夏合宿が終わり、あっという間に1ヶ月が経った。
アルダンを始め、チームジュピターが訪れたのは京都レース場。
今日は、テンポイントの2戦目となるPre-OPのレースが行われる。
テン「………………すぅ…………はぁ。」
エース「気合い十分って顔してるな。」
息を整え、リラックスした雰囲気のテンポイントに声をかけるエース。
テン「……エースさん…はい、ありがとうございます。」
シュヴァル「……で、でも…大丈夫なんですか…?
今回、1400mって短距離レースですけど……。」
前回が1000mのレースで、今回は400m距離が伸びた。
しかし、テンポイントは何処吹く風…と言った表情で…。
テン「問題ありません、トレーナー様が短距離メインに…と言うのであればそちらに従うまでです。
私は、与えられたレースをただ駆け抜けるのみ…ですから。」
アルダン「頼もしいですね、トレーナーさん。」
「あぁ……だけど、無理はするなよ?」
テン「はい、お心遣いありがとうございます、トレーナー様。」
すると、レース係員がテンポイントを呼んだ。
テン「……では、行ってまいります。」
「ああ、スタンドから見てるからな。」
エース「かましてこい!」
シュヴァル「が、頑張ってください……!」
アルダン「ご健闘を。」
テン「……トレーナー様。」
「ん、何だ?」
ドアに手をかけた瞬間、テンがじっとこちらを見てきた。
テン「…貴方の願いを…託してください。」
「…?」
一瞬、言われた事を理解するのに時間がかかってしまった。
テン「…私は、貴方だけの流星…ですから。
その願いを…何時でも叶えたい…そう思ってますから。」
「…ん、そうか…じゃあ…無事に帰ってこいよ、テン。」
テン「…はい、分かりました。」
テン「─────その真っ直ぐな瞳が、私は大好きです…。」
「?」
テンポイントが何か言ったのだが……
聞こえなかった俺は首を傾げるしか無かった。
───────────────────
実況「14人のウマ娘、ゲート入りはスムーズです。
人気は10番のテンポイント。前走の圧勝劇も記憶に新しいところです。
今日はどんなレースを見せるのか、期待しましょう。」
テン「……(あのウマ娘達も、見ているのでしょうか。)
───いえ、私は…トレーナー様の願いのために…走ります。」
ガッコン!
実況「今スタートしました!
横に並んだ綺麗なスタートからまずは誰が抜け出してくるのか!」
テン「…なるほど……でしたら…!」
実況「おぉっと、テンポイントがやはりハナに立った!
後ろをちらっと確認し、自分のペースに落とし込むのか!」
テン「……私は…星……ただ、トレーナー様の目に映る…眩い…流星…っ!」
実況「稍重の芝コースを駆け抜ける14人のウマ娘!
勝負は最終コーナーを回って、いよいよ直線コースへと差し掛かる!」
テン「……やぁああああっ!!!」
目を見開き、気合一閃…踏み込んでスパートを駆けるテンポイント。
そのスピードは瞬く間にリードを広げていった。
実況「強い強い、テンポイント!独走だ!
リードは広がる一方だ!」
テン(速く、速く…っ!駆けろ……っ……私…っ!!!)
実況「テンポイント、大楽勝で今ゴールインっ!!!
着差は─────なんと驚きの、9バ身差だ!!」
テン「はぁっ、はぁっ……っ!!」
まだまだ走れる…そんな風に体現するかのように目を走らせるテンポイント。
テン「……トレーナー…様…。」
スタンドでレースを見ていたトレーナーを見かけたテンポイントは
いつもの様に片膝をついて、胸に手を置き…最敬礼した。
エース「……なぁ、トレーナー?」
「どうした?」
エース「アイツ…もっと長い距離走れるんじゃないか?」
シュヴァル「あっ…ぼ、僕も思いました…。」
確かに、スピードは天性の物だ。
加えてレース前の言動からすると
恐らく中距離レースを走ると言っても本人は拒否もしないだろう。
「……まずは本人の意思の確認だ。
そしてスタミナトレーニングも積ませないと……な。」
アルダン「えぇ…ですが、きっと…彼女はまだまだ伸びますよ。」
「……あぁ。」
評価・感想・お気に入り登録
よろしくお願いします。
(今回からお試しも兼ねて多機能フォームを使ってみました)