とりあえず人参ぶっ込んどく(?)
テン「………………。」
トレーナー室に向かうテンポイント。
すれ違う生徒たちの会話が聞こえた。
ウマ娘A「わっ、テンポイントさんだ。」
ウマ娘B「毛並みきれ~……」
テン「………………。」
見向きもされず…名前すら覚えられなかった過去を知ってるからこそ
今の状態に少し違和感を覚えるテンポイント。
テン(それもこれも、トレーナー様が導いてくれた証拠…居なければ、私はきっと…)
いつも、練習の輪に加われなかった。
必死に走る娘、タイムが縮んで喜ぶ娘、仲良く併走をする娘。
色んなウマ娘を遠くから見ていた。
自分のひ弱さに嘆き、恨んだ事もあった。
テン「でも…………今は。」
───走れている。私はここに居ると証明できている。
その事実に胸が温かくなった。
テン(…早く、トレーナー様にお会いしたい…。)
自然と急ぎ足になり、トレーナー室に向かっていた時だった。
???「─────よォ。」
テン「…………?」
壁にもたれかかり、腕を組んだウマ娘に呼び止められた。
後ろにもう1人ウマ娘が居た。
テン「……何か、ご用でしょうか?」
見るに、勝ち気なウマ娘と無口なウマ娘のようだった。
勝ち気なウマ娘「おめーのレース、見たぞ。」
テン「……それは、どうも。」
お礼を言いながら、頭を下げると…そのウマ娘が至近距離まで顔を近づけてきた。
勝ち気なウマ娘「─────だがよ。」
その顔は、真剣そのものだった。
勝ち気なウマ娘「いずれ追いついてみせる。デビューした後…しばき合うのが楽しみだな。」
無口なウマ娘「………………。」
テン「……えぇ、ですが…負けるつもりはありません、トレーナー様の為にも。」
勝ち気なウマ娘「……はん、そうかよ。」
視線に圧を加えると…そのウマ娘は鼻で笑い、立ち去った。
テン(…デビューした後…つまり、同期…でしょうか。
……ライバルになり得る…という事……です、か)
自分に出来るかどうかも分からなかったライバルという存在。
負けられない相手としてこうも意思表示をされると…手にも力が入る。
テン「……………………。」
ふと、自分のカバンの中を見始めた。
テン「…もっと、上を目指さなければ…。」
手に取ったのは、アンクルウェイト。
夏合宿が終わった後も自分用として持ち続けていた。
テン(……しばらくは付ける時間を増やしましょう。)
……………………………………………………
【トレーナー室】
テン「失礼します、トレーナー様。」
「……あ、テン…。」
トレーナーの顔を見て、微笑むテンポイント。
しかし、目線が下に下がった。
テン「……シュヴァルさん、お休みになられてるのですか?」
「うん、寝不足みたいで…少し寝かしてあげてる。」
テン「……その様子だと、身動きが取れない…という具合ですね。」
「あはは……まぁ。」
トレーナーの膝を枕にして、縮こまり寝息を立てるシュヴァル。
その様子を眺めながら…テンも座った。
テン「……幸せそうな寝顔ですね。」
「あはは、寝るまでは凄い拒んでたんだけどね。」
テン「トレーナー様は、不思議と安心出来てしまう温かさがありますから。」
「……テン?」
コツンとテンの頭がこちらに倒れ込んできた。
テン「………………。」
「…よしよし、テンも甘えん坊だな。」
テン「……トレーナー様のせいですから。」
「ならちゃんと責任取らないとな。」
テン「……当たり前です。」
と言いつつも、顔は嬉しそうなテンポイントだった。
エース「お疲れ~…って、おいおい…。」
アルダン「こんにちは、トレーナーさん。」
「2人とも…お疲れ様。」
エースは呆れながら、アルはさも普段の事の様に準備を始めていた。
エース「ったくよぉ、トレーナー?」
「ま、まぁ…そんな日もあるから…?」
エース「……まっ、シュヴァルもそれだけ懐いてるって事だもんな。」
テン「……エースさん…妬いてますか?」
エース「……は、はぁあっ!?」
シュヴァル「……う、むぅ……んっ…。」
狼狽えたエースの声で、シュヴァルが起きた。
シュヴァル「……ぁ…トレーナーさん…すいません、膝枕…。」
「おはよう、シュヴァル。寝れたみたいだね。」
シュヴァル「……はい。」
テン「……ふふっ、まだ眠気まなこですね。」
シュヴァル「……すい、ません…。」
エース「……ほ、ほら!少ししたら練習行くからな!」
アルダン「はい、シュヴァルさん冷たい紅茶どうぞ。」
シュヴァル「ありがとうございます、アルダンさん…。」
エース「……で、テンは何時までそうしてるんだよ…。」
テン「すいません…ですが、離れられなくて…。」
エース「んな訳!!」
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