世界とISと名もなき者へ Re:   作:葵 束

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▼2016年12月29日:修正しました


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Re:Birth 01/White Knight Incident【修正中】
001 20,Jun,2010/Freedom


「お誕生日おめでと!」

「――も、もう五歳か……早いな。 そうだ、何か欲しいものはあるか?」

 

 銀の髪を長く伸ばした少女のような姿をする息子に向かって、母親らしき女性は顔を覗き込むように屈み問いかける。 その隣には――母親と言っても気がつかれないであろう容姿を持つ父親が、彼の誕生日を感慨深い深そうにし見つめていた。

 名前を呼ばれ顔を上げると二人の顔が光によって隠される。 父親の顔は見飽きるほど知っているせいで、いくら顔を隠されようが彼の目には間違えることなく映る――しかし反対に母親の顔は何故か光が強く見ることさえもできない。 記憶に霧がかかったのではないのかと思うほど、その顔を思い出すことができないのだ。

 彼は少し寂しく思うも、そこにあるのは誰もが微笑ましいと思うほどの暖かい空気――平穏がある。 なら少しばかりの不明瞭な映像は良しとしようと思い、自身の誕生日ということに喜ぶことなく考え始めた。

 ――欲しいもの。

 欲しいものなど五歳の子供なら幾らでもあるだろう――だが彼にはソレがない。

 『今という時間が永遠に続けばいい』という考えしかすぐには思いつかないのが彼にとっての現状であり、物欲というものが無かったのだろう。 まるで人生を左右するような二者択一を前にしたかのように頭を悩ます。

 

「やっぱり無いの?」

 

 しかしそんな性格を理解しているのか母親の問いかけは彼を促すも、その声には仕方がないという感情が含まれていた。

 手間がかからない分、親というのは寂しいものだろうと必死になって考え彼は口を開く。

 

「じゃぁ……」

 

 言葉が続かない、続けられない。

 先程まで彼の前には両親がいたのだが今ではその姿がどこにもいないのだ。 首を振って探すも室内のどこにもいない。 突然過ぎる存在の消滅に彼は驚き言葉を失い呆然としてしまう。

 一体どこへ消えてしまったのだろうか――そう思いながら振り返ると彼の周りは燃え盛っていた。 慣れ親しんだ家具も居場所も、まるで平穏という名の空気を糧に燃え盛り彼を孤独に追い立てる。

 まるで彼の存在があってはならないかのように、()()全てを燃やし続け灰に返していった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すべてが燃え盛る光景を最後に彼は目を覚まし今まで見ていた光景が夢であることに気がつく。

 カモメの声が潮の匂いと共に彼へ届き潮風は銀の髪を彼が座る周囲に広げさせる。 視界には青い空と海――そして大量の貨物コンテナを確認した瞬間、彼は貨物船に忍び込んだことを思い返す。 日本に向けて出航する船が丁度目の前に碇泊し、船内構造を完全にとは言えないものの把握していたため忍び込むのが容易く、特に何かを狙って乗り込んだわけではない。

 風に流された長い銀髪を軽く纏め、その赤い目で直上に登った太陽の光をハエが飛んでいるかのように嫌そうな目で見上げ荷物の中から汗を拭うタオルを取り出す。

 ――いつも幸せな夢は炎の中で終わる……本当に、嫌な夢だ……。

 そう思いながら真夏に近くなってきたせいで暑くなった気温にウンザリしながら手に持ったタオルで額の汗を拭う。 夏に入ったばかりだというのに、既に日本では猛暑といっても良い暑さなのかと疑問に思い――熱気にヤられ朦朧としかけている頭では思考も定まらないと考えることをやめる。

 夜は冷えるため貨物コンテナの合間で身体を冷やす原因となる潮風等をやり過ごそうとしたのが、熱気を溜め込んだ原因であることには少しして気がついた。

 少しでも風通しが良ければ多少は快適だったのだろう。 そのことに気がつけないほど朦朧としていると判断しボトルの水に口を付け、少しばかりの気力を取り戻すと日陰に場所を移動しようとする。

 

……Wussten Magen, um dort!?(……そっちにはいたか!?)

Nein ist es nicht!!(いや、いない!!)

 

 だが微かに聞こえる声に彼は緩んでいた意識を一瞬で覚醒させ耳を澄ませた。

 彼にとっては聴き慣れた言語であるドイツ語に少しだけ違和感を覚えるも、状況を把握できず下手に動くよりも先に情報を得ようとする。 再び聞こえる小さな靴音や服の掠れる音、それを幻聴ではないと判断し無視しかけた意識を更に切り替えていく。

 様々な国の人々と会話する機会が多かっただけあり基本的な英語は勿論のこと、ドイツ、ロシア、イタリア――イギリス英語すらも覚えており、特殊な場所でなければ彼が理解できない会話はないだろう。 警戒する事はない、ただの乗組員同士の会話である。

 一瞬だけそう判断しかけたが、現状を再度把握しなおすとソレ自体がおかしな話であり彼を警戒させた。

 そもそも彼が乗る貨物船は日本船籍の船である。 その船内で母国語以外を日常会話に使うような乗組員は、そうそういないであろう――ならば今聞こえるドイツ語は彼にとって警戒するに値する情報なのだ。

 会話をしているということは最低でも二人、何かを探している内容に彼は自身が何かヘマしたかと息を潜めながら焦る。 もしかしたら探しているのは向こうから見て逃げ出した(ヽヽヽヽヽ)自分なのではないだろうか、と状況の不味さに打開策を必死に考え始めた。

 成り行きとはいえ戦死偽装は完璧であったはずだ。 高高度での原因不明な爆発で、その死体は行方が分からず状況から見て間違いなく死亡したと思われているはずだが、聞こえる言葉からは誰かを探しているような切羽詰まった内容が聞こえる。 もしかしたら誰かに乗り込む姿を見られていたのだろうかと、嫌な予想が徐々に降り積もっていく。

 ――ん……ここから聞こえてきてる?

 声の出処が自身の服、その胸ポケットからすることに気がつき手で中に入っていた物を取り出すと、小型の携帯電話にも見える無線機が姿を現す。

 

Rats!(くそっ!) Erkennungsmarke hat nicht gefunden!(ドックタグは見つかっていない!) Leben sollte, ist immer am Leben!!(生きてるはずだ、必ず生きている!!) Ich finde die Scarlet!!(スカーレットを探し出すんだ!!)

 

 どうやら声は無線機から聞こえるらしく、探しているのは間違いなく自分自身なのだが追っているのではなく救援しに捜索しているようだ。

 

Scarlett ist ein Eckpfeiler des Militärs.(スカーレットは軍の要だ) Was haben finden Sie jederzeit !(何としてでも探し出すんだ!)

