ブルアカの世界にTS転生したので日記を書く 作:TS百合好きの名無し
ブルアカのアニメが癒やしすぎる……あのOPが見られただけでもう大満足だよ。
◯月☓日 晴れ
なぜ、私は補習授業部の副部長になっているのだろう。
なぜ、ミカは私の日記の隠し場所をあっさり見つけられるのだろう。
なぜ……いや、現実逃避はもうやめよう。もうなってしまったものは仕方ない。いい加減切り替える時だ。
正義実現委員会への人質として巻き込まれた下江コハル。
急な成績不振と破廉恥罪であらぬ疑いをかけられた浦和ハナコ。
本物のアリウス分校からのスパイである白州アズサ。
黒い噂(事実)が原因で裏切り者の可能性を見出された部長の阿慈谷ヒフミ。
これに色んな意味で怪しさの塊である私こと姫野アスカが副部長として加わり、この世界の補習授業部は構成されている。うーん、どうしてこうなった。
……それにしても私の先生とのファーストコンタクトは少し恥ずかしいものになってしまったな。まさかミカの膝の上で抱きかかえられている時に来てしまうとは。第一印象はきちんとした形で決めたかったのに台無しだ。
とりあえず明日も勉強をがんばろう。
今のアスカ先生はどう見ても可愛い癒やし系女の子にしか見えないからあれはあれで悪くない第一印象だったんじゃないかな。
私としてもアスカ先生と私のつながりをこっちの先生に意識付けることができたからちょうどよかったよ。
◯月☓日 雨
補習授業部の活動が開始して早数日。部員のみんなとの仲は良好だ。私にとって、アズサ以外は元々知り合いだから馴染むのもあっという間だった。
アズサともそれなりに打ち解けることができているし、有事の際の協力体制も心配なさそうだ。
私が補習授業部に入ったことについてレイサが心配していたので、特に問題はないとだけ伝えておいた。
補習授業部に参加することになってから、一緒にいられる時間が一気に減ってミカが拗ねているけど、こればかりは我慢してもらうしかなさそう。念のため、変な形で不満が爆発しないように気を配っておく必要がありそうだ。
先生との時間が減るのは本当につらい、つらいよ……でも私、頑張って我慢するから!
その代わり、後で時間を作っていっぱい構ってね。
◯月☓日 曇り
自分の勉強の合間に先生と協力してコハルとアズサの二人にそれとなくサポートをしてはいるものの、やはり二人の学力の伸びはよろしくない。
ハナコはハナコで何を考えているのか分からないし、ヒフミも私というオタ友ができたせいで原作以上にペロロ様にのめり込んで学力が大変なことになっていたことが発覚したため、試験合格までの道のりはまだまだ遠い。
こんなんで本当に大丈夫なのだろうか。段々と不安になってきた。
正直、私にはあのペロロ様とかいうマスコット?の良さが全然分からない……
なんかこう、絶妙にキモいというか可愛くないというか……
一度だけショーを見に行ったことがあったけれど、長い舌ベロで敵キャラっぽい何かを舐め回して倒す姿とそれに熱狂するファンの姿の両方にドン引きした記憶があるよ。
◯月☓日 晴れ
今日は補習授業部の第一次特別学力試験の日だった。
ヒフミ62点
アズサ39点
コハル19点
ハナコ19点
分かっていたことだけど私とヒフミ以外の全員が不合格だった。予想通り、補習授業部の合宿開催決定である。
点数の発表の際、ハナコが嬉々として1919を連呼して意味を理解したコハルにエ駄死されていた。
私というイレギュラーがいる以上、点数に変化が起きるのは想定内だ。想定内……なんだけど、ヒフミのこれはさすがに……
本来ならもっとマシな点数をとるはずの彼女がこの様子では色々とマズい気がする。限定ペロログッズでやる気を誘うなどしてなんとかせねば。
もう合宿が始まっちゃうんだね。本当は行って欲しくはないけど必要なことだから仕方ないよね。
最近ナギちゃんの監視が厳しくなってきているし、一度離れるのも悪くないことだと分かってるけど、やっぱり寂しいよ。
◯月☓日 晴れ
補習授業部の合宿を行うため、みんなでトリニティの別館へやって来た。
