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二十一世紀――技術は日々進歩し続け世界は様々な姿を見せていた。 そんな中、ドイツ連邦国防省連邦防衛軍に所属するスカーレット・リリィは人知れず祖国である日本へと足を踏み入れ、“フリーダム”と名付けられた人型機動兵器を誤って起動させてしまう。 混乱したまま表示され続ける情報に目を通していくうちに核動力搭載型試作機という英単語を目にしてしまい、リリィは“フリーダム”という機体が核で稼働していることに気がつき情報が漏れないよう保有し、また他にも存在するであろう同型機を破壊することを方針と決め――そんな様子を遠くから見ていた篠ノ之束が提案を持ちかけた事でリリィは織斑家にて寝食を共にする事となる。
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自身が所有している核動力という存在に気を抜くことが出来ない生活を続ける中、日本に向け多数の弾道ミサイルが発射される自体に直面し、迫り来る脅威を見過ごせないリリィは“フリーダム”を、束は“白騎士”を起動させ自身が守りたいモノのために戦場を駆けて行く。 数千を超える脅威を自衛隊とドイツ連邦国防省連邦防衛軍に属している“
日本の領域外まで抜け出しドイツ連邦国防省連邦防衛軍に救助される形で二人はドイツの地に足を踏み入れ“白騎士”という存在とは無縁の三ヶ月を過ごす。 しかし“ジン”に酷似した所属不明機の強襲を受けリリィは方針を変更し、ドイツ連邦国防省連邦防衛軍を利用した未確認人型機動兵器に対する特殊戦術飛行隊“
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“白騎士事件”と呼ばれるようになった出来事から六ヶ月後、リリィと束は無人戦闘機開発計画で設計した一機を“白騎士”に採用された技術を用いて改修し運用している中、何者かに進水式直前の超大型潜水空母を奪取されたとの知らせを聞き、道中で空中給油を受け停船任務につく。 未確認ではあるが核弾頭が積み込まれているかも知れない――そのような状況下で打ち上げられた艦載機と“
030 Phantom
2010年12月27日――日本時間十七時四十三分を超えたとき、その爆発は沖縄県本島で観測された。 正確な位置は情報が
元々沖縄は合衆国軍の核ミサイル保管庫として扱われており、その数は千を越えると言われアジア圏に対しての核抑止として機能していた。 特に戦術地対地巡航ミサイルMGM/CGM-13“
『こちらに精度の高い情報が集まってるわけではないが、それでも短時間で飛び交っている情報から現状を推察することは可能だ』
『――サミナードの
『――その情報の精度については信頼してもいいものなのか?』
『確実だ――アメリカ統合参謀本部が出処だからな』
外部から完全に切り離された部屋は当然のことだが光を拒み空中に表示されるモニターだけが光を放ち彼女の顔を照らし出す。 その金の髪や
下手に動けば向こうは此方を捉える――それをキャロラインは良しとしなかったからこそ隠れたのだが逆に外を見る目を失ってしまう。 何かで外を見ようにも現存する物では足が付き彼はやがて自身の元に辿り付くわけだが、何としてでも彼の目的を把握できるまでは、この身を隠し続ける必要があった。 それ故に利害関係が一致し尚且つ行動原理が理解できる三人を支援し代わりに外部の情報――特に彼の目的を探ってもらう相互関係を気づいた訳だ。 未だに“
『スコール・ミューゼルは確かイギリスで行われる舞台に出演するため日本にはいなかったな。 少しでも情報が欲しいところだが……』
「――何が起きたかは知ってるだろうが我々よりも事情に詳しいことはないだろう」
『仕方がないな、ヤツは我々とは違い表から動く人間だ。 ところで既に放射線測定器を始めとした汚染除去用の資材と支援物資の輸送準備を進めているが構わないな?』
「これに関しては支援を惜しまず行え。 人命優先だ」
そう言いながらキャロラインは通信開始時から回線接続がされておらず点灯しない人物の顔を見る。 今回の通信に参加していないのは“
『だが問題は別の所にあるだろう――どうする。 沖縄には日本全体の合衆国軍専用の施設が70%も集中している場所だが、当然、今回の爆発で指揮系統が一時的ではあるが混乱している。 何事もなければ問題はないだろうが、軍事境界線において動きが確認されたという情報が入ってきている。 明らかな侵略行為に戦力を投入せず物資の輸送だけを行う気か?』
『率直に言うが今回に関しては多くの民間人に被害が出たからこそ、私は出るべきだと思っているんだが』
『我々が動けば情勢が大きく変わる――“
『なにも関係もない人々が殺されていくのを黙って見ていろという気か?』
『感情に流されすぎていると言っているのだ。 冷静になれクローディヌ・サミナード――お前の軽率な行動が、どれだけの事態を招くか考えろ』
