瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

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テンポイントの場合


第86レース~フケ~

【?????】

 

テン(……ここは……)

辺りが白い……部屋?

周りを見渡しても誰もいない。

 

テン「……。」

「テン」

慣れ親しんだ声に、思わず振り返った。

そこには、心からお慕いするトレーナー様の姿があった。

 

テン「トレー─────」

近寄ろうとした時だった。

「来るな。」

テン「えっ……。」

少し不機嫌そうな顔で突っぱねて距離を取るトレーナー。

今までに無い出来事に、困惑してしまった。

 

テン「あ、あの…トレーナー…様?」

「もうキミのトレーナーじゃない。」

テン「えっ……あの…何のご冗談でしょう…?」

「もう一度言う、もうキミのトレーナーじゃない。」

そう言って、踵を返そうとするトレーナー。

 

テン「待ってください、トレーナー様……っ!!

トレーナ─────」

 

 

 

 

 

 

 

テン「……!!」

その瞬間、目が覚めた。

時計の秒針の音が自分を現実に戻した。

 

テン「……夢…。」

体を起こすと、酷く汗をかいていた。

 

テン(……着替えましょう。)

シャワーを浴びるには早すぎるため…そっと起き上がり部屋着を脱いだ。

テン「…………。」

汗とは別に火照る体に手を置いた。

 

テン(……トレーナー様…。)

夢とは言え、良い心地がしない気持ちと何だか無性にトレーナーに会いたい気持ちが入り交じりテンポイントは落ち着かない様子だった。

 

テン「……トレーナー様…。」

着替え終わり、再び床へと就いたテンポイント。

横に置いてあったクッションをトレーナーに見立て抱きしめてまた眠りにつくのであった…。

 

 

 

 

……………………………………

 

 

 

【朝】

 

「ん~……っ!」

朝7時半…いつも通りの時刻にトレーナー室に向かうと…。

 

テン「……ぁ…。」

「あれ、テン?おはよう。」

扉の前でテンが立っていた。

 

「……どうしたの、こんな朝早くに。」

普段通りに接していたが、テンの様子はどこか変だった。

 

テン「……あ、の……。」

「あ、中に忘れ物とかあった…?」

テン「……は、い…。」

「うわっ、マジで!?ごめん!」

焦りながらカギを出して扉を開ける。

 

(あれ、でもトレーナー室のカギ渡してあるんだけどな……)

一瞬浮かんだ疑問を頭に抱えながら、中に入ると……。

 

 

 

 

 

 

カチャン。

 

 

「え?」

テン「…………。」

─────カギの閉まる音がした。

 

 

「……テン?」

振り返ると、俯いたまま尻尾を動かすテンの姿があった。

テン「……トレーナー様…っ!!」

「うわっ…!!」

突然飛び込まれたトレーナーは、受け止める事は出来たが

床に尻もちをついてしまった。

「……い、つつ……テ、テン…?」

テン「…………っ……。」

胸に顔を埋めたまま動かないテン。

声をかけても顔を上げることは無かった。

 

 

「……ど、どうしたの…さ。」

テン「……トレーナー様…トレーナー……様……。」

よく見ると、目が蕩けているように見えた。

(まさか、これって……っ!!)

1つ自分の中で思い当たる物があったが、その考えよりもテンの方が行動が早かった。

 

テン「トレーナー様…もっと…っ……!」

「ちょっ───」

馬乗りになり、胸元に指を這わすテン。

「お、落ち着け!な!?」

テン「………………。」

「……ほっ……何があったか、聞かせて?」

テン「……その前に……ひとつ聞いても良いですか…?」

「…な、なに…?」

こちらに身を預けるように体を倒すテン。

そして耳元で小さく呟いた。

 

テン「……トレーナー様は…ずっとお傍に居てくれます…か?」

「……当たり前だろ?」

テン「……ありがとうございます…♪」

「察するに…その事で不安になって考えれば考える程収まりが効かなくなっちゃった……って事か。」

テン「……はい…申し訳ございません。」

と、言いつつも……馬乗りを辞めないあたり、まだ興奮状態なのだろう。

 

「でも、もう始業時間も近いし……な?」

テン「……はい。」

耳を垂らし、落ち込むテン。

「……仕方ないなぁ…。」

テン「……?」

 

「昼休みにまた来いよ、な?」

テン「い、良いんですか……?

また…困らせてしまいますよ……?」

「大丈夫だよ、だからそれまでの我慢……な?」

テン「……分かりました、ありがとうございます……トレーナー様。」

ようやく退いてくれたテン。

立ち上がると、優しくズボンを叩いてくれたテン。

 

テン「朝から申し訳ありませんでした……。」

「ん、大丈夫よ……そんな時もあるしな。(まぁちょっと役得ではあったしな…)」

テン「……では…その……またお昼休みに……。」

「ん、分かった。」

行儀よくお辞儀をし、トレーナー室を後にするテンポイント。

その姿を見て、自分の頬を掻いた。

「……安請け合いだったかな。」

 

 

そして、テンポイントもテンポイントで……自分の袖を鼻に近づけた。

テン「……トレーナー……様…♪」

その顔は、恋する乙女その物の顔だった。




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