瑠璃色のキミ達と   作:A×K(アツシくん)

91 / 183
エース……ごちウィーク…ありがとう…。
とりあえず人参ぶっ込んどく(?)


第88レース~思いを馳せて~

テン「………………。」

 

トレーナー室に向かうテンポイント。

すれ違う生徒たちの会話が聞こえた。

 

ウマ娘A「わっ、テンポイントさんだ。」

ウマ娘B「毛並みきれ~……」

 

テン「………………。」

見向きもされず…名前すら覚えられなかった過去を知ってるからこそ

今の状態に少し違和感を覚えるテンポイント。

 

テン(それもこれも、トレーナー様が導いてくれた証拠…居なければ、私はきっと…)

いつも、練習の輪に加われなかった。

必死に走る娘、タイムが縮んで喜ぶ娘、仲良く併走をする娘。

色んなウマ娘を遠くから見ていた。

自分のひ弱さに嘆き、恨んだ事もあった。

 

テン「でも…………今は。」

───走れている。私はここに居ると証明できている。

その事実に胸が温かくなった。

 

テン(…早く、トレーナー様にお会いしたい…。)

自然と急ぎ足になり、トレーナー室に向かっていた時だった。

 

 

???「─────よォ。」

テン「…………?」

壁にもたれかかり、腕を組んだウマ娘に呼び止められた。

後ろにもう1人ウマ娘が居た。

 

テン「……何か、ご用でしょうか?」

見るに、勝ち気なウマ娘と無口なウマ娘のようだった。

 

勝ち気なウマ娘「おめーのレース、見たぞ。」

テン「……それは、どうも。」

お礼を言いながら、頭を下げると…そのウマ娘が至近距離まで顔を近づけてきた。

 

勝ち気なウマ娘「─────だがよ。」

その顔は、真剣そのものだった。

 

勝ち気なウマ娘「いずれ追いついてみせる。デビューした後…しばき合うのが楽しみだな。」

無口なウマ娘「………………。」

 

テン「……えぇ、ですが…負けるつもりはありません、トレーナー様の為にも。」

勝ち気なウマ娘「……はん、そうかよ。」

視線に圧を加えると…そのウマ娘は鼻で笑い、立ち去った。

 

テン(…デビューした後…つまり、同期…でしょうか。

……ライバルになり得る…という事……です、か)

自分に出来るかどうかも分からなかったライバルという存在。

負けられない相手としてこうも意思表示をされると…手にも力が入る。

 

テン「……………………。」

ふと、自分のカバンの中を見始めた。

 

テン「…もっと、上を目指さなければ…。」

手に取ったのは、アンクルウェイト。

夏合宿が終わった後も自分用として持ち続けていた。

テン(……しばらくは付ける時間を増やしましょう。)

 

 

 

 

 

 

……………………………………………………

 

 

 

【トレーナー室】

 

 

テン「失礼します、トレーナー様。」

「……あ、テン…。」

 

トレーナーの顔を見て、微笑むテンポイント。

しかし、目線が下に下がった。

 

テン「……シュヴァルさん、お休みになられてるのですか?」

「うん、寝不足みたいで…少し寝かしてあげてる。」

テン「……その様子だと、身動きが取れない…という具合ですね。」

「あはは……まぁ。」

トレーナーの膝を枕にして、縮こまり寝息を立てるシュヴァル。

その様子を眺めながら…テンも座った。

 

テン「……幸せそうな寝顔ですね。」

「あはは、寝るまでは凄い拒んでたんだけどね。」

テン「トレーナー様は、不思議と安心出来てしまう温かさがありますから。」

「……テン?」

コツンとテンの頭がこちらに倒れ込んできた。

 

テン「………………。」

「…よしよし、テンも甘えん坊だな。」

テン「……トレーナー様のせいですから。」

「ならちゃんと責任取らないとな。」

テン「……当たり前です。」

と言いつつも、顔は嬉しそうなテンポイントだった。

 

 

 

エース「お疲れ~…って、おいおい…。」

アルダン「こんにちは、トレーナーさん。」

「2人とも…お疲れ様。」

エースは呆れながら、アルはさも普段の事の様に準備を始めていた。

 

エース「ったくよぉ、トレーナー?」

「ま、まぁ…そんな日もあるから…?」

エース「……まっ、シュヴァルもそれだけ懐いてるって事だもんな。」

テン「……エースさん…妬いてますか?」

エース「……は、はぁあっ!?」

シュヴァル「……う、むぅ……んっ…。」

狼狽えたエースの声で、シュヴァルが起きた。

 

シュヴァル「……ぁ…トレーナーさん…すいません、膝枕…。」

「おはよう、シュヴァル。寝れたみたいだね。」

シュヴァル「……はい。」

テン「……ふふっ、まだ眠気まなこですね。」

シュヴァル「……すい、ません…。」

エース「……ほ、ほら!少ししたら練習行くからな!」

アルダン「はい、シュヴァルさん冷たい紅茶どうぞ。」

シュヴァル「ありがとうございます、アルダンさん…。」

 

エース「……で、テンは何時までそうしてるんだよ…。」

テン「すいません…ですが、離れられなくて…。」

エース「んな訳!!」




評価・感想・お気に入り登録
よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。