Er ist ein Wohltäter.(アイツは恩人だ) Wir können nicht sterben.(死なせるわけには行かない)

Er ist so etwas wie ein mir unsere Tochter!(アイツは俺達の娘みたいなものだ!|)

Ja, auch von uns ist lebendig……(そうだ、俺達が生きていられるのも……)

 

 無線機の音量を落とすと騒がしい声は次第に波音にかき消されていく。

 何故まだ持っているのだろう。 とうに捨てたはずのモノが目の前にある――そこまで考え、もしやと首元を手で探ると指先が数珠のような連なった金属製の何かに触れ、それらを捨て忘れたのだと判断した。

 溜息が出る。 彼が首元から取り出したのは無線機の向こうで彼の安否を証明するであろうドックタグ。 多少変形させ高硬度から捨てておけば、間違いなく発見され彼は死んだ人間として扱われる――だがドックタグは未だ彼の手の中。

 ――航空機の爆発で何も残らなかった、ということになればいいなぁ……。

 失敗したと思いつつも彼は首から外し無線機と共に持つと、重い腰を上げ貨物コンテナの影を歩き船体の端まで歩く。

 

Vielen Dank, jeder……(ありがとう、みんな……)

Scarlett?(スカーレット?) Ich habe nicht von irgendwo jetzt hören!?(今どこからか聞こえなかったか!?)

Ist es wahr!?(本当か!?)

Sollten Sie in diesem nahe zu sein(この近くにいるはずだ!)!》

 

 最後の言葉は無線を通じて聞こえたらしく、その声に気がついた何名かが彼の名前を呼び続ける。 彼が意識を手放している間、こちらの音が向こうに聞かれなかったことを安堵しつつもドックタグ共々、無線機を海に投げ捨てた。

 

Scarlett(スカーレット!)! Scarlett(スカーレット!)! Die Antwort, wenn es weiß(いるなら返事をしろ!!)!!》

 

 最後に聞こえる戦友の声に多少寂しくも、もう会うこともないだろうと思い小さく感謝を述べる。 「私に居場所をくれて本当に感謝しているよ」――その言葉は風に流され、海に沈んだ無線機には届かない。

 帰ろうと思えば日本には帰れた――だが何故か帰る気になれなかった。

 日本に帰ったところで彼という存在は周りに馴染めず居場所が無い状態を強いられるだけだが、ドイツでは彼という存在を、ある程度受け入れてくれた為か日本より居心地は良かったのだ。

 結局、日本に帰ることが怖かったのだろう。 自分という存在が、まるで人ではなく雲のように軽くて不確かな存在になってしまうのではないかと怯えてただけである。

 悲しそうな目から一転、表情から全てを消し無気力な目で近づく日本の空を眺めた。

 日本という故郷――懐かしさと帰ってきたという感情が心の中に生まれるが同時に思い出したくない感情もよみがえり、そんな記憶を振り払うかのように頭を振り先程まで座っていた場所に戻る。

 無線機が何故、数百キロも繋がっていたのかさえ今の彼にとっては気にもならないことだった。

 

「それじゃ……ここまで運んでくれてありがと」

 

 所持していた荷物を全てバックの中に詰め泳ぎやすいようチェックを入れていく。

 海水が服を重くする事はなるべく避けたいため現在は軍で支給されたシャツにズボン、比較的軽装といってもいい服装に自身の身体ほどある特殊防水バック。 泳ぐのには適さないだろうが泳げないことはない。

 目に見える浜辺まで距離は遠くなく、ギネス記録となる225キロメートルもない――問題なく辿り着ける事を計算し終えると準備運動を軽くし海に飛び込む。 目指すは人気の無さそうな海岸。 そこで身を隠し出来る限り不審に思われないよう準備を整える。

 貨物船が作る波によって背を押されていくためか、泳ぐというよりも流されるという言葉が適切だった。 思ったよりも早く波と共に海岸に近ずくが、強い波の影響もあり徐々に目指している場所がずれていく――このままでは海水浴に適した開けた浜辺に出てしまうだろう。

 それは不味い。 泳ぐような格好ではない自身が人目に付くということは避けなければならない。 そう判断し一旦泳ぐことをやめ、その特殊性によって海面に浮き続けているバックにしがみつく形で安定した体制を取ると浜辺を確認する。

 試作品とは言え特殊な構造により内部に閉じ込められた極僅かな空気がバックに浮力を持たせ浮き輪のように浮いているのだ。 一般的に必要となる浮力は体重の十分の一と言われており、2リットルのペットボトル一本に対し約2キログラムの浮力がある――約8キログラムの浮力さえあれば体重が80キログラムの人間が浮くだけの力があるわけだ。 1キログラムの浮力で10キログラムの人間を浮かせられる計算である。

 当然彼と荷物を合わせても50キログラムあるかないか程度なのでバックは彼を海面に押し上げ続けた。

 ――人は……ぱっと見た感じいないね。

 よくよく考えてみれば未だ六月――本州で一番早く海開きする九十九里浜を除けば、他の海水浴場は七月の上旬から。 海水浴には少々早い時期であるため人の気配は無いといっても良い。

 大丈夫であろう――そう判断すると彼は再度泳ぎ始めた。

 長い髪に海藻が絡まり違和感を感じるが気にすることなく泳ぎ続ける。 陸地が近づいたのか目に見える範囲で岩という突起物を多く見るようになり、途中で波に押されぶつかりそうになるも手で押しよけ避けると再度陸地を目指す。

 砂浜に足が届きそうになったところで泳ぐことを止め上手く砂浜にたどり着く。 だが無事に成功したことに喜ぶことなく髪に絡まった海藻を取り捨てると、すぐさま周囲に人がいないことを再確認し人目がつかない場所まで身を小さくし移動する。

 

「……気持ち悪い」

 

 まだ少しだけ髪に海藻がついていたのか、それに気がつき彼は手で払うと木の影から海岸を見渡した。

 当初の目的とは別の場所となる海水浴場――その開けた砂浜には人の姿は見受けられず、近くに個室のシャワールームを見つけ丁度良いと駆け寄ると小さく扉を開ける。 中から人の気配はしなかったが念の為に小さく空いた隙間から中を覗くが誰もいない。

 そのことに安堵しながら素早く中に入り込むと扉の鍵を閉め動作確認のためレバーを捻り水が出ることを確認。 何の不調もなく水は先端から降り注ぎ、その水も夏の暑さに影響して冷たすぎることもなかった。

 ――やっぱ服の中にも砂が入ってきてる……。

 服を着たままシャワーを浴び軽く海水を洗い流すとズボンの裾から砂が水と共に出ていく。 海水によって漂っていたモノだろうが、よくもここまで服の中に入り込んだものだと思いつつズボンを脱ぎシャツのボタンを外す。 下着も脱ぎ華奢な身体が顕になり彼は身体を洗っていく。

 本格的に洗うのは銭湯を見つけてからだと決め適度に洗うだけにする。

 

「ん?」

 

 誰かに見られていると感じ後ろを振り向くが狭い個室に他に人がいれば気が付く――それに隙間という隙間も無く窓は型板ガラスであるため光が拡散し覗くことは無意味といっても良い。 視線を感じるはずがないのだが彼は誰もいない場所からソレを感じていた。

 早く済まそうと今まで着ていた服を絞って水気を取りビニールに入れ特殊防水バックの横に置く。

 濡れていてもこの気温だ――道行く人日とは厚さから水をかぶったのだろうと自己完結するだろうが、流石にスーツ姿といっても良い子供が濡れているのは人目につくどころか声をかけられる可能性が大きい。 仕方なしにバックから服を取り出す。

 その小柄な体格に合うような子供服ではあるが、彼より目立つような華美なデザインは一切なくシンプルな女性用――それに袖を通していくと着終えたときには、誰が見ても少し背伸びしたような普通の可愛らしい少女がそこにいた。

 

「海水浴シーズン真っ只中じゃなくてよかった。 いや、この気温だし誰かがいてもおかしくはないんだけどね……」

 

