瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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第81レース~感謝~

「よし、一旦休憩だ!」

メンバー一同「「「……はぁ…はぁ……。」」」

 

夏合宿も1ヶ月が経とうとしていた頃。

トレーナーの掛け声と共にチームメンバーの皆が砂浜に倒れ込んだ。

 

エース「き、キツいメニュー…上等……だぜ。」

シュヴァル「た、短距離ダッシュ…山登り…遠泳…い、色々やりました……ね…。」

アルダン「皆様、お水ですよ。」

テン「……ありがとう、ございます。」

 

「……うん…よし、今日は早めに切り上げるよ!」

エース「こりゃまた急だな…どうしてだよ?」

「いいからいいから。」

シュヴァル「……?」

アルダン(トレーナーさん、また何か思い付いたようですね。)

「とりあえず部屋に戻って…今後の話をしよう。」

テン「かしこまりました、トレーナー様。」

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

室内に戻り、資料を片手に話を進め始めた。

 

「よし、まずは……テン、いよいよ数日後にゃ選抜レースだ。

担当契約をしているから、結果にこだわってくれ。」

テン「仰せのままに、トレーナー様…必ずや勝利を。」

 

シュヴァル「……そ、そう言えば…選抜レース前にトレーナーと契約って…

珍しい……です、よね。」

エース「ああ、初めて聞いたな。」

アルダン「元々、名のあるウマ娘や代々受け継がれていくトレーナーさん等には就くことはあります。

今回のような形は、中々ありませんが……。」

 

「……ま、それはテンが選んでくれた道だ。俺はそれに応えるだけだよ。」

テン「はい、私も同意見です。」

「選抜レース後に次のレースについても決める。走り終わった後のテンの感想や感覚を聞かせてくれ。」

テン「分かりました。」

 

「……次に、シュヴァル!」

シュヴァル「は、はい……っ。」

「''菊花賞''、出るぞ。」

シュヴァル「…………えっ……?」

「GII1勝、GIII1勝…実績としては充分だ。

元々スタミナがあるタイプだし…ここは一度大舞台も経験しておくべきだ。」

 

シュヴァル「……で、でも……僕なんか…。」

「怖いか?」

シュヴァル「……………………。」

「怖さがあるのはもちろん分かる。

大敗したら…ライバルとの差が浮き彫りになった……とか、色々考えてしまう気持ちもな。

でも…その経験が必ずシュヴァルに生きると俺は思っている。」

シュヴァル「……分かりました、''菊花賞''走らせてください、トレーナーさん。」

 

アルダン「シュヴァルさん…。」

エース「いい目してるな。」

シュヴァル「……ぼ、僕だって…逃げてばかりじゃ、ダメ…だから。

トレーナーさんの…期待に応えたい……から。」

「ありがとう、シュヴァル。」

シュヴァル(クラシックGI…同期の皆も出るはず……。

僕だって……僕だって居るって証明してみせなくちゃ……。)

 

「……エースは…。」

エース「ふっ、言わずもがな……だろ、トレーナー?」

「あぁ、秋シニア三冠…ライバルは強敵揃いだぞ。」

エース「強敵?…燃える言葉だな、それは。」

「エースらしいな…確かに、今のエースは昔とは違ってパワーアップしている。

出会った頃より、遥かにな。」

エース「……そうだな、あの時…トレーナーの言葉を信じて良かったとアタシも思ってる。」

「……勝とうな、エース。」

エース「おう!」

 

 

アルダン「……トレーナーさん。」

「ん、アル…どうした?」

アルダン「私のレースプランについて…提案があります。」

「提案…OK、聞かせて?」

アルダン「ありがとうございます。

私の次走は……''エリザベス女王杯''に出走させていただきたく…。」

 

「……''エリザベス女王杯''…か。」

アルダン「はい、私の道を示すには…この選択肢が妥当と判断致しました。」

「じゃあ、その次は''ジャパンカップ''って流れか?」

アルダン「……いいえ。」

小さく首を横に振るアルダン。

その様子を真剣に見つめるエース。

 

「……違うのか?」

アルダン「''マイルチャンピオンシップ''に…出させていただきたいと思っております。」

「……''ジャパンカップ''じゃなくて、いいのか?」

アルダン「……。」

エースの方を見るアルダン。

 

アルダン「……エースさんへ、バトンを渡したいんです。

勝利というバトンを。」

エース「……アルダン。」

アルダン「そして……2つのGIを走り終えた後は─────」

「……?」

 

アルダン「…………いえ、すいません。何でもありません。

是非とも、トレーナーさんのご意見をお聞かせください。」

「…2つとも適正距離だし…アルに走りたい意味や思いがあるのなら俺は否定しないよ。

じゃあ、エースとアルは別路線になるけどGI連戦だ、気を引き締めような。」

アルダン「ありがとうございます、トレーナーさん。」

エース(…言わないのか、アルダン。)

シュヴァル(……まだ、言いたくないの…かな。)

 

「そしたら、今後の日程についてのミーティングはこれでおしまい。

皆、ゆっくりしててな。」

そう言うと、トレーナーは部屋を後にしようとした。

 

エース「どこ行くんだよ、トレーナー?」

「ちょっと野暮用にな、すぐ帰ってくるから。」

エース「……行っちまった…なぁ、アルダン言わなくて良かったのか?」

アルダン「……まだ、水を差す訳には…来るべき時が来たらちゃんとトレーナーさんに伝えます。」

シュヴァル「トレーナーさん…何て言うかな…。」

 

テン「……あの…。」

エース「そうか、テンは話に加わって無かったから何の事か分からないよな。

……実はな。」

 