まず最初に行ったのは建物全体の清掃である。
長い間放置されていたせいで埃が多かったけど、手分けして清掃をしたおかげか思いのほか早く綺麗にすることができた。
その後は、例によってハナコがプールでの水遊びを提案し、みんなで水着に着替えてプール清掃の運びとなった。
学校のプールの清掃は前世の小学校時代の部活の時以来だったから、なんだか懐かしい気持ちになった。あの頃はトンボの幼虫とかを見つけて友達と一緒にはしゃいだっけなぁ……
生き生きとした表情のハナコから突然水をかけられたり、コハルと一緒にやり返したり、後半はもうほとんど遊んでいた記憶がある。
みんな本当に楽しそうで、まさに青春って感じだった。
ハナコが楽しそうに笑えている姿を見られて嬉しかったな。
◯月☓日 晴れ
朝起きたらミカからのモモトークがめっちゃきてた。
普段と違い、合宿中は寝泊まりの場所が別々になるから寂しくて不満なのだろう。とはいえ彼女がこっちにやってくるのは色々と問題があるので仕方ない。
そもそも自分の寮があるのにわざわざ私の寮に来ているのがおかしいのだけど。
補習授業部の方はというと、ヒフミが作成してくれた模擬試験を全員で受けてみたところヒフミと私以外が惨敗。
この結果を受けて危機感を感じたヒフミがモモフレグッズを好成績者への景品にする例の宣言を行い、アズサが目を輝かせていた。
よかったねヒフミ、第二のオタ友の誕生だぞ。
ところで、合宿中は会えない代わりにミカと寝る前に電話をすることになったのだけど……これが長い。とにかく長い。私の方から切り上げないと永遠に通話が終わらない。明日からは時間を限定して通話するように言い聞かせようと思う。
◯月☓日 晴れ
今日の朝、コハルのカバンからエロ本が見つかった。
正義実現委員会の活動における押収品だと必死で弁明するコハルを私と先生で落ち着かせ、先生が彼女と二人でエロ本を戻しに行くことになった。
二人がいなくなった後、残った私たちはヒフミ&アズサ、私&ハナコのペアに分かれてそれぞれの部屋で模試の勉強を始めたのだけど、その時ハナコがやたらと私に話しかけてきた。
普段の生活はどんな感じなのか? 誰とよく遊ぶのか? 急に良くなった実技の成績は今まで手を抜いていたのか? ミカとはいつ知り合ったのか? 校外に友人はいるのか? 先生にどんな印象を持っているのか? 等々、勉強の合間に彼女からの質問に色々と答えながら過ごした。
最後に自分(ハナコ)のことをどう思いますか?とも聞かれたので、周りをよく見て動ける頼もしさが安心する〜とか、友達に優しいところが素敵だ〜とか、隠してるけど乙女チックな部分が多くて可愛い〜とか、不器用でほっとけない娘だけどそこが愛おしい〜だとかを素直に答えていったら露骨に口数が減って視線も合わなくなった。本人的には必死になんでもない風を装って誤魔化していたつもりなんだろうけれど、耳は赤くなっていたし、声も少し高くなったり震えたりしていたため、照れているのが丸分かりでとても可愛かった。こっそり写真を撮っておくべきだったと今は後悔している。
流石に恥ずかしいので絶対にやめてくださいね。
◯月☓日 曇り
ミカがそろそろやばそう。連日モモトークのメッセージがものすごい頻度でとんでくる。
もうすぐヒフミがハナコの本当の成績に気付く頃合いだし、ガス抜きのためにも一度会っておこうと思って先程メッセージを送ったら爆速で返事がきた。明日の朝にこちらへ遊びに来るとのこと。
なんだか明日が待ち遠しく感じる。私の方もどうやら思っていた以上に彼女に対する寂しさを募らせていたらしい。
明日が楽しみだ。
◆ ◆ ◆
早朝――トリニティ別館。
私は今、朝一番に合宿所へと突撃してきたお姫様に捕まり、合宿所の共同スペースにあるソファーの上で抱きかかえられていた。
「ミカ」
「やだ」
「いやまだ何も言ってないんだけど」
「やだ」
「はぁー……抱っこなら後でいくらでも付き合ってあげるから、せめてその汚れと髪だけは整えさせて」
「……むぅ」