 特殊防水バックに脱いだ服を入れ使用した形跡を極力残さないよう確認し動く準備を整える。

 

「さてと、早くここから離れよう」

 

 そう思った瞬間、再び何者かの視線を感じ彼は振り返るがやはり誰もいない。

 しかし短時間に明確な視線を二度も受けるという状況は気のせいであると片付けるには厳しく、また今まで様々な視線を感じてきた彼にとって観察されるような感覚を否定するほど不抜けてはいなかった。

 もしやシャワールームを管理している誰かが気がついたのだろうか。 そう思い監視カメラが設置されていないか探るが――普通に考えてシャワーを浴びる場所に監視カメラを設置していたら盗撮だろう思いつき、それはないだろうと探るのをやめる。

 それでも何者かが彼を見ていたことは確実だ。

 願わくば厄介なことにならないようにと外に出ようと扉を開いた瞬間――彼の願いは早々に裏切られた。

 

「ねぇねぇ、何で君はシャワー浴びてたんだい?」

 

 彼が出てくるのを待っていたかのように扉の前に一人の女性が待ち構えていたのだ。

 頭には見慣れないウサミミといえば良いのか――そんな機械を付け、まるで童話に登場する人物が纏うような服装をした女性。 訳のわからない状況に身構え、そして硬直してしまう。

 当たり前だろう。 童話でしかイメージされない――まるで“不思議の国のアリス”に登場する人物をイメージしてしまうような服装に機械のウサミミというアンバランスな姿は彼でなくても唖然としてしまうのは仕方がないことだ。 そんな人物が居ると想像することはできるが、いざ目の前に現れたらとなると誰もが同じように思考が追いつかず動きを止めてしまう。

 しかし奇抜な服装を除いてしまえば誰の目から見ても目の前にいる女性は美人と断言できる。 その姿は衝撃的なものであったものの、彼にとって今まで見てきた誰よりも女性らしく感じ取る。

 

「服着てるし、泳ぐわけでもないでしょ~? ……ん、あれ? おーい、聴いてる~?」

 

 女性が何か問いかけていたが完全に惚けていた彼には届かない。

 

「ねぇねぇ?」

「――っ!?」

 

 肩を揺さぶられ彼はようやく自身が混乱し惚けていたということに気がつき即座に対応しようと口を動かそうとするが声が出てこなかった。 何を口にすれば良い、何と会話を始められれば彼女の心象を害することないだろうか――そんなことばかり考えていたが、どう考えても完全に惚けた頭は彼に回答を与えない。

 まるで時間が止まったかのような感覚が彼を更に混乱へと追いやる。

 

「あ、あの――えと……シャワー、使っちゃまずかった?」

 

 ようやく口にできた言葉は普段の彼を知っていれば驚く程に弱々しい。 子供らしく怒られ嫌われるのを恐れる怯えた声――だが彼は口にしている最中、先ほども受けた感覚を再び受け冷静さを取り戻す。

 この人を観察するかのような視線を忘れたという方が無理な話だ。 たった数分前に二度も感じた視線と同じ。 つまり彼がシャワールーム内にいたことを知り観察するかのように見ていた人物が彼女だということだ。

 何を感じて彼を見ていたのかは知らないが、貨物船から海に飛び込み浜辺へたどり着く一部始終を見ていたというのならば――そう考えると即座に対応できるよう自然と身構えてしまう。

 

「いや、そこらへん束さんが知るわけないじゃん」

 

 心底どうでもいいというふうに彼女は言い捨てた。

 ――タバネサン……ああ、たばねっていう名前か……。

 どうやら彼が思っているような厄介な事態には発展しないであろう――そう安堵するのと同時に冷静になった思考は彼女の名前を理解する。 苗字は分からないが、なんとも懐かしい響きがする名前だ。 日本人の名前は何か落ち着く効果でもあるのだろうかと真剣に考えてしまうほど彼女の名前は似合っていると彼は思う。

 

「……あー、そうなん……ですか。 ところで――」

「さぁね~」

「――えと……どうして貴方はここに?」

 

 問いかける前に返答されたのか、それとも自身の発した言葉に理解できないと口にしたのか――何はともあれ彼は再び問いかけた。

 初めて見るタイプの人間だと思うも彼は一つ一つの仕草を目に焼き付けていく。

 時間は正午に近く、この暑さもあり海水浴日和なのは間違いがない。 人がいても不思議ではないが時期的には少々早いのか、周囲の店も閉まっており満足に海水浴を楽しめる状況ではないはずだ。 軽く見た感じでは彼女は荷物を持ってきているわけでもなければ、下に水着を着ているようにも見えない――ということは海に泳ぎに来たということではない。 なら何故、彼女は目の前にいるのだろうか。

 

「逆に聞くけど――君はなんでシャワーを浴びていたんだい?」

「それは……」

「日常生活での行動なんかは所詮、自分の気まぐれだよー?」

 

 逆に問い返され彼は冷や汗をかく。

 

「君だって、なんでこんなところでシャワーを浴びていたかなんて聞かれたくないでしょ?」

 

 おそらく彼女は彼が何処から現れたのか理解して口に出しているのだろう。 自身のことを聞かれたくないなら踏み込まないで――そう遠回しに言っているように聞こえる。

 シャワーなんか家に帰れば人目を気にすることなく自由に浴びることが出来るが、彼は人目を避け周囲を警戒しながらシャワールームに入り込んだのだ。 一刻も早くシャワーを浴びたかったという光景として見ることはできるが、それならば特殊防水バックの中に入っている着替えや貴重品を所持している理由が説明できない。

 まるでホームレスのように必要なものだけを持ち歩き、公園等の自由な水道で身体や服を洗う光景と似ており――つまるところ彼の家が存在しない、もしくは近辺には存在しないという予測が建てられてしまう。

 最悪、国家機関に長いあいだ自由を制限させられる可能性だってあるのだ。 そればかりは彼の目的を妨げるため避けねばならない。 日本の地に足を踏み入れたとき一番警戒しなくてはならないのは人の目につき自由を失うことなのだから。

 彼は頬を引き攣らせながらも彼女の言葉を肯定する。

 

「――で、なんでシャワー浴びてたんだい?」

「今自分で言った言葉思い返そうか!?」

「そんなこと束さんは忘れたよ~」

 

 一方的な質問に彼は考えることを止めた。

 何を知っているのかは判断できないものの、彼女と関わるのは厄介事以上に疲れる。 おそらく人の話を真面目に聞く性格ではないのだろう。

 その結論に至ると彼は静かに彼女から離れるよう歩き始める。

 

 

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「あれぇ~? もう行っちゃうの」

「ええ――ここに居ては誰かさんのおかげで非常に疲れるということが分かりましたので」

 

 最後まで彼の理解が追いつかない人ではあったものの悪い感じはしないため、多少苦笑いでも微笑みながら別れを告げた。

 流石に話し続けたら人目が無いに等しい場所でもあっても目立ちそうなため多少強引にでも会話を終わらせたはずなのだが何故だろう。 何かがまだ彼女と引き合わせるのではないか――そう彼は感じてしまう。

 「ばいば~い♪」――そう背後で手を振る彼女を見ることもなく彼は小さく手を振るも、彼女が――少し話しただけであったが束という人間が、簡単に彼という奇妙な存在を手放すはずがないと奇妙な感覚が告げていた。

