……ありがとうございます、トレーナー様。」
「でも、無理しすぎだ。」
テン「……お見通しでしたか。」
「見てれば分かるよ、トレーナーだもん。」
テン「……私は、トレーナー様のために……強くなりたいんです。」
「ありがとう……でもね、俺はずっとテンとレース場を駆け抜けていきたいと思ってる。」
テン「……トレーナー様……。」
「強くなるのはもちろん大事だ……でも、俺は無事に最後までこのメンバー全員で駆け抜けたい。」
テン「……はい……1人で抱え込んでしまい……申し訳ありません。」
「言ってくれてありがとうね、でも……いつだって話を聞くからね。」
テン「……はい、ありがとうございます。」
「……ま、でも…前に比べてテンもちゃんと言ってくれるようになったな。」
テン「……全てはトレーナー様のおかげです。」
「あはは、買い被りすぎだよ。」
テン「いえ、トレーナー様と…チームの皆さんには深く感謝をしています。」
「……選抜レース、良いレースにしような。」
テン「……この脚に誓って、いいレースにする事を誓います。」
真っ直ぐこちらを見るテンポイントの目は
昔とは違い、覚悟と信念がある目をしていた。
エース「トレーナー~……!
流石に違うメニューして気分変えたいんだけどよ~!」
「違うメニューか……他のみんなは?」
アルダン「トレーナーさんにお任せ致します。」
シュヴァル「ぼ、僕も……。」
テン「なんなりと。」
「じゃあ、午後は別メニューだな!」
エース「っしゃ、やりぃ!」
シュヴァル「で、でも次はどんなメニューですか…?」
「……次は……。」
チーム一同「「「「……えぇぇ~っ!?」」」」
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