ミカに捕まってから約15分後。渋々といった様子で力を緩めた彼女の腕の中から抜け出し、正面から向き直る。
不満げな顔をしている彼女の髪や服はその一部が少し乱れて汚れていた。アズサが合宿所の周囲に仕掛けていた地雷原をガン無視で突っ切ってやってきたせいである。それでダメージがほぼないのは流石というかなんというか。
パンパンと汚れを手で払い、手櫛でサラサラな天使の御髪をできるだけ丁寧に整えていく。
「終わった?」
「うん、大体は」
終わると同時に再び捕まり、もはや定位置となりつつある彼女の膝の上へ。安定の翼ハグも合わさって抜け出す隙がまるでない。
……もしかして今日は一日このままなの? それは流石に困るんだけど。
先生もいい笑顔で写真なんか撮ってないで助けてくれ。
「あ、あのミカ様?」
「んー? なぁに?」
すると今の今まで黙って様子を窺っていた補習授業部メンバー+先生を代表してヒフミがミカへとおそるおそる声をかけた。
「その〜、ミカ様は何故こちらにいらっしゃったのでしょうか?」
「遊びに来たの」
「……はい?」
「より正確に言うとアスカさんに会いに来たの。そろそろ限界だったから」
「は、はぁ……そうなんですか」
「うん! 私のことは気にせず勉強を頑張ってね!」
「あはは……」
軽い調子で言うミカに苦笑いを返すしかないヒフミ。
特別な事情を抱えた大事な模試を控えたこのタイミングでナギサと同じティーパーティーの一人が合宿所に遊びにやって来る事態。これで気にするなというのも無理な話だ。特に裏の事情を知るヒフミや先生にとっては。
「ヒフミ、ミカの言う通りこっちのことは気にしなくていいよ。時間は有限だし、そっちはそっちで勉強を始めて欲しい。先生も本当に心配はないからヒフミを手伝ってあげて」
「“分かった。また後でね”」
「わ、分かりました」
私がそう言うとちょっぴり不安そうな表情を浮かべながらもヒフミたちは勉強のために別室へと移動していった……ただ一人、ハナコを除いて。
それに気付いたミカが不思議そうに彼女へと声をかける。
「あれ? ハナコちゃん……だっけ? みんな行っちゃったみたいだけどあなたは行かないの?」
「ええ。私の勉強のペアはアスカさんなので。いつも一緒に勉強をしているんです」
「……そうなんだ」
笑顔で答えるハナコに対して複雑そうな声色でミカが返す。顔は見えないけどなんとも言えない顔をしていそうだ。この二人は性格的に相性が良くないからなあ。
「はい。なのでそろそろアスカさんを解放していただけませんか? 私たちはこれから次の試験に向けて二人で勉強をしなければいけないので」
ふと私が感じたのは小さな違和感のようなもの。
なんだハナコの様子が少し変な気が――
「ええー? 私まだ全然満足できてないよ!」
「ミカさんもご存知のことだと思いますが、私たちはあくまで試験に向けての勉強のためにここに来ているわけです。それに、ティーパーティーの一員であるミカさんがこの場所に長居するのも良くないことだと思いますし……そもそもナギサさんは今日のことをご存知ないのでしょう? バレたらマズいのでは?」
「……へぇ?」
気のせい――なのかな? 一瞬、彼女たちの視線の先でバチッと火花が散ったような気が……
「ねえアスカさん……今のハナコちゃんってどこまで知ってるの?」
「え?」
「……何の話ですか?」
「あー……うん、今ので大体分かったからもういいよ」
勝手に納得した様子で会話を切り上げたミカは名残惜しそうに私を床に降ろし、ソファーから立ち上がった。
「まだぜーんぜん……ほんっっっとーに全然満足できてないけど、今日の私は【シャーレの先生】に用事があるからもう行くよ。
「ええ、アスカさんとはとても仲良くさせていただいているのでご心配はいりませんよ。昨日も一緒の布団で眠りましたから♡」
「ちょっ!?」
「は?」
ピシリと空気が凍った。
なんか女の子が出しちゃいけないドス声みたいなのが聞こえたような気がしたけど気のせいだよね?……うん、私は何も聞かなかった。