 簡単に解放されるはずがないのだ、と後ろを警戒しながらも自然に歩き続ける。 それでも距離が離れたこともあり、束が電話していることには気が付けない。

 

「一体なんだったんだろう、あの人……」

 

 嫌な予感しかしないのは彼の感覚でなくても感じるだろう。 底知れない何かに追い詰められているのではないか――彼にはそう感じた。

 先ほどの場所が見えない所まで歩き振り返ると束が視界に映らないことを確認。 一息つくと彼は再び歩き始める。

 ――追ってきてる……ってことはないんだ。

 そのことに少しだけ安心するが不安は拭えず、彼は警戒しつつも早急に逃げる事を選ぶ。 波際を歩いているせいでスカートが濡れそうになるが気にしている余裕はない。

 

「――さてと、戦死扱いを受けたしアレも間違いなく投げ捨てた――今更、戻るつもりもない。 でも準備時間がかかる……やっぱり先にあっちから何か報告書に混ぜて送っておけばよかったかな……。 まず誰もいない家に里帰り……?」

 

 そう呟きながら浅瀬を見つめ、ふと今自身が口にした言葉に違和感を感じる。

 確かに実家へ帰ることを里帰りと言う人はいるのだが、結婚後に妻が初めて実家へ帰ることを指す言葉であるため彼が違和感を感じるのは当然だろう。 結果、彼は静かに心の中で訂正し違和感を思考から弾き出す。

 波が軽い物を浮かせては動かし浜辺に置き去りにしていく光景に少しだけ考える事を止め海を眺める。

 

「あのクソ親父が運良く見つかれば簡単に事が進むんだけど、こればかりは仕方がないね。 会社へ電話するにも盗聴の可能性がある時点で国内の通信機器は全て使えない――かと言って国外からの通信は別の意味で危険性が高い……」

 

 そう言いながら自分の親と同じぐらいの戦友を思い返す。

 まだ幼い彼を自身の子供同然に受け入れ、そして信頼できる仲間として共に短い間を過ごした――彼にとっての戦友。

 

「――“AWACS(エーワックス)”が撃墜されたとなるとNATO加盟国の警戒が強くなるはずだから、しばらくはスクランブル待機かな? まぁ、おかげで変に動かれることもないだろうし……流石に日本まで探しには、来ない、よね?」

 

 独り言のように彼は淡々と呟く。

 人がいないから良いが、もしいたら危ない子か少し頭のおかしな子だと思われただろう。

 

「ま、いいや。 とにかく離れな……い、と?」

 

 そんな中、光る金属片が彼の視界に飛び込んできた。

 先ほど投げ捨てた物に形はよく似ているのだが、捨てた時間と距離を考えると彼自身が所有していたものではない。

 普段なら急いでいる現状、見なかったことにして放置していたのだろうが――彼は奇妙な何かをソレから感じて、何かに引きづられるように足を踏み出す。 まるで磁石が互を引きつけ合うのは当然だと言われてるような感覚に混乱しつつも確り近づく。

 

「私のじゃ……ないね」

 

 そう言いながらも浜辺に打ち上げられていたドックタグのような金属片を拾い上げた。

 ドックタグとは軍隊で使用される個人識別用の認識票で、5センチ程度の大きさに切り揃えられた金属板に氏名を初めとする個人情報から所属している軍や識別番号が書かれており、これは各国の軍隊で細かい部分が違うものの今上げた基本は共通している。 当たり前の事だが、少し前に彼が投げ捨てた物も軍から支給されたドックタグだ。

 ――誰のだろう?

 付着した砂を海水で落とし彼は刻まれた文字を見つめ口にする。

 

「“GUNDAM”?」

 

 最初に思った事は不思議な単語、ただそれだけだ。

 基本的にドックタグには文字しか刻まれないのだが、彼が手にしたソレは“GUNDAM”という意味不明な文字と翼のように左右へ広げられた何かしか刻まれておらず――ドックタグの形をしている紛い物だった。

 おそらく誰かが遊び半分で制作した物だろう。 そんなものに奇妙な感覚で引き寄せられたと思ってる自分自身が情けなく、また同時に馬鹿な事をしたと笑いそうになる。

 形が見知ったソレに似ているだけで引き寄せられたのだと結論付け、もう一度同じように投げ捨てようと振りかざそうとした瞬間、ソレは太陽の光を反射したのかと見間違うほどに光り輝き始め――徐々に強くなる光は彼の視界を奪うには十分な威力を発揮し周囲を白で染め上げていく。

 

「な、に……これ……」

 

 強烈な光に確認するどころか目を開けることもできず再びソレを目にしたとき、彼の瞳は信じられない光景を映していた。

 ――Generation

   Unsubdued

   Nuclear

   Drive

   Assault

   Module……

 金属片の上に淡々と並ぶ文字列。

 理解が追いつかない現状で一体何に驚けばいいのだろうか。 電子機器もない状態で文字が出てきたことだろうか、それとも出てきた文字が()()()()()ということなのだろうか――今の彼には呆然とすることしかできない。

 時間が経つにつれ頭の中が整理でき冷静になると、ようやく彼は目の前に表示される文字が異常であることに気がつき目を大きく見開いた。

 ――どういうこと!?

 言葉通り液晶画面を使用せず彼の手の上で文字は浮いている。

 それは現在の科学技術を少しでも知っていれば不可能であると即座に気がつく光景で、彼は様々な角度から浮いている文字列を眺めるも、どの角度からも文字が正確に読み取れた事に余計頭を悩ませた。

 ――まさか某国の最新軍事機器?

 ありえそうな結論だが彼の耳に軍事情報が入らないはずがない――それが機械の事になれば余計にだ。

 ――文字列の合間が微妙に変色してる……?

 目を凝らさなくては見落としても仕方がない差異に気が付くと、彼は文字だけが浮いているのではないと予想を立てる。 おそらくは画面に値する何かを表示した上で、そこに文字を映し出しているのだろう。

 だが当然それも現代の科学技術では不可能なモノで、彼は首をかしげながらもソレを見続けた。

 ――OK……

 突如、今まで表示されていた文字列が消え新しい単語のみが表示される。

 

「……OKって、なにが?」

 

 混乱した頭では目の前で起きている現象を理解しきれなく、曖昧な思考は目の前に表示された文字を口にしてしまう――それが彼にとって全ての始まりだった。

 ――またっ!?

 もはや驚くどころか何度目かの発光現象に彼の目は一瞬で瞼を閉じる。

 今度は瞼の裏から瞳を焼くような光は無く耐えれたのだが瞳を開け何が起きたのか確認するのには勇気が足りず、また彼の予想を裏切る光景が映るのではないかと恐る恐る目を開く。

 

『気がつかれるな――』

 

 懐かしいようで聞き覚えのない声が耳に届く――だが何にと考える余裕はない。

 

「……よかった。 特に何も、ん?」

 

 何も変わらない事に彼は安堵の息を付くも胸に見覚えのない赤いラインが目に付き――それに気がついてしまえば違和感は徐々に姿を現し、また彼を混乱の渦に落とす。

 赤いラインが自身の身体より前に出ていることが不思議で顔を下に向けると、濃青色(ダークブルー)より濃い紺鉄(こんてつ)色の硬そうな何かが自身の身体を隠している。 それを目で追うと今度は肩の方に白を基本とした鎧のような何かが目に映った。

 取れないかと手を伸ばせば今度は人の形をしているが人間の物ではない機械の手が視界に飛び込み、彼は急いで自身の腕を確認する。

 まるで機械の身体を手にしたと思えなくもない状態に彼は恐怖を覚えた。

 ――なにか鏡、鏡!!