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テン「─────そうだったんですか…。」

エース「アタシはアルダンの意見を尊重した…が、トレーナーが何て言うかまでは…。」

シュヴァル「……き、きっと大丈夫ですよ…トレーナーさんならちゃんと聞いてくれますし…。」

 

テン「……各々、考えや目指す物…芯に持っている気持ち…色々あるのですね。」

アルダン「……私も、そういった気持ちを持つ大事さをトレーナーさんから学びました。

今度は…それをお返しする番、ですから。」

テン「………………………………。」

 

シュヴァル「……あ、あの…っ…僕…絶対なります…偉大なウマ娘に……!」

エース「……あぁ、クヨクヨするのは性に合わねぇもんな、前向いてくぞ!」

アルダン「皆さん……ありがとうございます。」

テン「ところで…トレーナー様は、どこに……。」

 

エース「そういや帰ってこねぇな…脱走か!?」

シュヴァル「……迷っているんじゃ…。」

アルダン「ふふっ、愛されてますね、トレーナーさんも。」

テン「……愛されてる…です、か。」

 

エース「ま、何だかんだアタシらもトレーナー居ないと何も出来ないからな」

シュヴァル「……そう言った意味だと…感謝してもし足りないです、ね…。」

アルダン「皆さん、出会ってから色々ありましたね。」

テン「……はい、でも…凄く…嬉しかったです。

真っ直ぐに…私を信じて…背中を押してくれて…勇気を貰いました。」

 

エース「……勝ちてぇな、トレーナーの為にもよ。」

シュヴァル「……はい。」

アルダン「夏合宿の成果、存分に発揮して必ず勝利を。」

テン「………必ず。」

 

 

 

 

 

「お待たせ、みんな……って、顔……怖いよ?」

エース「ったく~……やっと帰ってきたか」

「ごめんごめん、つい買い込んじゃって。」

シュヴァル「買い込ん……だ?」

アルダン「何か必要なもの…ありましたでしょうか?」

「んー…必要って程じゃないけど…ま、これも気分転換って事で。」

テン「……?」

「使うのは夜、な。」

エース「もったいぶってるな」

「まあまあ、楽しいはずだから……な?」

シュヴァル「トレーナーさんがそう言うなら…。」

「それで、何の話をしていたの?」

エース「き、聞くんじゃねー!ばーかっ!///」

「えぇっ、何で怒られたの!?」

アルダン「ふふっ、秘密ですよ♪」

「んー…気になるけど…まぁ、いいか…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

 

 

【夜】

 

 

トレーナーに招かれた4人は、外へと駆り出された。

エース「一体何を始めようってんだよ~…。」

シュヴァル「……も、もしかして…夜トレーニング…とか、ですか…?」

 

「……流石に、夜にトレーニングはしないよ。

よし、ここなら大丈夫かな。」

ガサガサと袋から何を取り出すトレーナー。

それを見たアルダンが、書いてある文字を復唱する。

 

アルダン「……花火?」

「そそ!せっかくだし夏っぽい事をしたいなって。」

メンバー一同「「「……………………」」」

「…………あれ?」

 

思った反応ではなく、焦るトレーナー。

すると、エースが声を上げた。

 

エース「おー、懐かしいな~!

昔、田舎のみんなとやってたっけな!」

シュヴァル「ぼ、僕は…姉さんやヴィブロスがやってる姿を見てるだけ…でした。」

アルダン「……私は…初めて、ですね。」

テン「……私もです。」

「………………ほっ、てっきり子供っぽいとか思われた…。」

 

エース「早くやろうぜ、トレーナー!」

「分かった分かった、火には気をつけてくれよ。」

エース「おうっ、行くぜ~!!」

先陣を切って両手に花火を持つエース。

火がつくと同時に、シュヴァルが声を上げた。

 

シュヴァル「わ、わぁっ…!!」

エース「ははっ、シュヴァル驚きすぎだって!ほら、持ってみ!」

シュヴァル「は、はいっ…………ぁ…すごい…綺麗…。」

「アル達もやってみようか。」

アルダン「こう、でしょうか…?」

テン「……え、っと……。」

慎重に火をつけるアルダンを見て、見よう見まねで同じ行動をするテン。

 

 

アルダン「…花火…一瞬の鮮やかと儚さはどこか私と似ていますね。」

赤青緑…色が変わる花火を見て、アルダンがポツリと呟いた。

「それが花火の良さだからな…でも、アルの輝きは消させないよ。

俺がついてるし…俺が守るから。」

アルダン「……ふふっ、勘違いしてしまいますよ?」

「……かもな、どう受け取るかは、アルに任せるよ。」

アルダン「まぁ、逞しくなりましたね、トレーナーさんも♪」

「茶化すなって。」

 

テン「……わ………ふぁ…っ。」

初めてのテンも驚きと困惑の声を上げていた。

「どう、テン?」

テン「星みたいで…とても、綺麗です…。」

「だね、花火が映るテンの瞳も綺麗だよ。」

テン「トレーナー様は冗談がお上手ですね、アルダンさん。」

アルダン「えぇ、全くです。」

「2人とも~…」

 

エース「うおおぉ!ツインバ○ターライフル!」

シュヴァル「え、エースさん~……!」

「あはは、あっちの2人ははしゃいじゃってるし。」

アルダン「…トレーナーさん。」

「ん?」

アルダン「ありがとうございます…夏の思い出を作ってくださり。」

「……ま、俺にはこれくらいしか出来ないからな。」

テン「ですが…そんな、トレーナー様のお心遣いにとても感謝しています。」

「それは良かった。」

 

エース「トレーナー!こっちきてでっけぇ奴やろうぜ!」

「分かった分かった、今行くよ。」

アルダン「ふふっ、賑やかですね、とても。」

テン「……はい、楽しいです…とても。」

楽しい時間をしみじみと感じるチームメンバーとトレーナーだった。




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