「ねえアスカさん、どういうこと? 私そんな話一度も聞いたことがないんだけど」
「べ、別に隠してたわけじゃくて昨日の夜の話! 昨日の夜の話だから! ……夜中にハナコから寝つきが悪くて眠れないからって理由で頼まれたんだよ。人肌を感じると安心して眠れそうだからって」
これは本当である。昨日の夜(ちょうどいつもの日記を書き終えたタイミング)に突然ハナコが私の部屋を訪ねてきて、寝つきの悪さを相談してきたのだ。なんとなく本当に困っていそうだったので彼女が眠れるまで側で色々と世話をしてあげた、ただそれだけの話だ。
やましいことは何一つないと思う。一緒の布団でくっついて寝るくらいなら別にいい……はず。いや、アウトなのか? 基準がよく分からなくなってきたぞ。
「ふぅん? ……で? してないよね? 浮気」
「し、してない。本当にただ一緒に寝ただけだから!」
「ええ♡ 一晩中それはもう優しく、じっくりねっとり甲斐甲斐しく私を寝かしつけてくれましたから♡」
「――」
嬉々として話し出すハナコにミカの目からハイライトが消え、「どういうことだ」と問い詰めるような視線が私に突き刺さった。顔のいい人間がそれをやるとマジで怖いのでやめて欲しい。
「言い方ぁ! 違うんだってばミカ!」
「そんな……あの夜にかけていただいた言葉は本心ではなかったのですか? 私はとても悲しいです……」
「あれはちゃんと本心だよ! でも誤解が生じるような言い方は……」
「ふんだっ! アスカさんのバカーっ!」
「あっ、ちょっ、ミカ待って!」
結局、ミカは不貞腐れたまま先生たちの向かった方へと走り去っていってしまった。
「……ハナコ」
抗議の意を込めてハナコを軽く睨むと、流石に悪いことをしたという自覚はあるようで彼女は困った顔で謝ってきた。
「ごめんなさい。悪ふざけが過ぎましたね」
「本当にね。……ハナコはさ、ミカのこと嫌いだったりする?」
「それは……」
言葉を詰まらせ、口を閉ざすハナコ。その反応から私は先程の彼女の言動の理由が単なる悪ふざけだけではないことを悟った。
「そう、ですね……今のところミカさんのことは別に嫌いというわけではありません。ただ……好きになれない、そう表現するのが適切なのかもしれません。私は彼女を見るとなんだか心がひどくざわつくんです」
「そっか。理由に心当たりはあるの?」
そう聞くと彼女は私の顔をじっと見つめた後、若干の間を空けて首を横に振った。
「…………いいえ」
「答えづらいことを聞いちゃってごめん。別に怒っているわけじゃないから気にしないで」
「でもミカさんはアスカさんの――」
「人にはそれぞれ相性があるし、私は別にそれを悪いことだとは思っていないよ。できる範囲でお互いに歩み寄ってくれれば十分かな」
本当はみんなが仲良しでいてくれるのが一番だけど、世の中はそんなに単純じゃないからね。特にこのトリニティにおいては。
ここの上層部のドロドロ具合とか一般人の感性の私からすれば魔窟すぎてあんまり近寄りたくないレベルだ。
「ところで、アスカさんと私の相性はどんな感じなんでしょうか」
「普通にいいんじゃないかな。私、ハナコと一緒にいると楽しいし。私結構ハナコのこと好きだよ?」
「す――――ええと、その、私もアスカさんといられる時間には特別な楽しさを感じています。――では、アスカさんとミカさんは?」
「うーん、相性抜群? ぶっちゃけもう彼女がいない生活は想像がつかないくらいかも。トリニティの中では一番仲がいいと思う」
「……やっぱり私、ミカさんのことが嫌いになりそうです」
「えっ、なんで悪化したの!?」
この後すぐに私たちは勉強に取りかかったのだけど、いくらこの時の言葉の意味を聞いてもハナコは拗ねたような態度で教えてはくれなかった。
復刻のナギサが引けたのでちょっとだけ幸せな気持ちになれた。
彼女の復刻はセイア実装の予兆に違いないと信じている。
次回はミカと先生の対話からになると思う。
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