 どういう状態になっているのか確認を取るため彼は自身を映し出す鏡を探すが、当然浜辺に置いてあるはずもなく――顔を上げた先にある海水で確認を取ることにする。

 先の光景と合わせ質の悪い夢だと思うも一向に冷める気配はなく、足を動かすたびに否定したい音と足先が見える気がして海面に映る姿に目を向けられない。

 

「……嘘ぉ」

 

 恐る恐る海面を覗き込むも、やはり映っていたのは彼ではなく人の形をした機械――それも青い翼が背中にある天使のような姿だった。

 天使というにはトゲトゲしく神秘的な姿ではないが形から見れば天使にも匹敵しうる美しさはある。

 頭から四本の角というには弱々しく細い何かを伸ばし青い翼を持った機械の天使。 遠くから見れば人間にも思えなくもないのだろうが、流石に目が悪く条件が合わなければ人間とは思われない――むしろ人の形を保てている巨大な石像と言われた方が納得できた。

 そんな色鮮やかな機械の身体は彼が動く通りに界面へその姿を映し続ける。

 

「なに、これ……」

 

 既に彼が理解しようと動かしていた思考は止まり口にできる言葉も簡単なものだけ。 ただ海面に映り込む機械の身体を呆然と見つめることしかできない。

 彼の身体は何処へ消えたのか海面には映らず事実だけを示し続けた。

 ――これは悪い夢だ……そう、夢なんだ……。

 そうでなくては彼の身体は海面に映る機械の身体へと変わってしまったということになる――実に非現実的でバカバカしい笑い話。 だが周りに仕掛けも無ければ彼の身に起きていることは紛れもない現実なのだ。

 重機すら存在しない木々と砂だけの浜辺に一瞬で全長三メートルを越える人の形をした機械が現れるわけがない。

 そして現在、彼の足だった場所に存在する足は海水に浸かっていた。

 混乱しつつも彼は目に映る物が金属で構成されたものだという情報を手に入れ、同時に金属でできた足を軽々と――それも自分の足であるかのように動かしたという事実を突きつけられ驚愕する。

 ダンボール等ではない歴とした金属で構成された身体。 次第に先ほど脳内でバカバカしいと思った想像が現実ではないのかと思い始めてしまう。

 

Authentication confirmation.(認証確認。) Exit to start up the system protection function(保護機能を終了しシステムを起動)……?」

 

 先ほどの金属片と同じように文字が浮かび上がる――だが今度は、その正体が空間投影技術の一つであるという事を掴み余計に理解ができなくなった。

 

「……嘘だ、有り得ない……」

 

 現実を否定しても彼が望まぬまま表示箇所が増えていく。

 機体名称や形式番号から理解のできない動力らしき名称――搭載されている機能説明等、それらは彼の目が追いつかない速度で今も表示され続けていた。

 ――ZGMF-X10A FREEDOM……

 その中で彼の目を引いたのが一番最初に表示されたモノ。

 ――“フリーダム”?

 おそらく海面に映る機械の身体は機体という意味から航空機と同じ人が操る機械で、その名称が“フリーダム”なのであろうと判断し――自分が考えた事に驚愕する。 有り得ないと思いつつも彼の思考は徐々に加速し、ある一つの悪い仮説を組み立てた。

 人類は現在使用している道具を戦争の中で生み出し、その機能を小さくすることで一般人が持つことを許している。

 だが“フリーダム”と書かれた機体は未だ世界に姿を見せたことはない。 そうなると一体何の利用目的で製造されたことになるのだろうか。

 答えは簡単だ――戦争へ投入するための試作機として極秘裡に製造された、そう考えれば“フリーダム”という存在が人目に付くことなく存在している理由にはなるだろう。

 今彼自身が置かれている状況を思考から投げ捨て“フリーダム”という存在について考え始める。

 

「戦争の為……」

 

 それは理解できなくはない嫌悪する対象。

 兵器一つで何百万人を殺すこと可能としてきた技術が昇華され人型の機体を作り上げたというのなら、それは何かしらの大きな利点が有るはずなのだ。 戦闘機とは違う有利な点――それを調べるために彼は機械の手を動かし表示された邪魔な文字を消していく。

 そして偶然にも型式番号の部分を押してしまい余計な表示を増やしてしまう。

 ――Zero - Gravity Maneuver Fighter……

 無重力下用機動戦闘機という意味なのだろうが、どのようにすれば機体形式に無重力下用と付けることができるのだろうか。 それではまるで元々“フリーダム”は大気圏外での使用を目的とした機体ということとなる。

 文字通りに捉えるのなら大気圏外で活動できる機体――その利点を戦争と結びつけ、考えることをやめた。

 詳しいことを知りたかったが表示され続ける数が増えすぎたため集中ができないのだ。 仕方なしに後で考えることにして表示を消そうと手を止める。

 ――eXperiment Atomic……

 型式番号に付く、もう一つの英単語――その意味に気がついてしまい戦慄した。

 

「……核……動力、搭載型!?」

 

 そう核動力搭載型試作機という意味を持つ英単語が表示されている。

 ――なんで、核が……!?

 誰もが恐る禁忌の技術を兵器に転用した事実は彼でなくとも恐怖を覚えてしまうだろう。 無重力下での活動が可能な核動力搭載型試作十番機――つまり“フリーダム”と同様の存在が最低でも後九機存在しているのではないかという事に、開発した人間は一体何を考えていたのだろうか。

 どのような理由で核動力を使用するのか嫌な予感を感じ武器となる存在を探すと、それは簡単に見つかった。

 未だ兵器としての実証は未完成と言っても良いビーム兵装。 それも膨大なエネルギーを使用する事で可能とした高エネルギービームという空想上の産物は、現在の科学技術では防ぎきれるものではない。

 それは間違いなく戦争で圧倒的な武器となるだろう。

 信じたくない現実に、いつの間にか冷静さを取り戻し――夢ではない“フリーダム”という存在を彼は受け入れるしかなかった。

 ――これは、誰にも見せることはできない……。

 人の手には大きすぎる禁断の存在を人は新たに生み出してしまったのだろうか。

 ならば彼にできることは“フリーダム”を悪用させないために持ち続け、同様の存在を――人の命を軽んじるモノを発見次第、秘密裏に消し去ることだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ興味がそそられるわけだよ~♪」

 

 当然のように束は双眼鏡を片手に遠くから“フリーダム”を眺めていた。

 どこかで見たことがあるような顔だったため出会った当初から興味を持っていたが、更に彼の事が知りたくなる。 そう思いながら安全対策で設置された作から身を乗り出し彼を観察。

 その頭に付けたウサミミは感情に合わせられているのか上下に動き、後ろを通る人は滅多に見ない奇抜な人間に目を奪われていく。 だが彼女を知る人から見たら距離をとりたいのか、足を止め弧を描きながら避けて通る。

 篠ノ之束――十三歳となった少女は大人顔負けの身体を持ち、自他共に認める天才的頭脳の持ち主。

 当然、義務教育を受けなくてはならない年齢なので平日の今は学校にいなくてはならないのだが、様々な事情から自主休学中。 もちろん教員から問題の声も上がっているが試験日等には出席をしており常に学年主席――そんな扱いづらい生徒へ口を出せるほどの人材は学校側にいなかった。

