【エリザベス女王杯 当日】
観客A「秋シニアも楽しみだけど、このレースも豪華なメンバーが出るんだよなぁ!」
観客B「そうそう!ダイワスカーレットにファインモーション…それから…」
観客A&B「「''メジロラモーヌ!!''」」
【控え室】
アルダン「……………………。」
「大丈夫か、アル?」
アルダン「…えっ…あっ、は、はい…。」
「もしかして、調子悪いのか?…だったら──」
アルダン「いいえ、何も問題ありません。
お気遣いありがとうございます。」
「そうか、緊張すると思うけど、自分らしくな。」
アルダン「…はい。」
エース(…違うぞ、トレーナー…
シュヴァル(…言い出し…にくい…)
テン(…もどかしいですね。)
アルダン「…では、行って参ります…トレーナーさん。」
「あぁ、行ってらっしゃい…アル。」
【地下バ道】
アルダン「…………………。」
靴の音が、静かな地下バ道に響く中…1人のウマ娘がアルダンを待ち構えていた。
ラモーヌ「─────アルダン。」
アルダン「…姉様…。」
そこに居たのは、実の姉であり…。
メジロ家の至宝と呼ばれる''メジロラモーヌ''だった。
ラモーヌ「嬉しいわ、久々の出番で─────
…なんて、冗談を言ってる暇は無いわね。」
アルダン「……はい…。」
ラモーヌ「…''あの話''…本気なのね、貴女。」
アルダン「…はい、気持ちに変わりはありません。」
それは、エリザベス女王杯を走る前にアルダンがメジロ家の面々に話した。
''とある事''について、だった。
─────それを聞いたメジロ家のウマ娘からは…。
マックイーン「…そう、ですの。」
ライアン「本気…なんだね。」
ドーベル「アルダンさんの考えだから否定はしないけど…。」
ラモーヌ「………………。」
一定の理解は得られつつも、青天の霹靂と言った様子だった。
ラモーヌ「自らが選んだ道…だけれど、しっかりと向き合うのよ。」
アルダン「…はい、トレーナーさんに…然るべき時にお話しようと思っています。」
すれ違う際に、アルダンが言葉を続けた。
アルダン「…姉様と同じ道を辿る…''今''というこの瞬間に感謝をしつつ…
私の成すべき事をレースで示します。」
ラモーヌ「───えぇ、期待してるわ。」
実況「晴れ渡る空のもと行われる。
京都レース場 芝2200…16人のウマ娘がGIレースに望みます。」
アルダン「…………すぅ…良し…。」
実況「各ウマ娘、ゲートに入って体勢整いました。」
──ガッコン!
実況「今スタートが切られました!
各ウマ娘、そろってキレイなスタートを切りました。」
アルダン(ここは外から様子を見て…大丈夫、周りを見れている…)
実況「メジロアルダン、5~6番手で様子を見ている。
ここは、姉メジロラモーヌも制したレース、果たして妹はどのようなレースを見せるのか!」
アルダン(まだ…まだ…このペースなら…いつもより遅めに仕掛けて…!)
エース「落ち着いてるな、アルダン。」
シュヴァル「ちょっと、いつもより表情が険しい気も…。」
テン「…アルダンさん。」
実況「さぁ、まもなく第4コーナー!
まだ先頭と差がある!ここから先頭を捉えるウマ娘は出てくるのか!」
アルダン「……ここっ!!」
実況「さぁ、仕掛けた仕掛けた、メジロアルダン!!
先頭に迫る迫る!2バ身、1バ身!捉えたか!!メジロアルダン!」
エース「おぉっ!」
シュヴァル「頑張れ、アルダンさん…っ!」
テン「いけます…っ!」
「……アル…っ!」
実況「抜けたのはメジロアルダン!姉妹揃っての、エリザベス女王杯戴冠っ!!
先頭は、メジロアルダンだっ!!!!!」
観客「ワァァァァァァーーーッ!!」
実況「強いウマ娘が強いレースをする。
これぞトゥインクル・シリーズの醍醐味だ!!」
アルダン「はぁっ…はぁっ……やった…っ…!」
エース「よーしっ!ナイスだぜ、アルダン!」
シュヴァル「凄い…勝っちゃった…。」
「…ほっ。」
テン「一安心ですね、トレーナー様。」
「…あぁ、良かったよ…本当に。」
歓声を浴び、それに対してしっかりと応えるメジロアルダン。
その姿は、正しくメジロ家に相応しい物だった。
……………………………………………。
【控え室】
「アル、お疲れ様!」
アルダン「ありがとうございます、トレーナーさん。」
座って一息つくアルダンの頭を撫でながら優勝を祝福する。
戸惑いつつも、しっかりと受け止めるアルダン。
アルダン「…そして、トレーナーさん…次のレース…なのですが…。」
「…気が早いな…次か?次は確か─────」
アルダン「…えぇ…''マイルチャンピオンシップ''…です。」
「そうだな、連続で勝てるように頑張───」
アルダン「それが、私のトゥインクル・シリーズの''ラストラン''…そう考えています。」
「……………えっ?」
突然のキーワードに、俺は思わず言葉を失ってしまった。
アルダン「そして、年末に行われるURAファイナル…そこが正真正銘の最後です。
来年からの、ドリームトロフィーリーグには出走致しません。」
「…な、何で…そんな急に…!!」
エース「急じゃねぇよ。」
「…えっ?」
シュヴァル「…前から、アルダンさんに相談を受けてたんです。」
テン「トレーナー様に黙ったままで申し訳ありませんでした。」
アルダン「…そして、今後の事についても…決まってます。」
「今後の事って…。」
アルダン「…トレーナーさん、私を…チームの''
「えぇっ…!?」
アルダン「これからは、後任の…エースさん達含め…チームの皆様の走るレースに尽力したいと考えております。」
「……それが、アルの考えなんだな…?」
その言葉に、しっかりと、頷くアルダン。
アルダン「…それに、トレーナーさんの事を支えたいのです。
今までよりも、更に…ずっと…。」
「…分かった。アルの考えを…尊重するよ。」
アルダン「ご理解していただき、ありがとうございます、トレーナーさん。
どうか、残りのレースまでお付き合い…よろしくお願いしますね。」
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