【控え室】
テン「……ふぅ……。」
「お疲れ様、テン!」
テン「ありがとうございます、トレーナー様。」
エース「初戦と言い、今回と言い…来年のクラシックレースの注目株になりそうだな!」
その言葉に、テンは俯いた。
テン「……いえ、私は…まだまだです、手強いライバルも…沢山出てきます。」
その目は、既に前を見据えていた。
シュヴァル「……そう、ですね。
ライバルの存在は…気になりますから…。」
エース「……そっか、シュヴァルも次は…。」
シュヴァル「……はい。」
次走の順番的にシュヴァルグランの菊花賞が控えている。
シュヴァル「……その、ドゥラメンテさんは…出ませんが……
キタさんとかクラウンさんとか…ライバルも、出ます…から。」
グッと帽子を掴み、真剣な眼差しを見せるシュヴァル。
アルダン「……ライバルという存在…強くなる上で、避けては通れない道…ですからね。」
シュヴァル「……はい。」
まだ気持ち的に落ち着いてはいないが……
シュヴァルも思う事があるのか、力強く頷いた。
テン「……ふへぇ……♪」
そんな真剣な話をしてる時だった、間抜けな声がテンポイントから聞こえた。
聞き間違いかと思った一同はテンポイントの方を振り向いた。
テン「すい、ません……体に熱が篭っちゃって……♪」
確かに、走り終わったテンの体は熱を帯びていた。
しかし、それは皆に言える事で特に気にかけていなかった…のだが。
テン「……熱い~……♪」
─────突然、自分の服に手をかけ始めた。
「……!?」
この後の行動は、容易に想像がつく。
お腹が見え、体操着がみるみるうちに上がっていく。
エース「ばっか、シュヴァル!!」
シュヴァル「は、はいぃ!!」
流石はウマ娘……ヒトとは比べ物にならないくらいの反射神経で
俺の視界はシュヴァルの帽子によって遮られた。
「み、見ないし!!見えないし!!」
エース「見ていいわけないだろ!アルダン!」
アルダン「はい、トレーナーさん、こちらに。」
そのままバタバタと、控え室を後にするトレーナーとアルダン。
テン「はぁ~…ひんやりします…♪」
エース「…レース後にこうなるのは無くならなそうだな…」
シュヴァル「……そう、です…ね…別人のようです。」
何とか冷静さを取り戻した2人は着替えやらタオルを持ち出した。
テン「ありがとう……ございま~す…♪」
シュヴァル「……あ、の…すりすり……は…///」
テン「もちもちですね~……♪」
エース「……何かキャラが変わってねぇか…?」
テン「えへへ~…♪」
シュヴァル「トレーナーさんが見たら…悶絶しそうですね。」
エース「トレーナーの事をどういう目で見てるんだ、シュヴァルは。」
………………………………………………
【控え室前】
「……ったく、突然の事とは言え……見ないよ、流石に。」
シュヴァルの帽子を取り、やれやれと呆れるトレーナー。
アルダン「ふふっ、賑やかでしたね。」
「……テンも馴染んで来たってことだよ。」
アルダン「嬉しいですか?」
「そりゃ、な…トレーナー冥利にも尽きるし…皆が嬉しそうにして楽しそうにしてれば俺も幸せだよ。」
アルダン「ええ、想いは紡がれて…''今''という瞬間が生まれると…私も感じます。」
「ありがとうな、アルダン。」
アルダン「………………?」
突然の感謝の言葉に、アルダンはキョトンとしてしまった。
アルダン「いきなりどうしたのですか、トレーナーさん。」
「いや、アルダンと出会えたから…''今''があるなって思ったから。」
アルダン「それを言うならば、私の方も…ですよ。
トレーナーさんが居たから、ここまで来れましたから…。」
「……アルダン。」
アルダン「……トレーナーさん。」
どこかよそよそしい空気が2人を黙らせてしまった。
アルダン(……ですから、この先は─────)
エース「……なーにやってんだよ。」
「うわぁ!?」
ジト目でドアの隙間からこちらを見るエース。
アルダン「あら、エースさん…。」
エース「取り込み中だったか?なんてな。」
シュヴァル「え、と……その……何も見て…無いですから…///」
「う、嘘つけ!……それで、テンは?」
エース「あぁ、大丈夫だ……が。」
アルダン「……が…どうかしましたか?」
シュヴァル「……その…ですね。」
控え室を覗くと、顔を覆ったテンポイントの姿があった。
「……なにごつ?」
エース「あまりに取り乱して恥ずかしい姿を見せたから合わす顔が無いってよ。」
「……あ、あー……なるほどね…。」
テン「もうお嫁に行けません……///」
シュヴァル「……多分、しばらくは…あの状態…かと。」
「……う、うん…レース後のケアも少し考えないと……な。」
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