 

「たまには散歩をしてみるものだねぇ~。 まさかあんな可愛い子が天使様になっちゃうなんて」

「……おい、束?」

 

 その声に気がついたのか双眼鏡を下ろしながら声のした方へ振り返る。

 

「あ、ちーちゃんだ~。 やっほー☆」

「いや、ヤッホーじゃないだろう。 一体何だ、突然電話かけて……昼休みだから抜け出せたものの」

「んー、急に大親友の顔が見たくなっちゃってねぇ~」

「そうかそうか――んなわけが無いのは知ってるから早く要件を言え。 学校にも顔を見せ無いで一日何をしてるかと思えば……何だ、バードウォッチングか?」

 

 黒い髪を後ろで纏めた織斑千冬という少女は呆れながらも束の隣で海を眺め始めた。

 

()()()来てというから何だと思えば――何もないじゃないか」

 

 束と同じように中学生には見えない彼女でさえ束の考えてることは理解できないらしく、時間がないから早く用件を聞こうと急かす。

 

「ん、いやだから急に会いたくなったって……おーけおーけ、わかったよ冗談は止めるから」

 

 人を殺せるのではないかと思ってしまう程の鋭い目が向けられ茶化すのをやめた。

 未だ脳内では“フリーダム”となった彼が何者であるのか記憶の引き出しを開けては引っくり返し思い出そうとしているのだが、今は千冬を呼んだ理由を説明するほうが先なのだろう――そう思い静かに人出し指で、ある方向を示す。

 

「……ん、向こうに何かあるのか?」

「そだよ、双眼鏡使う~? おっ、セクシー♪」

 

 再度双眼鏡を覗き“フリーダム”を見ていた束は千冬の方へと振り返り、大きく映し出された胸の谷間へ目が行く。

 聞こえてはいけない音が束の頭を殴ったと同時に聞こえるも、それを咎めることなく双眼鏡をしまう。

 

「ぼ、暴力反対だって……。 ちょっとしたお茶目じゃん……」

「もう一発いるか?」

 

 泣き真似をしたあと千冬の首にペンダントがかけられていることを確認する。

 

「で、本題はなんだ? まさか、本当にくだらないことで呼び出したというわけでもないだろ……」

「そだよ――だから、あそこ見てもらえればわかるって」

 

 双眼鏡を差し出すが千冬は目を細め、束が指さした方向を凝視――そして確認が出来たのか、その目が大きく見開かれた。

 どうやら双眼鏡を使わずに遠く離れた――距離にして2キロメートル程あるはずだが、木々などで見にくい位置にある“フリーダム”を肉眼で確認したらしい。 類は友を呼ぶとはよく言ったものだと束は思う。

 

「……束。 あれは“白騎士”なのか?」

 

 二人の間でしか通じない単語を示され静かに首を振ることで否定――では一体何なのだと千冬の顔は驚きを顕にした。

 だが、何を質問されたところで理解できていないため質問には答えられない。 唯一答えられるということは、“フリーダム”を束は今日初めて見たということだけだ。

 

「それでさ~。 昔、ちーちゃんが完璧な“白騎士”は何時出来るのかって言ってたし、ちょっとつついてきてくれないかな?」

「……だが、アレはお前が持ってるんじゃ……」

「アレ? もしかして、ちーちゃんって――“Extended Partiton System”を理解できてなかったりする?」

 

 微妙な顔で目を逸らす千冬に束は納得し一息――「首にかけてるペンダントが“白騎士”だよ」と口にする。 その意味が理解できてないようなので不思議そうに首から外したところで同じことを再度口にした。

 ――まぁ、今まで準備した後で呼んでたから見たことないんだっけね……。

 その表情は思わず笑ってしまいそうになるものだったが束は笑わず千冬を見つめる――そんな表情は普段の束を知っている千冬には想像できなかったのか更に間の抜けた表情を晒し続け、急に意味が理解できたのか我に返り普段の冷静さを取り戻す。

 

「もう何も言うつもりはなかったが質量保存の法則はどこに行ったんだ……」

「まぁまぁ、別にそんな細かいことはいいんだよ~。 レッツゴーゴー♪」

「別に行くのはいいが――どうやってコレから“白騎士”を出せばいいんだ?」

 

 そう言いながら今まで首にかけていたペンダントに起動ボタンが無いか探し始める。

 

「えと、自分が“白騎士”を纏った姿を想像してみてくれるかな?」

 

 束の言葉を聞き千冬は“白騎士”を纏った自身を思い出す。

 目を閉じ過去に何度も見たことのある姿――西洋の騎士を元にした未来的な白い女性の姿。 そこまで想像出来てしまえば後は簡単だった。

 手に持っていた物が光り輝き始め千冬を包み込んでいく。 今までとは違う瞬間的な“白騎士”の起動と装着――それは初めて目にした時と似たような感動を千冬に与える。

 ――うん、うまくいったね♪

 そう思いつつ失敗しなかったことに束は安堵の息を漏らす。

 強制的に排出した“白騎士”の装甲を瞬時に搭乗者に装着させるのだ――当然、下手をすれば千冬の腕が装甲によって切断される可能性もあったのだが、そうならないために実験を繰り返しながら今まで先に用意していた。 それを知っているのは何度もプログラムを作り直した束だけ。

 ――Start program start-up confirmation……

 次第に発光現象が収まり千冬がいた場所に巨大な騎士が立っていた。

 

「違和感とかはないよね~?」

「ああ、問題ない」

 

 何度も千冬と同じ大きさの人形で強制展開を実験したのだ――これで失敗したら自分にはモノを作ることは向いていなかったのだろう。 だが千冬は何事もなく“白騎士”を纏っている。

 

「バイザーの使い方は基本的に同じだけど隅の方にエネルギー残量ゲージを付けたから、もし無理そうなら……」

「では“白騎士”――行くぞ!」

 

 最後まで束の説明も聞かず千冬は“白騎士”を駆り“フリーダム”へ向け飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一斉に表示されていたモノが消え警告表示が彼に危険を知らせる。

 突然鳴り響く音に最初は操作を間違えたのかと思うも、どうやら急速に接近する熱源に対し警告をしているらしい。

 ――というか、何……情報が脳に送り続けられてる?

