瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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サウンズオブアース…ゲット出来ました…!


第82レース~鮮烈な走り~

8月の暑さ厳しいある日。

 

トレーニングコースには、デビューを目指してこれからレースに向かおうとするウマ娘達が集まっていた。

 

エース「夏合宿があるからか、見物人は少ないな。」

アルダン「記者の方々は居ますが…主にサブトレーナーが多いようです。」

シュヴァル「…こうして見ると、普段の賑やかさが無いのって…変な感じです、ね。」

 

「まぁな、でも…テンの選抜レースだしな。」

エース「あんまり注目はされてる感じはしないけどな…。」

ウマ娘の耳はヒトよりも優れている。

記者たちの小話も聞こえているようで……。

 

 

記者A「今日のメンバーはハイレベルそうですね。」

記者B「1人離れてウォーミングアップしてるあのウマ娘は…見た事ないですね。」

記者A「本当だ…名前は…テンポイント?今まで選抜レースを何個も見てきましたが…初めて見ましたね。」

記者B「華奢だなぁ…大丈夫か?」

 

 

テン「…………………よし。」

いつも通り、念入りにウォーミングアップをするテン。

今までその様子を見てた俺たちは何も心配してなかった。

 

エース「それで、今日の作戦は何て言ったんだ?」

「作戦は…無し!」

シュヴァル「…へ、へぇっ…?!」

アルダン「トレーナーさんらしいですね。」

 

「あぁ、でも…一点だけ伝えてはおいた。」

シュヴァル「そ、それは…一体…。」

「───''ありのまま走れ''と」

エース「…だな、何かに縛られるくらいなら…思い切り走ってこそ…だよな。」

アルダン「えぇ、目に焼き付けましょう。」

 

 

 

 

実況「さぁ、選抜レースもいよいよ大詰め。

デビューを目指し…9人のウマ娘達がターフを駆けます。」

テン「…凄い…今まで走ってるから見慣れてるはずなのに…胸の高揚が…収まらない…。」

 

 

実況「今、スタートしました!!」

テン「─────っ!」

「よしっ!」

 

実況「おぉっと、テンポイント好スタートを決めた!そのままハナを進む!」

記者A「おぉ、スタートセンス良いな!」

記者B「後はこのペースをキープ出来れば、だな。」

 

実況「先頭を走るは、テンポイント。

しかしリードは徐々に無くなってきました。」

テン「……はっ……はっ…!」

 

記者A「やっぱり実戦慣れしてない走りだな。」

記者B「あぁ、直線に入ったら捕らえるな…。」

「…いや。」

アルダン「トレーナーさん?」

「ここからだよ、アイツは。」

 

 

実況「さぁ、3コーナー回って、各ウマ娘が攻め上がってくる!」

テン「この感覚…っ…楽しい…走るのが…楽しい…!!」

ウマ娘A(何…っ…何か…起こる…!?)

ウマ娘B(前のペースが…早まった…!)

 

テン「トレーナー様…これが…私の目指した走りです…っ!」

グッと目を見開いて、ターフを踏み込むテン。

次の瞬間、2番手以降の差が開き始めた。

 

テン「速く…速く…っ…どこまでも…前へ…っ!!」

実況「逃げる逃げるテンポイント!とんでもないスピードだ!」

記者A「嘘だろ、おい…!?」

記者B「失速するどころか、どんどん引き離している…!」

サブトレーナー「何なのあのウマ娘は…本当に初の選抜レースだって言うの…?!」

 

実況「テンポイント4コーナー回って直線へ向いた!

他のウマ娘は今ようやく4コーナーに差し掛かる!

速い、速いテンポイント!リードは7~8バ身!」

エース「…やるな、アイツ。」

シュヴァル「…凄い…。」

 

 

アルダン「…これも想定の内…ですか?」

「いや、予想以上だよ…凄いな。」

 

 

実況「持ったままペースは衰えず!

他のウマ娘をねじ伏せ、今テンポイント、ゴーールイン!!

10バ身の差を付けて圧勝です、テンポイント!」

テン「はっ…はっ……やった…。」

記者A「お、おい、見ろよ…これ!」

ストップウォッチを持った記者が隣の記者に走破タイムを見せた。

 

記者B「1000m…58秒8…!?

短距離路線で活躍するウマ娘でも出せないタイムだぞ…!?」

中堅トレーナー「凄い…必ずスカウトしてみせるわ…!」

 

エース「あーあ、盛り上がっちまったぞ、トレーナー?」

「自分の事のように嬉しいな。」

シュヴァル「そ、そんな呑気な事言って…テンさんが他のチームに行ったりしたら…!」

テン「私が…どうしましたか?」

アルダン「お疲れ様です、テンポイントさん。」

 

テン「…トレーナー様、お約束通り…勝利をもたらしました。」

「あぁ、凄いスピードだったな。」

テン「…身に余る程のお言葉、感謝致します。」

片膝をつき…深々と頭を下げるテンポイント。

その様子を見ていた周囲の人達が声を漏らす。

 

 

記者A「…じゅ、従者と主人みたい…だな」

記者B「そう言う関係なのか…?」

中堅トレーナー「もう契約済なのね…あのトレーナー…やるわね。」

 

 

エース「…何か要らない誤解まで生まれそうだな。」

アルダン「まぁ、仲睦まじいと言う見方も出来ますよ。」

シュヴァル「……そ、そうなの…かな?」

 

テン「…して、トレーナー様…その…。」

「ん?」

テン「…いえ、何も…。」

頭を差し出したようにも見えたので…俺はそのまま頭を撫でた。

 

テン「……っ……。」

「ごめん、違ったか?」

テン「……いえ…合っています…ありがとう、ございます…トレーナー様…。」

幸せそうに目を閉じるテンポイント…走り終わると年頃の反応を見せていた。

 

 

 

 

────────────────────

 

 

 

 

【寮】

 

 

選抜レースを走り終えたテンポイント…だったのだが。

 

テン「………。」

エース「夕飯、全然食べなかったな。」

テン「…申し訳ございません。」

アルダン「食欲…無かったのですか?」

 

テン「…はい…あまり…食べたい気にならず…。」

シュヴァル「そ、それって…選抜レースと何か関係…あったり、するんですか…?」

テン「多分…精神的に疲れてしまった…の、かと…。」

アルダン「精神の緊張…又は重圧…気にならないウマ娘なんて居るはずありません、

今日はゆっくりと体を休めてくださいませ。

…トレーナーさんに、連絡は?」

 

テン「…先程、しました。

体の消耗は予測していた…明日また体調の変化があったら教えてくれ…と。」

エース「なら、今日はもう休め…疲れたろ?」

テン「……お気遣いありがとうございます…失礼します。」

その言葉と共にその場を去るテンポイント。

 

シュヴァル「大丈夫…です、かね…。」

アルダン「レースとなると…普段よりも気持ちが出てしまうタイプなのかもしれません。

…負担にならなければ良いのですが…。」

エース「だな…トレーナーにも考えがあるとは思うが。」

テン(……体が…重い…。)




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