どちらの発言も正しいものだ。 戦地になり得る場所へ、ただ輸送物資だけを送り込むだけでは略奪の対象となり我々の善意が広がる前に搾取されてしまい、支援物資が少ないほど被害を受けた人々の生活は困難となっていく。 今まで慈善事業をしてきたという訳ではないが、明らかに自然災害では無く何者かの意思が罪もない市民を傷つけ殺していく現状を、あの惨劇を目にした“
「日本政府の対応はどうなっている」
『既に陸上自衛隊第十五旅団が動いているという報告が届いている』
『――第十五となると那覇の災派だな』
沖縄県那覇市にある那覇駐屯地には沖縄地方の防衛警備や災害派遣を任務としている陸上自衛隊西部方面隊に所属している第十五旅団が存在している。 その中でもクローディヌの口にした災派とは、数え切れない多く死傷者の発生が伴う大規模な事故等という各種災害に対して地域や組織の対応限界を超えた際、陸海空の自衛隊部隊を派遣し救助活動を行う災害派遣の略称とされていた。 今回の事例は敵対国が明確ではなく結果として核爆発らしき現象を観測したことから化学テロに属し災害派遣の対象となる。 近年では1995年3月20日に東京都で発生した同時多発テロ――
『流石に対応が早い』
『だが驚異が無いわけではない――相手は何せ四年前から核実験を再開した、あの社会主義国だ。 どのような戦力を持っていようが無差別に破壊する大量殺戮兵器を既に使用したと仮定するならば、もう奴らは核兵器を使う事に躊躇いが無い。 いくら軍事技術的に優位に立っていようが防ぐ術がない時点で驚異でしかないのだが』
まるで他人事のように語られる事実にクローディヌは不満そうな息を漏らす。 確かに
「――こちらからは戦力的支援を送り出すことは出来ないが外部からの圧力をかけることは可能だ。 だがジュネーブ合意以降、核兵器に関する国際的な約束を大々的に破ってきている。 いくら食料や経済支援を行っても裏では開発し続けるのが今回の
『つまり誰にも悟られることなく殺れば良いんだな』
「いや、むしろ核開発すら出来ない去勢された状態にしてやればいい。 クローディヌ、お前には指定された座標へ
『
指示を受け取ると通信欄で送受信状態を示す点灯が一つ消えた。 クローディヌが通信を遮断し会話から抜けた――となると既に受領のため行動を開始し始めたに違いない。 彼女が持つ機体特性は電撃戦仕様と言っても良く、特にコロイド状の微粒子を機体表面に定着させる電場形成技術によって展開される光学的な迷彩
危険な任務ではあるのだが有利な立場にいるため安心と安全が保証されている。 我々にとっては子供の使いに似たような作業であるが、当然それに見合う報酬は渡すべきなのだ――そう思いつつも彼女が欲する情報を伝えられない自分が恨めしく思えた。 ただ座っているだけの自分以上に働いてくれる彼女の能力は正当に評価すべきなのだ。 それを止めているのは今も通信を繋げたままにしている最後の一人が原因である。
「――また娘に嘘をつき続けたな。 私はいつまで黙ってればいい、
『確かにDNA上では、間違いなく彼女は私という
「半世紀も
『知らない方が、幸せなこともある……』
やはり彼女は何かを知っていて隠しているのだろう。 それが何なのかは今のキャロラインには理解できないが、それでも間違いなく自身が知らない――特に唯一と言っても良い
生物や植物、鉱物は原子レベルから同じ物質で構成されていると言い切れる――故に我々“
実際のところ時間を逆行する存在をキャロラインは知らないし、クローディヌが口にした事象を鵜呑みにすることはできない。 知りもしないのだから過程として提示されても、はいそうですかと受け入れられるはずがないのは道理だ。 それらを知らなくても良いというのであれば確かに知らなくても良いことなのは間違いない。 ただ、もしもクローディヌが提唱した仮説が正しいものだとすれば我々が“災厄”と呼ばれてきたのも道理だろう。 なにせ地球上に存在する物質を個体だけで
『――先に、忠告しとく。 クローディヌ・サミナードが口にした、仮説を……実証するのは死を招く……。 矛盾による自己崩壊、はしたくない……でしょ』
「それは命令か?」
『ご自由、に……。 “
《Re:Birth 04/Re:Birth 04/Thunder of God》
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※あとがき
初めましての方は初めまして、お久しぶりの方にはお久しぶりです。 Twitterをしており尚且つ篠ノ之束(aoi_tabane)をフォローしている方は……そうですね、「先程ぶり」とでも言えばいいのでしょうか?
葵 束です。
ようやく第四章という新章に突入する事になりました。
設定上存在する“災厄”もその生き残りも徐々に姿を表し、当時から謎とされていた事象が少しずつ解明されていくことになります。 篠ノ之リリィとクローディヌ・サミナード、そして重複している篠ノ之束という存在――幾重にも重なった不可解な現象が歪を生み……とは言うものの四章は日本という国家が戦火に晒され、世界に対しどのような立ち位置を見せるのかということを書いていくので謎解きはまだ先のおはなし。
当作品は現在、2010年頃の情報を元に書かれています。