 空間投影されていた表示は全て消え彼の目にも映らない――しかし本来表示されるべきレーダー等が一切表示されず、脳内に情報を直接送り込まれている。 おかげで膨大な情報を脳が処理しているせいか頭が痛く感じた。

 まるでコンピューターの一部にでもなったかのようだ。

 ――Affiliation unknown machine access……

 それでも視界が遮られる事はなく確認する手間も省略できるのならば少し程度の痛みは許容しなくてはならない。

 

「白い、騎士……?」

 

 接近する熱源の方へ顔を向けると少し遠く見づらい状態であったが、その姿だけが拡大されることで外見を細部まで確認することができた。

 “フリーダム”とは違い人間の身体らしき部分が見えるため不思議に思えるが考えてる暇はない。 もしかしたら同様の製造過程を踏んでいるのかもしれないが、その事について考えている合間にも騎士は大剣を持ったまま“フリーダム”を間合いに入れるだろう。

 流石に騎士の登場には驚いたが同型機体の存在が可能性として考えられたため、その驚きは核動力を搭載した“フリーダム”には及ばない。 むしろ短時間で現代の機械工学を大幅に上回る機体を二つも目にしたのだ――驚きよりも呆れの方が強かった。

 ――さてと、()()()は武器をお持ちだけど……。

 近づいてくる白い騎士を心の中で煽りながら“フリーダム”に搭載された武装を確認しようとし、どのように確認を取ればいいか首をかしげそうになる――だが脳に送り込まれていた情報は彼が搭載武器を知りたいと思ったためか、即座に目に見える形で武器情報を反映。 

 本日何度目の驚きと混乱に別の意味で頭が痛くなる気がした。

 ――Pikuusu 19mm close defense cannon

   Kusuifiasu rail gun

   Rakeruta beam saber

   Alps beam rifle

   Baraena plasma convergent beam cannon

   Laminate anti-beam shield……

 その豊富な武装は大半が核動力により強大な威力を発揮し、装備している箇所も人型であるためか理想的な位置にある。

 ピクウス19ミリ近接防御機関砲は頭部に搭載されており、両手が塞がっている状態でなお顔を動かす事によって迎撃を可能とし――折りたたまれて装備されているクスィフィアスレール砲は砲撃時の安定性を保たせるため両腰部に二門。 背部メインスラスターから左右に伸びるウイングバインダーには、核動力によって有り余る程のエネルギーを収束させ放つ大口径のバラエーナプラズマ収束ビーム砲。 そのどれもが砲撃後の排熱や排出を目的とした合理的な位置に存在していた。

 またクスィフィアスレール砲の上部には近接格闘用のラケルタビームサーベルが備えられており、それと接触しないような形で後ろ腰にルプスビームライフルを固定(マウント)する場所も備えられている。

 何度確認しても目で見ている文字が変わることなく頬が引きつった。

 ――まさか、あの機体も核エンジンを……?

 もしも同じように核動力で動いているのだとしたら――と徐々に接近する騎士の姿に不安を覚える。

 手に大剣を構え一直線に向かってきいるということは、どう考えても友好的ではないだろう。 もしかしたら“フリーダム”を回収しに現れた機体なのかもしれない。

 

「好都合、かな」

 

 二度と核を搭載した兵器が作られないように動くためには情報が必要で――その手がかりとなるであろう白い騎士は“フリーダム”へ近づいてきている。

 話し合いで解決すれば平和的で彼にとって好ましいのだが、動かしているということは開発者に近い人間なのかもしれない。 ならば最悪、殺してでも情報を奪い取る必要があった。

 ――見たところ大剣以外の武器は見えないけど、まさか……?

 大剣自体にビーム発生機関を取り付けているのかもしれないと思うと生身では太刀打ち出来ない――どうあっても“フリーダム”を扱い無力化するしかないのだ。

 

「全く。 私の人生は波乱万丈だよ……」

 

 白い騎士の搭載兵装が大剣一つならと願い左腰のラケルタビームサーベルを引き抜く。 機体動力である核エネルギーを共有することによりPOWER DOWN(パワーダウン)EMPTY(エンプティー)という概念が存在しない武器は、“フリーダム”の掌に隠されているコネクターを伝い高出力のビーム刃を先端から――作り出さない。

 核動力により半永久的に機体を稼働させることができるのは確認しており、同時に兵装へのエネルギー伝達方法も彼は確認した。

 しかし現実は彼の目に何も出ることがないラケルタビームサーベルを見せつけている。

 ――なにか間違えた?

 コネクターは間違いなくラケルタビームサーベルに接続されている――だが何も起きない。

 徐々に近づく騎士の姿に焦りながらも混乱する頭で状況を必死に整理していく。 そして核動力からエネルギーが回ってきていないという可能性に気がついたときには、既に白い騎士が大剣を振り上げ“フリーダム”の間合いに入りかけていた。

 流石に切り裂かれるわけにはいかず左腕に装備しているラミネートアンチビームシールドを前に横へ飛ぶ。

 

「くっ……」

 

 加速したまま振り下ろされた大剣はギリギリで“フリーダム”のラミネートアンチビームシールドに阻まれ後ろに受け流される。

 強烈な衝撃に彼は目を細めるが右手には未だ刃のないラケルタビームサーベル。 距離を取ろうにも先程からメインスラスターを点火させているのだが、こちらも同様に無反応で大きく動くことは出来ないでいた。

 ――武器に供給されるはずのエネルギーが回っていないということは“フリーダム”(わたし)のアタックオプションは無し、ついでにスラスターも使用できない……。

 唯一の救いとすれば完全な故障ではなく一時的に使用ができないというだけ――時間を開ければ動力からエネルギーが伝わり始め搭載されている全ての機能を使えるかもしれない。 それだけが現状を切り抜ける唯一の方法。

 しかし燃焼反応で生成される高温高圧ガスを噴射することで推力を得るスラスターが、“フリーダム”が起動しているのにも関わらず反応しないというのは理解できない。 まさか現在主流とされているロケットエンジンではなく電気推進を採用しているとでも言うのだろうか。

 そんな彼の必死な思いが伝わるはずもなく白い騎士は振り下ろした大剣を構えなおす。

 

「何者だ」

 

 なるべく時間を稼ごうとするも、その問い掛けに何も答えることなく白い騎士は一瞬で“フリーダム”との間合いを詰める。

 ――あんな重そうな装甲をつけているのに砂に足を取られてない!?

 剣先を突きつけ構えていたことから、しゃがみこみラミネートアンチビームシールドで上に逸らすことで大剣を避けたが、その速度は彼にとって予想以上の早さだった。

 浜辺という重量があるモノには足を取られやすい場所で、白い騎士は地面を蹴るよりも早く移動する。 “フリーダム”でさえ可能かわからない性能を、目の前にいる“白騎士”は彼に見せつけ――防がれた大剣を伸ばした勢いで上段に構え振り下ろす。

 それを“フリーダム”は後ろに跳ぶ事で回避するも砂に足を取られ思ったよりも距離を取れない。

 必死に起動しないと思っていたピクウス19ミリ近接防御機関砲で弾幕を張るが、見えない壁が白い騎士に着弾する前に弾を阻む。

 崩れそうな体制を再度後ろに跳ぶ事で解決し、同じ実弾ならばとクスィフィアスレール砲を展開。 もう一撃加えようとするも、こちらは無反応のままだった。

 

「舐めるな……!」

 

 それは砲撃できたが手心を加えられたかのようにも見えなくはない――舐められていると思った白い騎士は再度間合いを詰める。

 受け流せないと判断した彼はラミネートアンチビームシールドで大剣を受け止め、金属同士がぶつかり合い互の頭部が近づく。

 ――この距離なら!

 今度こそ阻むものは何もないと判断しピクウス19ミリ近接防御機関砲を至近距離で放つが、薄い透明の壁は着弾地点だけに展開し銃弾を弾いていった。

 

「驚いた――どんなシステムを使えば、そんなことができる?」

「それはこちらのセリフだ。 その細い腕で良く耐えるものだ」

 

 苦しそうな声で思ったことを口に出すも、どこで仕掛けようかと互いに考え続け――“フリーダム”が先に動く。

 大剣を防いでいたラミネートアンチビームシールドを斜め下に傾ける事で白い騎士の力を流し体制を崩させる。 意味はないだろうがピクウス19ミリ近接防御機関砲を放ちながら少しでも視界を遮り、その頭部を蹴りあげようとした。

 

「んなっ!?」

 

 だが白い騎士は蹴りに気がついたのか片手を大剣から離し前のめりになりつつも“フリーダム”の足を掴む。

 普通ならば確実に通る一撃なのだが白い騎士は、その高い身体能力によって防ぎ――掴んだ足を高く持ち上げることで“フリーダム”の体制を崩し、反撃として大剣を振るう。

 ――殺られる!?

 体勢が崩れた“フリーダム”は翼を開き先端を砂浜へ突き刺すことで無様に倒れることを防いだが、ラミネートアンチビームシールドを構えるタイミングを逃した。

 

「なん、だと……!?」

「……“フェイズシフト”」

 

 なんの冗談だという声が甲高い音が響く中漏れる。

 本来なら大剣によって切り裂かれるはずの胴体は、その場に居た二人の想像とは違い傷が付くことなく存在し続けている。 

 ――Phase Shift Armor……

 “フェイズシフト”――相転移装甲の一種であるそれは一定の電流を流すことにより装甲が相転移し硬質化、それによって物理的な衝撃等を無効化する効果を持つ。 ソレが手持ち武装を除く“フリーダム”の全てに採用されていた。

 つまるところ、この装甲を採用している“フリーダム”には実体剣を始めとしたミサイルや実弾兵器の中で最高威力を誇りうるレールガンですら無力だということだ。 もちろん搭載されている兵装と同様に、一定のエネルギーを消費するが核動力で動く“フリーダム”には関係がない。

 ――狙える!

 白い騎士が今の光景を見て驚き止まっている隙を彼は見逃すことはなかった。

 狙うは装甲が存在せず露出している搭乗者の身体。 ピクウス19ミリ近接防御機関砲では不可視の壁に阻まれると言うならば永続的な接触を与え、その不可視の壁をこじ開けるしかない。

 そう判断し彼はラミネートアンチビームシールドの先端を白い騎士に向け構える。

 

「なっ!?」

「っ――ミサイル!?」

 

 しかし“フリーダム”の行動は白い騎士を巻き込む爆発によって止められた。

 一体何が起きたのかと爆発の原因を彼は探し始める。

 ――レーダーに熱源反応……あそこか!

 脳内に白い騎士が現れた時と同じ情報が送り込まれ、それが原因だと気がつくと即座に顔を向け姿を確認――そこには“フリーダム”に似た人型の機械が大型ミサイルを構え、今にも残りを打ち出そうとしている姿が映っていた。

 見たこともない機体を“フリーダム”は自動で識別し始める。

 ――ZGMF-1017 GINN……

 その識別に彼は目を見開きトサカの付いた単眼の顔を凝視してしまう。

 “フリーダム”と同様の形式を持つ機体は、対峙する白い騎士よりも確実に知りたい情報を持っている――持っているはずなのだ。

 ――なっ、これは!?

 本数が減っていることから先の攻撃は“ジン”が腕に装備する巨大なミサイルであろうと予測し、差し出された情報の中から該当する兵器を見つけ出す。 その結果、拠点攻撃用重爆撃戦装備の一つとされる、キャニス短距離誘導弾発射筒だと判明した。

 それは彼が危惧する事を間違えようがない現実であると知らしめている。

 残ったキャニス短距離誘導弾発射筒が打ち出されるのを見て悲鳴に近い声が隣から聞こえるが、“フリーダム”は真っ直ぐ飛来する事を確認しピクウス19ミリ近接防御機関砲を使用し撃ち落としていく。 海面で爆発し爆風は砂を巻き上げ視界を遮り、その一瞬で“ジン”は発射器を投げ捨て、腰に固定(マウント)していた19ミリ重突撃機銃を手に取ると二機に向け加速し始めた。

 ――やはり戦争のために作られた機体(モノ)か!

 そう見えた瞬間、後ろ腰に固定(マウント)されていたルプスビームライフルを手に取り照準をつけないまま引き金を引く。 狙いを絞る必要はないほどの距離――その距離をルプスビームライフルから放たれた緑色の光条は進み、何にも遮られることなく“ジン”に届き胴体を貫いた。

 

「……一撃」

 

 その光景を見ていた白い騎士から間の抜けた声がかすかに漏れる。

 胴体を貫かれ失速した“ジン”は火花を散らしながら海面に落ち爆発――彼の前から消えていった。




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✔スカーレット・リリィ 【人名】
 本作品の主人公がドイツ連邦国防省連邦防衛軍、第一空軍師団に所属していた時に名乗っていた偽名。 在軍中の階級は少佐で早期警戒管制機へ搭乗し味方部隊への指示や管制を行っていた。 
 TACネームは“スカーレット・アイ(Scarlet Eye)”。

✔篠ノ之束 【人名】
 十代前半で“白騎士”と呼ばれるパワードスーツを作り上げた天才。
 本作では人付き合いが苦手なためか積極的な人間が苦手で押されると弱い典型的な引っ込み思案だが、気になった事に対しては積極的に関わりを持とうとする面も持つ。
 また身体を動かすことを苦手とせず生身で銃撃の中を歩き回れるほど運動神経は高い。

✔早期警戒管制機 【機体】
 “Airborne Warning and Control System”の和名で索敵を始め分析や情報共有、指揮管理などをを行うために作られた軍用機。
 機体上部には高分解能の大型レーダーが搭載されており戦場を広範囲で索敵する事が可能。 現代の制空権確保には欠かせない存在であるが軍用機の中でも最も高価なため配備数は限られている。

✔織斑千冬 【人名】
 篠ノ之束の幼馴染であり“白騎士”のテストパイロットを務めた女性。
 高い運動能力を持ち同年代の中では大人びた雰囲気を醸し出す姐御肌ではあるが家事や子供に対しては弱く、どうしたら良いのか分からないという年齢通りの面を見せる。
 現実主義であるために篠ノ之束と衝突することが多い。

✔フリーダム 【機体】
 “白騎士”とは全く別の過程で生まれた機体で様々な事が不明とされている。
 型式番号のZGMF-X10Aが示す“Zero - Gravity Maneuver Fighter”(無重力下用機動戦闘機)と“eXperiment Atomic”(核動力搭載型試作機)等から判明してる点が無いわけでもない。

✔白騎士 【機体】
 篠ノ之束が作り上げたパワードスーツのプロトタイプ。
 PIC Systemを初めとした機体システムの試験実証機でもある面が強いが多重防壁システムを搭載しており安全面を第一に設計されている。 当初は武装が存在していなかったが様々な理由により大剣だけを製造し搭載した。 
 しかしテストパイロットを織斑千冬とし調整しているため扱える人物が本人だけという問題を抱えている。

✔電気推進 【技術】
 宇宙空間で用いられるロケットエンジンシステムの一種。
 電気的なエネルギーを用いて推力を得る。 電気推進の推力は科学推進に比べ著しく小さいが比推力が高いのが特徴。
 ※Wikipediaから抜粋

✔相転移装甲 【技術】
 一定の電流を流すことで相転移する特殊装甲の一つ。
 相転移した装甲は一定のエネルギーを消費する事で物理的な衝撃を無効化する効果を持つ。 これにより実弾系兵器最高威力を誇るレールガンの直撃や重力の加重にも耐える事を可能とした。
 また装甲を展開することで耐熱性も向上し一部の光学兵装すらも無効化することを可能としている。



《スカーレット・リリィ》

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